皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
さて、前回は3つのプロセスと「受け入れ」「合わせ」「導き」の概要を説明しました。今回は「受け入れ」について詳しく述べたいと思います。
このブログを読むと
合氣道の技は相手との関係性で成り立ちます。その相手の関係性を成立するための第一歩が「受け入れる」ことです。この受け入れの考え方をステップをおって説明しますので、最後までお読みいただくと、次の段階の「合わせ」「導き」などが正しく理解できるとともに技にも活かせるようになります。
目次
・第一の受け入れとは?!
・技の中での受け入れとは?!
・氣を受け入れるために必要なこと
第一の受け入れとは?!
合氣道の特徴は、敵対するのではなく相手と調和しながら技を行う点にあります。そのため、合氣道では技のプロセスとして、「受け入れ」「合わせ」「導き」という3つの段階が存在します。
今回は「受け入れ」の段階に焦点を当てて説明いたします。
「受け入れ」とは、合氣道において相手を敵味方の区別を超えてそのまま受け入れることを意味します。合氣道では相手を認識した瞬間から、「受け入れ」の心構えを持ちます。そのため、技を行う際には「用意、はじめ!」などの合図は必要ありません。
言い換えれば、相手を認識する瞬間から、すでにその存在を理解している状態です。したがって、合氣道では適切な間合いを保持することが重要であり、相手の感覚を捉えるためには、一畳、三畳、六畳などの3つの畳の間合いが考慮されています。
一畳の間合いは約180センチですが、日本人の平均身長が小さかった時代の背景を考えると、現代ならばおおよそ2メートル、6メートル、12メートルに相当します。当然、遠い間合いで相手を感じることは、自分に有利な状況を作り出し、技をかけやすくなることを意味します。
また、この間合いの概念は、相手が一人であるだけでなく、複数の人間を考慮しても有効です。
合氣道を護身術の観点から学ぶこともありますが、その場合、多くは「相手が〜されたら」という状況から始まるケースがあります。例えば、合氣道の指導者が護身術の講習を行う際には、暴漢に手首を掴まれた場合の対処法などを指導することがあります。
しかしながら、武道的な視点からは、そうした状況においては既に遅いと言えます。手首を掴まれるだけならば、それ自体は比較的安全ですが、相手が刃物を使用して襲ってきて、腹部を刺されるような状況を考えると、こうしたケースに対応するのは難しいでしょう。
合氣道では、そうした非現実的な事態を予測せず、むしろ相手の間合い(距離)を遠くに保ちながら対処することが求められます。剣道や居合術における相手の遠くからの攻撃のイメージに近いと言えるでしょう。相手がおおよそ2メートル以内に近づく前に、相手の存在を感じる意識を持つことが大切です。これは、いつでも相手の動きに注意を払い、攻撃が起こった場合に即座に対処する心の準備をすることを意味します。 「受け入れ」という概念は、遠い間合いから相手を認識し、受け入れの準備をするだけでなく、技の中での別の側面も含まれますので、この考え方を他の「受け入れ」と区別して「第一の受け入れ」と呼びます。
合氣道では、相手との衝突を避け、技を発動するための「受け入れ」の概念を事前に心に持ち、技を繰り出すことが求められます。合氣道を護身術の一環として学ぶ人もいますが、実際の合氣道の世界では、「受け」と「攻撃を受ける」段階で気づくことは遅いです。合氣道の理念は、できる限り遠い間合いから相手の動きを感じ、認識し、適切に対処することです。
技の中での「受け入れ」とは?!
