【体の段階】骨格を読む

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

今は体の段階に関してお話ししていますが、今回は骨格の読み方について話したいと思います。

このブログで分かること

合氣道修行者といえど、僕たち一般人は中学の理科で学んだような物理の法則を無視することはできません。ですから物理の法則に従って技を考えていく方が技の進歩には非常に有効的です。特に人の体は骨で支えられています。

ですから物理の法則を考えたとき、人を投げたり固めたりする際は人の骨格を考える必要があります。「氣」を追求したけれど技が思うようにいかなかった人は骨格を考える習慣がつくことで技がスムーズに使えるようになるヒントとなると思います。

今回はかなり秘伝に当たることなのでわかる人にしかわからない内容も一部ありますが、そういう人にとっては非常に大きな気づきを得るヒントとなるでしょう。

目次

物理学は宇宙の法則の一つ

私たちは物質世界に住んでいます。この物質世界は物理の法則で成り立っています。物理法則はある意味で宇宙の決まりごとです。僕の師匠・井口師範は「曰く! 合氣道の目的は宇宙を相手として天地自然と一体となること!」と言われました。ですから私たちはまずはこの物質界での宇宙の法則、すなわち物理法則に従って技を行う必要があります。

最先端物理学では量子力学の観測者問題というものがあり、観測者が判断したものが現実に投影されるというものがあります。しかし僕がここで対象にしているのは力学と言われるものです。僕たち一般人は普通では物理学で学ぶ力学の法則を全く無視して存在することはできません。

ですから「氣」を使えば、宙を浮いたり、瞬間に時間・空間を移動したりというようないわゆる超常現象ができるといわれることがしばしばありますが、僕たち一般人にはそのような中学理科で学んだ力学法則を全く無視することはできません。

これら宇宙の決まりごとである物理の法則、力学を味方につけることを考える方が技を行う上で非常に有効です。これこそ宇宙を味方にするということの第一歩でもあります。

どう動いているかが大切

今回のテーマである骨格を読むということですが、ぶっちゃけ解剖学のような難しい知識は必要ありません。確かに解剖学の知識があるに越したことはありませんが、合氣道の技を行う上では骨格に関する重要な点は次の2点です。

① 足はどのように地面についているか?
② 刻々と変化する相手の肘、肩が今どこにあるか?

こういうと『それぐらい分かっているよ』と思われる方が多いかもしれませんね。でも、分かっていると使っているでは雲泥の違いがあります。

①については2022年4月24日の記事「バランスを奪うには?」で既に述べた通りで、合氣道において相手をどう崩すかが最も大切なぽいんとになります。

②に関してはというと力がぶつかる多くの合氣道修行者は実は関節をあまり考えていないことがおおいのです。如何に相手をコントロールするかという点で相手の関節の位置を意識して、例えば曲げる場合だと相手が曲がるように誘導してあげる必要が大切だという点を理解する必要があります。

といいますのは一般の人が相手の腕を曲げさせようとする場合、相手の力に対抗して力づくで相手の腕を曲げようとします。相手が自分より力が弱けれ曲げられますが、自分より強いと曲げることはできません。

ところが相手の関節の位置を意識してどのように持っていけばその関節で腕が曲がるかを意識して相手を誘導すると不思議なほど力を使わなくても曲げることができます。

関節を意識するとは?

例えばドアを開けることを考えたとき、引き戸でもないのにドアを左右に動かそうとしてもドアは開きません。ドアは蝶番(ちょうつがい)を中心としてドアノブを引いたり押したりして初めて開くものです。

これは人も同じです。人の蝶番となるのが関節です。ですから相手を導く場合関節を中心に ドアを開けるのと同様に 行う必要があります。ところが僕の経験からお話しますと、このように指導をしてもどうしても多くの方は力づくで相手を自分の思いの通りに動かそうとしてしまう傾向があります。

例えば、合氣道では人差し指を相手につかませて投げる技があります。これは合わせの技術を使って相手を投げるのですが、具体的には「暖簾に腕押し」というように持たれた指に力を入れず相手に任せた状態になります(合わせ)。そして相手の関節を意識しつつ相手の関節に最も無理のない軌道を描けるように手を誘導し、最終的に体のバランスが崩れるような位置に誘導するわけです。そこで初めて相手が最も落ちやすい位置に導いてあげることで相手を投げるという結果になるのです。

何故関節を意識すると誘導できるか

関節を意識した軌道上に移動すると相手を誘導することができると先ほどのべましたが、では何故そのようなことが可能になるのでしょうか?

それは人間というのは意識で動いているためです。具体的に説明していきましょう。人は相手の動きを止めようと思う(意識が働く)とその目的に向かって体の中の筋肉を連動させて動きます。しかもこの筋肉の連動は無意識で行われます。さらにいうと今まで獲得した脳にプログラミングされた自動的な動きで行われるものです。

と言いましてもこの自動的な動作には外部からの抵抗に対抗するというフィードバック機能が付いていて、相手が抵抗しようとするとその方向により力が働くように軌道修正されます。

ところが、このフィードバック機能が働かなかったら軌道修正が行うことができません。このフィードバック機能を阻害するのが合氣道では合わせというテクニックなのです。簡単に言えば、力が自分にどのように作用しているのかわからなければそれに対抗することができないということです。

ですから如何に自然に相手を誘導するかという点が大切になってきます。この自然にというのが物理の法則、要するに関節を意識した最適な軌道ということなのです。

しかも人間の関節は非常にたくさんありますから、何通りも作用させる方向性があるとも言えます。相手が如何に警戒してもすべての軌道に意識を向けることができません。ですから、この原理を体得していると指一本でも相手を投げることが可能になる訳です。

このように技をかける側が関節を意識できるというのは非常に有利であり大切なことなのです。

◆   ◆   ◆

今回は実は当会の骨の技術の秘伝に当たる内容をかきましたので、かなりぼかした内容となりわかりにくかったかもしれませんが、何度か読み直してご自分なりに考えていただくと今後自分で技を分析する能力が養えます。また理解できた一部の人にはかなり大きなヒントになったかと思います。

次回は合わせについて述べてみたいと思います。

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【体の段階】重みを伝える陽と陰の技法

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の合氣道の師匠・井口師範は合氣道習得の段階として形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 があると話してくださいました。

現在当ブログでは、その中の体の段階について述べいます。当会では体の段階を骨の技術、皮膚の技術、皮膚感覚の技術、空間感覚の技術の4種類に分けて説明していますが、現在は骨の技術について述べています。

骨の技術というのは人間の骨格を理解して物理的な力を伝える合理的な身体の使い方を示すものです。今回は重みを伝える技術を話していきたいと思います。

このブログでわかること

今回は相手に重さを伝えるということをテーマに当会の骨の技術の中の陽の技法と陰の技法について述べていきたいと思います。 合氣道での稽古では「筋肉の力でやるのではなく…」と よく指導される と思いますが、 時には脱力と言われたり、気の力と言われたりします。特にこういった曖昧に感じて中々理解できない人にとって具体的にどのようにすればよいか理解でき、「重みを伝える」「脱力をする」という仕方が科学的に理解できるようになり、今後どのように動くべきかがはっきりと見えるようになります。

目次

1.運動エネルギー
2.陽の技法と船漕ぎ運動
3.当身による陽の技法
4.陽の技法の応用
5.陰の技法

運動エネルギー

陽の技法というのは当会独自の言葉です。当会では重さ(運動エネルギー)を伝える技術の内、自分の運動エネルギーを重さとして相手に伝える技術をそのように呼んでいます。

理科が嫌いな人はこういった言葉を使うだけで拒絶反応が起こると思いますが、小学生にもわかるように説明していきたいと思いますのでお付き合いください。

まずスポーツで考えていきましょう。野球のボールを投げるのと砲丸投げの鉄球を投げるのを比べると、野球のボールを投げる方が誰でもより遠くへ投げることができます。逆に、野球のボールと鉄球を受けることを考えたとき、ゆるく投げてもらっても誰だって鉄球を受けるのは勘弁してほしいと感じるでしょう。

これは経験的に思いものは危険と知っているからです。ちなみに砲丸は高校男子で6キロだそうですがこれが当たることを考えるだけでも寒気がします。ではその十倍の60キロの重さのものがぶつかってきたらどうでしょう。かなり危険ですね。

