合氣道と護身の間合い

皆さん! お元気ですか?
僕はめちゃくちゃ元気です!

さて、今回は一般の人にも役に立つ護身術の基本的な考えと護身の間合いについて話していきたいと思います。間合いというのは合氣道では相手との距離をいいます。護身を考えた場合、犯罪者と自分との間の距離ということです。

今回のブログでわかること

護身術の基本的な考え方がわかります。その考えから犯罪者と自分との間の距離で何をすべきかを理解することで、未然に安全が確保できるようになります。

これは一般的な護身だけでなく、合氣道のような護身を想定した武道において非常に大切な考えであり、技の稽古においてもこの考えをもって行うことが大切であり、合氣道を特に護身術として考えている人には必須の考えですので、是非理解して日ごろの生活でも意識するようにしていただくと、未然に危険から回避できるようになります。

目次

護身術の基本的な考え方
危険に関する3つの距離
犯罪者のリズムを見る

護身術の基本的な考え方

護身術というと暴漢などに襲われた場合を想定して、相手がどう攻撃したらどう避けるかという議論がよくなされますが、最も大切なのは安全確保です。

ですから護身術というのは戦闘術や格闘術とは全く違うものです。相手と接触するというのは最悪の場合であって、その際に用いる術(体術)を使うことが無いように努めるのが本当の護身術です。

このように話しますと、「じゃあ、体術は必要ないのか?」と誤解されますが、その最悪の状況において、少しでも状況を好転させるために用いるのが体術だと考えておく必要があります。ですから体術を使うことが起こるというのは最悪の状況であるということをまず頭において下さい。

そしてその最悪の状況において少しでも優位に立てる方法を取るのが護身術です。そのためいくら腕に自信があっても正々堂々と戦うという発想を持たないことです。

まず推奨できるのは、危ない状況になりそうな段階で、武器に使えるものを想定できることが大切です。例えば、相手に見えないようにボールペンを握っておいて、相手が攻撃してきたらボールペンを突き刺すなど相手の意表をついて攻撃を仕掛けることです。そう考えると、日ごろから身の回りのものを如何に武器にするかということを考えておくととっさの時に便利です。

そして武器が全くない状況において、初めて体術を使うという選択肢をもっておくことです。特に女性の場合は体術を知っているのといないのでは雲泥の差がでます。

何故なら性的暴行を狙う暴漢は弱そうな相手を狙って襲う傾向があるといわれていますから、襲った相手が手ごわいだけで逃げ出す可能性が高いといえるからです。

危険に関する3つの距離

前項でお話ししたように護身術は自己の安全確保ということが目的であるという点が大切といいました。そのためには危険な場所には近づかないというのが大切です。

しかし、仕事で遅くなるなどで、一人で夜道を歩く必要があったり、旅行などで一人で知らない街を歩く必要があったりすることが無いとは言えません。

そんな場合、犯罪を未然に防ぐために犯罪者と自分との間の距離を理解しておく必要があります。

それには3つの距離というものがあります。合氣道においては畳1枚分、畳3枚分、畳6枚分です。これでは一般の人にはわかりにくいので、2m、6m、12mと考えていただくと良ろしいでしょう。

まず遠い距離からお話しますと12mというのは、街中では暴漢から走って逃げるには十分な距離です。ですからこの距離で暴漢を見つけられると、走って安全な場所(人の多いところなど)に逃げることができるということです。

次に中間距離の6mですが、暴漢がすぐに襲える距離ではないということで、相手に隙があればすぐに逃げることができる距離です。また間に障害物のあるところに入れば相手は危害を加えることができなくなる距離です。ただし、多くの犯罪において犯罪者を6mまでで発見できないことで起こるといわれています。

ですから、危険と思われる場所を仕方なしに通らねばならない場合は、犯罪者を6メートル以上離れた距離で判断できる必要があるということを頭に入れておいてください。

最後に2mの距離ですが、これ以上近づくと非常に危険といわれる距離です。人が判断して反応するのに約0.5秒かかります。また2mは犯罪者があなたに近づくのにかかる最大の時間が0.5秒でもます。ですから2mの距離を確保できると、冷静であれば相手の刃物の一撃も躱すことができる距離でもあるのです。

