合気道で技術を教える難しさ

最近、合気道の技術を教える難しさを感じています。自分ではかなり理論を整備して、教えているつもりなのですが、微妙な感覚を伝えるのは難しいように感じます。今回の内容は非会員の方にはあまり分からないと思いますが、そんな技術もあるのか程度でお読みいただければと思っています。

ところで、中国拳法の修行者の人に「合気道を修行者が、ある程度二人で行う通常の形が分かってくると、それを一人で行えるエア合気道ができるようになります。」と、昨年話したところ、「一人で稽古できる形を作ってほしい」といわれ、、皮膚の技術を使った形を制定しました。

ところが、この形を皮膚感覚の技術をメインで稽古する段階になった人にさせると、非常に難しようです。

そこで、私自身で、皮膚の技術を意識して演武したあと、皮膚感覚の技術を意識して形を演武してみますと、手の動きがまるで違う!

どう違うかというと、正面打ちの技を、皮膚の技術で行うと、手の軌跡は、丹田当たりにあるところから、真っ直ぐ額の前の正面に行き、そこで手首の裏が相手側に返りますが、皮膚感覚の技術で行うと、右正面打ちを捌く場合を考えますと、下にあった右手は、一旦、親指が相手側を向いて自分の左顔面をガードする位置を通って掌が返りながら正面にでます。

なぜそうなるかというと、皮膚の技術は直接相手に呼吸力を伝え、皮膚感覚の技術は間接的に呼吸力を伝えるから、皮膚感覚の技術では螺旋の動きが入るためです。

では、どちらか一方の技術に統一した方がわかりやすいのではということになりますが、初心者の人にはいきなり皮膚感覚の技術は難しく、皮膚の技術から皮膚感覚の技術に持っていくのが最適と思われます。

また、護身を考えた場合、修行者の技術が多いに越したことはありません。それに、皮膚の技術も皮膚感覚の技術も非常に大切なベーシックな技術であり、骨の技術の上位技法で、次の空間感覚の技術の基礎となる技術ですので、どちらも重要です。ですから修行者にはどちらも習得していただく必要があります。

ただ、現状を見てみると、学んだ人たちが混乱しているという状況のようです。そこで、今後はこの違いを教えていく工夫が必要だと感じました。

これを読んでいる会員の方も、皮膚の技術と皮膚感覚の技術と違いに十分気をつけて学んでください。