みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
前回は正面打ちの心理学というか、打撃技全般に共通する心理についてお話ししました。空手や拳法の組手やスパーリングの経験のない人には少しわかりにくかったと思いますが、パンチなどの打撃技が当たる前に、「当たった」「当てられた」という心理的な関係が成立するということを覚えておいてください。
そこで、では正面打ちで、この心理的関係を利用するかということになりますが、そのためには、特別な目付、要するに目の使い方が必要になるとお話ししました。
その目付というのは、相手に情報を漏らさない合気道独自の目の使い方なんだけれど、かなりの秘伝中の秘伝になっていて、合気道を十年以上している人も具体的なやり方は知らないというのが現状です。
確かに、二代目・植芝吉祥丸道主が本で、目付の重要性を説いていますが、その実態は全く明らかにしていません。また、開祖・植芝盛平翁先生の言葉で、「相手の目を見てはいけない…」から始まる言葉は有名ですが、実際にどのような技術か明らかにしていません。
話はそれましたが、正面打ちを捌くことです。ちなみに、合気道では、当て身など打撃系の技を捌くことを、入り身といいます。入り身とは、「入り身一足」といって、一瞬で相手の死角に一瞬で入る技術です。
具体的には、相手の攻撃に合わせ、相手の死角に飛び込むことをいいます。相手の攻撃に合わせるという表現が、実は、相手が正面打ちを出そうとした気に当たってやるということです。そうすると、相手の手刀が自分の眉間を目掛けて飛んできます。それを一足で移動して、当たらないとように相手の死角にいどうします。要するに相手が当てようと考えた瞬間に、「当たった」と思うような態度をとるということです。
ここで大切なポイントは、手刀を避けるのではなく、手刀が飛んでくる前の気に当たってやり、その後に移動するということが、入り身では大切だということなんです。
そうするとどうなるかというと、相手からすると一瞬、こちらが消えたような不可解な感覚に囚われます。その瞬間が隙が出来たといわれる状態ですので、すかさず相手に技を掛けるわけです。
この様に考えると、入り身というのは単なる技の通過点ではなく、入り身こそが合気道の最も大切な本質と言えるというのがわかると思います。入り身によって隙ができれば、後はどの技を掛けても同じだということなんです。ですから、わが師・井口師範は「投げ技、固め技は単なる枝葉」と言いました。
今回は、少し話が長くなりましたが、正面打ちを捌くのは、入り身という技術を使うということです。その入り身を行うには、相手の気に当たり、相手の攻撃には当たらないということをしないといけないということでした。以上の点を注意して、稽古を行う必要があるということで、さらに正面打ちについては、次回に続きをお話しします。
なお、相手への情報を伝えない技術、目付については、アマゾンで電子書籍を出していますので、そちらをお読みいただくといいと思います。電子書籍では、かなり詳しく秘伝の目付についてかいていますので分からない人がそちらをお読みください。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07FHYGQKR
今回は、正面打ちを捌くのは、入り身一足ということでした。そのために相手に当たってやるという振りをするということでしたが、次回は、この振りについて具体的にどうするか書きたいと思います。