【防犯の専門家の警察官ですら…】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

最近、恐ろしい事件が非常に多いです。

6月12日、大阪府吹田市交番の前で警察官が襲われ、防刃用ベスト着用の上から包丁で胸を突き刺され、銃を奪われるという事件が発生しました。

先月5月28日朝、川崎市で児童らが刃物を持った男に襲撃された事件がありましたが、今回は犯罪を取り締まる交番を狙った本当に悪質な犯行です。

ただ、このような事件が起こると、刃物を持つと素人でも簡単に防犯の専門家ですら殺せるというイメージが一般の人の心に浸透するのが非常に恐ろしいと思います。

 

「市民と触れ合う信頼の場所」だった交番は?

 

 

交番は昔は派出所とよばれていましたが、真偽はともかく「市民と触れ合う信頼の場所」ということも含め、親しみやすい交番と呼ぶようにしたと聞いています。

ところが、今回の事件、そして、昨年の9月19日、仙台市の交番で巡査長が大学生に刺され亡くなった事件などで、警察官の警戒心が強くなり、一般市民と壁を作ってしまうではないかと非常に心配です。

 

刃物を持てばという心理の伝播

 

今回の事件以降は、日本の警察の安全管理についてさらに徹底して指導を始めることでしょうから、交番襲撃もこれ以上は難しくなるでしょう。

ただ、問題としては、逮捕術を心得ている警察官ですら、今回のように簡単に被害に遭うわけです。

僕が一番危惧するのは、『刃物を持てば、例え相手が武道などをしていても、十分にやれる』と思わせる考えが増えることです。

今までは、犯罪者の中に、相手が武道や格闘技をしていると『もしかするとやられるかもしれない』という気持ちがどこかにあったと思います。

ところが、防刃チョッキを着ている防犯の専門家である警察官ですら、刃物にやられているわけです。

心理的な障壁が一つ崩れたような気がします。この心理の伝播により犯罪を犯す人間がより増えるのではないかと危惧します。

 

 

危機管理の知識が大切

 

 

僕たち、武道をやっている人間でも、やはり刃物を持つ相手は危険極まりないと考えています。

ましてや、後ろから不意に刺されるとなす術がありません。

昔、武田惣角という合気柔術の達人がいました。惣角は、何十人もの敵をアッと言うまに倒したことでも有名ですが、自分の後ろに立たれるのを非常に嫌がったと言われています。

それぐらい後方の敵というのは達人であっても危険なものです。

しかし、前方の敵に対しては、武道をやらない人よりも、様々な知識がある分、武道を知っている方がかなり有利なのは間違いはないでしょう。

素人でも相手が武器を持っている時どうするかという考えは大切です。事件に遭遇する前から自分なりに対策を持っておく必要があります。

 

 

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【痛くない受けと折れない腕】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
さて、昨日は技の研究会の日でした。最近は技の基本に立ち返って、個々の技術を確実にする稽古を行っています。

今回は、正面打ちの受け方を折れない腕に関連付けて稽古をしました。

 


本気で来る正面打ちの受けは痛い?!

 

 

以前、雑誌だったと思うのですが、合気道の師範の方が書いている記事で、合気道開祖・植芝盛平翁先生がご存命のころは、修行者は本気で正面打ちを打っていったものだと書かれていました。

その記事によれば、正面打ちに技の稽古をしたとき、腕は痣だらけになって腫れあがったものだったそうです。

それで、あるときあまりにも痛いので、一緒に組んでいる相手と申し合わせをして、痛くないように打つよう手を抜くことにしたところ、それを見抜いた翁先生に叱られたという内容でした。

その師範の内容によれば、痛くなくなるまで腕を鍛えるのが本来の合気道ということでした。

そして、井口師範も、毎日の稽古で岩を思い切り叩く稽古を繰り返していたと聞いています。そして、血まみれになった手や足にはいつも包帯を巻いていて、包帯を欠かせたことがないとも言われていました。

そんな井口師範ですが、正面打ちを受けられると、受けられた方は全く痛くありませんでした。受けられた瞬間体が崩されるというか、力が入らなくなるのです。だから衝撃が殆どありません。

実は、いくら思い切り相手が正面打ちを打ってきても、正しく受けると全く痛くないのです。

 


痛くない受けとは?

