合気道修行者個人指導1

本日から合気道修行者の方の個人指導が始まりました。

合気道十数年のベテランだけあって、技を見る目がこえているので、初心者に指導する場合と違ったアプローチが必要でした。

通常は、第一段階の秘伝技術の「骨の段階」の技の4つの技法(第一式から第四式)の陽の技術と陰の技術の内、第一式と第四式の陽の技術の多方面からのアプローチをするのが通常ですが、今回は、そういった説明を入れつつも、第四段階の秘伝技術までを視野に入れ、質問形式をとりながら、技術の伝授を行う形にしました。

ただ、段階的な稽古でないので、第二段階の「皮膚の段階」の技術は十分理解できたようですが、第三段階の「皮膚感覚の段階」の技術は特に難しいように感じられたようです。

また、第四段階の「空間感覚の段階」の技術は、応用範囲が非常に広いので、分かり易い技術を1種類だけ稽古しました。

それは、上段からの武器攻撃を避ける稽古で、素人目には「上段から振り下ろしてくるのだから、避けられて当たり前、こんな稽古役に立つのか?」と思われますが、「空間感覚の段階」の技術の意味が理解できていると、この稽古の重要性がわかります。ちなみに、「空間感覚の秘伝」を理解しないで同じような稽古をしても、まったく意味がありません。

ともかく、あっと言う間の1時間でした、理解していただけたでしょうか? 次週、お会いしたときが楽しみです。

消える動きの稽古

今日の子供の部は中一の男子3人が参加し、「消える動き」を中心に稽古をしました。「消える動き」というは相手から見て、「目の前から忽然と消えたように見える動き」のことを言います。実は、私は、師匠である井口師範から「消える動き」として単独で学んだわけではありませんが、子供たちにそういう言い方をしたほうが分かり易いので、そう教えています。

この「消える動き」は、当会の秘伝の「空間感覚」に属する技術で、原理は公のブログでは具体的に述べることはできませんが、「相手に目の前から一瞬消えたと思わせる」ような技術で、目にも止まらぬ早業で移動するものではありません。

合気道の教本などでは、一切触れておらず、それらしき表現としては、「相手の氣を導く」という言葉が見うけられる程度で、具体的な方法は書かれていないのが現状ですが、普通の中学生にもできる純然たる「技術」の一つです。

マンツーマン指導の依頼

5月からマンツーマンで合気道暦十数年の方を指導することになりました。
この方の師匠は、わが師、井口雅博師範に何年間か合気道を教わったということで、時々お弟子さんたちに井口師範のお話をよくされるそうです。

先日、この方に体験にお越しいただき、井口師範から授かった秘伝で技を示しましたところ、この方の師匠からは、そのような秘伝は教わっていないということです。

この方の師匠は、井口師範から秘伝を授かっていないのか、隠して弟子には一切教えないのかはわかりませんが、井口師範の秘伝を合気道を愛する人に教えられるのはとてもうれしく思います。

この方はこの夏に四段を受けることになるそうですが、技に対して、今まで疑問に思っていた部分が少しでも晴れ、実力UPに寄与できればと考えております。

目と苛められっ子

空間感覚の技術というのは、当会の秘伝技術ですが、これは実演しないと分からない技術なので、言葉では説明できないが、その中核は、目の使い方にあります。

ところで、以前、中学2年生で学校で苛めに会っているという男の子の相談を受けたことがあります。彼を見て、先ず気がついたことは「目が負け犬の目になっている」ということでした。彼と面と向かって目を合わせると一瞬「視線が逃げる」のです。

そこで、その子供に、相手の顔を見て目を見ない方法を教えました。いわゆる剣道の『遠山の目付(えんざんのめつけ)』というものと同じような目の使い方です。

しかし、剣道をしている人に聞いたところによると、『遠山の目付』では、相手の目をしっかり見るようにと指導されるそうですので、これとは少しことなるかもしれません。

合気道の空間感覚の技術では、「相手の目を見るとこちらの意識が読み取られる」と教え、完全な情報遮断の目的で相手の目を見ずに相手全体を見ます。

そうすると相手は、自分の方を見ているので、視線をそらされた感じがしません。ですが、相手からはこちらが何を考えているかわからないという状況となります。

さらに、彼は体が大きい方なので、体の重みを有利に活用する即席で使える護身術を教えました。

先日3ヶ月ぶりに、彼と会いましたところ、最近まったく苛められなくなったと言っていました。このように単なる人と人の間のことでも、目が非常に大切だということです。