タイミングを読ませない!

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

さて、前回は相手とぶつからない技術の話をしましたが、実は相手とぶつからないためには前提条件があります。それは「相手にタイミングを読まれない」ということです。

自分のやろうとすることが相手に悟られると当然相手はそれを察知して対抗しようとします。そうなるとすべての技が封じられ、結局相手とぶつかるという現象となってうまく技がかからないという結果に終わってします。

そこで今回から相手にタイミングを悟られない技術についてお話していきたいと思います。

このブログでわかること

合氣道でタイミングを読まさないということで相手に悟られない技術というのはたくさんありますが、今回は陽の技術についてお話します。陽の技術は自分の動きを相手に伝える技術ですが、問題はその伝え方が非常に大切です。

陽の技術に慣れていない人が技を受けると伝え方に関係無く確かに効果が出ますが、術理が分かっていてその動きを読んでいる相手には伝え方が悪いとこの技術が通用しません。

しかし伝え方を習得すると相手が理屈が分かっていても十分に技に掛かりますので、その伝え方を理解することで技の効き方が大きく変わります。またこのブログでは陽の技術の稽古方法を説明しますので、この稽古方法を真剣に稽古された人は自分の動きをスムーズに相手に伝えることができるようになります。それにより他の人の一つ上を行く技をかけることができるようになります。

目次

陽の技術について
陽の技術の稽古方法
タイミングを相手に読まさない

陽の技術について

陽の技術というのは、自分の動きを相手に伝える技術です。合氣道では「気の流れを途切れずに技を行う」「一度動きを起こすと止まらずに流れるように技を行う」という点に留意して技を行うように指導されています。

これは実は理科(物理学)でいう運動エネルギーを利用するということを示しているのです。というのは誰でも重いものが移動するとそれにエネルギーがあるというのは経験的に知っています。

例えば、50キロの荷物が地面に置かれているのをみても誰も避けようとしませんが、50キロの荷物が頭上1mから落ちて来るのが分かったらたいていの人は避けるでしょう。これは経験的にそんな大きなものが落ちてきたらケガをするのが分かっているからです。

50キロといっても動きがあるのとないのでは全然違うとうことです。50キロというと多分女性の体重ぐらいでしょうが、これでも動きがあると大きなエネルギーを持つということです。

ただ一般的に、私たちは人が動くことに見慣れすぎていてそれほど大きなエネルギーがあるように思っていませんが、そこに誤りがあります。実は人が動いている自体で大きなエネルギーがあるのです。そういった運動エネルギーを使うのが陽の技術と当会では呼んでいます。

陽の技術の稽古法

では、陽の技術の稽古方法をお話します。これにより伝えるという感覚が身に付き相手の力とぶつからない感覚が身に付きます。

陽の技術の稽古方法は下図の①~③に示す段階で行います。
①相手の肩に手を置いて手を伸ばした位置に立ちます
②肘を曲げつつ相手に素早く近づいていきます
③②の時点で相手を後ろに突き飛ばしつつ前にさらに進みます

               陽の技術の稽古法

注意事項としては①で相手の肩に置いた手は軽く触れている程度にし、②に至るまでその触れている圧力を変えず、③の位置に来た時点で相手を後方に押します。ただし、押した際に相手と力がぶつかる感覚がある場合や相手に抵抗される場合は動きの伝え方が上手くいっていません。

陽の技術の目的は、一つは動き(’運動エネルギー)をまずは作ること、2つ目はそのエネルギーをぶつからずスムーズに相手に伝えることです。スムーズに相手にエネルギーを伝えるため大切なことは伝えるタイミングを相手に読まさないことです。

タイミングを相手に読まさない

相手と力がぶつかったり、抵抗されて失敗する場合は、明らかに相手にいつどのタイミングで押してくるのかというのがあらかじめ伝わっているからです。

その理由として挙げられる問題点としては
 ①初めから押すタイミングを決めている
 ②初めから力が入っている
 ③途中から徐々に力が入ってくる
 ④押し出すときに掌の一点に力が集中する
などが考えられます。

