知っておくべき身体と氣の関係

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

さて、今回の記事は誤解されていることの多い身体と氣の関係について、僕の師匠・故・井口雅博師範から教わった合氣道習得への5つの段階に関連付けて話したいと思います。

合氣道の技を実際に使えるようになるには正しく身体と氣の関係を知っておく必要があります。技が思うように効かない合氣道修行者で氣を過大評価しすぎて夢を見すぎている人に特に読んでいただきたいと思います。

最近 、弟子を指導していてひしひしと感じる出来事が増えているため、技の進歩に行き詰っている修行者の人の指針になるのではないかと思います。

このブログでわかること

技を実際に使用できるためには、現在自分がどういった段階にいるかを知る必要があります。例えば目的地に行くには地図が必要で自分が、自分がどこにいるかがわかる必要がある訳です。そのためには自分が身体と氣の関係を理解し、僕の師匠が示した5つの段階を知ることで、地図が得られるとともに自分の位置がどの位置かが理解できます。

目次

5つの段階
誤解の多い身体と氣の関係について
意の段階・神の段階

5つの段階

僕の師匠が示した合氣道習得の5つの段階というのがありますが、それは以下のようになっています。
 ①形の段階
 ②体の段階
 ③氣の段階
 ④意の段階
 ⑤神の段階

形の段階というのは、合氣道の形を規定通りのステップで規定通りの動きで技を覚える段階です。

実際は相手の身体の大きさ、力加減など様々です。ですから、たまたま自分の覚えた形にピッタリ合う人以外では固定した形にこだわっていると技がかかりません。そこで、体の段階とは相手の身体をどう持っていくと導きやすいか、自分の身体をどう使うと効率的かということを理解して、状況に応じて臨機応変に動ける必要があります。それが体の段階です。

体の段階で技を覚えるのはまだ理屈で動いているので、これを感覚で動けるように変える必要があります。僕の師匠は「体は氣に従う」と言われました。そこで氣を使うことで体を操作するという氣の段階に入る必要があります。

ところが氣の流れを意識しているよりもさらに高度な段階が存在すると師匠はいいました。それが意の段階です。氣の流れを意識するには出発点から終了点までの気の流れを感じる必要がありますが、意識しただけで自然と気が流れるようになる段階が意の段階です。

さらに意識もせずとも「動けば即合気」というわれるように、無意識で最高の状態を作れるようになるのが神の段階です。

誤解の多い身体と氣の関係について

合氣道修行者の中には氣に関して大きな誤解をされている方がいます。その誤解というのは「氣が自在に使えれば何でもできる」というもので、氣さえ使えれば身体操作など気にする必要がないというものです。 要するに超能力者になるというものです。

確かに僕も氣の可能性については否定しません。そういうことができる人がいるかもしれません。例えば、中国武術の総本山の嵩山少林寺ですら一指禅という人差し指一本で逆立ちをして禅を行う修行があるそうです。しかも修行が進むと数メートル離れた火のついたロウソクの炎を前後左右と自由に動かすことができるようになるといわれています。しかし、特別才能がある僧が専属に十数年も費やしてそうなるというものですから、仕事を持っている一般人が週に何度か1時間ほど稽古だけで一指禅以上のレベルになるのはを夢見るのはナンセンスだと僕は考えています。

また、そういった超常現象的な氣の扱いは呪術の部類に属しています。一方、合氣道では氣を身体に通すことで技を使い、それが完璧になると氣が合う相手に離れた状態で技が掛けられるようになり、さらに進むとそういった超能力的なことができるようになるといわれてますが、それはもはや呪術でしかありません。

呪術はかなり才能が必要です。一方、身体に氣を通すのは正しい体の使い方 さえできれば誰でもできることです。ただし、その気を通せる身体の状態にする方法を理解する必要はあります。それには身体と氣の関係を知り、氣が流れるためにの身体のポジションが確実にとれるようになる必要があります。そのため、気功であっても初心の修行者は当初はかなり厳密な姿勢に関する注意点を守って訓練します。

ましてや武道である合氣道では、物理的に強い影響を与えるためには氣の通る強い身体の使い方が必修で、さらに氣と相手の身体の関係性をどうすれば利用できるかという技術も必要です。それが理解できて初めて技が効く氣の使い方ができる訳です。

このため自分の身体の効率的な使い方、相手の身体をどう扱うかということを理解しておくことが次の氣の段階に行くのに必須なのです。

ですから、氣さえコントロールできればと氣のみにフォーカスしていると結局いつまでも技が効かないということになりかねません。効率的な身体の使い方が氣の流れる身体であり、相手の身体をどう扱うかというのが相手の氣をどう導くかにつながるわけです。

意の段階・神の段階

ここまでで合氣道の技では、単に氣という未知のエネルギーを意識するだけでは使えないというのが理解できたと思います。身体に気を通す体の使い方、相手の気を導くための相手の身体の扱い方を理解して、そこに氣を意識するということが必要になります。

次に意の段階とはどういうものかということですが、氣の段階を続けていると、最終的に氣をどこに導けばよいか?という点がわかるようになります。氣の最終ポイントを意識すると相手に技がかかるという段階が意の段階です。合氣道でいえば呼吸力が出るという段階です。この段階になると、例えば腰の曲がった老人の姿勢ですら大きな力がでるようになります。何故ならその姿勢において最大限に身体を効率よくできるポジションを自然にとれるようになるからです。

さらに意の段階を続けていると、あらゆる状況において身体が勝手に反応するようになり、いちいち意(こころ)を使う必要もなくなるといわれています。動けば即合気という神域に入るそうです。私たち合氣道修行者の最終的に目指すところです。そして、 僕の師匠である井口師範は「 この段階ではじめて神通力で氣の使い方を扱うべきで、それ以前のものがそういうことをすると邪道に走る」と言っておりました。確かに呪術的な氣の使い方をしたいのであれば宗教の方がよっぽど良いかもしれません。

  ◆   ◆   ◆

今回のブログはいかがでしたか? 氣という神秘的なエネルギーだけにフォーカスしている方にも少し参考になったのではないでしょうか? 氣の使い方にも身体を通す氣の使い方と呪術的な氣の使い方がある訳ですが、誤解されている多くの人はこの呪術的な使い方ばかりにフォーカスされていることがかなり多いように思います。私たち合氣道をしているものは、身体に気を流すにはどうするかという点にフォーカスした方が技に進歩が得られると僕は考えています。

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骨の合わせのポイント!

