統一体の威力を実演!

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

ここ数回、立禅・天の鳥船運動・振魂運動と詳しい説明をしてまいりましたが、今日、それらで養った統一体の威力を実演する機会に巡り合いましたので今回報告を兼ねて急遽ブログを書きました。

本日は和歌山県かつらぎ町の紀北農芸高等学校の体育館で行われている 伊都空手道教室 に伺い、統一体について指導してきました。
今回はその様子をお話したいと思います。

僕は朝8時半に自宅を出て、44キロ離れた紀北農芸高等学校に車で向かいました。始まるのが10時からと聞いていましたが、万が一のためと思い余裕をもって出かけました。

到着が9時半を少し回ったころについたのですが、すでに師範をはじめ伊都空手教室の面々が待っていて出迎えてくれました。

前情報では小・中学生の指導と聞いていたのですが、高校生、大学校生、大人も参加してくだったお陰で、統一体のすごさを披露することができました。

大学校生は 空手黒帯 の身長189センチ100キロ越えというプロレスラー並みの体格の持ち主でした。僕は彼を見たとき
『メチャクチャ、ラッキーやん!』と心の中で叫びました。

何故なら、 この大学校生を相手にデモンストレーションをすれば効果絶大と思ったからです。

僕は身長179センチ68キロですから、そこそこの体格です。小・中学生相手だと僕がデモンストレーションをしても、「強いの当たり前」と思われても仕方がありませんから、この人の存在はめちゃくちゃ大きかったです。

早速、彼に声をかけ、前に出てもらって彼を相手に統一体のデモンストレーションを行いました。

空中腕相撲、突きに対しての投げ、呼吸投げ、相手の打撃を腹や鳩尾(みぞおち)で受ける(本気で十数発打ってもらいました)など見せ場がたくさんありました。

僕のために2時間取ってくれていたためとても濃い内容で指導することができました。

体験者全員の集合写真
体重100キロ級の渾身のパンチを受ける

空中腕相撲は非常に興味深い結果になりました。僕が統一体になって100キロ級の大学校生を相手にすると何度やっても相手を簡単にひっくり返り返すことができるのです。

ところが僕が渾身の力で普通に腕相撲をやると2メートルぐらい飛ばされました。受け身が出来なければ大けがするところでした。

体重差三十数キロでの体力勝負では全く歯が立たないということが体感できました。特別な技術なしでは体格の大きさはまさに武器であるということを思い知らされました。

今回、ある塾の先生の依頼で、統一体を見せるということで伊都空手教室にお邪魔をしました。統一体ができると、相手が空手の有段者でこのような体力差・体格差があっても十分対抗できるということを示すことができとても満足しています。

このように、立禅、天の鳥船運動、振魂運動などの統一体を作るトレーニングを続けていると必ずできるようになるのです。

だから、立禅・天の鳥船運動・振魂運動は 学生時代体育が1か2の超運動オンチの僕に、強靭な若い人を圧倒できる奇跡を起こしたのです。

伊都空手教室の師範・樋川先生をはじめ道場生の皆さん本日はありがとうございました。

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天地から力を受ける振魂

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

さて、前回は天の鳥船の行について述べましたが、この鳥船運動の後に行われる振魂の行がどのように武道と関係があるかについて述べたいと思います。

このブログでわかること

振魂は単なる古神道の精神的な行ではありません。これを行うことで武道的な効果が十分得ることができます。このブログではどのようにすれば振魂でこのような効果が得られるかを述べ、如何に武道に役に立つかを示します。そのことで合氣道修行者の人は一ランク上の合氣道の稽古ができるようになります。

目次

・振魂について
・ 振魂 のやり方
・ 振魂 のチェック法

振魂について

振魂(ふるたま、ふりたま)は、古神道の行法で、身体内にある魂を奮(振る)い立たせ、氣枯れ(けがれ)を祓い、氣の力を強くして、病や怪我を直したり、寿命を延ばしたりするものです。

振魂を行うと次の効用があると山田誠人著の「古神道の科学」には記載さています。
1.ストレスを発散できる
2.気力が湧いてきて、怠惰な気持ちが消える
3.皮膚呼吸が活性化される
4.邪気が飛散して身体が軽くなる
5.血色がよくなり、病気が軽減する
6.皮膚に張がでて、皮膚や眼光が澄んでくる
7.若返る

