相手を金縛りにする!

合気道愛好者の皆さん! お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
今日は、当会の重要な技の一つ、相手を金縛り状態にする「皮膚取りの形」についてお話しします。この技は、相手の動きを封じ込めるための非常に効果的な方法です。具体的には、相手が上段防御の構えをしている時に、素早く入り込んで腕を捉え、動けない状態にします。そして、その後に一教、二教、三教、四方投げ、回転投げ、小手返し、入り身投げの7つの技を行います。

金縛りの動作を大げさに表現した例

皮膚取りのカギ

皮膚取りの形で最も重視されるのは、一瞬で入り身をして相手の手首の皮膚を捉えることです。この瞬間に相手の動きを封じることが、この技の成功のカギとなります。私の師匠、井口師範は「投げたり、固めたりは本の枝葉」と教えてくれました。つまり、技の結果は重要ですが、それはあくまで手段に過ぎないのです。

成功するための3つの段階

皮膚取りを成功させるためには、以下の3つの段階でのポイントがあります。

  1. 間合いでのポイント
  2. 入り身でのポイント
  3. 皮膚取りでのポイント

これらのポイントは、当会でのすべての形に共通する重要な要素です。

1. 間合いでのポイント

間合いを取る際には、以下の5つのポイントが大切です。

  • 統一体の構え: 心身を統一させた状態で立ち、正しい位置に体を揃えます。
  • 間合いの距離: 相手との距離は畳一枚分が理想です。武器を持っているかもしれない相手に対して、素早く反応できる距離です。
  • 半身の構え: 体を45度に構え、相手に気づかれにくい姿勢を保ちます。
  • 目付け: 相手全体を視野に入れ、意識を集中させます。
  • 勝速日: 自分が主導権を握る意識を持つことが重要です。

2. 入り身でのポイント

入り身の際には、次の3つのポイントを意識しましょう。

  • 目のポイント: 常に相手全体を捉え、手首だけを見ないようにします。
  • 体のポイント: 斜め前方に重心を移動させ、一歩で相手の前に出ます。
      (傾斜の足運び)
  • 手のポイント: 相手の手首を捉える直前まで、相手の防御している手の陰を利用して手の動きを隠します。

3. 皮膚取りでのポイント

最後に、皮膚取りの際には以下の3つのポイントが重要です。

  • 目のポイント: 相手全体を視野に入れ、視線を動かさずに皮膚取りを行います。
  • 手と体の協調: 身体の動きに合わせて手を動かし、相手の皮膚を捉えます。
  • 意識: 相手の意図を崩さずに、動きを封じることを意識します。

まとめ

以上が、皮膚取りの形における重要なポイントです。この技をマスターすることで、合気道の技術をさらに深めることができるでしょう。ぜひ、稽古に取り入れてみてください!

もし記事の内容がよければ、ぜひ下記のボタンをクリックして、ブログ村への投票をお願いする。

  にほんブログ村 格闘技ブログ 合氣道へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

合氣道の「一体となる」とは

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

合気道の開祖、植芝盛平翁は「合気道とは愛なり」と語ったと言われています。また、私の師匠である井口師範も「合気道は清濁を併せ呑む海のごとくなければならない」と教えてくださいました。これは、「相手のすべてを受け入れ、相手と一体となること」を意味しています。では、「一体となる」とは一体どういうことなのでしょうか?今回はこのテーマについて掘り下げてみたいと思います。

宇宙と一体になる

合気道の稽古では、「宇宙と一体になる」とか「相手と一体になれ!」という言葉をよく耳にします。では、まず「宇宙と一体になる」とはどういうことなのでしょうか?師匠は「宇宙の中心に立って技を行うことだ」とおっしゃいましたが、当初の私はその意味を全く理解できませんでした。