まず、技の中での「受け入れ」について説明する際、合氣道の稽古において非常に重要なポイントを伝えたいと思います。
合氣道の型の稽古では、「取り(技をかける役)」と「受け(技をかけられる役)」に分かれて練習します。最初に「受け」が「取り」を攻撃することから始まります。この段階で重要なのは、物理的な接触が起きる前に、「受け」ができるだけ自分の気をしっかりと出し、相手である「取り」に攻撃することです。
なぜなら、技の中での「受け入れ」において、相手が動き始める際に出す気を受け入れることが求められるからです。
したがって、「受け」は打撃技を出す場合、確実な狙いを定めて、しっかりと当てる意志を持つ必要があります。こうした姿勢を持つ人に対して、「合氣道は和の武道であり、攻撃的な気持ちを持つことはゆるされない。この人は合氣道をする資格がない」と誤解されることもあるかもしれませんが、本当はこうした姿勢こそ取りである相手を成長させるものです。何故なら「相手の攻撃的な気持ちさえも受け入れ、調和させる」ことが合氣道の本質であるからです。
合氣道は気の武道とされますが、自分から強力な気を発することで無敵になるというわけではありません。むしろ、相手の気を読み取り、その気に調和することが大切です。謂わば合氣道は気のキャッチボールと言えるでしょう。
そのため、「受け」が適切に気を発しなければ、「取り」による技の練習は成り立ちません。とはいっても合氣道は調和を重んじる武道であり、「受け」は本気で相手を攻撃するようなことは避けるべきです。攻撃が当たる前に止める「寸止め」の精神が大切ですが、「受け」は気を最大限に発することが求められます。
「受け入れ」の考え方に戻りますが、技をかける「取り」は相手の気を感じ取り、それに対応することが「受け入れ」です。ただし、気を受け入れる瞬間は非常に短いものです。もちろん、相手の気を感じて立ち止まっている間に攻撃されてしまうこともあります。
気を受け入れるためのアプローチ
次に、「気を受け入れる」とはどのようなことか、という疑問が生じるかもしれません。気は目に見えないものですし、その受け入れ方について「どうしたらいいのかわからない」と感じる人もいるでしょう。
しかし、実際には気は誰もが感じているものなのです。ただ、それに気付いていないだけです。
例えば、格闘技の経験がない素人に限って、いきなり殴られそうになると、一瞬身体が固まることがあります。これは相手の攻撃の気を受けて、反応が出るからです。
合氣道では、この相手の気を感じる瞬間を受け入れ、即座に相手の気に調和することを指します。そのため、相手が本気で攻撃してくるならば、それは非常にありがたいことです。
植芝盛平翁が創始した頃は、さまざまな武道の経験者が共に稽古をしており、本気で攻撃することが普通でした。その時代では、わざと攻撃法を教える必要がありませんでした。しかし現代では、武道の経験がない人も増え、しばしば「本気」や「殺気」といった概念が混同されることがあります。そのため、「受け」の役割を果たす者が非常に「本気」で攻撃することが難しいと感じるかもしれません。しかし、「取り」が「気」を感じる感覚を養うためには、受け側が「本気」で攻撃を行うことが必要不可欠です。
こうした相手の気を感じる稽古を繰り返すことで、次第に「気」に対する感覚が鋭くなり、相手の気を受け入れる意味がやがて理解できるようになります。
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いつもありがとうございます。
1、2ヶ月前ですがワンツーパンチを初めて受けてみたとき撮った動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=Vq_LBQc03Og
相手はボクシング経験はありませんが、顔面以外どこでも思い切り当てていいので2発パンチを打ってくれと言ってあります。
タイミングやスピードは相手任せだったのですが、こちらはタイミングを合わせたわけではなく、思考を挟まず何となく前へ出て手を出しているという感じです。
留意したことは、脱力して相手のパンチは当たってもいいから気にしないで相手の方へ入っていくことくらいです。
最後は何となく、倒せる体勢になったので倒したという感じです。
氣は特に意識しませんでした。動画の後にもやってみましたが、いつもこのタイミングで身体が入っていくようです。
結果を見ると受け入れているような気はしますが、なぜそのタイミングになるのかはよくわかりません。修正が必要かもしれません。
mimoさん
いつもコメントありがとうございます。
まず「第一の受け入れ」を畳一畳分を空けて行うことで技術が成り立ちますので、相手との間合いを大きくとって始めている点がとても良いと思います。
打撃武道経験がない人は氣が出てからパンチがでるのにかなりタイムラグがでるため、できれば打撃系武道の経験者と防具を付けてマススパーリング(軽くあてる組手)を行われ、mimoさんもそういった動きに慣れられて、さらに検証を重ねられると研究ががもっと進むと思います。
返信ありがとうございます。
そうですね。
5、6年前まではよく日本拳法有段者、キックボクサー、ボクサーなどと防具スパーリングをしてました(僕自身は元少林寺拳法)が、3年くらい前にこういう武術を知ってからはコロナもあって、そういう機会がなくなっています。
これから先はそういう機会があるかどうかはわかりませんが、あったら検証してみたいと思います。
それは素晴らしいですね。
では、そういった知り合いも多そうなので、是非試してみられると良いと思います。
僕はジークンドーをやっているとき、若い人とスパーリングをやると体力的についていけなく、合氣道の術理を試したところ非常に有用であることと気づくとともに、いろいろと試してみて多くのことに気づくことができました。
これまでのことを活かしてスパーリングしてみたいところですが、残念ながら環境が変わってしまって機会がない確率が高いです。😅
スパーリングできなくても、技を試す機会はたまにあるので、それでやってみます。
ありがとうございました。