以上が古神道における振魂の意義や効果ですが、これらを見てみるとどちらかというと精神的な面の変化やそこからくる変化のようなものに感じられますが、実際は武道としての効果が十分期待できるものでもあります。それはどのようなものか 振魂 のやり方から武術的効果の見方など説明していきましょう。

振魂のやり方

ここでは武道的な効果を示すため、私が学んだ合氣道をもとに、振魂のやり方を説明します。合氣道の振魂は古神道の系譜でいえば川面凡児の禊流の振魂となっています。

足は肩幅に開き、手は玉印を結びます。 玉印 は右手(水)を下に、左手(火)を上に組みます。 玉印 を組む時は手をパッチンと柏手を打ち印を組みます。

手を上下に振って、神言(かみごと)を唱えながら、膝を上下に揺すります。第一の鳥船の後の神事は「大祓戸大神(おおはらえどのおおかみ)」です。まずは穢れ(氣枯れ)を祓い、氣(エネルギー)が出る状態にするというイメージを持って行います。

第二の鳥船の後は十言神咒(とことのかじり)「天照大神(あまてらすおおみかみ)」を唱えます。十というのは完全を示す数字です。第二の鳥船では自分が完全である状態をイメージします。

第三の鳥船の後は「天御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ」と唱えます。 天御中主大神 は宇宙の中心の神であり、自分を宇宙と一体とイメージします。

古神道伝では膝を揺さらないようですが、井口師範から教わった振魂は膝を揺します。その理由は井口師範から教わったやり方をつづけていると天地から力を借りることが体感できるようになるからです。要は体感が得られやすいというメリットのためです。

そのための膝の屈伸において秘伝があり、公開の場では述べることができませんが、この秘伝を使うと、あるとき天地の力が自分に来ていると感じられる兆候が感覚としてやってきます。

振魂 のチェック法

振魂が確実にできるようになると、まずは地面と繋がった感覚が出ます。さらにこれを続けていると天に向かう感覚が出てきます。この感覚が出てくると天や地の力が借りられるようになります。天の力というのは体が天に上る感覚を伴う力で、地の力とは地に繋がる感覚です。また人により、地の力を使う場合は自分の体重がずっしっと重くなったように、天の力を使う場合はその反対に感じる人もいます。

【振魂の練度チェック1】
まず第一段階のチェックです。振魂で地の力を借りることができるようになると地面と繋がった感覚がでてきますが、この感覚が本物かどうかチェックするためパートナーに両手首を掴んでもらって固定してもらい、地の力を借りて相手の力を地につなぎます。次に、腕の動きだけで上にあげることができるかをチェックします(下図参照)なお、腹筋や背筋を使わず行う必要があります。ですから体を反ったり、足を屈伸させたりせずに苦も無く上げられれば合格です。

【振魂の練度チェック2】
振魂で天の力を借りることができるようになると、振魂をやっていると 手の振り下げに合わせて 真上に体が抜ける感覚が出てきます。そのような感覚が出てきたら、パートナーに両手首を掴んでもらって固定してもらい、それを下に下げることができるかをチェックします(下図参照)

上記のチェックをして合格すれば、下図のように正座した状態で上から手首を抑えられても、簡単に上に跳ね返すことができるようになります。

  ◆   ◆   ◆

以上が振魂を続けているとできる身体的な変化です。

今回は振魂をご紹介しましたが、禅、天の鳥船の行、振魂の行を行うことが合氣道の基礎力を上げ、それに伴い合氣道独特の力である呼吸力を練り上げることができるようになります。

次回は開祖・植芝盛平翁先生の天の鳥船の行のYoutube映像をご紹介して、翁先生が如何に合氣道を効果的に稽古できるようにシステムとして取り入れたかという点について述べてみたいと思います。

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呼吸力をつける船漕ぎ運動

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

さて、現在このブログでは古い合氣道の準備運動の中に呼吸力を養成する隠れたシステムが含まれているという話をしています。その一つが禅があり、さらに天の鳥船の行と振魂の行がそれだと以前にも書きました。