しかし相手が60キロの人間だとあまり危険と感じません。ところが 力学では60キロの人間が動くのも、60キロの鉄の塊が動くのも、どちらも同じ速度で動いたときは同じ運動エネルギーを 持つと示しています。要するに実際は人が動くということはそれだけの破壊力があるということです。

陽の技法と船漕ぎ運動

陽の技法とは当会独自の呼び方です。これは重み(運動エネルギー)を相手に伝える技法の総称です。合氣道においては、陽の技法の稽古としては、天鳥船(あめのとりふね)の行、いわゆる船漕運動が最も有名なものでしょう(下写真  合氣道開祖の植芝盛平翁先生の 実演)。

天鳥船の行は臍下丹田(体の重心)の前後運動によってできた身体の運動エネルギーを手に伝えるための大切な運動です。上記の写真の①~③を詳しく見た写真でもお分かり翁先生の身体が動いてから腕が動いているので運動エネルギーが②と③の間で腕に伝わったいるのがわかると思います。

これが正しくできると、後ろでしっかりつかまれていても相手を前に送り出すことができます(下図)
 Step1  受け手にしっかりと手首をつかんでもらう
 Step2  手には力を入れず、手首を残して身体を加速
 Step3 身体が加速したら重みを相手に伝える

当身による陽の技法

天鳥船の行は足の使い方の稽古法だけではなく、重みを伝える感覚訓練法でもありましたが、それ以外に当身(あてみ)の稽古も単独でできる重みを伝える感覚訓練法でもあります。

当身では、重みを伝える身体の使い方として4つの方法があります。当会ではの呼び方は第一式~第四式です。

まず第一式ですがこれは天鳥船の行と同じく前進運動による重みの伝達です。まず身体を前進させその後当身を打ち出します。数はパンチを打ち出しているところです。

第二式は腰の回転運動による重みの伝達です。骨盤を回転させることで上半身の重みの回転運動を作り、その後当身を繰り出します。

第三式は位置エネルギーを使って運動エネルギーに変換するやり方です。要は突然身体を低くしてそれを前進運動に変え、その後当身を繰り出します。

第四式は頭の重さを使うやり方です。目の前にある拳に向かって突然頭突きを行う動作を行い、頭が拳に衝突する直前に当身を繰り出します。この当身は一見は役に立ちそうにないように思えますが、相手に手を抑えれている場合このやり方を行うと相手は驚くと同時に吹き飛ばされます。

さらに、僕の師匠・井口師範は鉄の棒を突く稽古をするように指導されましたが、これは非常にやってる感が強いのでいい稽古になります。

当身の稽古としてはこれ以外にも入り身突きや片足立ち正面突き(片手を壁について片足立ちし、その壁についた手で当身の稽古を行う方法)などありますが第一式~四式が基本となっています。

さらに実感を伴った稽古をしたい場合は、空手用の砂袋を購入して重さが伝わる方法を稽古するというのもよい稽古となります。

陽の技法の応用

この原理が分かっていると、図のように縦に一列に並んだ数人の人がいても簡単に押し返すことができます。

下図がその例です。
① 後ろの人が前の人を支えて縦に 4人 並んだ先頭の肩に手を置く
②力を伝えず体を加速しながら腕を曲げて前に進む
③身体が前進した時点で前の人を押すと全員が総崩れになります

これらの陽の技法をするときに大切なのは相手との接点での脱力です。運動エネルギーを伝える時点まで相手とぶつからないよう 完全に脱力している必要があります。

脱力する理由は、少しでも相手とぶつかっていると相手に重み(運動エネルギー)を伝えるタイミングがわかるからです。

さらに、この陽の技法は体捌きなどでも有効で、例えば下図のような逆半身片手取りから相手の内側に捌く場合も同様の原理を利用します。

①逆半身の状態で片手を取らせる
②当身を入れて相手から攻撃させないようにしながら体捌き
③すると相手は渦に巻き込まれるように簡単について来る

この際で最も重要なことはつかまれているところが脱力されていることで、ぶつかりがないというのが大切です。

陰の技法

以上、陽の技法をご紹介しましたが、読者の方で陽があれば陰があるのではと思われた方もいらっしゃると思い、では陰の技法とは?と思われた方もいるのではないでしょうか? そこで陰の技法を少しだけご説明します。

陽の技法というのは身体を加速し、運動エネルギーを作ってからそれを重みとして伝える技法でしたが、陰の技法というのはいわゆる作用反作用の法則を利用するやり方で、それは相手を押す場合を考えると相手を押した分自分はその反対方向に力を受けるというものですが、それを巧みに利用するのが陰の技法です。

要するに相手を押したいなら、自分の重心を相手に遠ざかるように移動しながら相手を押します。そうすることで運動エネルギーがゼロの状態から大きな重みを発生することができるのです。

この陰の技法にも陽の技法と同様に第一式~第四式までありますが、これはこの陰の技法を習得している人から実際に指導をしされながら稽古をしないと巧くできませんので、こういったやり方があるとだけお伝えします。

下図は当身でそれぞれの技法を使った例を表したものですが、これを見ても実際に陰の技法で打撃ができるのかと疑問を持たれるかもしれませんが、陰の技法がわかるとかなり特殊な打撃が行えますので一応ご参考までに書かせていただきました。

なお、陰の技法をご経験されたい方は下記の図の要領で鉄の棒を突く稽古を行う、如何に陰の技法が合理的かご理解いただけると思います。丹田を後ろに突き出すことでほとんど腕の力を使わずに鉄の棒を前に突き出すことができます。

◆   ◆   ◆

今回は重みを伝える方法として陽の技法と陰の技法をご紹介いたしました。僕が学んだ合氣道では、基本的には三角の秘伝と陽の技法、陰の技法で力や重さを伝えることで肩の筋肉を緊張させずに技をかけることを重視しました。

合氣道の技の成否は相手に読まれないことが最も重要です。特に肩の筋肉に緊張がある場合非常に相手にこれからこちらが行おうとする動きが読まれます。ですから三角の秘伝、陽の技法、陰の技法が当会では非常に大切な技術となっています。

井口師範は「相手の土俵で勝負をしない!」ということを言われました。それは相手に悟られるようであってはいけないということです。相手に悟られず、三角、陽、陰を使えるようになるこれが非常に大切です。

ここまで何度かに分けて足の使い方から始まって重み(運動エネルギー)の伝え方までお話しましたが、結局はこれらの原理はすべて船漕ぎ運動(天鳥船の行)に含まれる理論なわけでした。言い方を変えると船漕ぎ運動が如何に合氣道では大切かということが言えると思います。もう一度船漕ぎ運動を見直されてはいかがでしょうか?

さて、次回は骨格を読むというテーマでブログを書いていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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【体の段階】三角の秘伝の稽古法

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

当ブログでは、現在はその体の段階について述べいます。体の段階は次の気の段階の準備段階ですので非常に大切な段階です。この段階では自分の身体の使い方自分と相手との関係を知ることを目的にしています。

今回は天鳥船の行(船漕ぎ運動)の足の使い方(三角の秘伝)をどのように応用するかということを示すため天鳥船の行以外の稽古法について述べたいと思います。

このブログで分かること

天鳥船(あめのとりぶね)の行で足(膝)の使い方(三角の秘伝)が非常に大切だということがわかっていても、それを応用するのが難しいと思われる修行者の人には今回ご紹介する稽古方法を知ることで、より天鳥船の行の意味が理解でき、合氣道の技を呼吸力とともに行う際に足の正しい使い方が身に付き、さまざまな応用ができるヒントが得られます。

目次

瞬発的な力を養成する相撲のテッポウ
いろいろな用途に使える壁押し稽古法
溜めない移動法の傾斜歩行法

瞬発的な力を養成する相撲のテッポウ

昔、僕の師匠・井口雅博師範は呼吸力を養成するには相撲のテッポウをやるとよいとお教えくださいました。僕がテッポウのやり方が実はわからないといいますと、師匠はそのやり方を教えてくださいました。

そのやり方ですが、下図の通りでした。

  1. まずは両足をしっかりと地面についた状態から体を柱に傾け片手をついてその体を支え、空いているを若干後方に引いてから柱に向けて打ち出す準備をします。
  2. 手をついた方の足から地面の力を打ち出す手に伝えるようにして(足の三角を意識して)手を打ち出します。その際、打ち出す手と同じ足が浮き体の動きに合わせて前に出ようとします。
  3. 前に出た足はそのまま逆の足の前方に惰性で移動します。

