皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。
さて、前回は天の鳥船の行について述べましたが、この鳥船運動の後に行われる振魂の行がどのように武道と関係があるかについて述べたいと思います。
このブログでわかること
振魂は単なる古神道の精神的な行ではありません。これを行うことで武道的な効果が十分得ることができます。このブログではどのようにすれば振魂でこのような効果が得られるかを述べ、如何に武道に役に立つかを示します。そのことで合氣道修行者の人は一ランク上の合氣道の稽古ができるようになります。
目次
振魂について
振魂(ふるたま、ふりたま)は、古神道の行法で、身体内にある魂を奮(振る)い立たせ、氣枯れ(けがれ)を祓い、氣の力を強くして、病や怪我を直したり、寿命を延ばしたりするものです。
振魂を行うと次の効用があると山田誠人著の「古神道の科学」には記載さています。
1.ストレスを発散できる
2.気力が湧いてきて、怠惰な気持ちが消える
3.皮膚呼吸が活性化される
4.邪気が飛散して身体が軽くなる
5.血色がよくなり、病気が軽減する
6.皮膚に張がでて、皮膚や眼光が澄んでくる
7.若返る
以上が古神道における振魂の意義や効果ですが、これらを見てみるとどちらかというと精神的な面の変化やそこからくる変化のようなものに感じられますが、実際は武道としての効果が十分期待できるものでもあります。それはどのようなものか 振魂 のやり方から武術的効果の見方など説明していきましょう。
振魂のやり方
ここでは武道的な効果を示すため、私が学んだ合氣道をもとに、振魂のやり方を説明します。合氣道の振魂は古神道の系譜でいえば川面凡児の禊流の振魂となっています。
足は肩幅に開き、手は玉印を結びます。 玉印 は右手(水)を下に、左手(火)を上に組みます。 玉印 を組む時は手をパッチンと柏手を打ち印を組みます。
手を上下に振って、神言(かみごと)を唱えながら、膝を上下に揺すります。第一の鳥船の後の神事は「大祓戸大神(おおはらえどのおおかみ)」です。まずは穢れ(氣枯れ)を祓い、氣(エネルギー)が出る状態にするというイメージを持って行います。
第二の鳥船の後は十言神咒(とことのかじり)「天照大神(あまてらすおおみかみ)」を唱えます。十というのは完全を示す数字です。第二の鳥船では自分が完全である状態をイメージします。
第三の鳥船の後は「天御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ」と唱えます。 天御中主大神 は宇宙の中心の神であり、自分を宇宙と一体とイメージします。
古神道伝では膝を揺さらないようですが、井口師範から教わった振魂は膝を揺します。その理由は井口師範から教わったやり方をつづけていると天地から力を借りることが体感できるようになるからです。要は体感が得られやすいというメリットのためです。
そのための膝の屈伸において秘伝があり、公開の場では述べることができませんが、この秘伝を使うと、あるとき天地の力が自分に来ていると感じられる兆候が感覚としてやってきます。
振魂 のチェック法
振魂が確実にできるようになると、まずは地面と繋がった感覚が出ます。さらにこれを続けていると天に向かう感覚が出てきます。この感覚が出てくると天や地の力が借りられるようになります。天の力というのは体が天に上る感覚を伴う力で、地の力とは地に繋がる感覚です。また人により、地の力を使う場合は自分の体重がずっしっと重くなったように、天の力を使う場合はその反対に感じる人もいます。
【振魂の練度チェック1】
まず第一段階のチェックです。振魂で地の力を借りることができるようになると地面と繋がった感覚がでてきますが、この感覚が本物かどうかチェックするためパートナーに両手首を掴んでもらって固定してもらい、地の力を借りて相手の力を地につなぎます。次に、腕の動きだけで上にあげることができるかをチェックします(下図参照)なお、腹筋や背筋を使わず行う必要があります。ですから体を反ったり、足を屈伸させたりせずに苦も無く上げられれば合格です。
【振魂の練度チェック2】
振魂で天の力を借りることができるようになると、振魂をやっていると 手の振り下げに合わせて 真上に体が抜ける感覚が出てきます。そのような感覚が出てきたら、パートナーに両手首を掴んでもらって固定してもらい、それを下に下げることができるかをチェックします(下図参照)
上記のチェックをして合格すれば、下図のように正座した状態で上から手首を抑えられても、簡単に上に跳ね返すことができるようになります。
◆ ◆ ◆
以上が振魂を続けているとできる身体的な変化です。
今回は振魂をご紹介しましたが、禅、天の鳥船の行、振魂の行を行うことが合氣道の基礎力を上げ、それに伴い合氣道独特の力である呼吸力を練り上げることができるようになります。
次回は開祖・植芝盛平翁先生の天の鳥船の行のYoutube映像をご紹介して、翁先生が如何に合氣道を効果的に稽古できるようにシステムとして取り入れたかという点について述べてみたいと思います。
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