合氣道では、全体のバランスを大切する武道であるというのは言うに及びませんが、それは合氣道の技だけではなく稽古を行う流れにも同じことが言え、ここでは静と動を巧みに組み込んでいます。この隠れたシステムでは、禅は静にあたり、天の鳥船と振魂は動、要するに動禅といえます。

今回はこの動禅である天の鳥船ついて焦点を当ててみます。

本ブログでわかること

天の鳥船と振魂は古神道の行法であることは良く知られた事実ですが、これが技にどのようにつながるかという点について述べられることが少ないと思いますが、今回はこの天の鳥船と振魂を行う意義とそれによって得られる具体的な効果について知ることで、より合氣道の技を深く理解し技の深度を増す指針となるでしょう。

目次

・天の鳥船の行とは?
・古神道と開祖ではやり方に違いについて
・天の鳥船の成果を試す

天の鳥船の行とは?

天の鳥船の行とは、明治から昭和の初期にかけて活躍した神道家・川面凡児の開示した神伝禊法で、3つの鳥船運動とそれぞれの後に行う振魂で構成されています。

ここでは、川面凡児の天の鳥船のやり方で説明します。(当会の会員の方が驚くかもしれませんのでここで言っておきますと、当会では井口師範から教わった天の鳥船の行を行っていますので違いがあります)

【第一の鳥船】
左足を前に出し、意識を丹田に置き、両手は親指を中にして握りしめます。「イエーッ」という掛け声とともに手を押し出します。
次に「エイッ」という掛け声とともに手を引き戻します。これを繰り返します。(下の写真は神道研究家・山田誠人氏)

自分のやりたいだけ行うと、「大祓戸大神」と唱えながら振魂を行います。

【第二の鳥船】
右足を前に出し、意識を丹田に置き、両手は親指を中にして握りしめます。「エーッ」という掛け声とともに手を押し出します。
次に「ホッ」という掛け声とともに手を引き戻します。これを繰り返し、 自分のやりたいだけ行うと、「天照大神」と唱えながら振魂を行います。

【第三の鳥船】
左足を前に出し、意識を丹田に置き、両手は親指を中にして握りしめます。「エイサッ」という掛け声とともに手を押し出すとともに五指を開きます。
次に「 エイサッ 」という掛け声とともに握りながら手を引き戻します。これを繰り返し、 自分のやりたいだけ行うと、「天御中主大神」と唱えながら振魂を行います。

以上が川面凡児伝の天の鳥船です。

古神道と開祖のやり方の違いについて

今残っている開祖の動画を見てみますと、上の山田誠人氏の動作と若干異なった動きをしているように見えます。

前項の山田誠人氏の動作では手を差し出すとき腕を伸ばしたのに対し、開祖は上の写真では手を差し出すとき振り子のような動作で手が伸びたままで前に出しています。この動作はまず体を加速してその反動を利用して手を出す動作です。要するに運動エネルギーを有効に生かす動かし方をしています。

私が井口師範から学んだ天の鳥船も同様にしていました。 井口師範 はこの動作の中に呼吸力を養成するための動きであると言われていましたが、井口師範が天の鳥船の行を勝手に解釈しているわけではないというのはわかると思います。

また、腕についての注意事項ですが、腕の付け根は体の真ん中にあるというイメージで、手が前に行った際に気が腕を伝って前に出、手を引いた際に気が戻るというイメージを持つことも大切です。

ですから、純粋に古神道の行法を稽古の中で行っているのではなく、稽古の中に古神道の行法を取り入れつつも、武道として使えるように天の鳥船を取り入れていたと思われます。

次に、下図に示したやり方ですが、武道的な意味での船漕ぎ運動という点で余り効果が期待できないやり方なので注意してください。武道的な使い方として十分に期待できるのは、重心が前後に動く必要があります。

天の鳥船の成果を試す

【第一のチェック】
安定して天の鳥船運動ができるようになると、正しくできているかをチェックするため、パートナーに手首を持ってもらったうえで天の鳥船運動を行い、相手が前方に誘導できるかをチェックします。この際の注意点として、決して意識は手首にあってはいけなく、相手との力のぶつりはない状態で行う必要があります。しかも腕は気を充実させている必要もあり、腑抜けた状態ではないということです。また、パートナーは相手に前方に送られないようにしっかりと踏ん張って抵抗する必要があります。

