【形稽古の注意点】

8月4日、関東からある男性が、当会の技術の個人指導を受けに来られました。

この方は以前、空手をベースにしつつ、ムエタイやカポエイラを少し習ったと言われていました。

当会の技術に興味を持った理由を聞きますと、
「打撃系格闘技では、過剰防衛になる恐れが高く、また相手をかなり痛めないと護身に使えない点に疑問を感じた」
ということで、合気道関連についていろいろと調べていたら当会の映像に行き着き、当会の映像をみていると、
ただ事ではない何かを感じ、個人指導を受けることにしたとのことです。

個人指導を終えたこの方から、当会の技術を非常に高く評価していただき、大変喜んでお帰り下さいました。

ところが、今回私なりにとても反省させられた点を感じ、記事として書きました。

その反省点といいますのは、合気道初心者が形稽古においてやってしまうような失態をやってしまったことです。
具体的には、当会の「空間感覚の技術」の説明での実演の際、バットで一度頭を殴られてしまったのです。

バットと言っても、おもちゃのバットなので全然ケガはありませんが、【本質】の指導中に、【本質を忘れた動作】をしてしまったことに、指導者として深く反省をしております。

もう少しことの詳細を説明しますと、「空間感覚の技術」を説明するために、相手の方に、おもちゃのバットをもってもらって好きなように殴ってもらい、それを避(よ)ける技術を体験してもらおうとして、何度か殴りかかってきていただきました。

その何度かの繰り返しの際に、私はあろうことか、空間感覚の技術を用いず、単に機械的にバットを避けようとしてしまったのです。

特殊な技術を使っていませんし、おもちゃのバットは非常に軽いので素早く反応できますので、当然、頭を叩かれても仕方がありません。

しかし、つい機械的な動作に陥り、何も考えず迂闊に動いてしまったことはまだまだ修行が足りないとしか言いようがありません。

師匠は、「何も考えずとも体が自然に意図を作って動かなければ達人とはいえない」と言っていましたが、師匠の足元まで全く程遠いと思いました。おもちゃのバットは非常に軽いため、相手はこちらの動きに早く対応できます。それをわかっていながら、このような状況になるのは、本当に未熟としか言いようがありません。

会員の皆さんも、形稽古において私のようなミスをする可能性がありますので、勉強のため、今回の件をもう少し詳しく説明しておきます。

空間感覚の技術の使い方は
①相手との間合い、特に相手がどこで攻撃するかという間合いを測っておく
②相手がその間合いに入る前の瞬間に空間感覚の技術を発動する。
ということになります。

空間感覚の稽古では、よく皆さんもよくやってしまうことに、①をして、②のタイミングが遅れるのはよくあります。

ところが、私の今回のミスは、①すらしなかったことにあります。
(①をしないということは当然②もできないので、空間感覚の技術を使えなかったということです)
何度も技が繰り返されたため、つい気が抜けてしまい何も意図せずに動いてしまったのです。

これは、空間感覚の技術だけではなく、どの稽古においても会員の皆さんも充分注意する必要があると思います。形稽古をやっていてもっとも陥りやすい点です。形稽古では、何も考えずについ淡々と技をただこなしてしまいますと、気の抜けた稽古にしかなりません。意図をもって意図通り技に掛けなければ稽古してもしかたがありません。

しかも、こういった気の抜けた稽古は癖がつきます。癖がつくと、私のように肝心なときでも、ふとやってしまうことになりかねません。

このようなミスをしたことは、指導者として本当に情けないと思いますが、自己の反省と皆さんへの反面教師という意味から記事として書きました。