ですから2m以内というのが最も危険な距離であり、体術が必要な距離ということです。合氣道においても最初の間合いが畳1枚分というのは非常に理にかなっています。

このように距離の知識をあらかじめ知っておくと、如何に暴漢にいち早く気づけるかというのが護身の要になるということがわかるのではないでしょうか。ですから、危険と思われる場所に一人で踏み込む必要がある場合、周りをよく観察することが大切であるというのは言うまでもありません。

犯罪者のリズムを見る

最後に、犯罪者をいち早く知るためのヒントを述べたいと思います。合氣道の師匠・故井口雅博師範によりますと、犯罪者が獲物を狙うとき独特なリズムになるといわれていました。

合氣道において「見る」というのは非常に重要な要素に位置しています。合氣道では見ることで相手のリズムを知り、合わせによって相手を制するわけですから、見るというのも特殊な見方が存在します。その味方を使って犯罪者のリズムを見るのです。

まず犯罪者のリズムについて説明しますと、例えば、人ごみの中でスリを働く人がいる場合、スリがターゲットに向かったときに独特のリズムができるというのです。

具体的には、街中の人ごみの中では、川の流れのように人は全体的に同じリズムで動いているそうなのですが、犯罪者はそのリズムとは違った動きをするというのです。ですから、よくよく観察していると簡単に見分けがつくということです。

ところが「よくよく観察する」なんてできないと思われる読者の方もいらっしゃると思いますが、井口師範が言われているよくよく観察するというのはじっと観察するということではありません。 リズムを見る目で見るということです。

合氣道には独自の見方、眼法があります。しかしそのやり方を説明するより、科学的な説明をした方がわかりやすいでしょうから、科学的な説明をしていきたいと思います。

人の目というのは、中心視野と周辺視野というのがあって、中心視野というのは静止したものをじっくりと観察するための視野であり、周辺視野というのは動きを観察するためのものです。これは特に草食動物によく発達しているもので、草を中心視野で確認しながら、周辺視野に映る遠くの肉食獣の動きをいち早く判断できるようになっています。

この周辺視野でみるようにすることで全体のリズムのなかの違和感を感じるリズムがわかります。ですから、全体をぼんやりと眺めるような目つきで様子を探るという癖をつけると、暴漢の接近がわかるようになるわけです。

  ◆   ◆   ◆

今回のブログでは護身の立場から間合いについて述べましたが、合氣道修行者もこの距離を常に意識する必要があると思います。

といいますのは、武道において大切な考えに「先」というのがありますが、この「先」をいつ取るかという点においてこの距離感が必要訳です。 ただ単に動く だけで、先を取る意識無くして武道が成り立ちません。

具体的には合氣道の稽古でこの点が抜け落ちることがよくあるのです。例えば、他の武道経験者に指摘されることなのですが、形稽古において相手を投げ技で投げた後、投げた相手が受け身をとって立ち上がってこうようとしている際に、有段者でも不用意にこの距離内でぼんやりと待っているというケースです。

これは相手が格闘経験のある相手なら、すぐさま攻撃を仕掛けてこれる状況であるという自覚がないまま、こちらが準備できるのを相手が待ってくれるという前提で稽古を行てしまうというようなことを平気でやっていることになるのです。

ですから、この距離(間合い)についてよく理解し、相手がいつかかってきても良いように、形稽古においても、気を抜かずちゃんと相手をよく観察しておくこと、いわゆる残心を忘れてはいけません。形稽古においてつい忘れがちになりますが、今一度間合いについて肝に銘じておくことが大切です。

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当て身の稽古は地と繋がる為

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

今回は近年の合氣道ではあまり稽古されなくなった合氣道の打撃法である当て身の稽古の意義についてお話ししたいと思います。 近年、合氣道の当て身についてはほとんど言及されなくなっていて本来の合氣道の当て身がどのようなものかもわからなくなっているのが現状ではないでしょうか。

そのため当て身の必要性を感じる合氣道修行者も他の打撃系の武道の打撃法を学んで当て身として取り入れる人もいるようです。 今回は本来の当て身の修行が如何に大切かについて体験から得られたことを書いていきたいと思います。

本ブログでわかること

今回の記事を読むことで、合氣道の当て身の威力がどれぐらいかがわかります。さらには当て身の稽古を行うことで得られることの重要さを知ることができます。それによって、当て身の稽古で身に付けた身体の使い方は投げなどの技における身体の使い方の基礎を養うことができるという事実が理解できます。

そして当て身の稽古は一人稽古ができる非常に優れた稽古方法であることが理解できますので、中々一人稽古ができないで悩んでいる合氣道修行者には大きなメリットとなります。しかも合氣道の上達に直結することがわかるようになり、当て身の稽古の意義と素晴らしさを実感していただけます。

目次

合氣道の当て身の威力を知る!
合氣道の当て身は地面と結ぶ
地とつながる当て身の稽古法

合氣道の当て身の威力を知る!

