【フレームを壊す】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、前回は人は何か動作をするとき、必ずある一定のパターンの枠の中で行っているという話をしましたが、これをフレームというとお話しました。

NLP心理学では、リフレーミングといって、例えば負のフィードバックにはまっている人の心理のフレームを一度壊して、再構築することを行いますが、武道の場合はフレームを破壊して相手を戦闘不能な状態にし、リフレーミングはしません。

しかも、特に合気道の技には、このフレームを壊すことで技をかける技術が隠されています。

今回は、もう少しフレームを壊すという点について述べてみたいともいます。

漫才師がやるフレームの壊し方

かなり昔の話で、漫才師が誰であったのかすら記憶にないぐらい過去なのですが、思わず笑いで吹き出してしまったシーンが頭に残っています。

それは、一方が相方からハンカチを借りるシーンだったと思いますが、ハンカチを思わず受け取り損なって、下に落としてしまったのです。

すぐさま、ハンカチを渡そうとした人が、「あっ」と言って、急に屈んだかと思うと、ハンカチを拾うのではなく、自分の靴ひもを結びなおしたのです。

このやり取りがおかしくてつい笑ってしまいました。

これは、一般的なパターンである【ハンカチを落とす → 屈む → 拾う】のフレームを皆が持っていて、屈むという動作をした後の次の動作の期待はハンカチを拾うです。

ところが、次の動作で全く無関係なことを行って、その期待を全く裏切ることで、フレームを破壊しているわけです。

このようにコメディアンたちは、常識のパターンの枠を壊すことで笑いを作ることをよくおこなっています。

このように、フレームには、個人個人のフレームもあれば、ほとんどの人が持っている一般化されたパターンとしてのフレームも存在します。

武道と漫才の共通する点は、この一般化されたパターンのフレームを壊すことで、笑いをとったり、相手の思考を停止させることができるのです。


合気道でのフレーム破壊

合気道では、よくあるパターンとして次のものがあります。

  1. 弟子が師匠の手をしっかりと片手で掴みます。
  2. 師匠はその掴んだ手をもう一方の手で軽く触れます。
  3. さらに、その手を外して投げ技に移ります。

このフレーム破壊の術理を知らない人がこのシーン見ると、あたかも弟子がワザと手を離して、師匠に投げられているように映ります。

いわゆるヤラセというものに見えるわけです。

しかし、フレームという点で考えてみると、弟子がとるべきフレームは以下のようになります。

  1. 相手の手首を持つ
  2. 相手の手を固定して動かなくし、技が掛からないように邪魔をする

このフレーム内では、「相手は、動かない手を何らかの方法で動かそうとするだろうから、その力に逆らえばよい」という思考もパターンの中に含まれるわけです。

ところが、別の手で軽く触れられるというのは、その動作は弟子のフレーム内にない行為です。

その行為で、一瞬フレームが壊れてしまうのです。

これと同じように弟子が行うと、軽く触れるよりしっかり切り離した方が手は解きやすいだろうと考えます。

すると、しっかりと切り離そうとする行為は、手を持った方の想定内の行為(相手は手を離そうとしている)になりますので、十分に対応できるため、簡単に手を離してくれることがないのです。

このように、相手の一つの行動パターンのフレーム外の行動をすることで、相手のフレームが簡単に壊れてしまいます。

こういったことが合気道の技の随所でみられるので、2チャンネルではヤラセだとかよく言われるのです。


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