 

痛くない受けというのは、実は「折れない腕」の応用です。

その応用をするのに3つのポイントがあります。

相手の力を丹田で吸収する

折れない腕は自分の丹田と相手と繋がった感覚というのが大切です。この相手と丹田で結ばれている感じというのが、痛くない受けと非常に関係があります。

正面打ちの受けは、上の方向に折れない腕を作ります。相手の正面打ちを受けたとき、相手の力が自分の丹田に落ち、感覚としては、丹田で受けるという感じです。

相手のタイミングに合わす

痛くない正面打ちの受けにはタイミングが重要です。

そのタイミングを作るには、相手に受けるタイミングを読まれないことです。

そのために、相手の肘を迎えに行くというつもりと、突然、空中にその折れない腕が現れるごとく出現するというイメージでが大切です。

そうすることで、相手はコチラのタイミングが読めず、相手の力が乗る前に相手の手刀による攻撃を受けることができます。

受けるのは柔らかい部分

こちらは前腕の裏面である筋肉のついた柔らかい部分で受けます。そうすると、相手の骨とこちらの骨がぶつからないので安全に柔らかく受けることができるのです。

 

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【Q&A】面白い質問が届きました!

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

ブログに関する初心者の方の質問がちょうど入ったので、今日はその質問に答えたいと思います。


Q1.折れない腕は手を握っても可能か?

 

通常の気による説明だと、「折れない腕」というのは手を開き指から気を放出することで、気が腕に流れ、それにより腕が異常に強くなるとされています。

一方、私の書いた二つの記事だと、折れない腕は、物理学、生理学、心理学を使った総合的な技術であり、相手と自分の関係で相手が十分力がはいらない状況を作っていると書いています。
折れない腕の科学1

折れない腕の科学2

もし、私の記事が正しいのであれば、別に指を開いて気を放出する必要はないのではないかという質問です。

結論からいうと、握っていても折れない腕はできます。

ただ、握るということに意識が行くと、上手く行かないのも確かです。

合気道の師範の中で、生徒に握った場合と指を開いた場合を実際に試させる人がいます。

その上で、合気道の優位性を強調するため、
「空手や拳法は手を握るから気がでない。合気道は手を開くから気が出る。合気道の方が優れている」
と、説明する人がいます。

でも、他の武道が気において劣っているということはありません。

握って上手くいかないのは、合気道家があまりパンチを稽古しないからで、気の武術といわれる中国の内家拳では発勁というとんでもない殺人パンチを出す方法があります。

中国武術は気について途方もない年月研究されている武術です。合気道家も学ぶべきものは沢山あります。

また、私は座り技呼吸力鍛錬法(所謂、呼吸法)でも、ワザと手を握って行うことがありますが、十分に相手を倒すことができます。

 


Q2.丹田の正しい位置は?

 

 

丹田には上丹田、中丹田、下丹田と3つあるという記事をかきました。
【重心の科学】3 重心と丹田

下丹田の位置は説明していますが、他の丹田の正確な位置がわからないということですので図に示しておきます。

 

上丹田

眉間の丁度真ん中の奥にあり、漢方では印堂(いんどう)とよばれる経穴(つぼ)の位置の奥になります。

中丹田

左右の乳頭(乳首)を結んだ直線の真ん中の胸骨の奥にあり、漢方医学では壇中と呼ばれる経穴(つぼ)の位置の奥にあります。

下丹田

臍下3寸の位置と言われています。この寸というのは、漢方医学で、経穴(つぼ)を測る基準で、1寸は親指の幅です。

また、3寸は人差し指、中指、薬指、小指をそろえたときの横幅であるとも言われています。

丹田の測りかたは、臍の下に四指をそろえて小指の下ということです。

 


Q3.合気道では上丹田、中丹田を使うことがあるか?