【第二のチェック】
さらに天の鳥船運動で感覚が研ぎ澄まされると、胸を押している相手を押し返すことができるようになります。このときの注意点として、相手を胸で押し返す意識を持つとバランスを失い、決して相手を押し返すことができません。図のように相手の腕つかみ、胸で相手の力がぶつからないようにして相手を押しやります。パートナーはしっかりと支えて抵抗します。これでパートナーを押し返せれば呼吸力がついてきたといえます。

【第三のチェック】
さらに、呼吸力がついて来ると、体の軸を作るだけで強く押されても押し返すことができるようになります。この際は前進移動する意識も必要なくなります。これができると相手の力がすべて地面に逃げていくという感覚が出てきます。この感覚がでると非常に強い呼吸力が出せます。

   ◆   ◆   ◆

天の鳥船の熟練度のチェック法に関しては、まだ何通りかあります。今回は比較的簡単に行える前方方向に押し出すチェック法を示しました。他のチェック法については、リアルな指導が必要なので今回は紹介しません。

統一体が出来て、呼吸力がでるようになるとこのようなチェック法をしなくても、いろいろなことができるようになります。是非皆さんも禅と天の鳥船の行と振魂の行をしっかりと稽古して統一体を身に付けてください。次回は振魂について述べたいと思います。

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統一体を作る立禅

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

さて、前回は統一体というのは合氣道の稽古において非常に重要な位置を占めていて、しかも古い稽古ではシステムとしてちゃんと組み込まれていたというお話をしました。

具体的には合氣道の準備運動の中に座禅、古神道の天の鳥船の行や振魂の行などがそのシステムをなしていたということでした。

なお、この古いシステムでは、統一体をつくる基礎として座禅を使っていますが、当会ではより応用がきく中国武術の立禅を採用しています。そこで今回はその立禅を紹介したいと思います。

このブログでわかること

合氣道の準備運動に組み込まれている禅の真の意図が理解できます。さらに、その意図をより効果的に実現できる立禅のやり方を覚えていただくことができ、より一段と高い稽古ができるようになります。また統一体が理解できることで様々な方面で応用ができるようになります。

目次

立禅の意義
立禅の注意点
立禅のやり方
立禅の完成度チェック法
立禅と日常の姿勢と統一体

立禅の意義

合氣道の準備運動で座禅が組み入れられている道場があると思います。ところがどうして座禅をするのかということについてはかなり曖昧に精神統一の一つと教えらえることが多いように思います。

古い合氣道では準備運動の中に、システムの一環として座禅、天の鳥船の行、振魂の行が入っています。これは後にくる形稽古にリンクできるように一連のつながりをもって組み立てられていて、ここを理解していると呼吸力と呼ばれる力が得られやすくなります。

当会ではその流れに従いつつも座禅の代わりに立禅を採用しています。その第一の理由は、座禅より統一体が自覚しやすい点です。具体的には立禅は統一体になっているかどうかのチェックが容易なのです。

中国武術では立禅を站椿(たんとう)と呼んで必ず稽古の中に含まれています。站椿では足腰の鍛錬も含まれていますが、当会では統一体を作る目的で行っていますのであまり低い姿勢での立禅は行っていません。

この項の最後として立禅のメリットを挙げておきます。
・身体の安定感が養われる
・精神が非常に安定する(はっきりと自覚できる)
・内臓の働きが良くなる
・集中力がつく

立禅の姿勢は注意が必要!

立禅のやり方を説明する前に、立禅での姿勢での大切な点について説明します。といいますのは、スポーツ科学で言われる正しい姿勢と立禅での正しい姿勢があまりにも違うため誤った立禅をしないように誤解を最初に避けておくために「立禅での姿勢」について最初に話します。

一般的に正しい姿勢というのは、下図の右側の図のようにヒップアップ (骨盤を前傾) し、背骨がきれいなS字を描く姿勢です。

一方、立禅の姿勢は、下図の左側の図のように背骨が縦に直線に並ぶように立ちます。 この立ち方では、地面からの力が損失無く直接リアルタイムで時間損失無く伝わることで、地面の力を借りて安定が得やすいというところにあり、合氣道独自の力の呼吸力を出す基礎でもあります。

