井口合氣道・四気の定義

皆さん! お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

さて、前回は天の氣、地の氣、水の氣、火の氣についてご紹介しましたが、今回はもう少し深掘りしていきたいと思います。

合氣道の稽古で「氣を出しなさい」と言われ、戸惑ったことはありませんか? 多くの人が「氣」を、目に見えない謎の霧のようなもの、あるいは精神論として捉えています。

しかし、私の師・井口雅博師範から学んだ合氣道において、氣とは極めて明確な**「エネルギーの方向(ベクトル)」**を指します。今回は、井口合氣道の根幹を成す「天・地・水・火」の四気について解説します。

「氣」を抽象的な魔法から物理へ

武道の達人は、抽象度の高い言葉を使います。しかし、私たち凡人がその域に達するには、一度その抽象度を下げ、具体的な「物理現象」として理解する必要があります。

井口合氣道では、氣を以下の分かり易い言葉にすると「四つのベクトル」として定義します。(なお、この定義は物理的な視点からのブログ主の定義であって、直接井口師範から伺ったものではありません)

1.「地の氣」:足裏から吸い上げる地球の反力

井口師範は、呼吸力を得る先ず最初に必要なこととして、「最初に地を味方に付けよ!」「身体に地からの氣を通せ!」などと指導されました。当会では、この最も最初に体得すべきこの氣を「地の氣」と名付けました。

東洋医学では、地の氣を「食物から得る栄養」と定義しますが、井口合氣道における地の氣は全く別物です。

  • 定義: 足裏から直接取り込む、「鉛直上方(下から上)」へ向かう力。
  • 物理的実体: 自分の体重が地面にかかった際に返ってくる「地面反力」。

この力を筋力で無理やり生み出すのではなく、骨を整えることで、地球が押し返してくれるエネルギーを足裏から「吸い上げる」感覚です。これがすべての技の源泉となります。また、すべての氣に共通していますが、地の氣を使うにも身体の天地の軸が大切になります。下の映像は地の氣をつかった例です。

2.「天の氣」:身体を大地に結びつける安定の力

地の氣が「突き上げる力」なら、天の氣はその対極にあります。下方に最大限の力をだすための氣の使い方で、意識を天に向けることで大きな呼吸力がだせるようになります。

  • 定義: 頭頂から足元へ、「鉛直下方(上から下)」へ向かう力。
  • 物理的実体: 「重力」と、それに応じる身体の沈み込み。

天の氣を意識することで、身体は浮つかず、しっかりと大地に接合(グラウンディング)されます。天と地の氣が身体の中で一本のライン(中心軸)として通ったとき、初めて技を出す準備が整います。物理的には体重を最大限に利用できる技術ということもできます。

3.「水火(すいか)の氣」:垂直を「水平」へ変える魔法

合氣道の技が不思議に見える最大の理由が、この「水火の氣」にあります。鍛錬法としては、座り技呼吸法、体の転換などが非常に有効です。これを使いこなせれば人差し指を相手にしっかりと両手でつかんでもらって体の転換が可能になります。

地の氣(垂直の力)をそのまま相手にぶつけても、ただの押し合いになります。これを身体という構造体を使って地の氣を「水平方向」へ変換するのです。

  • 火(ひ)の氣: 左手から放たれる水平のエネルギー。
  • 水(みず)の氣: 右手から放たれる水平のエネルギー。
種類方向役割
地の氣↑ 鉛直上方エネルギーの供給源(大地からの反力)
天の氣↓ 鉛直下方身体の安定と接合(重力との調和)
水火の氣→ 水平方向技の出力。 垂直の力を水平へと変換し相手に伝える。

なぜこの「定義」が重要なのか

多くの修行者が、手先の筋力だけで相手を動かそうとします。しかし、それでは「腕力」のぶつかり合いにしかなりません。

井口合氣道の理合(りあい)では:

  1. から力を借り、
  2. の力で軸を安定させ、
  3. 水火の氣によって、大地の力を相手へと横流しする。

このプロセスをたどることで、自分より体格の大きな相手をも、まるで魔法のように(実際には物理の理によって)制することが可能になります。

次の動画は井口合氣道の術理によって技を行っている例です。

まとめ

「氣」を不思議な力だと思っているうちは、それをコントロールすることはできません。 しかし、「下から上(地)」「上から下(天)」「後ろから前(水火)」というベクトルの組み合わせだと理解すれば、日々の稽古は具体的な「身体操作の訓練」へと変わります。

まずは、自分の足裏が大地から突き上げられる「地の氣」を感じることから始めてみてください。それが、井口合氣道への入り口です。

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