【体の段階】重みを伝える陽と陰の技法

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の合氣道の師匠・井口師範は合氣道習得の段階として形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 があると話してくださいました。

現在当ブログでは、その中の体の段階について述べいます。当会では体の段階を骨の技術、皮膚の技術、皮膚感覚の技術、空間感覚の技術の4種類に分けて説明していますが、現在は骨の技術について述べています。

骨の技術というのは人間の骨格を理解して物理的な力を伝える合理的な身体の使い方を示すものです。今回は重みを伝える技術を話していきたいと思います。

このブログでわかること

今回は相手に重さを伝えるということをテーマに当会の骨の技術の中の陽の技法と陰の技法について述べていきたいと思います。 合氣道での稽古では「筋肉の力でやるのではなく…」と よく指導される と思いますが、 時には脱力と言われたり、気の力と言われたりします。特にこういった曖昧に感じて中々理解できない人にとって具体的にどのようにすればよいか理解でき、「重みを伝える」「脱力をする」という仕方が科学的に理解できるようになり、今後どのように動くべきかがはっきりと見えるようになります。

目次

1.運動エネルギー
2.陽の技法と船漕ぎ運動
3.当身による陽の技法
4.陽の技法の応用
5.陰の技法

運動エネルギー

陽の技法というのは当会独自の言葉です。当会では重さ(運動エネルギー)を伝える技術の内、自分の運動エネルギーを重さとして相手に伝える技術をそのように呼んでいます。

理科が嫌いな人はこういった言葉を使うだけで拒絶反応が起こると思いますが、小学生にもわかるように説明していきたいと思いますのでお付き合いください。

まずスポーツで考えていきましょう。野球のボールを投げるのと砲丸投げの鉄球を投げるのを比べると、野球のボールを投げる方が誰でもより遠くへ投げることができます。逆に、野球のボールと鉄球を受けることを考えたとき、ゆるく投げてもらっても誰だって鉄球を受けるのは勘弁してほしいと感じるでしょう。

これは経験的に思いものは危険と知っているからです。ちなみに砲丸は高校男子で6キロだそうですがこれが当たることを考えるだけでも寒気がします。ではその十倍の60キロの重さのものがぶつかってきたらどうでしょう。かなり危険ですね。

しかし相手が60キロの人間だとあまり危険と感じません。ところが 力学では60キロの人間が動くのも、60キロの鉄の塊が動くのも、どちらも同じ速度で動いたときは同じ運動エネルギーを 持つと示しています。要するに実際は人が動くということはそれだけの破壊力があるということです。

陽の技法と船漕ぎ運動

陽の技法とは当会独自の呼び方です。これは重み(運動エネルギー)を相手に伝える技法の総称です。合氣道においては、陽の技法の稽古としては、天鳥船(あめのとりふね)の行、いわゆる船漕運動が最も有名なものでしょう(下写真  合氣道開祖の植芝盛平翁先生の 実演)。

天鳥船の行は臍下丹田(体の重心)の前後運動によってできた身体の運動エネルギーを手に伝えるための大切な運動です。上記の写真の①~③を詳しく見た写真でもお分かり翁先生の身体が動いてから腕が動いているので運動エネルギーが②と③の間で腕に伝わったいるのがわかると思います。

これが正しくできると、後ろでしっかりつかまれていても相手を前に送り出すことができます(下図)
 Step1  受け手にしっかりと手首をつかんでもらう
 Step2  手には力を入れず、手首を残して身体を加速
 Step3 身体が加速したら重みを相手に伝える

当身による陽の技法

天鳥船の行は足の使い方の稽古法だけではなく、重みを伝える感覚訓練法でもありましたが、それ以外に当身(あてみ)の稽古も単独でできる重みを伝える感覚訓練法でもあります。

当身では、重みを伝える身体の使い方として4つの方法があります。当会ではの呼び方は第一式~第四式です。

まず第一式ですがこれは天鳥船の行と同じく前進運動による重みの伝達です。まず身体を前進させその後当身を打ち出します。数はパンチを打ち出しているところです。

第二式は腰の回転運動による重みの伝達です。骨盤を回転させることで上半身の重みの回転運動を作り、その後当身を繰り出します。

第三式は位置エネルギーを使って運動エネルギーに変換するやり方です。要は突然身体を低くしてそれを前進運動に変え、その後当身を繰り出します。

第四式は頭の重さを使うやり方です。目の前にある拳に向かって突然頭突きを行う動作を行い、頭が拳に衝突する直前に当身を繰り出します。この当身は一見は役に立ちそうにないように思えますが、相手に手を抑えれている場合このやり方を行うと相手は驚くと同時に吹き飛ばされます。

