皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
またまた投稿が久しぶりになりましたが、今回は合氣道開祖・植芝盛平翁の「合氣道は米ぬか3合(約200g)持てる力があればできる」と言ったとされるこの点について井口師範から伝わった技術を元にお話ししたいと思います。
このブログを読むと
このブログでは以下のことを説明しており、筋力に頼らない技というのがどのようなものかわかるようになることで、自分の技に活かせるヒントを得ることができます。
- 米ぬか3合の軽微な力でも、特定の条件下で相手を制することが可能であること。
- 直立することが実は非常に不安定であること。
- 相手を倒すことは容易ではないその根本的な原因。
- 合気道では、筋力を使わない科学的な戦略があること。
- 相手を倒すためには、相手に察知されないような戦略や技術が必要であること。
目次
・合氣道の奥義:米ぬか3合の威力
・直立の安定性の秘密
・相手を倒す難しさの根本原因
・相手を倒すための戦略
合氣道の奥義:米ぬか3合の威力
合氣道の創始者である植芝盛平翁は、「米ぬか3合を持てる力があればできる」という言葉を残しました。米ぬか3合は約200g、現代ではスマートフォンと同じぐらいの重さといえばわかると思います。この軽微な力で相手を制することは一見不可能に思えますが、実際には特定の条件下で、この程度の力でも相手を制することが可能です。これらの条件は合氣道の技術によってもたらされるものであり、その基礎は井口師範より伝授された「氣の流れ」の奥義にあります。
直立の安定性の秘密
我々が直立しているとき、安定しているように感じますが、実際にはこの姿勢は非常に不安定です。二足での直立は非常に難しいため、ロボット工学の進歩がなければ二足直立歩行は実現しなかったでしょう。また、子供のころ、人形を立たせることは難しい経験だったかもしれません。このように、二足での直立は非常に不安定な状態です。
相手を倒す難しさの根本原因
不安定な直立状態であるにもかかわらず、人を倒すことは容易ではありません。これは、人体が周囲の状況を察知し、バランスを自動的に調整する能力を持っているためです。相手がバランスを崩そうとしても、崩そうとして筋肉が緊張するその変化を人はとっさに察知し安定を保とうとします。この察知されやすさが相手を倒す難しさの根本原因です。
相手を倒すための戦略
相手を倒すためには、相手に察知されないような戦略が必要です。井口師範の合気道を伝承する当会には、「気の流れ」の奥義を応用した「陽の技法」「陰の技法」があります(この技術については以前このブログで説明していますのでそちらを参照してください)。
これらの技法は筋力を直接使わずに運動エネルギーを利用するものです。しかし、運動エネルギーを伝える過程で相手に気づかれることがあります。この問題を解決するためには、「合わせの技法」が必要です。これは相手との接触点で力をぶつけず、かといって全く力を抜くわけでもない状態を作り出す技術です。そこには米ぬか3合程度の力が必要になり、これよりも強すぎると相手に察知されてしまいます。
(なお、合わせというのはときには脱力とも呼ばれることがありますが、単に力を抜くというものではありませんので、かなり練度が必要です。これに関しても過去にこのブログで説明していますので興味ある人はそちらをお読みください。)
ちなみに、「3合の力」という表現は興味深いものです。井口師範は氣の流れを「天の氣」「地の氣」「水火の氣(陰陽の氣)」の3つに分類しました。井口師範の合氣道ではこの3つの氣から得られる力を「3合の力」と表現されることもあります。
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注:
文科系の人には運動エネルギーというとわからない人がいるかもしれませんが、動いているものには運動エネルギーを持っていて、容易に別のモノにそのエネルギーは移動します。下の写真は静止したボールに動いているボールがぶつかり、運動エネルギーが静止したボールに移り動き出すという現象を示したものです。筋肉に相当する動力は一切使っていない点に注目してください。
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