皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。
さて、今回は前回の合わせの技術の続きで、当会で呼んでいる「骨の技術」の中の合わせについてお話ししたいと思います。
このブログでわかること
合氣道での脱力状態と力をいれてない腑抜け状態との違いが理論的にわかり、 合氣道で「力を抜け」といわれる本当の意味を理解し技に応用するヒントを得ることができるようになります。
目次
・骨の技術とは?!
・骨の合わせの技術とは?!
・骨の合わせを実現するには?!
・ゼロ状態を作ると?
骨の技術とは?!
IAM護身術では僕が学んだ合氣道や中国拳法などの技術から力の弱い人にでもできる技術を整理統合して体系化したものを会員に伝えています。特にメインとなるのが井口雅博師範から学んだ合氣道の技術に様々な名称を付けて指導しています。
その技術は次の4つの柱で構成しています。
・骨の技術(物理学的な技術)
・皮膚の技術(生理学的な技術)
・皮膚感覚の技術【生理学と心理学的な技術)
・空間感覚の技術(心理学的な技術)
なお、この名称は当会独自のモノです。
今回はこの4つの柱の内の骨の技術、その中の合わせの技術について説明したいと思っています。
物理的な現象を扱う技術を骨の技術と呼んでいるのは、人体は骨格によって支えられ運ばれるため、骨格の運用自体が物理の法則によって支配されるためです。
具体的な内容としては、強い骨格の使い方から力を伝達する技術までが含まれています。その中で特に力の伝達については相手とのぶつかりを如何に無くしスムーズに力を伝達することが肝心です。その技術が骨の合わせの技術です。
骨の合わせの技術とは?!
合氣道では手首を取られた場合の技のトレーニングがたくさんあります。実際に護身を考えたとき、特に男性の場合は現代社会ではあまりないのではないでしょうか? どちらかというといきなり胸倉をつかまれる、殴ってこられるという方が確率的には高いかもしれません。
それでも敢えて合氣道では手首どりの技を稽古します。僕が合氣道を始めた当初はこのありえない想定に対して疑問を持ったものです。それで、本など読みあさって得られた回答は「昔は刀を持っていたため刀を素手で制するには手首を持つ必要があったから」ということでした。『じゃあ、現代社会じゃ必要ないんじゃ?』と考えたものでした。
それに対して私の師匠の井口師範の回答は「そんなもの稽古するために必要やからにきまってるやろ」ということでした。要するに合氣道独自の感覚を身に付けるには手首取りが最も有効だからだったのです。
具体的には手首取りは、
①相手との接触時間が長い
②直接皮膚に触れている
以上の二点において合氣道に必要な感覚を訓練するのに非常に適しているということなのです。
ちなみに合氣道に必要な感覚というと沢山ありますが、今回のブログでは骨の合わせという技術について述べているので合わせるということについて述べたいと思います。
合氣道はその名の通り氣を合わせる武道で、具体的には、相手とぶつからず相手を導いて相手を無力化する武道です。ですから古流武術の技術としての合気とは少し意味合いが異なり、もっと広範囲の意味を持っています。
そのため、この氣を合わせるということですが、実は技術的に述べるとかなり多岐にわたる技術の集合体ということになります。その中で最も基本となるのが骨の合わせで、これは実際に相手と物理的にぶつからない状態にする技術です。
骨の合わせを実現するには?!
この骨の合わせとは 具体的に 何かといいますと、「相手とぶつからない」という感覚を実現する技術です。骨の合わせとはその名の通り自分の骨をコントロールしてぶつかりをゼロにする技術です。
手首取りを例にとると、相手とぶつかりを感じるとき必ず手首のどこか一か所にぶつかりを感じるはずです。骨の合わせとは相手が手首に力を加えた方向に手首の骨を合わせることで握られた部分の当たりをゼロにします。
この当たりゼロという感覚は実はかなり微妙で本の僅かでもあたりがあると相手にこちらの意識が読まれてしまいます。完全にゼロに合わす必要があるのです。
そのためには相手に持たれるのではなく相手に持たせるという意識が非常に大切で、己がコントロールしやすい態勢で相手に持たせることです。そうすると相手は握っているのに握っていないような一種独特な感覚を感じます。
ところで、このゼロ状態の合わせと力を完全に抜いた腑抜けな状態と混同する人がいますが、それは全く別物です。骨の合わせを作るには、最も大切なのが手に気が入っている状況でのゼロ状態です。
言葉を変えていうなら、元合気会師範部長、気の研究会の故・藤平光一師範が指導した折れない腕の状態である必要があります。それにより、相手には腕という重い棒を持たせている状態にしておくのです。これがポイントです。
腑抜けは相手に持たれている状態、骨の合わせは相手に持たせている状態です。この違いを理解して脱力というのは筋肉を腑抜けにするのではなく、相手とのぶつかりを消滅させる技術であるということを理解しておく必要があります。
ゼロ状態を作ると?!
この骨の合わせによるゼロ状態を作るとどいうことが起こるのかというと、完全にゼロ状態になると相手の最も弱い軌道が一瞬で感じることができます。その軌道に移動するとほとんど力を使わずに相手を導くことができるようになるのです。
しかし、少しでもぶつかりがあるとその軌道はまったく感じられません。こういうと骨の合わせの稽古段階の修行者にとっては非常に難しい要求になり、これだけを目標にすると殆どの修行者が脱落することになるでしょう。
しかし、途中段階の人でも効かせる方法があります。それは、以前のブログで紹介した陽の技法と陰の技法をつかうことです。
陽の技法を使う場合の注意点は、手首の感覚がゼロ状態になったときに手首の位置を変えずまずは身体のみ動かすことです。
また陰の技法を使う場合の注意点では、ゼロ状態の感覚をキープすることに留意しながら陰の技法を行うとよいでしょう。
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