みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
さて、手首取りの技の意義について今回で11回目となりました。といっても最近は「当て身」の話ばかりになり、手首取りはどうなったと思われている人もいるでしょう。
今回からは手首取りの話に戻りたいと思います。ただし、具体的な技ではなく手首取りのための稽古法の話になります。
前回まで「最外殻の気」の制御ということで「当て身」の話をずっとしてきたわけですが、「当て身」で「最外殻の気」が動かなくなっても実は、相手に手を取られるとやはり、「最外殻の気」はその取られた手首に集まります。
「最外殻の気」が手首に集まると、すぐに自分の動きが相手に伝わります。ですから、例えば手を挙げる動作をしようとすると、その前に相手に察知され抑えられてしまいます。井口師範がおっしゃられた「ああしよう、こうしようとしない」ということですが、これは言い方を変えると「『最外殻の気』を手首に集めない」ということに他なりません。
それぐらい相手の接触というのは非常に厄介です。空間にある「最外殻の気」ですら感じられてしまうのですから、接触していると余計に「最外殻の気」は相手に感じ取られてしまいます。そういう意味で、先ず相手の接触なしに「最外殻の気」をコントロールする稽古が必要だったのです。そこで、ようやく手首取りにおいて如何に「最外殻の気」を動かさないかという話に入って行ける訳です。
実は手首を持たれた状態で「最外殻の気」を動かさないというのはかなりハードルが高いのです。では、どうするかという話ですが、話は簡単です。手首を意識しなければいいだけです。しかし持たれているところを意識しないというのは読者の方もかなり難しいでしょう。
そのため、手首に自分の「最外殻の気」を集めない稽古をします。ここでは、手を挙げるという動作に絞ってお話ししていきます。先ず相手に片手で自分の手首を握ってもらいます。そして、一切自分の手を見ず、空間の手を持ってきたいところだけを見つめます。すると、あなたの「最外殻の気」はあなたの見つめたその空間に集まります。
その時点で、あなたの手がその空間に出現したと思って、その空間に出現するよう動かしてください。あなたの意識がもし手首になければあなたの手はすぐにその空間に向けてあがるでしょう。
これが自分の「最外殻の気」の性質を使った技術です。しかしこれにも限界があります。というのは、自分と相手の力差が大きいと、この技術が効かないことがあるからです。
言い換えると後ろ取りで無理な位置に手を持ってこられると、こういうやり方をすると関節を痛めたりする恐れがあります。ですから、器用な人以外は後ろ取りではかなり危険ですのでしない方がいいです。とにかくこの稽古方法は、「最外殻の気」を手首に集めないためのもので第一ステップだと思ってください。