 

井口師範の指導する合気道では、答えはYesです。

 

中丹田

中丹田は、腕の根本と考え、中丹田に陰陽太極を意識しつつ使用すると、力が正中線から出、三角筋緊張による起立筋緊張の反射が起こりません。

そのため、スムーズに呼吸力が出ます。

上丹田

上丹田は、意念を集中し、気を集めるときに使います。

また、自分の下丹田の力と相手の下丹田の力が拮抗しているときに、下丹田からの力を維持したまま、上丹田に意念を集中して、頭を振ると相手は後方に大きな力を受けます。

ただし、ただ頭を振るだけではだめで、ちゃんとした技術があります。

ちなみに、上丹田の技術は塩田剛三師範が生前よく使われていました。

 

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【刃物を持った通り魔があらわれたら?】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
本日は、久しぶりに調査員の女性の護身術の個人指導を行いました。

調査員というのは、危険な地域で公共団体の職員の代わりに、公務の調査を請け負う仕事をする人です。

先日、その調査員の人の集会があり、その際に、ある一人の男性に説得されたということで、今日指導した調査員の女性が、刃物を持った暴漢と戦う方法を教えてほしいといいました。

僕は、即座に「女性が男性と戦うのは無理です」と答えました。

武器を持っていない気の弱い痴漢ならまだしも、人を殺そうと刃物を持って襲ってくる暴漢を相手にするのは、いくら武道をやっているとはいえ素手では男性でもかなり危険です。

 


男性調査員の主張

 

 

その男性調査員は、若いころプロボクサーを目指していたとのことで、ボクシングの腕にはかなり自信があります。

そして、何年か前から、ある事件がきっかけで体を鍛えだし、現在は毎日一人でボクシングの稽古に励んでいるのです。

確かに、60歳は過ぎているものの体が締まり、半袖のシャツから覗かせる腕からも如何にも体全体が鍛えられているとわります。

その日は、調査員の男性3名、女性2名の合計5名が集まって話し合いを持つ会議の日でした。

調査員同士の連絡事項などが終わった後、危険な地域での暴漢の話になりました。

すると、その元ボクサーの男が突然話を始めだました。

「例えば、暴漢が刃物を持った男だったらどうする?」
と指をさされたのが老齢の女性の調査員です。

「安全を確保するため、できるだけ距離をかせぐようにしてから、急いで逃げます」
と女性調査員は答えました。

まさしく護身術においては優等生的な答えです。

ところが、その男は、
「そんなことでいいのか? もしかしたら、その男が他の人間を襲うかもしれんのだぞ。何故取り押さえようと思わないのか? 人はどうなってもいいというのか?」

「でも…」
「でももへったくれもない。あんたはどなんだ?」
と、次は32歳の女性を指さして、その男が言います。

「私にはとても無理です」
「無理とかそういう話をしているのじゃない。自分さえ助かれば他人はどうなってもいいのかと聞いているのだ?」
「……」
「我々は委託ながらも社会福祉に関わって仕事をしているのだから、人の命を犠牲にしていいという考えではあかん。もっと人の命を考えて行動すべきだ」

 


護身の基本は先ずは自分の安全確保

 

その男の主張は一見筋が通っているように思えますが、無茶苦茶な話です。

まず女性の力では男性の力にかなうはずがない事をはっきりと教えないといけません。

しかも、本気で殺しにくる相手を素手で簡単に制するなんて、男性でも、武道の達人でないかぎり難しいのです。

女性は、まず自分の命を守るために、安全確保を如何にすべきかを考えるべきで、最悪の場合でも、何を武器にできるかを考え対処すべきです。

それぐらい、刃物は危険です。

以前、秋葉の通り魔殺人事件では、防刃チョッキをきた警官一人が警棒で応戦するも、かなり手間取り、最後は銃を突き付けて初めておとなしくなったということです。

日ごろ、武道に励み、逮捕術の稽古をしている警官ですらこうですから、素人のしかも素手の女性がどう通り魔を制するというのでしょうか?