ただし飛んだり跳ねたりするには向かない姿勢でもあります。飛んだり跳ねたりする場合は、やはり西洋式の良い姿勢の方が 、背骨に直接掛かる圧力をS字で上下方向にたわむことで吸収して分散させ、圧迫骨折などの危険から免れる 効果があります。

ですから場面によって使い分けが必要です。

立禅のやり方

前項の背骨をまっすぐに立てるということを踏まえて、立禅のやり方を説明していきます。

まず足幅は肩幅に開き、左右の足を平行になるように立ちます(ハの字や逆ハの字は無効)。

膝を少し曲げ(体力のない人は軽く曲げる程度で良い)、骨盤を後傾(性器を前に突き出すようなしぐさ)させて、背骨をまっすぐに立てます。基準ですが、どれぐらい真っ直ぐにするかといいますと、柱のコーナーに背骨を当て、尾骶骨から首の元まで隙間がなくなる位にします。はじめは多くの人は腰当たりが浮き、指が入りますが、密着できるように訓練が必要です。

さらに体が前後に傾斜しないように、まっすぐ立てて、手を真下に垂らし、掌を少し反らして力を籠めます。

中国武術の立禅(站椿)で多いのが手を前に向かい合わせにするのが多いですが、当会では、太極拳のある流派の初級の立禅に習い地面を感じることができるように下に腕を垂らします。

これは合氣道の基本である一教での腕を抑えたときの呼吸力をつけるためでもあります。

視線は前方に向け、視野を広くとり、周りの状況を広く見渡せるようにします。目は半眼といって、目を細めます。

立禅の完成度チェック法

立禅がうまくできていると、身体は統一体となり非常に安定した姿勢となります。そこで統一体のチェックとして、左右の真横から力を加えてみます。その際、押した側にふらつかずどっしりとした感覚があればOKです。

次に手を折れない腕を作る際のように気が入っているのをイメージしてもらい、チェックする人に腕を上方に力を加えてもらいます。体がぶれず、チェックする側の人がかなりの重さを感じたなら、腕の状態はOKです。

立禅と日常の姿勢と統一体

立禅を指導しますと、日常の生活や運動する際にこれをどう取り入れるかという質問がときどきありますので、ここではそれに対する回答を述べたいと思います。

立禅は飽くまでも安定性を感じるための立ち方であり、中国武術の特殊な力である勁や合氣道の呼吸力が最も習得しやすい形であるというだけで、実際は様々な姿勢それぞれに統一体といえる姿勢があります。

例えば横になった場合、立禅の姿勢は有効になりません。しかし、呼吸力は横になった状態でも発揮することができます。これはこれで、立禅で得られた感覚を使用して寝た状態で最大の統一体をつくることで可能になるのです。

このように、大切なポイントは統一体ができることで、立禅の姿勢ではありません。別の言い方をすれば、西洋スポーツ式の姿勢ではその姿勢の中にも統一体と呼べるものがあります。西洋スポーツでも、一流の選手は一流の統一体を作って行っているものです。

ちなみに、立禅は静止したままで行いますが、動きのある場合もその中での安定した統一体があります。古い合氣道をはじめ当会では、天の鳥船(あめのとりふね)の行や振魂(ふるたま/ふりたま)の行で動きの中で統一体を作る指導をしています。

この様に立禅の姿勢に余り拘りすぎると場合によっては安定を無くす原因にもなりますので注意が必要です。大切なのは目的です。立禅の目的は統一体を自覚するためのもので、この立禅が統一体を作るのに非常に優れた方法だということです。

   ◆   ◆   ◆

今回は、古い合氣道のシステムである禅⇒天の鳥船の行⇒振魂に連なる最初の禅の部分で大切な統一体の作り方を立禅を例に説明しました。次回は天の鳥船の行に関して述べるつもりです。

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武道の姿勢と統一体

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

最近、ある塾の先生からご指摘を受け、武道の基本の大切さをより深く知ることができました。そのご指摘というのが「せっかく武道で姿勢、特に統一体というのを教えてるのなら、もっとそれを多くの人に広めてはどうだろう?」ということでした。