まず①について述べてみましょう。この稽古で大切なのは相手に読まれないということです。そのためにはまずは相手を後方に押そうという気を無くす必要があります。人は接触をしていると、相手の意志が案外読めるもので、あらかじめどのタイミングで相手を押そうと決めていると、大概の相手は最初の時点でその意思を読むことができます。そのため押し出したときにはもうすでに相手に逆らわれるということがおこるのです。

②についてですが、自分は力を抜いているつもりでも案外と肩や腕に力が入っていることが多いです。わずかな力でも入っているだけで小さなぶつかりが最初からできてしまいます。すると相手はその力の変化を読み取ることができ、対抗されてしまいます。

③ですが、徐々に力が入ってくるとこの地点が危ないと相手は察知してしまいますので、最後まで力を入れないことが大切です。

④ですが、動きを伝えようと思うことで、つい掌に力が入り、掌底の一点に集中する動きができ読まれます。

以上問題点を上げましたが、この動作を行うコツは指全体を含む掌全体をまんべんなく相手に当てることで相手はこちらの動作が読めなくなります。

何故このような4つの問題点が出るのかといいますと、ちょっとした意識の変化で手が勝手に動いてしまうことが原因なのです。それで掌全体が相手に触れているということでその微妙な変化がもろに相手に伝わるため簡単にこちらの次の動きが相手に読まれてしまいます。

ですから、この動作で100%相手に読まれない稽古をすることで相手に動き(運動エネルギー)の伝え方が理解できるようになります。それによって形稽古にこの伝える技術を入れていくとさらに技が良くなるのです。

  ◆   ◆   ◆

合氣道の技の要は、投げ技や固め技ではなく如何に相手に読まれない動きができるかという点です。ですからどの角度で捩じるとかいうのもある面は大切ですが、技を知っている相手だと完全な角度を知っていてもうまく逃げられてしまいます。

これに関しては、コツがわかるとすごく技が他の人に掛かるようになりますが、周りそのコツになれてくるとまた技がかからなくなるという現象を合氣道をしている方なら経験があると思いますが、これが投げたり固めたりの部分のみに意識が行っているためなのです。

私の亡くなった師匠である井口師範は「投げたり、固めたりは枝葉」といいましたが、まさしくそのことを言われていたのだと思います。

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力がぶつからない技術

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

さて、合氣道の修行者の皆さんは相手と力がぶつかって技がかからないということを経験することがあるのではないでしょうか?

そんなとき、『相手が意地悪をしている。もっとちゃんと技に掛かってほしい』と考える人と、『自分の技が未熟だからできない』と考える人とがいると思いますが、実は意地悪でも未熟でもなく、【ぶつからない技術】が使えていないだけなのです。 当会ではこのぶつからない技術のことを【核の気】と言っています。

この核の気については前々回の「当て身の稽古は地と繋がる為」というところでも述べましたが、今回はこの核の気についてもう少し深掘りしていきたいと思います。

このブログでわかること

ぶつからない技術というのは、相手の力を自分の体を通じて地面に流す技術です。相手の力が地面に流れれば相手とぶつかることがありませんので技が掛けやすくなります。また手が触角であることや、力を抜くということの大切さ、タイミングの重要性がわかり技がより上達しやすくなります。なお、核の気がわかると、座り技呼吸法を行ってもわずかな動きで相手を倒せるようになります。また投げ技でもわずかな力で相手を投げることができるようになります。

目次

相手の力を地に流す技術・核の気
核の気のポイント
投げたり固めたりは本の枝葉

相手の力を地に流す技術・核の気

前々回に核の気についてお話ししました。この核の気の感覚を養うためには当て身の稽古が最も有効と思われます。そして当て身の稽古をやっている中で拳の衝撃が地面とつながるという感覚ができた時点で核の気が使えているということになります。

この感覚を養成するためには、最も大切なのは体全体に力が入らないことです。要するに体全体の筋肉を引き締めないということです。ある種の打撃系武術では体の筋肉を一瞬に引き締めることで打撃力を上げるということをやりますが、合氣道の当て身の場合はこれとは真逆になりますのでこの点が非常に大切です。