刃物を持った通り魔が現れたら、まずは逃げることを考えましょう。

最悪でも距離は2mは近づけないことです。

「やめなさい。話せばわかる」
など言っても、人を殺す気できている暴漢には話し合いは通じません。くれぐれもコミュニケーション距離まで近づかないことです。

とにかく、距離を取ることを考えないといけません。自分の安全確保した時点で、携帯で警察に知らせればよいので、自分で何とかしようなんてする必要はありません。

 

 

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【重心の科学】3 重心と丹田

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
本日も、重心に関わる記事を書いていきます。

武道では丹田を非常に大切にします。

実際は丹田は3つありますが、武道では下腹部にある丹田を概ね意味しますので、今回の丹田は、下丹田といわれる下腹部の丹田です。

合気道に限らず武道でもよく言われることですが、人体の重心は丹田にあると言われます。

今回は人体の重心の位置と丹田の位置にについて述べたいと思います。

 


人体の重心は丹田か?!

上の写真は見事に重心をとらえてバランスを取っている体操選手の写真です。

丹田の正確な位置は後で述べますが、下腹部にあるというのは読者の殆どの人が知っていることだと思います。

もし重心が丹田にあるなら体が後方に落ちて、この選手はこの状況ではバランスをとることができないはずです。

ということから、丹田位置と重心位置は違うということがわかると思います。

武道においては、通常は立っている状態で行うので、ぶっちゃけは概ねは近い位置であるのは間違いないのですが、正確には重心と丹田位置は違うはずなのです。

 


丹田は神仙道の丹(薬)を作る場所

 

 

元々、丹田とは、神仙道の不老不死の霊薬、金丹を作り、育てる場所という意味で名付けられた部位です。

基本的には、臍下3寸の位置と言われています。

3寸というのは、1寸が3センチだから臍の下9センチのところが丹田かというとそうではありません。

幼児や赤ちゃんになると、丹田が人体より下になっちゃいます。

この寸というのは、漢方医学で、経穴(つぼ)を測る基準となる寸法のことで、1寸は親指の幅ということになっています。

ですから、体が小さいと親指が小さいから、3寸も小さくなります。

また、3寸というのは、基本的には、人差し指、中指、薬指、小指をそろえたときの横幅であるとも言われています。

ですから、丹田の測りかたは、臍のしたより四指をそろえて小指の下ということです。

これが正式な丹田位置となります。日本では丹田の位置についていろんな説があります。

しかし、漢方医学は、神仙道と深いつながりがあり、気の流れを見ますから、本来、金丹を作る位置ということになると、これが正式な位置ということです。

一部の合気道では、丹田は恥骨の少し上と、本来の丹田位置よりかなり下の位置を指導する人がいます。

これは氣の研究会主宰の藤平光一師範が臍下3寸をそのまま一寸を3センチとして指導したためです。

とはいえ、間違った位置を丹田と言っても、藤平師範のような達人がその位置で素晴らしい技を繰り出していますから、合気道においては正確な丹田位置はそんなに重要でないといえます。

ただ、腹部の下部の一点に少なからず意識を置くと、体が安定するというのは間違いがありません。

 

 

 

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【重心の科学】2

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

前回、「持ち上がらない体」について話ました。

今回も、「持ち上がらない体」についてもう少し追加の記事を書いていこうと思います。

 


理合いが存在する

 

 

一見すると不可解な現象も実は、合理的に説明しうる理由があります。

そして、その理合いが分かれば、誰でも再現は可能であると言えます。

一見摩訶不思議に思える「持ち上がらない体」も科学的に見た場合、気のパワーで重力をコントロールする超能力ではなく、もっと合理的で科学で理解できる技術でした。

そのポイントは、自分の軸を一本に保つことで、重心を安定させ、相手の力の支点の上に乗るのを防ぐ技術であった訳です。

このように一見不可思議な技術も、思い込みや先入観によるもので、科学的に見ても合理的に説明できる理由があります。

 


「持ち上がらない体」の続き

 

