何故、合気道の習得が難しいのか?!

皆さん、ご元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
さて、合気道の達人の技を映像で見たことがありますか?「神技といわれる技の凄さは分かるが、何故、そんなことになるのか理解できない」というのが普通の人の感想だと思います。今回は合気道が習得しにくい理由について述べたいと思います。

このブログを読むと!

合気道を長年続けている人の中には、いつまで経っても技が身につかないという悩みを抱える人が多いと思います。これは、合気道の習得が難しいことを示しています。このブログでは、なぜ合気道の習得が難しいのかを説明し、合気道の技を習得する方法を解明し、その結果、技を身につけるための近道を示します。

目次

達人の説明
動画の説明の要約
達人と凡人のちがい
達人の技を理解するには?

達人の説明

まずは以下の映像をご覧ください。これは本の十数秒の短い動画です。この動画では、故・井口師範の技の説明がされています。その中には極意が含まれていますが、どこが極意なのかわかりますでしょうか?

動画の説明の要約

井口師範の説明には、次に示すように、4つのプロセスがあり、5つの極意が示されています。

  1. 「力を抜いて! スッと抜く!」 → 「合わせ」①
  2. 「スッとこう入って!」 → 「陰の技法」②
  3.  無言で、説明なし! → 「軸崩し」③
  4. 「この手は同じ方向に、こう持っていく!」 → 「骨格の読み」④「螺旋」⑤

なお、上記の極意の名称は私が勝手に付けたものですので、一般的な合気道で使われる名称ではありません。

達人の説明には多くの極意が含まれており、実際に技を受けないとその真価が理解できません。動画でもわかるように達人はすべてを体で覚えるため、それぞれの極意は感覚で伝えられ、同時に何種類も伝えます。

達人と凡人のちがい

僕の場合、師匠の送り迎えの運転手をしていた関係もあり、道場以外で技を受ける機会がありました。さらに、道場で動画を撮らせてもらったことで、映像を何度も見ることができました。そのおかげで、感覚を頼りに師匠の技を研究し、極意に名称を付けることができました。

実は、井口師範は「合気道の極意には名前がない! 名前があればそれに拘る。自然な技が合気道の一番の極意! 拘りがあるのは自然ではない。」とよく話していました。しかし、僕は左脳思考であり、名前がないと全く覚えられないことに気付いたので、師匠の言葉に反して、ある時期から師匠の言葉を元に極意に勝手に名称を付けるようにしました。

このように達人となる人は、もともとの素養が凡人とは違うため技を感覚だけで覚えることができます。

達人の技を理解するには?!

合気道を学ぶ多くの人が、私と同じく一般の人間だと思います。そのため、技術を理解するには「なぜそのようになるのか?」という理論が必要だと考えます。その理論を理解した上で、技術を分解してステップごとに習得し、技を構築するプロセスが必要です。

そのためには、達人の技を体験し、実感し、その真価を体に染み込ませる必要があります。達人の技をプロセスとして細かく分類し、原理を解明し、それぞれの原理ごとに稽古することが重要です。

私も経験しましたが、大阪のある道場で合気道を学んだ際、師範の技を受ける機会がありませんでした。代わりに先輩から技を教わっていました。これは私が大阪で学んだ道場に限らず、一般的なやり方だと思います。多くの道場では師範が高弟を相手に演武を示し、それを会員たちが真似て形稽古をするのが一般的です。

そのため、私を教えていた先輩もまた、先輩から技を学んでおり、達人の技を直接体験した経験がなかったように感じます。

幸運なことに、転勤で井口師範に弟子入りする機会を得て、達人の技を直接受けることができました。そのおかげで、才能の有無に関わらず、今でも人を指導できるようになりました。

したがって、技の向上を求めるなら、できるだけ達人の技を直接受けることをお勧めします。それが上達への最も近道だと思います。

◆  ◆  ◆  ◆

もし記事の内容がよければ、ぜひ下記のボタンをクリックして、ブログ村への投票をお願いします。

  にほんブログ村 格闘技ブログ 合気道へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

合氣道の米ぬか3合の力とは?!