僕は実は井口師範より合氣道の当て身をかなり学んでいたのですが合氣道をやっていた当時は合氣道の当て身で人に打撃をしたことがありませんでした。大概はコンクリートの建物の壁や立木や電信柱を叩くということばかりやっていました。

しかも、他の武道で僕が経験したような力を溜めて突くようなやり方ではなく軽くポーンと壁や立木や電信柱に拳をぶつけるというようなやり方だったので、内心はこんなので効くことはないだろうとさえ考えていました。

ところが、井口師範が他界されて合氣道が学べなくなった後、ジークンドーという武道を行ったときに、パンチのトレーニングがあまりにもハードだったので、あるとき手を抜いて合氣道風のパンチを出したことがありました。

パンチングミットでパンチを受けてくれていたパートナーの人が、「急に極端に打撃力があがりましたね!」というのです。内心は『手を抜いただけなのに…』と思いながら非常に不思議に感じましたが、でもまだそのときは『樂できてラッキー❤』的な意識しかありませんでした。

しかし、 しばらくして打撃技のスペシャリストである空手の高段者の方とスパーリング(試合形式の稽古)を行う機会がありました。そのときに合氣道の当て身の恐ろしさを実感することになったのです。

相手は空手のシニアクラスの常時入賞者でしたので、僕はかなり気合が入っていました。何とかこの人に打撃を当てたいと思って戦いに臨みました。

そして、戦っている最中に思わず合氣道の当て身が出てしまったのです。合氣道の当て身の特徴は出だしが読みにくいという点にあります。ですからスルッとその空手の高段者の方の胸にパンチが命中したのでした。

イメージ的にはそんなに強く打ち出したという感じはなかったのですが、驚いたことに相手は後方2メートルほど吹っ飛んで、尻もちをついてひっくり返りました。

軽く出したはずのパンチで相手が吹っ飛んだのですから出した当人である僕の驚きといったら言葉に表すことができないのは言うまでもないでしょう。この体験で初めて合氣道の当て身の威力の恐ろしさを知ったのです。 もしこれが顔面に当ていたらと思うとゾッとしました。

ちなみに、この時使用した当て身というのは「核の気の当て身」と当会で呼んでいる技術です。井口師範がときどき「体の芯から気がほと走らせて当て身が打ち出せたら大したもの」と言われていたため、芯から出る気ということからコアという意味で核という言葉を使って「核の気」と呼んでいるわけです。

下の動画は会員にその実例を示したものです。見た目かなりショボいパンチ (僕の意識では10%ぐらいのイメージ) ですが、受けの方が後方に弾かれています。ちなみに受けの方はフルコンタクト空手の経験もある元格闘家の方なので、パンチを受けたのが初めての素人ではありません。

合氣道の当て身は地面と結ぶ

前項の動画を見ると、ボクシングにおける悪いパンチの例とされる「手打ち」のような打ち方をしています。ですから本当に効いているのかと多分プロボクサーでも思われるのではないでしょうか? ところが、実際に受けてみるとかなりの衝撃を感じます。

ではこの当て身の秘密はどこにあるのか?と思われたと思います。この秘密は実は打撃が相手に当たった時点で、パンチ表面に衝撃として力を感じますが、それを感じたと同時にその力を地面に結びつける点にあります。

当て身を長年稽古していると、ある時点で「パンチに衝撃が加わったと同時に足の裏にその力が感じる」という経験をします。するとこの時、足が地面に根が生えたようになるとともに、体の芯から力がほとばしり出る感覚が起こります。

体の芯からでるといいますと、丹田という臍下にある体の重心からほとばしり出ると誤解されることが良くありますが、これは飽くまでも体の芯、コアから力あるいは気が出るという感覚であります。そのため足に根が生えたように地面とつながった感覚がでるのです。そこで当会では「核の気」と呼んでいます。

