皆さんお元気ですか? 私はメチャ元気です。
さて、今回から、かなり曖昧な言葉「呼吸力」について書いていきます。
合気道では、「呼吸力」を重視します。
「呼吸力」というのは、ウェイトトレーニングで鍛えた単なる力と区別するために用いる合気道独特の言葉です。
「呼吸力」を端的に言えば、「気」を用いた力を示します。ところが、それだけの説明で、さまざまな誤解を生じているのが現状じゃないでしょうか?
そのため、合気道をしている人に「呼吸力とは?」と問いますと、さまざまな答えが返ってきます。しかも、その答えは、非常に曖昧なのです。
それは合気道指導者についても同じことが言えるでしょう。ある道場では、「息をハ~と出せば気が出る」と指導していました。私の目から見ると、単に筋肉を使った力の出し方にプラスして「ハ~」と掛け声を出しているだけにしか見えませんでした。
他方、とある道場では、力を抜いたときに気が流れると指導している道場もあります。以前にもお話ししましたが、脱力には、別の意味があり、筋肉を使わないということではありません。今回は「呼吸力」についてお話しするので、脱力の意図を簡単に言っておくと、「察知能力を上げること」と「相手の動きに合わせること」の2点です。
話は「呼吸力」に戻りますが、井口師範の指導する呼吸力は、非常に具体的でした。というのは、井口師範自身が「これが呼吸力や」と、体で示してくださったからです。
師範自身は「これが気の力や!」と言っておられましたが、直接、「呼吸力」を示して下さるのですから、曖昧さの入る余地など全くなく、非常に明確でした。ところで、井口師範の呼吸力を受けたときの感覚をいいますと、「恐ろしく大きな力が突然加わってなす術がなかった。」あるいは、「まったく自分の力が入る余地がなかった。」という感じだったのを今でも思い出します。
「じゃぁ、呼吸力の正体は?」ということですが、呼吸力を科学的に考えたとき、確実に言えることは、体幹の強さから出る力+運動エネルギーがその根幹にあると考えることができます。
その理由は、師範に直接触れずに気だけが送られた場合と、直接受けた場合では、受ける感覚が違うからです。科学的に考えた場合、離れている場合と接触している場合に関する共通項のみが気の正体と考える方が妥当的です。
だから、呼吸力についても、「気と気に導かれた間接的要素」ととらえているわけです。そうすると、非常に明快な答えが現れます。
そこから導きだされた答えは、私たち修行者が実は「呼吸力」を理解する上で必要としているのは次の2点ということです。
①気によって導かれた間接要素がどうなっているか?
②その間接要素を気でどう導くか?
①についてはもうすでにお話ししましたが、もう一度記しておきますと、
呼吸力=気 + 体幹の強さから出る力 + 運動エネルギー
です。
②については、かなり長くなるので、また次回にお話しします。
なお、呼吸力を別の方向から書いた話は以下にあります。
今回からはより具体的に科学的考察を加えた内容にしていくので、このブログで曖昧にしていた点もはっきりとさせていきますのでお楽しみに!