合気道では呼吸力が大切といわれています。しかし、指導者により考え方がまちまちで、合気道修行者は、ほとんどその実体はわかっていないというのが実情ではないでしょうか。
井口師範は、「呼吸力を使うと、重いものを軽くひょいと持つことができる」
と、説明しています。
ところで、多くの指導者は、「呼吸力とは、力を使わない技術」というような指導をし、弟子たちに「力を使うな」と指導します。
すると、弟子たちは、「取り(技の掛けて)が呼吸力を出したときは、受け(技の受けて)は、力をまったく感じず、フワッとした感覚になるはずだ」と勘違いをします。これが呼吸力だと、多くの合気道修行者が考えていることではないでしょうか?
ところが、井口師範の呼吸力をまともに受けたときの感じは、まるで軽自動車VSブルドーザーの押し合いのような、こちらの力が圧倒的なパワーにつぶされるという感がありました。
「翁先生(合気道開祖)の呼吸力もすごかった」
と、井口師範は言っていました。
また、
「吉祥丸二代目道主に、座り技呼吸法で、呼吸力で逆らったとき、呼吸力がぶつかって、指が変形した」
と、言って、私に曲がった指を見せて、
「『井口さん、私はまだまだ負けませんよ』と僕を睨んで言っとった。それから、後で、大阪の田中万川(大阪合気会の創始者)が『井口さん、相手は二代目やで、ちょっとぐらい加減せなあかんで』と言われた」
と、笑いながら私に話してくださいました。
このように、多くの合気道修行者は勘違いをしています。
実は私も、井口師範に師事し初めたとき、同じことを考えていました。
というのは、呼吸力というのが分からなくて、いろいろな本を読んで調べたのですが、そのようなことを言っている人が圧倒的に多かったのです。
そこで、
「呼吸力というのは、本などを見ると、人それぞれ言っていることが違うようですが、一体どのようなものなのでしょうか?」
と、井口師範に質問しましたところ、
「曰く、それな、どれも正しくて、どれも正しくない。
何故かというと、それは呼吸力の一面しか捉えてないからや。
呼吸力は、受け手の受け方次第で、感じ方が違う。ある時は、まるで雲か霞を押してるごとくフワフワして力がはいらなかったり、まるで戦車を手で押しているかのように圧倒的な力でやられたりとな。
僕のようにな、時々とはいえ、翁先生や吉祥丸二代目道主に遠慮なく逆らう人は滅多にいないから、呼吸力の実体がわからんモノが多いんや。そやから、皆、まちまちなことを言うんや」
と、応えてくださいました。
ですから、万全の備えをしている相手であれば、呼吸力をまともに受けたなら、相当な力と感じるものなのです。
例えば、私がある道場の方に、呼吸力の出し方を教えましたところ、その方が、自分の道場で呼吸力を出して行うと、
「凄い腕力ですね」
と、必ず言われるそうです。
「力を入れていない」
と、いくら言っても
「そんなことはありません。凄い力です」
と、言われ、力を入れていないといってもまったく信じてくれないそうです。
このように、多くの人は、呼吸力というのを「あれよあれよと思う間にやられてしまうモノで、力は感じないはず」と、勘違いをしているのです。
ちなみに、井口師範の技にも、そういう力を感じさせない技があります。呼吸力にはそういった一面もありますが、それとは別に、そういった技が二種類あり、当会では、『皮膚感覚の技術』と『空間感覚の技術』と呼び、稽古しております。
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ご興味を持たれた方は、一般稽古の無料体験にご参加ください。
なお、個人指導におきましても、20分~30分間技を体験していただいて、もしご興味があれば、その後、原理を有料の指導で行っております。合気道以外の武道をしている方でも結構ですので、ご興味をもたれた方は是非一度ご連絡ください。
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