その先生も生徒の成績と姿勢の関連性を以前から気になっていたそうで、私が武道で教えている統一体に目を付けたわけです。

今回から統一体というものについてお話ししたいと思います。

このブログでわかること

合氣道では心身が統一できる統一体を作って武道の方を繰り返し稽古をします。統一体こそが合氣道の出発の原点であり、到達点でもあります。 統一体の大切さをより深く知り、日ごろ統一体を意識するのを疎かにしている修行者に原点に復帰していただき、それにより技をより深いものにする指針をえることができます。

目次

統一体とはどのようなものか
統一体のメリット
統一体の段階
統一体の作り方

統一体とはどのようなものか

 人は嬉しいことがあると、顔は上を向き、手を大きく上に広げたくなります。一方、つらいことがあると俯き、手をギュッと知事メタくなります。このように心の変化により、体がそれに従うのをよく経験することではないでしょうか?

 一方、つらいことがあっても、顔を上に向け、手を大きく上に広げて、「わーい、わーい」と言っている間は、落ち込むことに集中することができません。

このように心と体は密接につながっています。ですから、心を集中するには、姿勢も非常に関係がある訳です。武道では最大限に集中して技を行う必要がありますが、当然最大限に集中するための姿勢も存在しているわけです。それを統一体と呼びます。

統一体のメリット

合氣道で統一体になったとき、単に集中力が上がるだけではありません。合氣道での統一体では、数多くのメリットがあります。

①精神が澄んで集中でき、 視野が広がる
②体が非常に安定する
③呼吸力と呼ばれる大きな力が出る
④効率的に身体が動く

などです。①に関しては精神的な面もありますが、技術的には目の使い方が重要になります。②については単に精神的な集中ではなく、実際に身体も安定しないと統一体にならないことを示しています。③についてですが、安定した体から出る力は地面を味方につけるため非常に力強い安定した力がでます。④ですが、統一体で動く場合、例えば当て身という打撃法を例にとると、一々手を引いてから打ち出す必要がなく、現在あるその手の位置から当て身がだせるようになります。

さらに、統一体を続けていると、
・身体が上部になり病気が治る
・必要なときに統一体を作ると不動心ができる
・運動能力が一気に跳ね上がる
・思いが実現しやすくなる

などのメリットもあります。

統一体の段階

この様に統一体を作ると、力の弱い女性でも男性に十分対抗できるようになるなど大きなメリットがあります。

ところが、統一体を作るためにはそのための稽古が必要になります。しかも、それには段階があります。

①静止した状態で統一体を作る段階
②水平方向の力を流す統一体を作る段階
③垂直方向の力を流す統一体を作る段階
④統一体を実際の動きの中で作る段階

単に統一体と言っても、このように段階があり、それぞれで統一体が作れないといけません。いくら静止したときに強い体ができても、動き出すと統一体が崩れるようでは役に立ちません。

統一体の作り方

実は開祖・植芝盛平翁先生が教えておられたころの合氣道ではこの統一体を作るシステムが組み込まれていました。それは、準備運動の中に、座禅、天の鳥船の行(船漕ぎ運動)が入っていますが、実はこれがその段階に応じたものなのです。

まずは座禅によって、静止した状態での身体の安定性を養い、その感覚を使って動の状態での安定性を養うために、動作である船漕ぎ運動や振魂(ふるたま)運動によって平行な動きと垂直な動きによって力を伝える感覚を養うようになっています

要するに、静で軸を作って安定した状態と感覚を養い、その後、動の状態での安定性を鍛えていくという過程になっています。

さらに、技の稽古にそれを取り込み、動きの中で必要な安定と不安定のバランスをコントロールし、相手に影響を及ぼすことで、技として完成するという形で技の稽古の流れとして組み立てられています。

このように合氣道では非常に緻密なシステムとして技の稽古が組み立てられているのです。その意図が分からないまま行うのと行わないのでは技に雲泥な個人差が出るのです。

   ◆   ◆   ◆

今回のブログでは、古い合氣道では統一体を作るシステムが組み込まれていたという話を書きましたが、次回からもう少し詳しく見ていきたいと思います。

なお、当会では、座禅の代わりに中国武術から拝借した立禅を採用しております。ですから座禅の説明の代わりに立禅について次回はお話したいと思います。

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