打たれ強い体を作る短式呼吸法

皆さん、お元気ですか? 僕はめちゃくちゃ元気です。

前回まででは、禅に始まり、天の鳥船の行・振魂の行などのシステムは合氣道においてどのような地位にあるかということを示しました。特にそのチェック方法を通じて非常に有効であるということが分かったのではないでしょうか?

今回からは、当会で会員の指導している段階で発見したそのシステムを補強するトレーニング法をご紹介していこうと思います。この補強法は元々は氣功の鍛錬法から拝借したものです。

元は中国仙道研究家の高藤聡一郎氏の練氣功という気功から合氣道に合った形にアレンジしたものですので、オリジナルと若干異なるところがりますので予めご了承ください。

このブログでわかること

今回は腹式呼吸法を使った身体の強化方法を扱います。 短式呼吸にフォーカスしてやり方を詳しく解説するとともに、徹底的に打たれ強い体の作り方を説明します。これに基づいて鍛錬することで腹筋で固めた体よりも打撃が数倍効きにくい体になることができます。

目次

・合氣道と腹式呼吸法
・仙道の練氣功の短式呼吸法
・逆腹式呼吸法
・呼吸による身体強化法

合氣道と腹式呼吸法

合氣道の道場での一般の稽古では余り呼吸の仕方の指導はされないのが普通ではないでしょうか? ところが、技のような 身体活動において呼吸もまた大切な要素の一つです。

具体的には、臍の下にある臍下丹田(下丹田)に意識を置いて肚(はら)に気を充実させて技を行いますが、このとき使われるのが複式呼吸です。

腹式呼吸には二種類あり、息を吸うときに腹を膨らませる通常のやり方と逆腹式呼吸といわれ息を吐くときに腹を膨らませるやり方があります。

通常の複式呼吸のやり方で技を行う場合、大切なのが吸う・止める・吐くのタイミングが大切です。通常の腹式呼吸では技の極める際に、すなわち呼吸力を出す際には止めるタイミング行います。

また逆腹式呼吸ができるようになっている場合は、息を吐く際、息を止める際、どちらでも呼吸力が発揮できますので、技の内容によって臨機応変に使うことができます。

どちらにしても、合氣道では腹式呼吸をマスターしておく必要があります。通常合氣道では禅のときにこの腹式呼吸を行いますが、習得のしやすさからいうと、次にご紹介する仙道(気功のもととなった仙人の修行法)の練氣功で使われる短式呼吸が武道用の呼吸法としてはかなり有効です。

仙道の練氣功の短式呼吸法

短式呼吸法は通常は立って行います。やり方は次の通りです。なお、呼吸は腹式呼吸で息は吐くときは口から、吸うときは鼻から吸います。

  1. 足を肩幅に開き左右の足を平行にし、腰に手を当て立つ
  2. 「シュー」という音がでる強さで口から息を吐き膝を緩める
  3. 鼻から息を吸いながら膝を伸ばしもとに戻ります。
  4. 2~3を1秒から1.5秒間隔で何度も繰り返します。

繰り返しの基準は60回です。

逆腹式呼吸法

ある程度日数続け、腹式呼吸に慣れてきたら次は逆腹式呼吸で行ってください。 膝を緩める際に息を吐きながら下腹部を膨らませ、息を吸いながら膝を伸ばしつつ下腹部をへこませます。

はじめはちぐはぐな感じがして、やりにくいでしょうが、逆腹式呼吸に慣れてくると、お腹を膨らませるとかなりの内圧(腹圧)ができるようになることに気づくでしょう。

この内圧はまるで空気のはいったボールのような感じがします。腹筋に力を入れなくても、腹部が固くなり非常に強くなります。ちなみに昔の仏像のほとんどがお腹が飛び出しているのは、腹圧をかけているのを現しているということです。例えば金剛力士像(仁王)もお腹だけがポッコンと 膨れています(写真)が これも腹圧がかかっている状態を示しているのです。

また、良く一般の人たちの会話で、お腹が出ている人をみて貫禄が出てきたなどということがありますが、実は禅などの修行でお腹が仁王のようにポッコンと膨れてきたのを元々はさしたようです。