以上の動作を左右交互に繰り返すというのが師匠から学んだ相撲のテッポウでした。僕は相撲を学んだことがないのでこれが正式のものかどうかはわかりませんが、地面とつながり、 地面の力を借るという稽古としてはこれで十分かと思います。

なお、足で衝撃を受けた次の瞬間に跳ね返されても問題はないと師匠は言われてておりました。

後になって気づいたのですが、この井口師範が指導されたテッポウの稽古は合氣道をするものにとって非常に優れたものであるということがわかりました。特にテッポウではの伝達という点でかなり体感ができるのが素晴らしいと思います。

天鳥船の行も力の伝達という意味では非常に優れたものですが、非常にはっきりとした体感が得られるという点ではこのテッポウの稽古の方が向いていると思います。

ちなみにテッポウをやって得られるポイントを列挙すると次のようになります。

  • 折れない腕の強化ができる
  • 足の三角でらせん状に力を体に流す稽古になる
  • 衝撃を受けるので足の三角において最後の極めの感覚がわかるようになる
  • 足の三角において地面とつながった感覚が身につく
  • 体幹が強くなる
  • 呼気とともに行えば腹圧の強化ができる
  • 当身(打撃)の力が上がる

この稽古で大切なポイントは、地面からの力を足足の三角の秘伝を意識しつつ打ち出す側の体を体軸を使って若干体をひねるようにして前に前進させつつ手を柱に打ち出し、受けた衝撃を足の三角を使ってしかりと受ける点にあります。力が地面かららせん状に伝わって体当たりをやっているようなイメージが良いといわれました。

このテッポウという稽古方法でも足の三角を利かすポイントが2か所あるという点に注意してください。とは言えテッポウではほとんど膝が倒れないので足の三角を意識するというより地面からの力をらせん状に伝えて体当たりするという感じです。ですからこのようなやり方を繰り返していると当たった瞬間、非常に強い力が相手に伝わるのが理解できると思います。

しかもこのテッポウは相手を片手で支えて抑えながら強烈な当身(打撃)を打ち出すことができる技術なので、かなり実戦的な稽古方法とも言えます。

いろいろな用途に使える壁押し法

実は、これから説明する方法は師匠から学んだものではありません。というのは、僕は師匠にテッポウを毎日888回やるようにとご指示を受けやり始めたのですが、当時はかなり身体が弱かったため1週間ほどで背中がこわばるようになり、2週間もつづけていましたところついには高熱が出始めました。無理をして脾臓傷つけてしまったのです。

この原因は正しいフォームが身につく前に力んだ状態のまま高回数を無理して行ったため身体に異常がでたためです。正しいフォームができ、リラックスして行えるようになってから高回数を行わないと僕のように身体を壊してしまいますので気を付けて行う必要があります。

それで、体調が戻るまでテッポウの代わりにできることを考えたのが下図の壁押しです。これは曲がらない腕を作って壁に手をあて、足の三角を使ってじっくりと壁を押すだけです。

こうすると足から壁についた手までが一本につながった感覚が得られ、足の三角の体感がはっきりと感じられます。

そして折れない腕ですが、一般的には手を開き指を張って指から気が発散しているのを想像して行いますが、この稽古をやって気づいたことは手を握っても折れない腕ができるということに気づきました。

それ以降は図のように拳を握って壁押しを行うことにしました。これにより足の三角と折れない腕が同時に稽古できるという方法を編み出したわけです。手は片手だけでも、両手をついても良いのですが、片手で当身をするように手を壁に当てると、別の方法もできるのです。

というのはパンチを打ち出した週末動作(残心)を意識して瞬間に膝を下に入れると強いパンチ力が得られるのです。このとき呼吸を「ハー」とか「シュー」とか「フン」とか出して腹圧を高めながら行うとよりパンチが強くなります。

このように壁押しの稽古法は地面からの力を腕にゆっくり伝え相手を押し出す場合の稽古にも、パンチ力を上げる稽古にもどちらにも使えますので非常に便利です。また、日ごろから体を鍛えている人は大きな衝撃を受けても問題はないですが、僕のように体が弱かった人や女性、高齢者などはこちらの緩やかな稽古から徐々に相撲のテッポウのような体当たり的な稽古を行った方がよいように思います。

溜めない移動法の傾斜歩行法

合氣道の技を行う上での大前提は相手に悟られにくいことです。しかも本来の合氣道では実戦を想定しているため相手と相対する距離(間合い)は畳の縦一畳分を空けるのが基本となっています。

これは相手が例えば短刀など隠し持っていることを想定しての距離です。といいますのは運動生理学上では人間が察知してから動き出すには0.5秒かかる訳ですが、さらに0.5秒というのは静止している人間が進める距離もおよそ2メートルといわれていますから、畳一畳分というのは十分反応できる距離だということがわかるでしょう。

逆にいうと、この距離を詰めるのにできるだけ相手に悟られるのは避けたいということも言えます。そのため、溜を作ってから地面を蹴って動くと、動き出す前から相手にこちらの動きがわかるので、初めからこの間合いを採用する合氣道では使えません。そのため合氣道では溜めを作らないで移動する移動法を使います。

当会ではそれを傾斜歩行あるいは傾斜歩法と呼んでいます。その理由は図のように体軸を傾けて落下するように前に体を投げだして進む移動方法だからです。

具体的には下図のようなやり方で移動します。

ところが実はこの傾斜を使った方法では、傾斜するのに少し時間がかかるので瞬間に移動することができません。そこでこの傾斜歩法に三角の秘伝を加えて移動します(下図参照)。こうすることで溜を作ることなく瞬間に前に出ることができるわけです。

このように足の使い方は様々な用途があるのです。例えば、下記が当会3級の昇給審査で行われる構えた相手を金縛りにする技術のスローモーションですが、4度もこれを使っている。しかもこの技術では天鳥船のもう一つの重さを伝えるという技術も使っているのがわかると思います。そして重要なのが最後の4度目のときに相手をとらえた状態で足からの力が維持されていることです。

これだけのことを理解した上で天鳥船の行を行えば合氣道の技を繰り出すときに癖がついて非常に都合がよいのでお勧めです。

◆   ◆   ◆

如何でしたでしょうか? 今回ご紹介した内容から如何に天鳥船が合氣道において大切なものであるかというのがおわかりいただけます。かたかが船漕ぎ運動と思われがちな天鳥船の行はたくさんの用途を抱えた秘儀でもあった訳です。

さらにこれは神道の禊にかかわる瞑想法など含めると非常に大切なものであることがわかると思います。今回は体術に絞りしかも足の使用法だけの応用を説明しましたが、当会でいう陽の技法として使用する場合また別の使用方があります 。

そこで次回はこの陽の技法についてご紹介したいと思います。さらに陽の技法といいますと、勘の良い人は陰の技法と呼ばれるものがあるのではないかと考えられたと思います。実は体の段階の技法として陽の技法と陰の技法というものもあります。次回はこの陽の技法(陽の技術)をメインでご紹介し、陰の技法についても若干触れたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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【体の段階】船漕ぎ運動の秘密!

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

当ブログでは、現在はその体の段階について述べいます。体の段階は次の気の段階の準備段階ですので非常に大切な段階です。この段階では自分の身体の使い方自分と相手との関係を知ることを目的にしています。

今回は天鳥船(あめのとりふね)の行です。天鳥船の行とは合気道で稽古に取り入れられている船漕ぎ運動のことです。

このブログで分かること

船漕ぎ運動は 天鳥船の行と言って古神道の行から来ていますが、宗教的な意味だけではなく、合氣道の立ち技において非常に有用な技術が隠されています。

このブログでは天鳥船の武道的意味を明確にすることで、重要性と物理的な有効性を理解していただきます。また合氣道を行う上で天鳥船の行が如何に重要かということがわかるとともに、合氣道の技を行うさまざまなヒントが得られます。

1.天鳥船とはどんなものかわかる
2.天鳥船の物理的、実用的意味が理解できる。
3.足の三角の秘伝の重要性が理解できる
4.筋力によらない運動エネルギーを使ったやり方がわかる
5.足腰の安定感を感じられない悩みが解消


目次

天鳥船とは?
 天鳥船は足の三角の秘伝の稽古だった!
重さを伝えるのが天鳥船!
天鳥船のよくある誤解!

天鳥船(あめのとりふね)とは?!