この「核の気」の感覚が体に出始めると、この感覚は投げ技にも使えるということがわかります。またこの感覚を経験すると天の鳥船の行(船漕ぎ運動)のやり方も変わり始めます。

どう変わるかというと、相手の力を感じたとき常に地面と結びつくようになるのです。これは天の鳥船のような一人稽古においても動きが地面と連動するような感覚になります。

そうなると、体の転換などの動作においても地面と結びつき簡単に相手を誘導することができるようになります。これは優れた一部の人だけができるという特殊な技術ではありません。誰でもできる技術です。

下の動画は当会の会員の稽古風景を一部切り取ったものです。両手でしっかりと持った自分よりも体格の大きい相手を己が地面と結びつくだけで左右に誘導しています。動画では受けの人が勝手に歩いているように見えますが、逆らおうとしているため止めようとする足の力により足の踏み込む音がかなり大きくなっている点に注目してください。

ちなみに実演者には「核の気」の技術を2か月ほど前に教えたばかりなので、動画の前半では感覚の調整に時間がかかって誘導できていませんが、感覚ができるとともに相手を誘導しているのがわかると思います。

地面につながる当て身の一人稽古法

まず大切なポイントに拳の握り方があります。素手で硬いものを叩く場合、拳の握り方は非常に大切です。ボクシングの様にグローブをはめる格闘技では拳はほとんど握らないのが普通ですが、素手で硬いものたたく場合、拳を握らないと骨折をしてしまいます。

また、拳を固めるといってコチコチに握ると、意識が拳の中に滞ってしまい、気が拳を通じて流れなくなります。合氣道では拳を握っては技がかからないというのは実はこのことを言っているのですが、これを誤解して合氣道では拳を握るのは良くないとして、当て身でも手刀を使うようにといわれる方もいらっしゃるほどです。

しかし、僕が学んだ井口師範は、「拳を一度思い切り力いっぱい握って、ゆっくり緩めて拳に意識が行かない程度まで緩んだとき本当の拳ができる」といわれました。

そのようにして拳を握ると壁や立木を拳で軽くたたいても痛みがかなり少なくて済みます。それは拳に弾力性がでるためです。しかもある程度握っているので拳の中で骨折するということもありません。これが合氣道の当て身的には正しい握り方となります。

さらに、当て身の稽古をする場合、力を抜いて、立木やビルの壁に軽くドシーンと響くように拳をぶつける稽古をします。僕の場合は、手に傷をつけたくなかったので軍手をして稽古をしました。そうこうしている内に、拳の衝撃と足の裏で感じる地面がつながってくるようになります。

  ◆   ◆   ◆

僕の合氣道の師匠である井口雅博師範は合氣道において当て身が非常に大切であると常々話していました。また、合氣道開祖・植芝盛平翁先生は合氣道の実戦において「当て身7分に投げ3分」と言われていたとも言われていますが、井口師範は当て身の稽古は合氣道の身体を作るといいましたが、これは地面とつながるということだったのです。

ちなみに、最初の項でジークンドーの稽古の話や空手家の人とのスパーリングの話をしましたが、合氣道の当て身が他の武道の打撃技より優れていると言っているのではないということをご理解いただきたいと思います。

あくまでも合氣道は打撃をメインとする武道ではありませんが、かなりショボいパンチでも地面につなぐと威力が出るということを心にとめていただくとよろしいかと思います。他流批判ではありません。空手や中国拳法でも一撃で人を簡単に死に至らしめる打撃力を持った方はたくさんいらっしゃると聞いていますので誤解をされないようにお願いします。 当然、僕のパンチではそのようなことはできません。

打撃系武術には打撃系武術の秘術があり、その秘術をもってすれば僕ができる当て身の何十倍もの威力の打撃ができるということです。

僕の当て身を受けた空手家の人の名誉のためにも言っておきたいのですが、動画で見てわかる通り見た目非常にショボく見えるパンチです。当然当人はなめてかかったと思います。その上、今までに経験のない打撃法を受けたため、 人間は知らないことには対処ができませんので上記のようになっただけです。2度目は効果があるかというとそうではないかもしれません。

ただ護身といったレベルで考えると是非女性にも習得してもらいたい技術だと思います。

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