目と苛められっ子

空間感覚の技術というのは、当会の秘伝技術ですが、これは実演しないと分からない技術なので、言葉では説明できないが、その中核は、目の使い方にあります。

ところで、以前、中学2年生で学校で苛めに会っているという男の子の相談を受けたことがあります。彼を見て、先ず気がついたことは「目が負け犬の目になっている」ということでした。彼と面と向かって目を合わせると一瞬「視線が逃げる」のです。

そこで、その子供に、相手の顔を見て目を見ない方法を教えました。いわゆる剣道の『遠山の目付(えんざんのめつけ)』というものと同じような目の使い方です。

しかし、剣道をしている人に聞いたところによると、『遠山の目付』では、相手の目をしっかり見るようにと指導されるそうですので、これとは少しことなるかもしれません。

合気道の空間感覚の技術では、「相手の目を見るとこちらの意識が読み取られる」と教え、完全な情報遮断の目的で相手の目を見ずに相手全体を見ます。

そうすると相手は、自分の方を見ているので、視線をそらされた感じがしません。ですが、相手からはこちらが何を考えているかわからないという状況となります。

さらに、彼は体が大きい方なので、体の重みを有利に活用する即席で使える護身術を教えました。

先日3ヶ月ぶりに、彼と会いましたところ、最近まったく苛められなくなったと言っていました。このように単なる人と人の間のことでも、目が非常に大切だということです。

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