【何もしていない相手】

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

今回はジーっとしている相手に技をかけるということを話したいと思います。


他の武道の人の合気道への印象

 

 

合気道をしている人が技を見せるとき、については、「手首を持ってください」「眉間を目掛けて手刀を打ってください」など注文する人が多いと思います。

そんなとき、少し武道をした人なら『自分のいうように注文するような戦いなど無いだろう』と考えます。

僕が以前にジークンドーの大阪セミナーに参加したときのことです。そこには色々な武道経験者が集まります。

それで、以前、どんな武道をしていたかという話しをすることがあるのですが、中国拳法をしていたという人に、僕が以前に合気道をしていたということを言ったことがあります。

その人は、小馬鹿にしたような笑いを浮かべて言いました。
「合気道ですか? 合気道やっている人って、手首を握って下さいとか、一々注文付けるじゃないですか。初めから分かっている攻撃なら素人でも対処できますよね。それに合気道している人でまともな人しらないんですよね」

この後で合気道でも使えるということをその人に証明したのですが、話がそれるのでここでは話しません。

このように他の武道の人は、合気道は注文付けて技をかけるので卑怯だという考えを持っている人が多いようです。

確かに、合気道をしている人達の中には、その状況からでしか技をかけられない人もいるのも確かですが、互いの安全のためにはそういった状況から技をかける方がいいのです。

特に、総合格闘技でさえ危険と禁止されている手首などの関節技は一度痛めると非常に治りにくいと言われていますので、掛ける方も限定した範囲でする方が安全です。

ただ、相手に技をかける際に、自分が注文しないとできないのでは非常に問題があります。

それでは、護身にもなりません。しかし、実際に自在に使える前に、何もしていない相手にどう技をかけるかということができるかどうかという点も大切です。

 


井口師範との思い出

 

 

僕が初めて井口師範にお会いしたとき
「大阪でやっていたんやったんか。そしたら、何でもいいから技を一つ掛けてみなさい」
と言われました。

井口師範はというと、ただ単につっ立った状態でジーっとしています。
「何も抵抗するつもりはないから、得意な技をかけて見なさい」と言われました。

僕は、「ジーっとしている人への掛け方を大阪では学びませんでしたので、どうしていいかわかりません」と答えると、
「ジーっとしている相手へすら技が掛けられないなら、千変万化する相手へどう技をかけるんや」と言われました。

 

 

 


ジーっとしている相手に技をかける

 

 

柔道でも、空手でも、どの格闘技でも、ぼんやりとジーっと立っている相手に対して簡単に技をかけることができます。

ところが、最近の合気道では、これをできる人が思っている以上に少ないように感じます。

合気道では、様々な攻撃に対しての技の稽古を行いますが、そういった稽古では、形を意識しすぎて、技への誘導が疎かになってしまい、形がきれいに決まれば満足してしまう人が多いからではないでしょうか。

そのため、習った形で相手に攻めてもらわないと技が掛けられないという状況になってしっているのです。

しかし、護身を考えたとき、暴漢はコチラが得意とするような方法で攻撃してくれるとはかぎりません。

そこで、もっと本質的な部分を稽古する必要があるということが分かります。そのためには、相手にジーっと立ってもらって技をかけてみるというのも大切です。

 

*  *  *

合気道修行者も、一度ジーっとしている人に掛ける技を考えてはどうでしょうか?

例えば、一教ならこうする。二教ならこうする。小手返しなら…。

 

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