天の鳥船とは、合氣道の道場で準備運動の際によく行われている船漕ぎ運動のことです。天の鳥船というのは本来は明治時代の古神道家の川面凡児師が伝えた禊の行を 大本教の出口王仁三郎師 によって合氣道開祖・植芝盛平翁先生が伝えられと言われています。

ここでは古神道の行としての詳しいやり方は述べず、骨の技術すなわち物理的な技術としての天の鳥船の優位性を述べていきます。

合氣道の道場によっては天鳥船の行を採用していないところもあると聞きますので、合氣道を開祖・植芝盛平翁先生が天鳥船の行を行っておられる写真を下に示します。

この天鳥船というのは、基本的には神秘行の一つで、魂を奮い立たせて霊的な能力を強化するのを目的にするものだそうで、振魂(ふりたま)という瞑想法を伴って行われるていたそうです。

僕が師匠・井口師範からお教えいただいた天鳥船に関する内容は臍下丹田にある気を動作に合わせて腕から手に流し、さらにその気を引き戻すということを繰り返すことで自分の気を強化するというものでした(下の連続写真参照)。

以前もここまでの内容を本ブログでも公開したことがありますが、今回はさらに天鳥船の秘密を公開していきたいと思います。

天鳥船は足の三角の秘伝の稽古だった!

天鳥船の行を行うとわかると思いますが、翁先生がされているように身体が前後させて漕ぎ運動を行ってみるとかなり足腰がふらつくのがわかると思います。

ところがこの船漕ぎ動作の①~③の動作部分に足の三角の秘伝を適応してみると非常に安定するのがわかると思います。さらに 全身運動の最終動作 を示した下の写真を見ていただくと、翁先生の足の形が、まさしく前回示した足の三角の秘伝のポジションを取っているのに気づかれるのではないかと思います。

翁先生の膝の動きが袴をはいているため見えませんが膝の曲がりからも足の三角のポジションを取っているのが理解できると思います。読者の多くの方もご存じの通り合氣道で袴を履く理由として足の動きを隠すためだといわれています。要するに袴を履くことで膝の動きが見えないわけです。

合氣道修行者の多くの方は袴で足の動きを隠すといわれているが一体何を隠しているのかと日ごろ考えられた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実は足の三角の秘伝による膝の動きを隠しているのです。

僕の師匠・井口雅博師範も「曰く! 天鳥船の行が非常に大切!」とよくおっしゃっていおられました。でも僕自身は長い間その理由がわかりませんでした。井口師範から合気道の立ち方のご指導をいただいたときに足の三角の秘伝をお教えいただいたのですが、天鳥船と結びつくことは実は長い間なかったからです。

僕は天鳥船をやっているとどうしても足腰がふらつきを感じることが多々ありました。それで安定するようにといろいろと稽古をしている中、あるとき井口師範から教わった足の三角の秘伝を行ったところ非常に安定することがわかったのです。それで初めて天鳥船では足の三角の秘伝を使っているということが分かった訳です。

しかも、足の三角の秘伝という膝の使い方が非常に大切で秘伝だからそれを隠すために袴をはいているともいえるのだと気づいたのです。

ですから前回、足の三角の秘伝をご紹介したとき、多分誰もあまり意識していなかった割には秘伝といわれるほど大したものと感じなかったのではないでしょうか? 余りにも普通の内容なので軽く見られた方もいらっしゃると思うのですが、実は非常に重要なのです。

この足の三角の秘伝を使って足の底から膝を倒すことによって運動がおこるのを意識するだけで今まで安定しなかった天鳥船の動作が安定するのが体感できると思いますので、この足の使い方を是非覚えていただきたいと思います。

重さを伝えるのが天鳥船!

さらに、この天の鳥船の行は武道的な動きとしては、足の三角の秘伝の実践的稽古になるだけではなく、力を重みとして伝達する稽古としても非常に大切です。

下の写真は翁先生の動きの前半部分である前進動作をしめしています。翁先生の腕の動きに注目していただくと、体が前に出てから腕が前に出ています。体の動きが起こって初めてその動きを手に伝えているということです。

当会ではこの体が動いてから力を伝えることを「陽の技法」あるいは「陽の技術」と呼んでいます。この陽の技術は体の重みを相手に伝える方法です。

この陽の技術を使えば人を簡単に引っ張ることができるようになります。例えば、下図のようにしっかりと手首を握られた状態で天鳥船の①~③の動きをした場合を例にとりますと、もし技の掛け手の腕に全く力が入っていないで、船漕ぎ運動の①~③を行えば、持ち手は図のように前に飛ばされます。

ところが①の段階で技の掛け手の腕に力が入っていると相手を前に送り出すことができません。というのは腕に力が入っていると掛け手の意図が最初から技の受け手に伝わってしまうからいつ引っ張られるかわかるため簡単に抵抗されてしまうからです。

実は力が入るというのは腕力だけで相手を引っ張っているのです。この動作のコツは体が動いてから自然に任せるように相手に力を伝えることにあります。すると腕力を使わずに相手に動きを伝えることができます。

では何故腕力で引っ張るよりもこちらの方が有効なのでしょうか? これは実は中学の理科で勉強した力学のなかで運動エネルギーといういのを学んだと思いますが、この運動エネルギーが相手に伝わるのです。

もう少しわかりやすい例でいうと、例えば10キロの鉄の玉をゆっくり投げてもらった場合を考えてください。いくらゆっくりといえどもこれを手でキャッチしようと思いませんね。

なぜなら皆さんは体験的に10キロもの鉄の塊が飛んでくること自体非常に危険だとわかっているからです。ですから自分の体重と同じ重さの鉄の塊がゆっくりでも飛んでくるとどれだけ恐ろしいかはどなたでも理解できると思います。

このように体重というのは動くと実は大きな力を生み出しているのです。人間が動くと大したことのないように感じられますが、鉄の塊と置き換えたときにその威力たるや想像できると思います。

天鳥船のよくある誤解!

読者の中には道場の稽古で天鳥船をやっている人もいらっしゃると思いますが、案外何も意識せずに行っている人がかなりいらっしゃるのではないでしょうか?

よくある誤解された動作として下図のように上体だけを反ったり傾けたりして行っている場合があります。確かにこのようにすると足腰は安定するのですが、上記の内容でお分かりの通り合氣道の技に使えるようになることはありません。

合氣道で技に使えるようになるにはやはり、足の三角の秘伝を使って重心が前後する必要があります。このように足の三角の秘伝あるいは天鳥船の行は合氣道での動きを生み出す中核としての意義がある訳です。

この天鳥船の稽古を続けることにより合氣道での動き出す瞬間や衝撃を伝える瞬間に足の三角の秘伝を使えるようになると、急激な動きができたり、ゆっくりした当身(パンチ)でも相手が驚くような威力を出したりすることができるようになります。

◆   ◆   ◆

如何でしたでしょうか? たかが船漕ぎ運動と軽く見られていた方もかなりいらっしゃったのではないでしょうか? しかしここまで読まれた方は船漕ぎ運動は実は袴で隠すほど大切な足の使い方を習得する稽古方法であったということがわかったのではないかと思います。

次回はこの足の三角の秘伝をもう少し深堀りしていきたいと思います。さらに足の三角の秘伝を使えるようになるための方法について述べたいと思います。

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【体の段階】強い力の伝え方!三角の秘伝

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

当ブログでは、現在はその体の段階について述べいます。体の段階は次の気の段階の準備段階ですので非常に大切な段階です。この段階では自分の身体の使い方自分と相手との関係を知ることを目的にしています。

今回は立ち技において相手に強い力を伝える原理をお伝えします。

このブログで分かること

合氣道では天地人を和合するといわれますが、今回のブログでは地と和合する意味が分かります。それは「地を味方につける」と言い換えることができるですが、これができるようになると地面とつながって連続的な力を作りだせるようになります。これを技のポイント・ポイントで使用すればかなり自分の技が大きく変化します。技の利きが今一つと悩んでおられる方は最後までお読みください。

1.連続的な力が出せるようになる。
2.安定した態勢で力が出せるようになる。
3.ポイント、ポイントで使用すると強力な武器となる

目次

一般的な力の出し方では良くない理由
地を味方にする足の三角の秘伝
押すだけが用途ではない!

