「気とは?!」その7 相手の気を利用する

今回は、相手の気を利用する技術について述べます。
井口師範は相手の気を利用する場合、以下の4つがあると教えてくださいました。
 ①相手の気を外す
 ②相手の気に当たる
 ③相手の気に当てる
 ④相手の気を導く

そして井口師範の秘伝では、この4通りの考え方を実現する具体的な技術があります。この技術の具体的な方法については公のブログでは話せませんし、実演を交えて説明をしないとかなり誤解される内容です。しかし、この秘伝が分かればかなり画期的な技術です。

このように概念だけを書き並べると、とても難解に感じられるでしょう?

では、「実際の指導ではどうか?」というと……

実はもっと難解でした。

実際の指導は、もっと感覚的な表現の指導で、整理もカリキュラム化もなかったです。井口師範がその場その場で思いついことを指導されるので、本当に難解というしかありませんでした。井口師範の指導は、野球でいうと長嶋茂雄さんのような指導でしたので、そういうと私が受けた際の難解さかわかると思います。

しかし、私はこの難解さを何とか克服しようと、井口師範のこの技術を物理学、生理学、心理学を元に考え抜きました。できるだけ客観的に誰にでもわかるようにするにはどうしたらいいかを考え抜いたのです。

その結果、私が私のカリキュラムで初めて指導した自称運動オンチの女性は6カ月で私が10年数年以上かけてできるようになった技術を簡単に再現しています。また合気道歴十年超の人達と技比べをして、彼らにショックを与えました。

本質を稽古することがどれだけ大切かを示すいい例だと思います。その本質というのが、「気」を理解するのではなく、「気」を利用できるようになることです。そのためには、「自分の気はどう使うか?」「相手の気をどう使うか?」 ここが区別でき、適切に利用できることが重要になります。

「気とは?!」その6 自身の気を扱う3 丹田2

丹田には3つあり、合気道の技では、3つの丹田を協調させて使うと書きましたが、実際、各丹田にはどんな機能をもつのかわからないと、3つの丹田を協調させて使うということがわかりません。

そこで、今回は合気道において各丹田はどんな機能を持つのかを説明したいと思います。しかし、丹田の機能は今回説明するだけのものではありませんが、分かりやすくするため、知らない人へということで説明をしたいと思います。

【下丹田】
下丹田は最も大切といわれる丹田で臍下丹田といわれるものです。合気道では下丹田を足のコントロールするのに使われ、身体のバランスをコントロールします。その結果、下丹田を意識することで体全体の気が流れるようになります。言い方を変えると、身体のバランスが如何に大切かということです。ですから、この臍下丹田が一番重要ということです。

【中丹田】
中丹田は胸にあります。両手が協調して働くようにできるポイントです。左右の手が、最善の状況で協調して働くためにはこの中丹田の意識が必要になります。そして、中丹田に意念を流すと、何故か不思議な現象がでます。自分の前面に気の壁のようなものが出現し、相手への気の圧が強くなります。

【上丹田】
上丹田は眉間の奥にあります。上丹田は、相手の動きの兆し(気差し)を読むため、視覚、聴覚を十分に働かせる際にに使います。そのため、特殊な目の使い方(目付)をする必要があります。「明鏡止水」の境地とはこの上丹田に関係があります。

この3つの丹田を同時に意識することは初心者には不可能ですので、下丹田を意識して使えるようにし、次は中丹田をつかえるようにし、最後は上丹田をつかえるようするというように段階的な稽古が必要です。

以上3つの丹田を使えるようになると、様々な技術が使えるようになるので覚えておくといいと思います

「気とは?!」その5 自身の気を扱う2 丹田

私の師匠から教わった気を使った秘伝技術について述べていますが、前回説明した3つの重要ポイント以外に、丹田というポイントも非常に大切です。そこで今回から丹田について説明していきたいと思います。

一般に、丹田といいますと、臍下丹田という言葉がある通り、下腹部の中心位置にあるポイントをさしますが、私は丹田には3つあると教わりました。

それは、上記の臍下丹田以外に、胸のところにある中丹田、眉間のところにある上丹田です。ついでですが、臍下丹田は下丹田ともいいます。

この3つを駆使して合気道の技を行うというのが師匠の教えです。

ちなみに、丹田という言葉は神仙道からきている言葉で、気を集め、集めた気を一点に集約して、不老不死の薬である金丹をつくる場所とされています。この丹を作る田ということで、丹田と言われるようになったそうです。

