全国的に合気道の道場では、初心者のうちから、多かれ少なかれ「気」を指導しているのではないかと思われます。そして、長年の熱心に稽古さえすれば、その「気」をコントロールすることができ、物理的な力を使わなくても、あらゆる敵を制することができると、考えられている人が多いのではないでしょうか?
ところが、初心者の方ではなく、高段者になった人で、「気」が理解できた人はどれぐらいいらっしゃるのでしょうか?
私も、二十年近く合気道を修行しましたが、「気」に対する答えはでませんでした。才能がないといえばそれまでですが、それは多くの合気道家が行き詰る点のようです。
ところで、井口師範が指導された「気」を、別の角度で整理分析し、別のアプローチで初心者に教えると、合気道を十年以上修行し、「気」が理解できるようになったという人がようやくできるような技術を週2回の稽古で1ヶ月ほどでできることを発見しました。
井口師範は「気」を使った技術をさまざまな「秘伝」という形で私に教えてくださいました。そして、それら秘伝を、前回の井口師範の秘伝で書いたように、よくよく分析しましたところ、状況により、さまざまな様相があるように感じ、一度別のアプローチを試みました。それが当会で教えている「骨の技術」~「空間感覚の技術」の基本となるものです。
その「気」を使った技術を、大きく分けてみますと2つに分類できます。その2つとは、接触している場合と非接触の場合に働く「気」のあり方があるということです。さらにそれらは次のように、別のアプローチから説明できます。
●接触してはたらく「気」
①物理的に作用するのがメインで運動エネルギーで説明できるもの
②感覚的に作用するのがメインで運動生理学等で説明できるもの
●非接触ではたらく「気」
③人間の無意識の反応を利用するもので心理学的に説明できるもの
④「テレパシー」でしか説明できない超心理学的なもの
これは飽くまでも私の見解であり、これはおかしいと思われる方も、たくさんいらっしゃるでしょうが、このように理解することで、多くの合気道家がぶつかる壁を突破できるのではと思います。私が指導した一部の合気道家の方の中にも、このアプローチで、「道場で唯一別次元で合気道をしている感覚でできる」といわれた方もいらっしゃいます。本ブログが、少しでも、合気道に悩んでおられる方のヒントになればと考えています。次回は、①について述べていきたいと思います。では、お楽しみに。