一般的な力の出し方では良くない理由

合気道の師匠・井口師範は地を味方につけないといけないといわれました。それは地面とつながった感覚を身に着け、地面から力を借りて連続して作り出すということです。

一般的に、地面から力を借りるために普通の人は溜めを作って地面を蹴ります。ところがこのような力の生み出し方では溜めのタイミングを相手が読んでそれに合わせると相手はその力を殺すことができます。そうすることで簡単に対抗されてしまいます。

井口師範の指導した合気道ではこちらの意図が相手に察知されないことが重要でした。どんな高等技術をマスターしていても相手が知っているとその対策を取ることができます。

ところが相手が技を繰り出す瞬間までこちらの意図がわからない場合は相手は対策を取ることができません。これは運動生理学でいう反応速度によるものです。運動生理学では人が気づいて反応するのに0.5~0.7秒かかるといわれています。

ですから相手に意図さえ読まれなければ反応するのに時間差が生まれるということです。ですから相手にわかるような溜め動作を使うのは得策ではないということです。

地を味方につける足の三角秘伝

では地面を味方につけるにはどうしたら良いのでしょうか? 井口雅博師範はその方法を三角の秘伝として伝えてくださいました。

それは合氣道の基本的な立ち方に秘密があります。一般的に合氣道での立ち方は下図のような立ち方をします。これをレの字立ちとも呼ばれますが、後ろになる足の踵と親指、そして前になる足のつま先が三角になるように立ちます。

しかしこれが足の三角というのではありません。この立ち方にさらに秘伝が加わる訳です。実は足の三角というのは別にあるのです。それは後ろになる足の親指、踵、それに膝の三点を結んだ線が足の三角です(下図)。

そして膝を図のように前の下に倒すと体は強制的に前に進もうとします。

これは下図のようなドアに衝立(ついたて)をして、衝立を倒して釘でロックするとドアが開かなくなるのはご存じのことでしょうが、これと原理が同じです。

この足の三角の秘伝に折れない腕を併用すると地面から腕までつながる力の流れを感じます(下図)。これが地を味方につけるということです。これにより連続的な力が生み出せるわけです。物理学的で言えば足と地面の摩擦力を手に伝えているので連続的に力がかかるのです。

しかもこのやり方のメリットは相手を支えにしていないので、相手の態勢にかかわらず独立した安定性を保つことができる点です。

例えば押し合いをする場合を考えると、普通は相手の力とこちらの力で支えあいがあった上で力が上回った方が押し勝つようになりますので、このような場合ですと相手の支えが急になくなるともう片側はバランスを失ってしまいます。ところが足の三角の秘伝を使うと相手に支えてもらわなくても、安定した姿勢で相手を押すことができるので相手の支えがなくなってもこちらの態勢があまり崩れないのです。

地面が味方になる!

ただ足の三角の秘伝だけを聞くと『相手を押し続けるだけのことか!』と思う人がいるかもしれません。実は秘伝を受けた僕も『確かに強力だけれども単なるパフォーマンスで使うだけしか使えないな』と考え、 押すのには都合がいいが技の中では使えないものだと長い期間考えていました。

ところが師匠のご指示なので、仕方なくこの足の三角の秘伝を使う稽古を長い間続けていましたところ、あるとき相手に軽く当てた当身(パンチ)が予想以上にダメージを与えることに気づきました。要するにパンチが当たった瞬間にこの足の三角を無意識に使ていて パンチを打った瞬間に地面とつながり強いパンチがでるようになった たわけです。

このように、足の三角の秘伝を稽古していると体が覚えていて 思わぬところで 無意識に使うことが判明したわけです。実は足の三角の秘伝は当身だけではなく、技の決めのポイントで足の三角の秘伝が有効になってきます。物理学でいう作用・反作用が働く場面で安定した態勢で力が出せるので非常に有効な秘伝だったのです。

◆   ◆   ◆

秘伝といわれるものは非常に奥が深いものです。合氣道界で一般に広がっている折れない腕も秘伝級の 心身統一合氣道の藤平師範が教えた 技術です。問題は「折れない腕をどこで使うか?」ということなのです。三角の秘伝も一度聞けば『そんなの当たり前じゃないか』と思えるほどシンプルで『何が秘伝?』と思われる人もいるでしょう。このように秘伝とはシンプルなのですが問題は頭ではなく体で理解するということです。。

ですから一度聞くと前から知っていたような気になり、頭で納得するだけで軽くみてしまいます。そして多くの人は全く稽古をしません。稽古をしないと「あるときに気づく!」ということが起こりません。頭でわかるのと体でわかるのとは大きな違いがあるということです。

今回は足の三角の秘伝を話しました。 実はこの足の三角の秘伝は合気道の開祖・植芝盛平で重要と言われている稽古法に残っているのです。次回はそれについてお話ししたいと思います。それは天鳥船(あめのとりふね)といわれる稽古法です。いわゆる 船 漕ぎ運動といわれるものですが、天鳥船は単なる足の三角の秘伝の稽古だけではなく、合氣道で最も重要な動きも入っています。次回はこれを詳しく説明したいと思います。

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【体の段階】座り技呼吸法でなぜ力が入るか?

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

当ブログでは、現在は形がある程度理解できた人の次の段階である体の段階について述べいます。体の段階とは次の気の段階の準備段階であり合気道の修行を進めるに当たって非常に大切な段階で、自分の身体の使い方と自分と相手との関係を知るという2つの段階とから成り立っています。

今回は前回心身統一合氣道の故・藤平光一師範の提唱した折れない腕を気のイメージを使わないやり方をご説明しました。今回はこの折れない腕の使い方を座り技呼吸法(呼吸力鍛錬法)をご紹介したいと思います。座り技呼吸法で折れない腕を使うと様々な発見があり、これを研究する価値が非常にあります。今回はその内容をおおくりします。

このブログで分かること

このブログで分かることは、座り技呼吸法で腕に力がはいる根本原因がわかります。そのための対策法も同時に示すのでより効率のよい稽古ができるようになります。つい 肩に力が入ってしまう人や腕に力が入ってしまう人は最後までお読みいただけるとすべての問題が解消できます。

1.なぜ座り技呼吸法で力がはいるのかがわかる
2.力がはいる対策法がわかる
3.折れない腕の応用方がわかる
4.正しい体の使い方がわかる

目次

座り技呼吸法と折れない腕の関係
手首を持たれると起こる反射
反射の防止には腹圧が必要
力の伝え方

座り技呼吸法と折れない腕の関係

折れない腕ができるようになりましたら、次の段階として座り技呼吸法(正式名称:座り技呼吸力鍛錬法)に応用してみましょう。

座り技呼吸法の一般的な解説として「臍下丹田を意識して気を腕に伝えて腕に流すことで相手に気が流れ込み相手を倒す」ということではないでしょうか?

ですから感覚として折れない腕とほぼ同じということが言えます。ただ異なるのは、体幹の力を如何に折れない腕に伝えるかということです。

ところが、この折れない腕を座り技呼吸法に応用しようと思った際、実は大きな問題点があります。それは折れない腕では手首の下の部分で支えられていたのが、座り技呼吸法では手首の上の部分で持たれてしまうという点です。

この点で勝手が違って折れない腕ができていた人でも座り技呼吸法が上手くでいない状態に陥っている人がいます。その理由を次に話します。

手首を持たれると起こる反射

この座り技呼吸法というのは長年研鑽をしている有段者さえ腕力の差が大きい相手だと中々思うようにかけられません。ですから折れない腕の応用というとそれを否定される方もいらっしゃいます。

しかし、座り技呼吸法は原理的には折れない腕と同じなのです。そこでまず何故座り技呼吸法がうまくできないかという理由について説明していきましょう。ぶっちゃけ結論から言いますと動生理学で言われる反射を起こしていしまっているからなのです。

その反射とはどういうものなのかを少し詳しく説明していきましょう。相手が手首を取りに来たとき相手の力を感じるのは手首の一番上の部分なのですが、ここに力を感じると反射としてそれを押し返そうとする筋肉が働いてしまいます。その筋肉というのは所謂屈筋と呼ばれるもので、上腕二頭筋と肩の三角筋などです。

上腕二頭筋は所謂力こぶと言われる部位の筋肉で、肘を曲げるのに使用される筋肉で、図のような反応が起こるのです。上腕二頭筋は単に肘を曲げる筋肉ですので動きが単純で非常に読まれやすいという特徴があるのと同時に、術者からすると力強さを感じるため力が出ていると勘違いをしてしまいます。

さらに、上腕二頭筋が働くと次にこれに連動して肩の筋肉である三角筋が働きます。この筋肉は手首から非常に離れているので 作用点が遠くにあるため テコの原理から言うと非常に大きな力が必要となる筋肉です。ですからあまり複雑な動作ができない割には出力が小さいという問題がでます。