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

さて、前回は手首取りの骨の合わせについてお話ししましたが、今回はその次に行うことについてお話ししたいと思います。

このブログでわかること

合氣道の修行者で「手首取りで骨の合わせによって相手の力の状態を読み相手とぶつからない状態になったのに動かそうとするとぶつかってしまう」という悩みを持っている人がいると思います。これは合わせの次に何をするかというのが明確でないからです。今回は相手とぶつからないために骨の合わせの次に何をするかについて具体的に述べていきたいと思います。(合氣道では実際はこれも合わせの中に入っているのですが、分かりやすくするために 骨の合わせとは 分けて説明します)

目次

合わせの感覚の確認
一瞬はできてもすぐにぶつかる理由
2つのポイント

合わせの感覚の確認

骨の合わせができた後に次に何を行うかということを説明する前に、合わせが本当にできているかを知る必要があります。合わせが中途半端だと、次のステップに進んでも相手とぶつかりができるだけで、相手を導くことはできません。そこでまず合わせの感覚とはどんなものかについて触れておきましょう。

骨の合わせができたときの感覚は、相手に手首を持たれたときに相手がしっかり持っているにもかかわらず、骨がクリクリと動く状態になっているような感覚です。

例えていうなら、鉄の棒を厚いスポンジで包んでいて、重さがあるのに持ちにくいというような、持てているがしっくりと来ないというような感覚を相手に与えるようになったときに骨の合わせができています。

感覚は人それぞれ違いますので、自分の手でもう片方の手首をつかんでその感覚を理解していただくとよいと思います。

なお、持たれている方の手では、僕自身の感覚でいうと、皮膚の毛穴から空気を吸引して相手の掌全体にくっついているような感覚がありますが、その感覚がわからない人は自分の手首をつかんでつかんだ手の感覚をまず作って、慣れてきたらつかまれた方のの手首の感覚を覚えてください。

一瞬できても、すぐにぶつかる理由

合わせの感覚がどのようなものか分かると、一瞬はできるのですがすぐにぶつかるということで悩むこととなります。

その理由は相手を動かそうとした際に合わせの状態から抜け出してしまうからです。では、持続するにはどうするか?ということですが、これにはいくつかの注意点がありますが、その目的は相手に悟られないということに尽きます。

その相手に悟られないためにはどうするか?といいますと、持たれている点で変化が起こらないようにする必要があります。そのためには、心理的なポイントと物理的なポイントがあります。

心理的なポイントとして「持たれている点を意識しない」ということが肝心です。相手と接触している場合、何故か自分が意識しているところは相手に伝わりやすくなります。ですから、相手との接点はできる限り意識しないということです。

物理的なポイントとして「相手の関節を意識して動くべき方向に動かす」という点です。こういうとときどき「相手の有利になるのでは?」という質問がかえってくるときがありますが、そんなときは「例えばドアを開けるときあなたはどうしますか?」と答えます。

例えば、ドアには開き戸と引き戸がありますが、引き戸でいくらドアを開こうとしてもドアはうごきません。人間の体も動く方向にしか動かないのです。合氣道では相手に有利か不利を考える場合は、バランスが取れているかどうかだけが問題で、相手の関節に無理をかけるのではないのです。

2つのポイントが同時!

前項では心理的ポイントと物理的ポイントを分けて書きましたが、実は行うことは同じことを示しています。物理的ポイントを実行するためには心理的ポイントも実行している必要がありますし、反対も同じです。

かなり無意識の領域の話になるのですが、自分の体をコントロールする際は人は必ず関節使って動かそうとしています。要するにタコなどの軟体動物の足のように動かそうと、骨の真ん中を折って動かそうとする人はいません。人が例えば腕を使おうとしたとき、腕の中間点を意識する人はいないのです。

ところが相手に手を持たれたとき、その部分を意識して無理やり動かそうとしてしまいます。ところが相手に持たれた部分が骨の中央と考えるとそこを意識するのはナンセンスということがわかると思います。要するに、相手と自分の接点を骨の真ん中とみなすことで、相手の関節が自分が曲げるべき場所だとわかるのです。( これが実は相手と一体になるということにも通じるのです)

そういう意識があると合わせができた部分でぶつかることが無くなるのです。要するに、骨の合わせでは相手の骨格を読む力が必要となるのです。

何故なら、相手が崩れるように骨格全体を読みつつ、相手の関節で曲がることを意識する必要があるからです。

合氣道では骨の合わせのことを単に「力を抜け」と指導されますが、「力を抜け」の本来の意味は骨の合わせを行うことにあるのです。ですから、「力を抜く」というのは非常に難しく骨格の読みができることが必修条件なのです。

  ◆   ◆   ◆

今回は骨の合わせについてお話しましたが、ここまで読まれた方は、「合氣道は氣で行う武道ではないのか? 何故骨格など読む必要があるのか?」と思われた方もいらっしゃるのではないでそうか? 次回はそのことをお題とした合氣道習得の5つの段階について述べたいと思います。

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