ゼロにする合わせとは?!

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

さて、前回はタイミングを読まさない技術として当会の陽の技術を説明しましたが、今回はもっと根源的な技術である「合わせ」についてお話したいと思います。

このブログでわかること

合氣道を始めとする筋力を主体としない武道では相手の力とぶつからないということが最も大切です。今回のブログを読むことで、相手と力がぶつかる理由がわかります。それによりぶつからないためにはどうすれば良いかということが理解でき、さらには何故ぶつからないと相手をコントロールできるかということまでわかるようになります。そう理解することで合氣道の技に対して投げたり固めたりという視点ではなく、もっと根源にあるものに気づくことができます。

目次

相手と力がぶつからないのが可能な理由
相手と力がぶつかる理由
ぶつからない合わせの技術とは?!

相手と力がぶつからないのが可能な理由

実は相手と力がぶつからないというのは誰でもできることなのです。ところが相手を投げたり固めたりする場合、形にこだわってしまうがゆえに、相手と力がぶつかってしまいます。そこで相手と力がぶつからないのが可能な理由を理解し、力はぶつからないものなのだという確信をもっていただき、ぶつからないようにするにはどうするかを理解していただくためのお話しをまず最初にしたいと思います。

実は人間が二足で立っているというのはかなり不安定な状態です。例えば、人形を立たせる場合を思い出していただくと如何に人形が立っている状態というのは不安定かを思い出すことができるのではないでしょうか? 本当に軽くつついただけでも簡単に倒れてしまいます。

では、何故人間は安定して立っていられるのでしょうか? それは無意識に周りの状況を判断して常にバランスを保っているからです。ですからその判断ができない状態になると人間というのは簡単に倒れてしまうのです。その例が意識を無くしたら人は倒れてしまうという現象からわかることではないでしょうか?

このように実は二足の状態の人というのは非常に不安定なわけです。合氣道では相手が察知できないような方法で相手を崩すことで相手の意識を奪って気絶させることなく相手を倒しているわけです。そういった手段や技術を用いることで人形を倒すように本の軽い力で相手を投げたり固めたりするのが合氣道の根本なのです。

相手と力がぶつかる理由

私たち人間は 相手がいる場合に本能的に相手とコミュニケーションを取ろうとする傾向を持っています。そのため相手を投げたい・固めたいと思ったとき、相手の状態を探るために力を加えつつ探りを入れます。すると相手はその探りを感知してバランスを取ろうとします。

さらに、本能的に人間は相手を崩そうと力を加える際に相手を支えとして自分は安定して相手を崩すように動きます。すると相手もこちらの力を利用しつつ力に抗うようにこちらを支えにバランスを取る訳です。要するに力がぶつかるというのは互いに支え合うためなのです。

このようにしてお互いに支え合うことで相手と力がぶつかり、相手を思うように導けず、相手に技が効かないという結果となるのです。このため少しでも合氣道を知っている人に対し、特に力の強い男性には技のポイントを押さえていても中々技がかかりません。

それゆえ、何年修行を行っても中々護身に使えるレベルまで到達できないと自信を持つことができない男性がたくさんいるわけです。というこの記事を書いている僕もその一人だったのですが…。そのため空手を習いに行ったり、中国拳法をかじったりしました。

話はそれますが、ここで男性とかいたのは、日本の合氣道界では女性には比較的男性は優しく接し、技が効かなくても効いたふりをして技に掛かってあげるため、女性には比較的自覚していない人が多く、ぶつからない技術を知らずして黒帯を持つと「もう相手が何人でも大丈夫!」「短刀取りを教えてもらったのでナイフでも大丈夫!」など自信を持っている女性が多いと聞きます。

それはともかくとして、相手と力がぶつかる原因というのは相手と支え合う状態になってしまうためということを理解してください。

ぶつからない合わせの技術とは?!

合わせの技術を一言でいうのは非常に難しいです。といいますのは、合わせの技術というのは様々な要素が複合された技術だからです。そこでそのコンセプトだけを述べると、 相手と支え合う状況をつくらないという前提条件のもと、 相手にこちらの意図を読まさない状況を守りつつ、相手が立っている人形のようにわずかな力で加えることで崩すせる状態にしてしまう技術といえるでしょう。

端的に言うと、合わせの技術とは相手とのぶつかりをゼロにする技術の総称です。ところで何故合わせの技術というかといいますと、相手とぶつからない状態というのは実は全く力を抜いた腑抜けた状態でも可能なのです。しかし腑抜けた状態では相手を導くことができません。そういった腑抜けた状態と区別するため「合わせ」という言葉を使っています。

合わせの状態、すなわち、相手を支えとして使わず相手の力とぶつからない状態を作るとどうなるかといいますと、相手側からこちらの力を全く感じない状態となります。そうした状態でこちらの動きや重み(運動エネルギーなど)などを与えてやると相手はもろに影響を受け、思わず導かれてしまいます。

しかし、この動きや重みを伝える際にも相手に意図を読まれるとぶつかりの原因となり、相手を導くことができません。しかし、この伝える技術はまた別の技術であることをご理解いただく必要があります。まず大切なのは合わせの技術を身に付けることです。その上でさらに相手にわからない伝達の技術が使えると相手を崩せるようになります。相手が崩せれば、後は投げたり固めたりは簡単にできるようになるわけです。

  ◆   ◆   ◆

今回はいかがでしたでしょうか? 合わせとは相手にこちらの意図を全く感知させず、相手と支え合うことを回避する技術だったわけです。次回からは、もう少し具体的に合わせの技術を述べていきたいと思います。次回は最も基本的になる骨の技術の合わせについて述べたいと思います。最後までお付き合いありがとうございました。

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