上腕二頭筋と三角筋が働くと次はこれを固定するため背中の筋肉が張り、結局背骨の起立筋が硬直させて腰の筋肉を反らせて対抗するという結果となります。こうなると動きがより単純化されてしまうのです。これでは相手を倒すことは当然できません。

以上が手首を上から抑えられそうになると起こる反射なのです。これが起こると伸筋の反対側の筋肉が緊張し折れない腕ができなくなるのです。

反射の防止には腹圧が必要

では反射を起こさないためにはどうするかという問題です。もうお分かりになった方もいらっしゃると思いますが、先ずは合わせを使って相手と力がぶつからない状態を作るということです。そして反応速度を利用して一気呵成に相手を倒すというのも一つの手です。

ところがこれでは今回のテーマの折れない腕を座り技呼吸法に応用するということにはなりません。座り技呼吸法に折れない腕の応用を考えると何故合氣道で使う力を呼吸法と呼ぶのかが分かります。

というのは座り技呼吸法では体幹を支えるため腹圧を使います。合氣道では丹田を意識するようにと言われますが、実際は丹田を意識することで腹圧を掛けるのです。腹圧は呼吸筋といわれる横隔膜でコントロールしますのでまさしく呼吸筋によって体幹を支えて作られる安定した状態から繰り出される力が呼吸力といえるのです。

腹圧というのは医学的には 腹腔内圧 と呼ばれ、 腹腔とは腹部の内臓を収める空間のことで、隔膜、骨盤底筋、腹横筋、脊柱部の多裂筋などのインナーマッスルで囲まれています。そして横隔膜が下がると腹部全体の筋肉が同時に収縮され、腹圧が高まります。

反射は上腕二頭筋から三角筋を通って背中の起立筋群が緊張するという現象でした。体の表層の筋力の緊張による現象です。ところが体の内部を安定し地面からの力を直接体から伝えることで、体表の緊張が起こり難くなるのです。

下図はその状況をモデル的に示したものです。反射が起こった場合は表層の筋肉だけが張るのでまるで板バネに取り付けらえた腕のようでバネの強さだけ押し返せるようなイメージですが、腹圧を使ったモデルでは相手の力を直接体幹から地面に逃がし、その反作用を利用して相手に返すということが可能になります。


腹圧を高めるには腹式呼吸の稽古が最適です。先ずは息を吐き切りお腹をへこませます。肛門を締め上げると同時にお腹を膨らませ息を吸い込みます。吸いきった時点で息をつめずに息を止めお腹に圧を加えます。これを繰り返します。肺の圧が高まると脳に圧力が行き悪影響がでますので くれぐれも息を止めた時に息をつめないでください。

腹式呼吸が思うようにできると次は逆式呼吸の段階にはいります。逆式呼吸は息を吐きながらお腹を膨らませ、息を吸う時にお腹をへこませるという呼吸法です。この呼吸法ができるようになると腹圧が自由に作り出せ、腹圧を上げたときパンチをされてもかなり耐えられるようになります。

力の伝え方

腹圧を自在に作れるようになったら体幹がかなり安定してきているので、その体幹の安定感をつかって地面の力を腕に伝えるようにします。

感覚的には腹圧を上げたとき丹田から上下八方に圧が広がるような感じで丹田からの力が腕に伝わるという感覚です。

さらに相手へ伝える力は自分の手首の下側、要するに相手が持っている指側から伝えます。間違えても自分の手首の上側を使おうとしないことです。手首の上に意識が行った時点で反射が起こり上腕二頭筋、三角筋、脊柱起立筋の緊張がおこります。

さらに良いイメージとしては相手の掌の皮が空いて方向に1センチ伸びるような感覚があるとかなり効果が発揮します。

とにかく座り技呼吸法のポイントを一言でいうと「意識のポイントは手首の下側」です。心身統一合気道の藤平師範も僕の師匠の井口師範も重みは下に感じるようにと言われていますが、ここに意識を置くことで、上記の屈筋群にかかる力がすべて解消されます。これが効くか効かないかのポイントなのです。

ただし皮膚の技術の秘伝という別のやり方もありますが、それについて述べるとまた長くなるので今回はここまでとしておきます。とにかく、意識するところを手首の上ではなく手首の下側だと覚えておき、そこを意識できるように動くことです。

◆   ◆   ◆

今回は折れない腕を座り技呼吸法で応用するやり方を説明しました。合氣道修行者の方がこのやり方を良く研究すると様々な気づきがあると思います。とくに折れない腕がさまざまな局面で使えるということもわかってくると思いますので是非研究することをお勧めします。

次回は立った状態での強い力の伝え方の秘伝について述べたいと思います。 最後までお読みいただいた読者の方々有難うございました。

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【体の段階】折れない腕

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

形の段階は形を教えてもらった通り行う段階で多くの方が取り組んでいるものです。ところがこの後多くの修行者はいきなり気の段階に入ろうとしますが、実は気の段階に入る前にどうしても体の段階の稽古をしておく必要があるのです。

体の段階の稽古には2つの段階があり、最初が自分の身体の使い方を理解する段階であり、2つ目めは自分の動きがどのように相手に影響を与えるかを知る段階です。

このブログでは前回までは体の段階を行う上でもっとも必要な概念を説明しました。それは「相手に悟られない動きをする」ということでした。そしてもう一つは体の段階の最終目標である「相手のバランスを奪う」ための基本的な考え方について述べました。

今回からはこれらの基礎知識を元に体の段階の技術を深掘りしていきたいと思います。今回は合気道で使う筋力に関連して合気道でよく言われる折れない腕について述べていきたいと思います。

このブログで分かること

折れない腕は合氣道界に割と普及している技術です。この技術の応用はたくさんありますが、中には中々できない方もよくいらっしゃいます。このブログでは氣という概念を使わず折れない腕の作り方を説明し、さらに折れない腕ができる理由も解明していきます。今まで折れない腕があまりよくわからない人は最後まで読むことでやり方がわかるようになります。

・ 誰でもできる 折れない腕
・折れない腕の原理
・気を使わない折れない腕の作り方

目次

折れない腕の作り方
折れない腕ができる理由
折れない腕のメリット
折れない腕から学ぶべきポイント

折れない腕の作り方

合氣道では 折れない腕 というスキルが存在しています。それは心身統一合氣道の故・藤平光一師範が合気道最大団体の合気会の師範部長をされているときに提唱しそれが合気道会に広がったものです。

折れない腕の基本的な考えは
「臍下丹田を意識し、手をリラックスせて、指から気がほとばしるとイメージをすると、腕に気が流れ、どんなに力を加えられても決して折ることができないぐらい強くなる」
というものです。

そしてこの折れない腕をパフォーマンスで行う場合に下図のように相手に腕力で腕を曲げるように試みてもらいます。もし折れない腕ができていたら相手がどれだけ力をいれようとも腕は今の字状態異常に曲がりません。

          折れない腕のパフォーマンス

折れない腕は実は藤平師範が気の存在を証明するために行ったパフォーマンスでしたが、実はこれは気ではない角度からも実際に行える技術なのです。当ブログでは現在は体の段階の技術を述べているので、折れない腕を気という概念を使わない別角度から説明をしたいと思います。

結論から言えば折れない腕というのは、伸筋のみを使い自分の腕で最高の筋力を使える状態を作りつつ、相手の生理学的欠点を利用することで相手に力を返す技術なのです。

  1. 丹田から鋼鉄の棒が出ていて手首をしっかりと支えていると想像します。
  2. 相手に両腕を支えて貰い力を入れる準備をしてもらいます。
  3. そこで丹田で鉄棒を押し出すようイメージしながらお腹を2,3センチ前に進ませて手首も前に進ませます。このとき注意すべき点は4つあります。
     ①手の筋肉を緊張させない
     ②足を使って腹を前に進ませる
     ③腰を反らしてお腹を突き出さない
     ⓸手首の下部を押し出すようにして力を返す
    以上を意識すると腹圧が上がり体幹が安定します。
  4. そこで相手に思い切り腕を曲げようとしてもらいます

以上で相手はあなたの腕を屈曲させることができなくなります。

折れない腕ができる理由

この簡単な理由は2つあります。一つは力を抜いたという感覚で腕の伸筋(腕を伸ばそうとする筋肉)が有効に働くために予想以上に力がでるためと、もう一つはお腹(体幹)からの力が前にでて、相手の力のベクトルをずらすため充分に力が入れられなくなるからです。