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

またまた投稿が久しぶりになりましたが、今回は合氣道開祖・植芝盛平翁の「合氣道は米ぬか3合(約200g)持てる力があればできる」と言ったとされるこの点について井口師範から伝わった技術を元にお話ししたいと思います。

このブログを読むと

このブログでは以下のことを説明しており、筋力に頼らない技というのがどのようなものかわかるようになることで、自分の技に活かせるヒントを得ることができます。

  1. 米ぬか3合の軽微な力でも、特定の条件下で相手を制することが可能であること。
  2. 直立することが実は非常に不安定であること。
  3. 相手を倒すことは容易ではないその根本的な原因。
  4. 合気道では、筋力を使わない科学的な戦略があること。
  5. 相手を倒すためには、相手に察知されないような戦略や技術が必要であること。

目次

合氣道の奥義:米ぬか3合の威力
直立の安定性の秘密
相手を倒す難しさの根本原因
相手を倒すための戦略

合氣道の奥義:米ぬか3合の威力

合氣道の創始者である植芝盛平翁は、「米ぬか3合を持てる力があればできる」という言葉を残しました。米ぬか3合は約200g、現代ではスマートフォンと同じぐらいの重さといえばわかると思います。この軽微な力で相手を制することは一見不可能に思えますが、実際には特定の条件下で、この程度の力でも相手を制することが可能です。これらの条件は合氣道の技術によってもたらされるものであり、その基礎は井口師範より伝授された「氣の流れ」の奥義にあります。

直立の安定性の秘密

我々が直立しているとき、安定しているように感じますが、実際にはこの姿勢は非常に不安定です。二足での直立は非常に難しいため、ロボット工学の進歩がなければ二足直立歩行は実現しなかったでしょう。また、子供のころ、人形を立たせることは難しい経験だったかもしれません。このように、二足での直立は非常に不安定な状態です。

相手を倒す難しさの根本原因

不安定な直立状態であるにもかかわらず、人を倒すことは容易ではありません。これは、人体が周囲の状況を察知し、バランスを自動的に調整する能力を持っているためです。相手がバランスを崩そうとしても、崩そうとして筋肉が緊張するその変化を人はとっさに察知し安定を保とうとします。この察知されやすさが相手を倒す難しさの根本原因です。

相手を倒すための戦略

相手を倒すためには、相手に察知されないような戦略が必要です。井口師範の合気道を伝承する当会には、「気の流れ」の奥義を応用した「陽の技法」「陰の技法」があります(この技術については以前このブログで説明していますのでそちらを参照してください)。

これらの技法は筋力を直接使わずに運動エネルギーを利用するものです。しかし、運動エネルギーを伝える過程で相手に気づかれることがあります。この問題を解決するためには、「合わせの技法」が必要です。これは相手との接触点で力をぶつけず、かといって全く力を抜くわけでもない状態を作り出す技術です。そこには米ぬか3合程度の力が必要になり、これよりも強すぎると相手に察知されてしまいます。

(なお、合わせというのはときには脱力とも呼ばれることがありますが、単に力を抜くというものではありませんので、かなり練度が必要です。これに関しても過去にこのブログで説明していますので興味ある人はそちらをお読みください。)

ちなみに、「3合の力」という表現は興味深いものです。井口師範は氣の流れを「天の氣」「地の氣」「水火の氣(陰陽の氣)」の3つに分類しました。井口師範の合氣道ではこの3つの氣から得られる力を「3合の力」と表現されることもあります。

◆  ◆  ◆  ◆

注:
文科系の人には運動エネルギーというとわからない人がいるかもしれませんが、動いているものには運動エネルギーを持っていて、容易に別のモノにそのエネルギーは移動します。下の写真は静止したボールに動いているボールがぶつかり、運動エネルギーが静止したボールに移り動き出すという現象を示したものです。筋肉に相当する動力は一切使っていない点に注目してください。


もし記事の内容がよければ、ぜひ下記のボタンをクリックして、ブログ村への投票をお願いします。

  にほんブログ村 格闘技ブログ 合気道へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村