また、ヨガでは、第2チャクラ、第4チャクラ、第6チャクラが丹田に対応しているといわれますが、私はヨガは専門じゃないのでチャクラのことはよくくわかりません。

しかし、合気道では不老不死を目指すのではなく、武道としての技を行いますから、その意味も違ってきます。
ですが、丹田には3つあり、技で3つの丹田は協調して使われるということは知っておく必要があります。

次回は合気道では各丹田をどのように用いるかについて書いていきたいと思います。

「気とは?!」その4 自身の気を扱う

師匠である井口師範から教わった技術では、自身の気の扱う重要ポイントは3つあります
 ①気の流れ
 ②呼吸力
 ③螺旋形
です。

合気道の技を行う上で、「気の流れ」が最も重要だと師匠の井口師範はおっしゃいました。「気の流れ」というのは、滞りなく身体が流れるように動き、身体の内部に気の流れを感じることです。そして、大切なポイントはこの「気の流れる」感覚を切らないことです。「止まれば気は滞る」と言われました。

呼吸力というのは、心身を統一したときに出る力で、単に腕の筋力と異なり、全身が一体となって出る力をいいます。一部の合気道修行者はこれを誤解している人がいます。「息をハーと吐け」とか指導されますが、息を吐くときにでる力とは違います。

人は意識レベルを変えることで、現状のままの身体で、かなり効率よく身体を強くすることができます。さらに、それを鍛えていくことでもっと大きな力が得られるといいます。言い方を変えれば、呼吸力とは各身体の部位が協力して最高の力を出せるようにしたときにでる力です。この呼吸力をだしていると、体に不思議な流れが感じますが、これが気が流れた状態ということです。

最期は螺旋形です。合気道のすべての動きが螺旋形である必要があると師匠はいいました。相手に気を伝えるためには、気をらせん状に相手に流し込むと必要があると言われていました。

以上の3つのポイントを意識して、技を行うことで、相手を巻き込んでいくような強い気が身体に流れ、技を強力にすると教えられました。、

「気とは?!」その3

前の記事では「気は誰でも使っている」が、合気道では「気を扱う技術を稽古する」と話しました。

この記事では、井口師範が指導した実際に合気道ではどのように「気」を扱うかという点を書いていきます。

井口師範の合気道では、以下の点を意識するように教えられました。
 ●自身の気の使い方
 ●相手の気の使い方

相手が必要な武道では、相手を無視して存在できませんし、自分を無視して存在できません。当然ですが、どちらの側面も必要になります。

自身の気の使い方では、は肉体上における感覚を重視し、構造的に身体を強く使う技術です。また、相手の気の使い方というのは、相手の意識をコントロールする技術になります。

ですから、自身の気の使い方で、身体が安定していて力(気)が流れる感覚を自分の中に持ち、相手の気の使い方では、相手を観察することで相手の意識(気)がどこにあるかを判断して相手よりもより相手の気を理解することで相手を導くということを稽古するわけです。

こういった意識が合気道の稽古には必要と師匠は常日ごろから言われておりました。

次回は、今回の内容をもう少し踏み込んで書いていきたいと思います。

「気とは?!」その2

昨日、書いた私のブログを読まれた方で、井口師範が言われたかったことがお分かりになった人はいらっしゃるでしょうか?

井口師範は「気は誰でも使っている」ということを言いたかったと答えた人がいらっしゃったら、流石です!

井口師範は、私が攻撃しようと出した「気」を察知し、絶妙なタイミングで私が吹き飛ぶように、その「気」を躱したのです。(実は秘伝にあたるので詳細はいえませんが、この表現には微妙な誤りがあり、合気道のこの辺の気のやり取りに詳しい人が読むと本当に分かっているのかと思われるでしょうから一言添えておきます)

「気は誰でも使っている」ので「気」とはそんなに特別なものではないということです。

では、特別でないなら「何故わざわざ合気道では『気』を重んじるのか?」という疑問がでてきます。

簡単にいうと、井口師範によれば、元々の合気道では誰でもつかっている「気」とどう付き合うかを稽古する武術だからです。言い方を変えると「『気】の特徴を如何に利用して技を仕掛けるか?」を稽古する武術ということです。

そこが分かれば、「なるほど、体格、体力、性別、年齢はそれほど関係がない」とわかります。
ですから、そこを意識して稽古しないと、只の運動にしかならないということです。

現在の合気道の状況を見てみますと、演武に重点を置いて、如何にきれいに形を魅せるかという点に皆さんが意識して技を稽古するのが中心だと思います。ですから取り(技を仕掛ける側)も受け(技を受ける側)も互いに協力して美しく魅せる演武を行っています。