合気道の準備運動には、天鳥船の行や振魂の行が含まれています。これらは古神道の儀式に由来するもので、単なる信仰の一部ではなく、体の軸を安定させ、天地を貫く軸を形成するための重要な運動です。この運動を繰り返すことで、自分が宇宙の中心にいる感覚を得られるようになります。

この運動によって、天地の軸が明確になり、天の氣や地の氣を使った呼吸力が発現します。天地の軸を意識できるようになると、自分が宇宙の中心となる感覚を体験できるのです。前回の記事では「氣の性質」についてお話ししましたが、上丹田、胸の中丹田、下丹田が一直線に結ばれ、地から天を貫く天地の軸が形成されると、内外の氣が安定し、動かなくなります。これが「宇宙と一体になる」ということです。

相手と一体になる

自分が宇宙と一体になった感覚を得ると、理屈では「相手も宇宙の一部だから、宇宙の方が強い。相手をねじ伏せるのは容易い」と考えがちですが、実際はそう簡単ではありません。

宇宙の法則は調和に基づいているため、「相手をねじ伏せよう」と思った瞬間に、自分が宇宙と一体であるという感覚が崩れてしまいます。宇宙の中心に立っても、「我」と「他」という意識では真の一体感は得られません。大切なのは「相手も我も宇宙の一部である」という認識です。

そのため、形稽古においては、相手を「清濁併せ呑む大海」のように全面的に受け入れることが重要です。相手との衝突をゼロにし、完全に一体となることが求められます。次に、相手が自ら動くように導き、その結果が投げ技や固め技となるのです。

  • 受け入れ: 相手の力を自分の中心で受け入れ、天地に返す。
  • 合わせ: 相手との衝突を無くす。
  • 導き: 相手を自然に導く。
  • 結果: 最後に相手を地に導くことで、投げ技や固め技になる。

特に「導き」の段階では、相手が自ら動くように導くことが必要です。言い換えれば、相手を自分の身体の一部としてコントロールすることでもあります。これが真の意味で相手と一体となることの重要性です。

相手の立場に立つ稽古

このためには、日常的に相手の立場に立って考える訓練が必要です。相手がどう動きたくなるかを客観的に観察し、例えば座っている人を効率的に立たせるにはどうすればよいかを考えてみると良いでしょう。相手を立たせる際の動きの軌道は、自分が座って立とうとした場合に描く軌道と同じです。その軌道で相手を動かせば、自然と相手が立ち上がらせることができます。この理屈を知らなければ、無理に引っ張ろうとしてもうまくいきません。合気道の技も同様です。

上の写真は私が自ら立っているのでではなく、術者によって自然と立つように誘導されているのが分かると思います。

要するに、「導く」ということは、相手が自ら動くように反射を引き起こすことです。人は倒れそうになったとき、足を踏ん張るか、あるいは「倒れた方が安全」と判断した場合には、できる限りソフトに地面に着くように動きます。このように、安全のために脳が自動的に指示を出す軌道を描くことが「導く」ということです。

稽古での一体感

合気道では、取りと受けの役割を交代で行うことで、一体感を深めます。投げ技や固め技を身につけたいと思うかもしれませんが、合気道では交代で技を掛け合うことが重要です。これは単に不公平を防ぐためではなく、受けの役割と取りの役割を体験することで、一体となる意味を理解するためです。

受けの目的を考えると、「安全に倒れる」状況を客観的に感じるのは受けでなければできません。合気道の受けの役割は非常に難しく、相手が自分よりも下のレベルであれば、自ら倒れて最も倒れやすい軌道を教えてあげなければなりません。逆に、相手が自分よりも上のレベルであれば、しっかりと逆らい、相手が氣のトレーニングをできるよう配慮する必要があります。同等レベル同士になると、受けは相手の氣に反応し、スムーズに受けを取れるようにします。

取りが技を行うときは、自分を客観的に見つめ、相手と一体となり、どのように上手く導けるかが重要です。関節を極めることや、どう投げるかは結果に過ぎず、本質は相手との一体感にあることを理解することが大切です。