呼吸による身体強化法

逆腹式呼吸で腹圧が強くなり、お腹が外に張り出して、まるで空気の満タンになったタイヤのような感じがでたら、次は腹部を打撃による強化法を行います。これは私の合氣道の師匠である井口師範からも学んだことですが、仙道の方がより明確なやり方がしめされていますのでそちらで説明します。まず仙道では立禅の状態で、次のような手順で呼吸を使いながら打撃を行います。

  1. 立禅の姿勢で立つ
  2. 手を軽く握る
  3. 拳の掌の小指側の側面の分厚い部位(鉄槌)で息を吐きながらお腹を膨らませた状態にして打ちます。

初心者は軽く、慣れるにしたがって強く打ちます。鳩尾(みぞおち)部分はかなりゆるく打っても気持ちが悪くなりますので徐々に慣らしていきます。

鳩尾の鍛え方としては、鳩尾周辺で軽くたたいてあまり応えないところから始め、慣れるに従い徐々に日数をかけて鳩尾に近づいていくと良いでしょう。

先日のブログでご紹介したように2月26日(日曜日)に空手教室にて統一体を指導しましたが、その際に、空手黒帯の100キロ級の人の渾身のパンチを鳩尾に数発受けましたが何ともありませんでした。

体重100キロ級の渾身のパンチを腹で受ける

この様に呼吸を伴って腹圧を鍛えると非常に強いお腹が出来上がります。是非皆さんも試してみてください。

  ◆   ◆   ◆

以上が短式呼吸です。ほとんどの合氣道の道場では具体的な腹式呼吸法は教えていないと思いますが、これは開祖が指導されていたころは様々な武道経験者が直弟子であったため必要がなかったからだと私は考えています。

私の場合も井口師範に腹式呼吸の仕方をお聞きするまで全く教えていただくことがありませんでした。井口師範は無意識で鼻をフンッとならす癖がありましたが、息を吐きながら身体を鍛えた名残だったのだと思います。というのは、身体を叩く指導を受けたときやはり鼻をフンッと鳴らしていましたからです。

今回までは、合氣道の稽古で学んだ鍛錬法を述べましたが、次回からは、合氣道の動きに関連する気功法に関してのべていきます。

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「打たれ強い体を作る短式呼吸法」への3件のフィードバック

  1. こんにちは、
    腹パンチと言えば、台湾の武術家・王樹金が有名ですね。あらゆる空手家に腹を打たせて古参させる。
    その弟子・地引秀峰の正宗太極拳の道場に以前通っていました。道場の練習を今度は家で一人稽古して、数年してようやくリラックス・脱力を身に付けました。

    1. カシンさん
      王樹金老師は台湾政府から正式に推薦された超一流の武道家で、その功夫は非常に深く常人の及ぶところではないと伺っています。ですから私の腹パンチでは王樹金老師と比較にならないので私など足元にも及びません。ただ、呼吸法と併用すると腹筋で鍛えた腹よりもかなり強くなるとともに一度鍛えておればやらなければ腹筋のようにすぐに弱くなることが無いので、記事として書きました。

      1. 逆式呼吸法と言う言葉を知ったのは11年前、太極拳を始めて次に形意拳の五行拳を始めた時に、松田隆智の本を読んで初めてその言葉を知りました。
        実際何回か使って五行拳を行なっていたが、凄く不自然な呼吸法なのですぐやめてしっまた。
        ところが数年後、五行拳をしながら呼吸法を確かめたら、吸っている時には腹がへこみ、吐いた時には腹が膨らんでいる逆式呼吸法になっていました。
        この事で硬い力やパワーではなく、リラックスする事によって、力強いパンチとスピードが身に付けました。
        そんなことを体感してから、本当の力持ちとは、アメリカ人の様な筋肉ムキムキではなく、力士のお腹ポッチャリ型の方が常に下半身に重心を下ろしているので、足から上半身にかけてスムーズに力が伝達できる怪力の持ち主だと知り得たのです。
        女性にとっては見た目が悪いので嫌がるのが欠点かな。

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