この様に「気」と如何に付き合うかとう点を差し置いた綺麗な形を目指して稽古していても、体格、体力、年齢など超えられるものではありません。

別に私はこの傾向を悪い事といっているつもりも、批判しているつもりもありません。健康のために合気道をしている人を批判するつもりもありません。それどころか袴をはいてきれいな演武している若い女性を見るととても素敵だとは思います。ダンスや運動としてするという選択肢も合気道にはあるということで、選択肢が多いほど様々な人が楽しめるのでそれはそれでいいと思います。

ただ、実際に対処したり、他の武道と対戦できるのは別です。そして、他の武道の稽古の方がかなり「気」をつかっているという現実を把握しておく必要があると思います。

合気道をしている人を多くの他の武道の人はかなり馬鹿にしている現実があります。
「合気道には達人と呼ばれる人は確かに存在するが、それは何万人に一人で、後はクズ」とまでいう人たちもいます。

それは、
合気道修行者は
「空手や拳法、ボクシングなどのパンチは単なる点にすぎないから、その点をさければ対処は簡単」とよくいいますが、そういう合気道修行者と、他の武道経験者が、相手したら「全く話にならない」という経験よくするからです。現状の取りと受けが協力して綺麗に魅せる合気道の稽古では連打やコンビネーションの対策はできません。要するに「点も沢山集まれば、線にも、面にもなる」ということです。これが現実です。

また、現実は、演武のように技を受ける側が掛ける側の技を協力してくれることはなく、むしろ相手はかからないよう逆らってくるということです。

実話ですが、合気道五段の女性の話です。自分は無茶苦茶強いと思っていたある時、日ごろ運動をしていないご主人に手首を思い切りつかまれ、何もできなかったという経験をして合気道の裏切られたと感じ去っていた女性がいます。

彼女は何十年もかかって五段になったのでしょうが、素人のご主人に本気で手を捕せたら何もできなかったことで初めて自分の技がきかないことが分かったわけです。合気道を信じて何十年も稽古をして、その何十年が無駄だったと去っていくというのはあまりにも悲しすぎます。

護身術で合気道をやっているつもりの人には非常に酷なことをお伝えしましたが、合気道を何十年も頑張っても、本当に気が分かる師匠に学ばないと、合気道をやっているだけでは、男女の体力差まではうめることができないのが現実です。

合気道をやっているから「気」のパワーが強いはずじゃなく、「気」を扱うにはそういう技術があるということを理解して稽古する必要があるのではないでしょうか。ですから、現実を知らずに他の武道を批判するようなこと、合気道は気の稽古をしているから他の武道より優れているという考えは全く的を外しているという他ありません。

【気とは?!】その1

私は、誰でもできる護身術というものを提唱しておりますが、この護身術は「気」を利用する方法も教えます。

しかし当会で教える「気」というのは一般にいわれるような習得が難しい「気」ではありません。実際使えるもので、かなり科学的に踏み込んだ「気」の扱い方を教えています。

といっても、この「気」の使い方が分かると、遠当ての術といわれるように離れたところから「気」を当てるということも可能になります。でも誤解していただきたくないのは、一般に言われている「気」とは少しちがいます。その具体的な方法については秘伝でいえませんので、ヒントになることを伝えていければと思います。

「気」というと、一般的には、宇宙の神秘エネルギーとか言われることが多く、「気」をマスターした人は、空を飛んだり、不老不死を実現したり、人を飛ばしたり、投げたりと自由自在になれると考えられています。また気を集めればドラゴンボールのかめはめ波のようなこともできるともいう人もいます。

ところが、合気道を創始した気の達人・植芝盛平翁先生も、映像見る限りやはり老人であり不老不死を実現したようには見えません。また、実際に空を飛んでいる生きた人を見たこともありません。やっぱり、実際は上記のようなものとはかなり違いがあるのではないのかと私は考え、以前にも書いたエピソードですが、私の師匠である井口師範に以前に「気とはなんですか?」とたずねたことがあります。

そのとき、「木剣で後ろから打ってきなさい」と言われ、後ろから木剣を打っていくと、突然私は空中を舞い、受け身を取って地面に着地しました。

「これが気や! わかったか!」
と、井口師範はおっしゃいました。

当時は、井口師範が気を使って私を投げ飛ばしたと考えました。
しかし、それなら後ろから攻撃させる意図が私にはわかりませんでした。

ではここで質問します。
ここまでお読みの方は井口師範が何を言われたかったのかお分かりになるでしょうか?

ここに合気道における「気」の考え方のヒントがあります。また、それが分かると、素人でも、映像で気を使って投げたりしている人たちが何故そういうことができるのかがわかりますし、偽物と本物の区別もつくと思います。かなり秘伝なので具体的には公のブログでは踏み込めませんが、非常に科学的な理由が井口師範の秘伝にあります。
この続きは明日お話しします