このように人間はわずかに狂ったバランスや条件が判断できなくなるため、非力な女性がこのパフォーマンスを行っても腕を強制的に屈曲できなくなるのです。これは飽くまでもパフォーマンスであって、この折れない腕ができるかどうかをチェックするもので技というたぐいのものではありません。

折れない腕のメリット

ここでこの折れない腕のメリットをあげると

  1. 相手が微妙に崩れていてベクトルをずらされていることに気づかない
  2. 自分の腕の筋力が変化しないことで意図が相手に読まれない
  3. 相手の想像を超える力が伝わる
  4. 非力な女性でも男性に使える

項目1についてはもう既に述べましたのでいう必要がありませんね。項目2についてですが、もっと相手にこちらの意図が読まれる原因となるのが腕の各筋肉の筋力の変化です。ですから相手との接点ではいかなる腕の筋肉の変化もできるだけ抑えるようにする必要があります。しかしこの折れない腕は固定するという点に意識を使っているため腕の筋肉に変化が起こり難いのです。

項目3についてですが、これも既に述べていますが相手は微妙にバランスを奪われているため充分に力が入らない上、腕の筋肉を微妙に使わないため変化がつかめない状況で、体幹からくる力を使われるため予想以上の力が相手に伝わります。

項目4は合わせを併用するとさらに力が不要になるため非力な女性でも男性に使えるということができます。特に足の三角秘伝で足の筋力を確実に相手に伝えるやり方や相手に誤認させる皮膚の技術の秘伝など覚えると非力な女性でも十分に男性に通用するようになります。

折れない腕から学ぶべきポイント

折れない腕から学ぶべきポイントとして、合気道のスキルというのは自分一人で行うことではないということです。折れない腕の特筆すべき点は、腕を気のパワーで強くするだけでなく、実は相手の重心を僅かにずらすことで相手に力が入らない状態を作り相手の力を相手に返すという手法を取っているという点です。

結局は、筋肉(伸筋)を有効に使いつつ、相手を崩すということを行っているのです。ただし術者の方にも相手を崩すという意識がないという点も大切です。相手を崩そうとする意識が働くと相手はそれを察知するからです。

しかも相手を崩そうとすると腕に妙な力が入りますので、急に折れない腕ができなくなるということも起こります。このように折れない腕を行うと合気道に必要な要素が浮き彫りになってくるのです。

・相手を崩そうと意識すると認識される
・折れない腕のようにこうすればこうなるという結果が大切
・気を意識することで筋肉が最善の状態になる
・気を意識するだけで体幹が整い丹田からの力がでる

このような点を意識して折れない腕を実践していただくと自分でもいろいろな発見があると思います。

◆   ◆   ◆

今回の内容は折れない腕を筋力や一般的ではない別の角度から説明しましたが、そこからいろいろなことが学べたのではないでしょう。次回は折れない腕の応用した座り技呼吸法について話したいと思います。

最後までお読みいただいた読者の方々有難うございました。

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【体の段階】合気道で使う力

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

形の段階は形を教えてもらった通り行う段階で多くの方が取り組んでいるものです。ところがこの後多くの修行者はいきなり気の段階に入ろうとしますが、実は気の段階に入る前にどうしても体の段階の稽古をしておく必要があるのです。

体の段階の稽古には2つの段階があり、最初が自分の身体の使い方を理解する段階であり、2つ目めは自分の動きがどのように相手に影響を与えるかを知る段階です。

このブログでは前回までは体の段階を行う上でもっとも必要な概念を説明しました。それは「相手に悟られない動きをする」ということでした。そしてもう一つは体の段階の最終目標である「相手のバランスを奪う」ための基本的な考え方について述べました。

今回からはこれらの基礎知識を元に体の段階の技術を深掘りしていきたいと思います。今回は合気道で使う力とはどのようなものかについてお話したいと思います。

このブログで分かること

・合気道で用いる力とはどのような力か?
・脱力とはどのようなものか?
・合わせとは何か?
・合気道の物理的な考え方の大切さ
・合気道の運動生理学での考え方
・合気道の心理学での考え方

目次

合気道で用いる力とは
筋肉が働かないと動くことすらできない
問題は腕力の変化
腕力の変化をつくらない脱力
合気道の運動生理学
合気道の心理学

合気道で用いる力とは

「合気道の技に用いる力とは?」という質問に対してすぐ帰って来る言葉として「呼吸力」があげられます。ところが「呼吸力とはどんなものか?」という質問に対して的確に答えられないというのが多くの方の現状ではないでしょうか。

或いは様々な師範の様々な回答を見てどれが正しいのかと思ってしまう人もいるかもしれません。人によると呼吸力を「気の力」という人もおられます。ところが「気とは何か?」というと非常に曖昧な返事が返ってきてまるで煙に巻かれたような感じではっきりと分かったとは言い難い状況になるのではないでしょうか。

このように科学的な説明のできない力では万人が万人とも理解するというのは非常に難しいものと言えます。確かに人知を超えた力といえる存在は僕の経験からもあるのは事実ですし、量子力学的を引っ張り出してくるとどんな不思議なことがあってもおかしくはありません。

しかし、スキルとして常に使う という点を目指すのであれば、誰にでも繰り返し再現性がある必要があるという点から当会では科学的アプローチができる力で技を考え、その上で生理学的現象や心理学的現象を考慮した上で技を研究する必要があると考えます。

ですから、当会で扱う合気道に用いる力とは筋力運動エネルギーの2種類です。ここでいう力というのは厳密には物理学の力の定義とは異なりますが数学的な計算で示すものではないので読者の方にはご理解をお願いしたいと思います。

筋肉が働かないと動くことすらできない!

合気道修行者の中には筋力を否定する人がいますので、筋力というと 不思議に思う人がいるかもしれません。一般的に合気道の道場では筋力を使わないようにと指導され、脱力するように言われます。

ところが達人でさえ筋電図を取るとやはり筋肉は働いているのです。ですから人間が生きているうえでは科学的には筋肉を全く使わないという状態はあり得ないのです。

僕は昔のある日に突然全身の筋肉が筋肉弛緩状態になったことがあります。意識があるのに突然体が倒れ全く体が動かない状態になったのです。当時も僕は合気道をしていましたので気を意識して動こうとしましたが、立つころはもちろん手足を動かすこともできませんでした。

実は病院に行って分かったのですが、この原因になったのは高価な栄養ドリンクを毎日飲んでいたせいなのです。当時とある会社で勤めていて深夜残業がかなり続き、睡眠不足を補うため高価な栄養ドリンクを毎日飲んで体に鞭打って仕事をしていたのです。するとある日突然パタッと倒れてしてしまったのでした。

栄養ドリンクにはカフェインなど神経を高ぶらせる薬品が多数入っていますが、睡眠不足のため体が寝ることを要求しているのを無理に神経を高ぶらせて起きていたので限界が来て精神が起きているが体が眠っているという状態になってしまったわけです。よく言われる金縛りの状態と同じことが目覚めている間に起こったのです。

この時の経験から体の力が抜けると気が流れているなどイメージをしても動かないということが分かりました。このように筋肉が完全に弛緩した状態だと人間は倒れてしまうのですね。ですから合気道の技を正しく行っているという状況では必要な筋力を最小限度適切に使っていることに他なりません。

問題は腕力の変化

前項では筋力が必要といいましたが、それでもどうしても納得いかないと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか? それは「肩の力を抜くと上手くいった」「腕の力を抜くと上手くいった」という経験がある方ではないでしょうか? 

合氣道の技においても筋力を使うと言っていますが、だからと言ってウェイトトレーニングを合気道に導入すべきと言っているのではありません。それだと体格や体力が優れた人が技ができるという結論になります。

当会では技が効かないのは相手に自分の意図が読まれているからと考えています。これは体の段階の大前提の「相手にこちらの意図を読ませない」という点を思い出してください。

合気道では相手を投げるのに通常手を使います。ところがこの手を普通に使うとこちらがしようとしている情報が相手に洩れてしまうのです。すると相手はこちらの動きを察知して対応できてしまいます。それだと技が効きません。

実は人間の手というのは様々な器用な動きが要求されていますので微妙な動きが出来るようになっています。その為に微妙な筋肉の動きで相手がこちらがやろうとする情報をキャッチしてしまうわけです。

そのためには腕の筋肉の変化を作らない必要があります。これが力を抜けという理由なのです。だから腑抜けになってしまえということではありません。筋力の変化のない腕を作ってそれに体幹の力や運動エネルギーを伝えるのです。

腕力の変化を作らない脱力

ここまで読まれている方は、当会では脱力を完全に否定していると思われたのではないでしょうか? 合気道ではよく力を抜くことを指導されます。では多くの道場ではありもしないことを言っているのでしょうか?