藤平光一師範が行う「持ち上がらない体」には続編とも言える技が存在します。

藤平光一師範は「持ち上がらない体」のパフォーマンスを披露するときに、最後に相手を自分の足元に倒すということをよくしたと聞いています。

一見すると、体の大きな人を上から、グッシャっと押しつぶして倒したように見えます。

ところがこれにも理合いが働いています。

中心軸を保った相手を何とか持ち上げようとする際、前に倒れようとする力が働き、持ち上げることができません。

そこで、その前に倒れようとする力を打ち消すためには、自分の身体を後方に倒してバランスを保とうとするわけです。

ところが、そうすると持ち上げようとする相手との距離が開き、腕だけでは支え切れなくなり、やはり相手を上げることができません。

そうして、前後のバランスに意識が流れたとき、持ち上げようとする人を前方に引き寄せると、突然バランスを失い自ら倒れてしまいます。

ここで大切なポイントは、相手を引き寄せるということです。

間違っても下に押しつぶそうとしても相手は倒れません。

見た目は下に押しつぶしているように見えても、相手を引き寄せているだけです。

飽くまでも、相手の重心操作だけを行っています。

 

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【重心の科学】1

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャ元気です。

さて、今日から、合気道と重心に関して記事を書いていこうと思います。

今回は合気道で行うパフォーマンスの一つ、「持ち上がらない体」について科学的視点で述べます。


持ち上がらない体

 

持ち上がらない体というのは、氣の研究会主宰の藤平光一師範が、合気会の師範部長であったころから、気の威力を示すために行ったパフォーマンスの一つです。

心身統一して、重みが下にあると、体の軽い人でも上に持ちげることができないというものです。

力の強い人が体の軽い人を持ち上げることができないというのは、一見するととても不思議に思います。

しかし、この持ち上がらない体というのも、科学的な視点から見ると非常に合理的であることが分かります。

 


相手を持ち上げるためには?!

 

上の写真は藤平光一師範が、重みを上に意識すると簡単に上に持ちあがるというパーフォーマンスを示したものです。

ところでこの写真を科学的に見ていきましょう。

人や物を挙上するためには、両足が支えとなて、両足底の丁度中間地点に重みが集まる必要があります。

要するに持ち上げる人の支点に重心からの重みが落ちる必要があるのです。

下の写真で、持ち上げる人と藤平師範の二人の合成した重心位置を見てみますと、合成した重心位置、要するに重みの中心点は、持ち上げる人の力の支点となる両足底の丁度ど真ん中に来ているのがわかります。

この条件が満たされたときだけ、人や物が持ち上がるのです。

 


相手が持ち上がらない訳

相手が持ち上げられる理由がわかったと思いますが、ではどうすれば持ちあがれないのか?という問題ですね。

持ち上げられないようにする科学的なポイントは、体軸を倒さないということです。

藤平師範の主張では、重みを下に持ってくるということですが、これは意識の問題を表しています。

自分の足がしっかりと体重が乗るのは体軸が倒れていないときですから、重みを下に持ってくる意識をすることで、体軸が安定し、両足底の丁度真ん中に重心が来るわけです。

そうすることで、相手との合成した重心は常に相手が持ち上げる支点としたい位置より前になります。

その結果、持ち上げようと力を入れると、持ち上げようとする人の体軸が傾きます。

体軸が傾くとバランスを失うため、持ち上げようとしても持ち上がらないのです。

ですから、意識を下にもってくると体重が増えるわけではなく、相手のバランスを崩すから、重く感じさせることができるわけです。

*  *  *

氣の研究会の藤平師範は、心の使い方から体の使い方を指導されました。

ですから、心により体を操作するという視点が大切です。

気を意識するだけで体が動かさないのだと全く意味がありません。

このように一見不可思議に見えるものも、かなり科学的に解明できるものです。

読者の皆さんも、重いものを持つ時は、自分の足元が力の支点になるということを意識して、重みの中心がその上にくるように注意しましょう。

そして、足の力を利用してものを持つのが、けがを防ぐ持ち方になります。

 

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【武道でリハビリは可能か?!】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャ元気です。

