皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
2月25日の稽古では骨の技術の基本を稽古しました。骨の技術というのは人の骨格と物理的な身体の使い方を通して技をかけるものです。この記事は2つ前の記事と重なる内容のものを別の表現で書いてみました。
合気道は「気の武道」として知られていますが、僕たちの教室では、まず相手の骨格についての基礎知識を学ぶことから始めます。これは、人体の動きが骨格に基づいて行われるためです。
気というと、物理現象を超えたエネルギーと考える人が多いですが、僕たち人間は物理法則が支配する3次元の世界に生きています。そのため、気を使う武道でも物理法則を無視することはできません。
気は生命エネルギーであり、体内を流れる重要な要素です。合気道では、気の流れを意識し、無理のない「自然な動き」を重視しています。具体的には、気は水や空気のように流れやすい方向があり、それは人体に無理をしない方向です。このため、相手の骨格を理解することが、技を行う上で気の流れを理解するために不可欠です。
骨の技術とは?
僕たちが「骨の技術」と呼ぶこの概念は、物理法則を利用するための技術で、主に以下の3つの要素で構成されています。
- 物理学的原理
- 読み
- 合わせ
1. 物理学的原理
物理学的原理を活用した技術には、「呼吸力」「陽の技法」「陰の技法」があります。ここでは簡単に触れておきますが、「呼吸力」は地面とつながった力を相手に伝える技術、「陽の技法」は運動エネルギーを力として使う技術、「陰の技法」は作用反作用の法則を用いる技術です。これらは相手に力を伝えるための方法ですが、詳細な説明は別の機会に譲ります。
2. 読み
「読み」とは、相手の骨格の状態を観察し、どのように技をかけるかを判断することです。具体的には、相手の足元や肩、肘などの関節の位置を理解し、適切な動きを導き出します。
例えば、左構えから始める逆半身片手取り四方投げの流れを見てみましょう。この例は、あくまで四方投げを使った骨格を読む稽古であり、演武として行うものではありませんので、他の要素を省いている点にご注意ください。
- 畳縦一畳分離れて、取りと受けが左半身を前に相半身で相対する。
- 受けは、右手で取りの左手首をつかむ。
- 取りは、右手で相手の内側の手首をつかむ。
- 受けは、取りの動きを読んで四方投げを妨げるように力む。
- 取りは、つかんだ手首を受けの右足を軸に体が半時計周りに回転するように操作する。
- 受けの体が回転したら、受けの肘と肩を支点に無理のない円運動させるように折る。
- 相手の手が上がったら、すぐに一歩踏み込んで180度ターンする。
以上の動作で、5では足を読みながらどの方向に力を加えると相手がターンするかを、6では肘関節や肩関節を読み最低限の力で相手の肘を折るかがポイントとなります。
また、この四方投げのポイントは右手の持ち方で呼吸力が入るように持てるかどうかという点にあります。気の入った掴み手の呼吸力により、左足を踏み込んだ際に、物理的原理の陰の技法が効果を発揮して相手をさらに回転させ崩します。
3. 合わせ
「合わせ」とは、相手の力を感じ取り、その力との衝突を避ける技術です。多くの人は、ただ力を抜けば良いと思いがちですが、実際にはそれだけでは不十分です。力が抜けた状態になると気の流れが弱まり、いわゆる「気が抜けた状態」になり、攻撃に対して無防備になってしまいます。
合気道では、「気が入った状態」を理解するために「折れない腕」と呼ばれる技術を稽古します。これにより、腕に「気が入った状態」を理解でき、「合わせ」の技術の稽古が可能となります。「合わせ」を使うことで、相手の力と衝突せずに気を通すことができ、1の物理的技法がスムーズに適用でき、相手を自然な動きで導くことができるようになります。特に、片手取りや両手取りの技は、相手との力の衝突を避けるための稽古として非常に有効です。
IAM護身術教室では、「合わせ」の具体的な稽古方法として、自分の片手を相手に両手でつかんでもらって「折れない腕」を作りつつ、相手の力に衝突しない位置に持ってくるという稽古を行っています。
まとめ
IAM護身術教室の骨の技術は物理学的な考え方に着目した合気道の技の使用法ですが、それぞれが単独で使用するものではなく、一つの技の中にこれらの技術を如何に組み込み「自然な技」が実現できるかを目指して稽古しています。これにより、気の流れが自然に発生できるようになり、より自然な技が可能となります。合気道は「気の武道」と言いますが、それは気を使って相手を破壊するということではなく、気を使って相手を導く武道であり、それは物理的にも理にかなったものでもあります。
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