合氣道で当て身を重大視すべき理由

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、今回は一般の合氣道では殆ど重視されていない合氣道の打撃法である「当て身」の重要性について述べていきたいと思います。今回から何度かに渡り当て身を解説していきたいと思います。今回はその概要を説明します。

このブログでわかること

当て身は合氣道の技を行うために相手をけん制するだけのものではありません。当て身の稽古を行うことで合氣道の技に与える様々なメリットがあります。このメリットを知ることは合氣道の技の大きな向上につながります。特に当て身の指導を受けていない合氣道修行者の人には、 当て身の基本が身につくように、 手の作り方から基本的な知識を今回は述べますので、是非最後までお読みください。

目次

当て身の稽古の利点
当て身の基本の手刀と拳について
軸の考え方
実際の軸の使い方
当て身が合氣道の基礎となる理由

当て身の稽古の利点

当て身の稽古の利点を上げますと次のようになります。

①一人稽古ができる
②軸を使った統一体を作るタイミングの習得
③当て身を知ることは打撃技の対策となる
④身体の正しい運用の仕方がわかる
⑤ 合氣道の氣の技術が向上する

 合氣道修行者の大きな悩みはやはり一人で効率的な稽古ができないことではないでしょうか? しかし、当て身は一人で稽古できるものです。というかむしろ一人で稽古した方が稽古がし易いといえます。

 合氣道の技で呼吸力を使うには統一体が出来ている必要があります。しかし、稽古相手がいる場合、どうしても意識が相手に向かい、統一体を作ることより相手をどうにかしようとしてしまいがちになり、統一体を作る稽古が中々できません。しかし、一人稽古でできる当て身の場合、姿勢など十分注意して統一体を作ることを意識しつつ自分のペースで稽古ができます。それにより強固な統一体を作り、それを形稽古で活かすことができるようになります。

ファンタジーに出てくるように何でも効くポーションというのは実際には存在しません。毒の対策には毒をよく知り、それを中和する対策が必要です。それと同じように、打撃を知らずして打撃に対応するのは不可能です。ですから合氣道の打撃である当て身を深く知ることは護身の上でも非常に大切です。

打撃法というのは、単に暴力を振るうということではなく、そこには技術が存在します。その中には身体のバランスの取り方、タイミング、心身統一など様々な要素が含まれています。当然、それらには投げ技に関係する要素もあり、身体の運用の基本が当て身では学べます。

当て身は動さが非常に単純なため、氣の運用法も投げに比べ非常に単純です。ですから当て身で氣の運用を学んでおいてそれを投げに応用する方が非常に早道だといえます。

当て身の基本の手刀と拳について

一般的に多くの合氣道の道場では当て身が割合軽視されているようです。ひどい場合には拳の握り方や手刀の使い方すら教わらないケースがあると聞きます。しかし、 当て身は 、身体の動きをシンプルに表現する非常に大切な動作の一つでもあります

合氣道の当て身には、拳、手刀、肘、肩を使います。古い時代では蹴り技も稽古したといわれていますが、合氣道では主に手刀(てがたな)と拳(こぶし)が基本となりますのでここではそれらを説明します。

まず手刀です。師匠の井口師範の指導した手刀で説明します。指を開き、気を籠めます。このとき指は打撃をした時に衝撃でお互いにぶち当たらないように図のように指は揃えないで開きます。氣を籠めるというのは、 少し力を加えられても動かない程度に 指を一本一本の張りを強くします。

拳の作り方は、小指から順に強く握っていき、最後親指で包み込んだら、ふっと力を抜き2~3ミリほど緩ませてから、拳の内側に籠った氣が拳の外側に回るように氣を張ります。こうすることで、拳の内側に向かった氣を拳の外側を覆うように意識することで、固いものを殴っても氣で吸収することができるようになります。

そうすることで相手の頭蓋骨を叩いて骨折するということが少なくなりますが、それでも万が一のためにその手で毎日固いものを叩きある程度慣れておく必要もあるとのことです。ただし、合氣道の場合は当て身は空手や拳法のように主体ではなく一撃必殺を目指すわけではないので、強くするかどうかは後は趣味の問題になるでしょう。

軸の考え方

合氣道では体軸が3本あると考えます。身体の正中線を通った軸と、両乳首に沿った2本の線です。基本的には、正面打ちは正中線を使い、それ以外の当て身は、右手での打撃は右側の体軸、左手での打撃は左側の体軸を用います。

*各自軸の使い方に口伝あり

実際の軸の使い方

合氣道で当て身を実際に行う際は次の2点をまずに決めて行う必要があります。

①どの軸を使うか
②どう氣(力)を流すか

合氣道の当て身は、基本的に地球から氣を借りて行うので、この2点を意識することが非常に大切です。

軸とその軸を中心とする回転運動を連想する人がおられるかもしれませんが、当て身で使用するのは、統一体を作るのに使う天地を貫く軸です。

そのため最初に軸を決め、その軸での統一体を作り、それから地面とつないで地球の氣を借ります。ここでは氣と言いましたが、実際は科学的に解釈した場合、軸の使い方によって地面からの力を使う場合と地球の重力を使う場合の2通りあります。

この2点を決めるだけで、軽く出したパンチや手刀でもかなりの打撃力を示します。この2点が正しくできると、ボクシングで悪い例と言われる「手打ち」のパンチですら女性でも強力な打撃力を実現します。

当て身が合氣道の基礎となる理由

合氣道での当て身を行う場合、即座に軸を決め、その軸で統一体を作る必要があります。統一体は合氣道の各技において必須の条件ですので、当て身の稽古で瞬時に統一体を作る訓練ができていると当然、投げ技や固め技において、どういった形で統一体を作ると良いかというのが判断できるようになります。その結果、合氣道の技の効き目がかなり向上します。

ですから、当て身の運用は、単に相手をけん制するだけのモノではなく、投げ技においても身体の使い方という点においては、当て身の運用と同様に軸に対して統一体を作るため、同一と言えます。ですから、一人稽古で当て身の稽古をするのは形における投げ技を正しく運用するために必要な基礎力を身に付けるのに非常に有効なわけです。

  ◆   ◆   ◆

いかがでしたでしょうか? 当て身の一人稽古の大切さがわかっていただいたのではないでしょうか? 次回は、最も一人稽古がしやすい入り身突きについてお話ししたいと思います。

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「合氣道で当て身を重大視すべき理由」への3件のフィードバック

  1. 当て身と柔法の身体の使い方は同じと思って練習しています。

    当て身の練習で鞭のようなパンチは手先の意識を抜かないと、最後まで伸びずにスピードが出ないところから、柔法でも手先の意識を抜く方法が何となくわかった部分もあるし、
    柔法で手を持たれる時に備えて早く動き出す練習で当て身での先の先がわかってくる気がしています。

    1. mimoさん

      コメントありがとうございます。
      当て身の稽古の大切なポイントは、接触時にあります。統一体が出来ていると、接触時に相手の力を地面に流れます。
      投げ技や固め技でも基本は同じですが、やはり当て身の方が時間が早い。ですから、当て身で接触時の相手の力が地面に流れる感覚を作っていると投げ技や固め技に応用が利くわけですね。

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