(一体化の技の例)

まとめ

合気道における「一体となる」という概念は、単なる技術や理論を超えた深い意味を持っています。宇宙と一体になることは、自分自身の内なる軸を確立し、天地のエネルギーを感じることから始まります。そして、相手との一体感は、相手を受け入れ、調和をもって導くことで生まれます。

このプロセスでは、受けと取りの役割を交互に体験することが重要であり、それによって相手との関係性や技の本質を理解することができます。合気道は、単なる武道ではなく、心と体、そして相手との調和を追求する道なのです。

私たちが合気道を学ぶことで、自己を深く理解し、他者との繋がりを大切にすることができるようになります。これこそが、合気道の真髄であり、私たちが目指すべき理想の姿です。今後もこの道を共に歩み、さらなる成長を遂げていきましょう。

もし記事の内容がよければ、ぜひ下記のボタンをクリックして、ブログ村への投票をお願いします。

  にほんブログ村 格闘技ブログ 合気道へ
にほんブログ村

心と身体と氣の一致

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

今回は、合氣道を学ぶ上で避けては通れないテーマ、「氣」についてお話ししたいと思います。
この「氣」という言葉、皆さんも普段の生活の中で使ったことがあるんじゃないでしょうか?

たとえば──
「氣が抜けて怪我をした」
「氣が散って集中できない」
なんて表現、聞き覚えありますよね?

そう、僕たちは知らず知らずのうちに「氣」という言葉を使っている。でも、実際のところ「氣」って何?と聞かれたら、言葉にするのはなかなか難しいものです。

氣とは?!

「氣」とは、簡単に言えば生命力やエネルギーの流れのこと。
目には見えないけれど、僕たちの身体や心、そして自然との調和に深く関わっているとされます。

一般的に考えられている「氣」の性質はこんな感じです:

  1. 日常的に誰もが使っているが目には見えないエネルギー
  2. 健康や精神状態にも影響を及ぼす
  3. 武道では、「氣」を正しく使うことで無理なく効率よく体を動かすことができる

僕の師匠は「氣」の正体を明確には教えてくれませんでした。でも、稽古の中で感じる断片的なヒントと、東洋医学や様々な氣に関する書籍、そして合氣道の四つの技術(骨、皮膚、皮膚感覚、空間感覚)を組み合わせて考えていくと、どうやら「氣」は多層構造になっているようなんです。

井口師範の説明から導き出された「氣」の構造

僕なりに整理すると、「氣」は皮膚を境界にして内側と外側に分けられると考えています。

外の氣:

  • 最外殻の氣:視覚や聴覚と関連。ドーム状に体を覆っている。
  • 外殻の氣:皮膚表面に近く、触覚や皮膚感覚とつながっている。

内の氣:

  • 内殻の氣:皮膚の内側にあり、筋膜や経絡に関係する。
  • 核の氣:体の中心を貫く軸に沿って流れ、心身が統一されたときに現れる。

合氣道では、この内外の氣を**いかに「乱さず」、あるいは「乱すか」**が技の鍵になります。
取り(技をかける側)は自分の氣を一体に保ちながら動き、相手(受け)の氣をうまく散らすことで、崩しや投げにつなげていくわけです。

心と氣の関係

では、「氣」はどうやって動くのでしょう?
実は、心(意識)の動きがそのまま氣の動きに直結しているんです。

つまり、

  • 人は氣によって動いている
  • 意識が向いた方向に氣が流れる
  • 氣の量には限りがあり、意識の偏りで偏在が起こる

この性質を理解していないと、動きの中で氣がバラバラになり、怪我やバランスの崩れにつながります。

例:「物を掴む」動作と氣の流れ

ここで日常動作を例に、「氣」の変化を見てみましょう。

  1. 目の前にある物に視線を向ける
  2. 最外殻と外殻の氣がその物に向かう(=氣が前方に引っ張られる)
  3. それに伴って、手足の氣も前に向かい、物を掴む