具体的にいいますとボクシングでは最もやってはいけないという「手打ち」というような打ち方で合氣道の当て身は稽古を行います。ちなみにボクシングでいう手打ちというのは、腕の収縮だけでパンチを打ち出すことで、体重も乗らず、相手を倒すだけの力が出せない最も良くない打ち方を指します。

前々回のブログでもお話ししましたように、この手打ちのようなパンチが地面とつながると強大な力がでます。これは相手と接触が生じたとき拳が直接地面とつながる為です。要するに地面というのは地球ですから地球を味方につけ、地球と相手をぶつけるわけです。

ところで、核の気の使用にも、最低限は衝撃に耐える腕の強さが必要になります。ですから、幼児が強力なパンチが打ち出せるかというとそうではありません。その点は注意が必要です。

核の気のポイント

核の気を使うのに大きなポイントがあります。それは合わせと誘導との2つのステップが必要であるということです。

【合わせ】
合わせというのは 相手の力を感じるため相手の力に当たることを言います。

合わせを行うには、手を触角として使うために最初は脱力させ、次に相手の力を感じるため相手の力に当てます。相手の力に当てる場合誘導したい方向に相手の力が当たる個所を探します。

【誘導】
誘導とは合わせで力の方向性を知覚したなら、自分の腕をコントロールすることで足の裏に力が伝わる方向を見つけることです。相手の力が地面に伝わると突然相手が動き出します。

相手の力と当たる個所が見つかると、自分の腕をコントロールして相手と自分の足の裏がつながるところを探します。相手の力と地面がつながると相手は勝手に誘導したいと思う方向に移動を始めます。

誘導についてもう少しわかりやすい例でいいますと、コーヒーカップの耳を持つ手をイメージしてもらいたいと思います。コーヒーの量がかわると当然カップを持つ指の力加減は変えないとコーヒーをこぼしてしまいますが、こぼす人がいないということは人は無意識にコーヒーの量によってカップを持つ指の力加減を変えているのです。

足の裏に力を伝えるというのはこのコーヒーカップを持つ指のような微妙な力加減と同様のことを腕全体のコントロールを行うことで相手の力を地面に伝えることなのです。決して体全体を固めて足に力を伝えることではないことに注意が必要です。

そのようにできたとき初めて相手が動き出します。ちなみにことき感じる感覚は当会の陰の技法を行うときに得られる感覚が非常に参考になります。そのため基本動作として陰の技法を稽古しておく必要があります。

投げたり固めたりは本の枝葉

核の気を使用した技を考えたとき、合氣道で大切なのは合わせと導き(誘導)であるということがわかります。

私の合氣道の師匠である故・井口師範は「投げたり固めたりは本の枝葉」ということをよく言われていました。要は投げたり固めたりというのは単なる結果に過ぎず、その前段階までが本当は大切だということでした。

要するに投げたり固めたりするその前にプロセスがあってそのプロセスこそ重要なのだということです。そのプロセスこそが当会で教える核の気です。師匠は「体の中心から気が出て力となったときこそが呼吸力がでるのだ」といいましたが、この中心(コア)からでる感覚があるため当会では核(コア)の気として核の気と呼んでいるのです。結果的には相手を合わせて誘導することなわけです。

井口師範は「元を忘れるな。何が幹であるかを知ることが大切」とおっしゃいました。そのため当て身の稽古をするように常々言われていたのです。

  ◆   ◆   ◆

今回は、当会が指導する核の気について少し深掘りしました。核の気というのはコアから出る気ということなのですが、身体を固めず(リラックスしていて)、腕の力加減をコントロールすることで足底に相手の力が流れる場所を探して相手の力と地面をぶつけるという技術なのです。

最もわかりやすい稽古は、手打ちのパンチを行って拳に感じた衝撃が直に地面に伝わるという感覚を養うことです。このとき重要なのは手の動きだけでパンチを行うということです。この当て身の稽古方法は前々回で詳しく説明していますのでそちらを参考にしてください。

核の気を使う当て身では前方向のみに力をぶつけるというやり方をしましたが、 核の気を合氣道の技で使う場合はこの感覚を四方八方に使う必要があります。ここがやはり難しいのですが、これも稽古次第です。

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