さらに、僕の師匠・井口師範は鉄の棒を突く稽古をするように指導されましたが、これは非常にやってる感が強いのでいい稽古になります。

当身の稽古としてはこれ以外にも入り身突きや片足立ち正面突き(片手を壁について片足立ちし、その壁についた手で当身の稽古を行う方法)などありますが第一式~四式が基本となっています。

さらに実感を伴った稽古をしたい場合は、空手用の砂袋を購入して重さが伝わる方法を稽古するというのもよい稽古となります。

陽の技法の応用

この原理が分かっていると、図のように縦に一列に並んだ数人の人がいても簡単に押し返すことができます。

下図がその例です。
① 後ろの人が前の人を支えて縦に 4人 並んだ先頭の肩に手を置く
②力を伝えず体を加速しながら腕を曲げて前に進む
③身体が前進した時点で前の人を押すと全員が総崩れになります

これらの陽の技法をするときに大切なのは相手との接点での脱力です。運動エネルギーを伝える時点まで相手とぶつからないよう 完全に脱力している必要があります。

脱力する理由は、少しでも相手とぶつかっていると相手に重み(運動エネルギー)を伝えるタイミングがわかるからです。

さらに、この陽の技法は体捌きなどでも有効で、例えば下図のような逆半身片手取りから相手の内側に捌く場合も同様の原理を利用します。

①逆半身の状態で片手を取らせる
②当身を入れて相手から攻撃させないようにしながら体捌き
③すると相手は渦に巻き込まれるように簡単について来る

この際で最も重要なことはつかまれているところが脱力されていることで、ぶつかりがないというのが大切です。

陰の技法

以上、陽の技法をご紹介しましたが、読者の方で陽があれば陰があるのではと思われた方もいらっしゃると思い、では陰の技法とは?と思われた方もいるのではないでしょうか? そこで陰の技法を少しだけご説明します。

陽の技法というのは身体を加速し、運動エネルギーを作ってからそれを重みとして伝える技法でしたが、陰の技法というのはいわゆる作用反作用の法則を利用するやり方で、それは相手を押す場合を考えると相手を押した分自分はその反対方向に力を受けるというものですが、それを巧みに利用するのが陰の技法です。

要するに相手を押したいなら、自分の重心を相手に遠ざかるように移動しながら相手を押します。そうすることで運動エネルギーがゼロの状態から大きな重みを発生することができるのです。

この陰の技法にも陽の技法と同様に第一式~第四式までありますが、これはこの陰の技法を習得している人から実際に指導をしされながら稽古をしないと巧くできませんので、こういったやり方があるとだけお伝えします。

下図は当身でそれぞれの技法を使った例を表したものですが、これを見ても実際に陰の技法で打撃ができるのかと疑問を持たれるかもしれませんが、陰の技法がわかるとかなり特殊な打撃が行えますので一応ご参考までに書かせていただきました。

なお、陰の技法をご経験されたい方は下記の図の要領で鉄の棒を突く稽古を行う、如何に陰の技法が合理的かご理解いただけると思います。丹田を後ろに突き出すことでほとんど腕の力を使わずに鉄の棒を前に突き出すことができます。

◆   ◆   ◆

今回は重みを伝える方法として陽の技法と陰の技法をご紹介いたしました。僕が学んだ合氣道では、基本的には三角の秘伝と陽の技法、陰の技法で力や重さを伝えることで肩の筋肉を緊張させずに技をかけることを重視しました。

合氣道の技の成否は相手に読まれないことが最も重要です。特に肩の筋肉に緊張がある場合非常に相手にこれからこちらが行おうとする動きが読まれます。ですから三角の秘伝、陽の技法、陰の技法が当会では非常に大切な技術となっています。

井口師範は「相手の土俵で勝負をしない!」ということを言われました。それは相手に悟られるようであってはいけないということです。相手に悟られず、三角、陽、陰を使えるようになるこれが非常に大切です。

ここまで何度かに分けて足の使い方から始まって重み(運動エネルギー)の伝え方までお話しましたが、結局はこれらの原理はすべて船漕ぎ運動(天鳥船の行)に含まれる理論なわけでした。言い方を変えると船漕ぎ運動が如何に合氣道では大切かということが言えると思います。もう一度船漕ぎ運動を見直されてはいかがでしょうか?

さて、次回は骨格を読むというテーマでブログを書いていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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