このとき、氣は手に集中するため、体を支える部分の氣が薄くなりすぎることがあります。下図は外の氣と内の気が動き、外の氣は目標物に、内の氣は手先に集中したときの図です。内の氣が手先に向かえば、手から最も遠い部分の氣が欠乏します。また、外の氣が遠くに行くことで体を覆う氣の濃度が減ることでやはり氣が欠乏します。結果として、予想以上に重い物だった場合、腰などを痛める危険もあるのです。

合氣道の技は、こうした氣の流れと偏りを利用して相手を崩します。

技の応用:氣の導き方

技をかけるときは、相手の「外の氣」あるいは「内の氣」のどちらを導くのかを明確にする必要があります。

その上で、相手を不利な状態へと誘導し、投げや固めの技へとつなげていくのです。
つまり、氣の動きは単なる感覚ではなく、意識的にコントロールするべき対象なのです。

取りの心得:「氣を動かさない」意識

氣は意識とともに動く──
だからこそ、取りとして技をかけるときには、いかに自分の氣を乱さないかが非常に大切です。その鍵となるのが「天地の軸」の意識です。

天地の軸と三つの丹田

合氣道では、「丹田」(氣の中心)を3つに分けて考えます:

  • 上丹田(頭)  : 眉間の中央より4指分奥へ
  • 中丹田(胸)  : 2つ乳首の真ん中より4指分奥へ
  • 下丹田(下腹部): 臍より4指分下、4指分奥へ

この三つを縦に結んだ一本の線が「天地の軸」。


この軸を意識しながら動くことで、氣が分散せず、動きが安定します。

なお、余談ですが、合氣道では体の方向を変える場合は、男性であれば乳首の位置で4指分の奥の左右の軸のどちらか(火の軸、水の軸)を使います。(女性の場合は、胸が膨らむ前の自分が子供だったころならどの位置に乳首があったかを想定しその位置で4指分奥の左右の軸を意識すると良いでしょう) いわゆる「なんば歩き」がこの左右の軸を使った動きということになります。

ただし、常に三つの丹田を縦一直線に保つのは現実的ではありません。
稽古では「下丹田を起点に天地へ伸びる軸」として意識することが多く、他の武道でも下丹田だけを重視することが一般的です。

ちなみに、スポーツ選手のフォームをよく見ると、やはり下丹田を中心に天地の軸に対称に絶妙な重量バランスを取っていることに気づきます。要するに結果的に頭が軸からぶれても天地の軸がつくられているということが大切です。それにより、氣の移動が起こらず身体を痛めにくく、安定した状態が保てます。氣がバランスよく配分されている状況を作ることで最大のパフォーマンスが発揮できるのです。

まとめ

合氣道では、三つの丹田をつなぐ天地の軸を意識しながら、
意識、身体、氣の動きを一致させていくことが何より大切です。

それが、技を美しく、無理なく、そして強くする第一歩。

しかし、意識が常に下丹田にあるのは拘りになりますから、そういえば、丹田に意識があるという感覚です。また、天地の軸にしても同様で、無意識レベルで確かに存在し続けているがそればかりを意識している訳ではありません。人が意識を集中してしまうとそこに氣が集まり、移動してしまうので、丹田にしても、天地の軸にしても、忽然と存在しているという感覚になることが大切です。

井口師範は「ああしよう、こうしようと考えるのは不自然」、「自分が存在があるから、自分がある。ただあるというのが大切」とおっしゃいました。

「氣」という目に見えない力とどう向き合うか──
それが、合氣道を深めていく醍醐味でもあるのです。

もし記事の内容がよければ、ぜひ下記のボタンをクリックして、ブログ村への投票をお願いします。

  にほんブログ村 格闘技ブログ 合気道へ
にほんブログ村