実は先週の月曜日から土曜まで、九州は熊本から来られた男性の個人指導を行いました。

その方の個人指導していろいろと気づいた点があります。

今日はその話をしたいと思います。


はるばる九州は熊本から

 

 

その人は、公務員をしながら元々空手をやっていたのですが、2年前に脳梗塞を患い、片手、片足が不自由になられました。

しかし、何とか努力の末、リハビリで普通の生活ができるようにまでなられとのことです。

それで、お会いした時点では、体が不自由になったと聞いて初めて、よくよく見ると少し動作が緩慢かな?と見えるぐらいで、普通と変わりありませんでした。

ところが普通の生活をするようになると、病院ではそれ以上のリハビリは無いので、自分でリハビリをするしかなくなったそうです。

普通の生活ができるようになったとはいえ、片足にまだまだハンディがあるため、もはや蹴り技がある空手を続けることができません。

そこで、好きな武道を通じてできないかと考え、ブログやユーチューブで、以前より関心があった当会に来られたということです。

 


武道でのリハビリは可能か?

 

 

今回指導した結論からいうと、普通の生活が営める程度回復した人なら、リハビリとして武道をするのは可能です。

というか、当会の合気道の考え方で行えば、進歩ができる可能性が見いだせました。

一週間の稽古でしたが、身体の注意事項を守って動作を行うだけで、かなりの進歩がみられました。

この理由は、当会の稽古での基本的な動作では、素早い動作を要さないからです。

多くの通常の武道や格闘技では、タメを作って動作に移すという2拍子の動作が基本となっています。

一方、当会の合気道は、タメを作らずすっと入るという1拍子での動作です。

通常の武道や格闘技では、隙のない動きを完成させるため、出来る限り反射神経を鍛えて、高速になるように努力します。

ですが、合気道独自の視点にたって、その視点でできるだけ無駄な部分を省いて技を出すようにします。

ですから、合気道では思うほど素早い動作が必要なくなるので、ハンディを抱えながらでも、武道としての上達が見込めるということです。

ちなみに、他の武道や格闘技の批判をしている訳ではないので誤解しないでください。

他の武道や格闘技はそれぞれ素晴らしい点をたくさん持っています。

しかし、全く違った視点に立つと、違った動作が必要になるとともに不要な動作もでるという意味です。

例えば、ガソリン車のエンジン部分だけをモータに変えて電気自動車にするのでなく、モーターという視点にたてば、不要な部分が沢山でてくるのと同じことだという意味なので、誤解をしないでください。

 

 


武道では足腰の強さが必要

 

 

合気道では、腕力を必要としませんが、地球の力を借ります。

言い方を変えると、地面を支える足の力が必要となります。

そのため、足腰の強さが思った以上に必要となるのです。

 

特に今回のご指導で、合気道の術理においては、最低限、足腰の強さの必要性を感じました。

ただ、日常の生活ができるレベルまで回復した人であれば、足腰の鍛錬に合気道の稽古は適していると思われます。

*  *  *

 

以上から、軽い脳梗塞による障害のリハビリには、井口師範の合気道は、日常の生活が普通にできるレベルに戻った身体なら武道として使えるレベルになるには十分可能だと分かりました。

 

 

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【折れない腕の科学】2

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、ここのところ折れない腕の話をしていますが、折れない腕というのは、単なるパフォーマンスではなく、かなり実用に使えるという話を前回にしました。

しかし最も大切な点は、心の在り方が身体に影響がでるという実例を示すものだということです。

ですから、前回で伸筋論ではダメだというお話しをしたわけです。

折れない腕は、単なる身体的技術だけではありません。実は心理学的技術でもあり、自分の無意識操作と相手の無意識操作の2つができて完成します。

 


自分の無意識操作

 

丹田を意識し、腕に気が流れると意識するだけで、力が肘にかかった相手の力が非常によくわかります。

さらに、相手の力がわかると、その力を相手に返すように意識すると、腕が一直線に伸びるのではなく、そのままのポジションで、相手に力が還るような筋肉運動が起こります。

このとき、自分の丹田と相手の中心軸がつながった独特の感覚が起こります。

この感覚をおこしているだけで、術者は、適切な力の入れ方を自動的にできるようになります。


相手の無意識操作

 

 

術者が、丹田を意識し、腕に気が流れるという意識を保ち続ける意味は、腕を折ろうとする方に術者の力の出し方やタイミングを分かりにくくする意図があります。

一方、術者が、腕を折ろうとする相手の腕の力に逆らおうと、伸筋を伸ばした場合、相手は術者の力の入れるタイミングや方向が分かりやすくなります。

その結果、実は伸筋を意識して肘の伸展を行った場合、受け手は術者の意図が簡単にわかり、術者より腕力が上の受け手は、術者の腕を簡単に折ることができます。

ところが、術者の意識が別のところに行っていると、意図が隠れ、受け手は術者から正確な情報を受け取れなくなります。

そのため、どう反応していいかわからないという状態が相手は無意識の中でなります。

人は、自分が経験のない対処ができない状況に陥ると、脳が一種のパニック状態に陥ます。

不幸なことにこのようなパニック状態は殆ど自覚がないということです。

そうなると、相手の力は十分発揮できなくなるとともに、相手のを心理をコントロールがしやすい状況になります。

その結果、相手の力はこちらの意図通り相手に返すということができるわけです。


 

 

このように折れない腕だけをとっても、物理学、生理学、心理学などの科学的要素が沢山入っています。

要するに、合気道の技術というのは、身体の操作だけでなく、自分をコントロールする心理的手法と相手をコントロールする心理的手法を組み合わせた、トータルでの現象を導き出す技術ともいえるわけです。

 

 

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【折れない腕の科学】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

前回から折れない腕という合気道の基本的な技術について述べています。

今回はさらに折れない腕というものを科学的に考察していきたいと思います。

 


伸筋を使う?

 

合気道を扱う本は非常に多く、気の神秘的な面だけを述べるのではなく、科学的に解明している本もたくさんあります。

そういった本の一部では、折れない腕というのは屈筋を使わず、伸筋だけを使う技術だと主張している人がいます。

ところが、そのような考えでは、いろいろな問題が生じる恐れがあります。

そうなると、やっぱり筋肉をつけないといけないと、ウェートトレーニングに走る人が現れるからです。

別に筋肉をつけるのは悪い事ではありません。

しかし、ウェートトレーニングの場合、動的トレーニングを行いますので、伸筋を鍛えるため、伸ばす運動をしつつウェートによる負荷をかけます。

その結果、伸筋を使うため、肘を伸ばそうという動きが出、肘がどんどんとストレートになっていきます。

また、丹田を意識する必要もないという考えになってきます。

ところが、以下の折れない腕の提唱者の藤平師の写真を見ると、腕は曲げたままで、それ以上折り曲がらないというパフォーマンスを見せています。

このように伸筋を使って腕を伸ばしていく技術が、折れない技術ではないのです。

 

折れない腕は相手とのバランス!

 

折れない腕は単に伸筋だけの筋肉運動でないということがご理解いただいたと思います。

さらに、折れない腕というのは、丹田を意識するということが必要になりますが、腕と丹田がつながるように丹田を意識しようとすると、微妙に押し出す力が相手に伝わります。

この押し出す力によって、相手は実は重心がわずかに崩されているのです。

実は人間は最大のパフォーマンスを発揮するためには、重心が安定していてバランスのとれた状態である必要があります。

このわずかに押されることにより、曲げる側は自分の力が自分い帰ってくるという感覚を感じます。

その感覚を感じると、無意識のうちに力を入れるのを押さえてしまう心理効果もはたらきます。

この様に折れない腕というのは、自分一人がするのではなく、相手と接点を持ったときに、相手と繋がるという感覚が必要です。

そうすることで相手は無意識にコントロールされている感を持ってしまい、その結果どこかでどうすることもできないという判断が脳内でされることになります。

これが相手を導くということです。

この様に、総合的な面で、体を有効に活用する方法を示すのが折れない腕です。

 

 

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合気道と護身と健康を考えるブログ