そうではありません。脱力には2種類あります。一つは消極的な脱力ともう一つは積極的な脱力です。消極的な脱力というのは全く何も力をいれていない腑抜け状態をさし、積極的な脱力とは当会では合わせと言い相手の力の方向に動きを合わせて相手と力のぶつかりがない状態を作ることをいいます。

合気道でいう脱力とは本当に筋力を全く使わない腑抜け状態をつくることではありません。合わせを使った積極的脱力を指すのです。(なお、この合わせについては2022年4月6日の記事4月10日の記事に詳しく紹介していますのでご参照ください)

ぶつかりがあれば必ずそこに関連する筋肉がアクティブ(有効)になっています。さらに次に動作を行うにはそのアクティブになった筋肉をさらに使う必要があるため相手は簡単に次の動きが判断できてしまうのです。

さらに合わせの目的は、相手の力の方向に自ら積極的に合わせることでぶつかった状態を回避することでこちらのアクティブになった筋肉がどれであるかを相手に読ませないようにすることにあります。ですから当会でいう脱力とは合わせのことであり、相手と力がぶつかっていない状態をつくることで、単なる力の抜けた腑抜け状態とは一線を画します。

何故、腑抜け状態ではいけないかというと護身術を必要とするような場面の場合は相手の攻撃は様々の展開を見せますので腑抜け状態でいるとアッという間にやらてしまうことになるからです。

例えば相手が手首を取りにくる場合、ただ手首を握って終わりではないのです。何らかの目的があって手首を掴むのですから、ただの腑抜けのようにすると相手に体までもっていかれます。この点が腑抜けではいけないという理由です。

合気道の運動生理学

次に合わせにより作られた脱力を如何に利用するかを述べたいと思います。

ところで、運動生理学では人間が反応するのに認知してから0.5秒かかると言われています。それを反応速度といいますが、これを利用して技に掛けると相手はこちらの動きに十分対応できずコントロールを許してしまいます。要するに相手にこちらの意図が読めなければ技が上手くいくということです。

実はこれは腑抜け状態からでも同じことができます。具体的な例でいえば、相手に手首を掴ませてコチラは腑抜け状態にして脱力をしいきなり相手の予知できな方向に手を上げると相手は対抗ができず手を握ったままついてくるというようなことが起こります。

確かにこれを見せられると、腑抜け状態の脱力でも技が使えるという印象を与えてしまいますが、これは単なるパフォーマンスにしかすぎません。様々な攻撃が次々と繰り出される中でこのような技術はとても使えるものではありませんので誤解が無いように理解してください。飽くまでも合わせを使った積極的脱力状態からこれを使うということです。

合気道の心理学

ところで反応速度を利用したこのテクニックですが合気道修行者の方の中にはどうしても上手くできない方もいらっしゃいます。その原因は相手との接している場所(例えば握られている手首)に意識が行っているからです。

例えば手首を握られている状態で手を上げようとした場合に手首を意識して上げようと考えた時点で相手はこちらの意図を読みます。何故なら持たれている部分を僅かにでも意識してしまうと自分の手の筋肉が微妙に反応して筋力の変化を作ってしまうからです。その結果、相手はこちらが手を挙げる前に既に意図を読みとり、手を挙げる妨害ができるようになります。

ですから手を挙げるときは行き先のみ意識して挙げる必要があります。そのための心理的テクニックとしては次の2種類あります。
1.手を挙げる最終地点に視線を向ける
2.手をパッと開いて意識を指先に集中する

このどちらかもしくは両方行って、自分の意識が完全に相手との接点から離れると相手はこちらの動きが読めなくなります。要は相手も自分も騙して「相手との接点が無いがごとく振舞う」ことなのです。これにより体の段階での大前提「相手に情報を与えない」ということがどれだけ大切かと理解できるのではないでしょうか。

◆   ◆   ◆

今回の内容は気という概念に頼ることなく筋力を使って合気道の技ができるということを説明しました。今回は
・合気道で用いる力とはどのような力か?
・脱力とはどのようなものか?
・合わせとは何か?
・合気道の物理的な考え方の大切さ
・合気道の運動生理学での考え方
・合気道の心理学での考え方
などを説明しました。このように体の段階ではできる限り物理的な方面で技を解析し、物質的な動きで相手に影響を与えるということを徹底的に学びます。これにより気の段階に入ったとき点と点が線になりより客観的な観察ができるようなります。さらにはその上の意の段階に進むときにこの体の段階での理解が非常に大切になるのです。

次回は腕の筋力を有効に使う方法として合気道でよく言われる折れない腕について話したいと思います。これは 呼吸法などでも使え る技術なので是非理論的に理解しておく必要があります。

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【体の段階】バランスを奪うには?!

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

形の段階とは形を学んだ通りできるようになることでしたが、今当ブログでは体の段階について述べており、この体の段階は合気道の修行を進めるに当たって非常に大切な段階です。これはさらに自分の身体の使い方を理解する段階、自分と相手との関係を知る段階の2段階となっています。その2つの段階に共通する大前提として「相手に読ませない」という ことがあると説明しました。その大前提で目の使い方接触点の使い方(合わせ)が 最も大切な要素ということもお話しました 。

今回は体の段階で習得すべき非常に大切な「相手のバランスを奪うこと」について述べたいとと思います。

このブログで分かること

1.武道でバランスを奪うための基本的な考え方
2.バランスを奪う上でイメージすべきポイント

目次

バランスを奪うための基本原理
基本原理の合気道的利用法
思い込みの是正
腕力は使ってはいけない理由

バランスを奪うための基本原理

バランスを奪うことに関しては合気道だけでなく、柔道や少林寺拳法などで様々研究されていると思います。この項では一般的に言われているバランスを奪う基本原理についてお話をしたいと思います。

もう既にご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、一般的に立っている人のバランスを奪う場合、両足の一番安定している箇所を直線で結んだときその線と垂直な方向に崩すのが最もバランスを崩しやすいと言われています(下図)。

さらにこれ以外に相手を一本足に重心を移動してしまうというのも相手のバランスを奪う一つの方法です。例えば柔道では重心を片足に移してその足を掛けるなどの足技があげられます。

以上が一般に言われている相手を崩す方向はどこかを知る目安となる基本原理です。

基本原理の合気道的利用法

合気道でのこの基本原理をどのようにとらえるかということに話を進めて行きたいと思います。まず最も大切なポイントから述べていきましょう。

合気道の技を行う際、最も大切な点は相手のバランスを奪っておくことにある。僕の学んだ井口師範の合気道では特に独特の崩すポイントがあります。

そのポイントというのが、相手のバランスを奪う際に“相手を移動させない”ということです。要するに相手の足を固定した状態で相手のバランスを奪う点が大切になります。

具体的には 下図 のように、崩そうとした際に左の図のように移動させるのではなく、右の図のように足が移動せずに固定された状態でバランスを奪う必要がある訳です。

思い込みの是正

多分上記のことは誰でも理解できることだと思うのですが、では実際に相手のバランスを奪おうとすると上手くいかないという現実に突き当たりますが、これは何故かといいますと2つの理由が挙げられます。一つは術者の思い込みによる間違った方向への力の加え方、もう一つは術者の意図が相手に読まれている点です。

ここでは力の方向について考えていきましょう。僕が学んだ合気道では相手の足を固定したままでバランスを奪うためには、相手に加える力の方向が大切であると学びました。といいますのはそれを実現するために『この方向に引っ張れば崩れるだろう』という思い込みの方向に力を加えていることが非常に多いのです。ですから実際に加える必要がある方向と異なることをしているという点を理解する必要があります。

そこで話を分かりやすくするため、人ではなくロッカーを倒す場合を想定します。先ずは何の考えも無しで倒そうとする人の場合を考えてみましょう。そういう人は左の図の紫の矢印ように真横からロッカーを押してしまうでしょう。そうするとかなりの力で押しても倒れず、床面を滑って赤矢印のように移動するだけで終わってしまいます。

一方よく考えて倒す人の場合、ロッカーの下部の1辺を中心に円弧起動を描くように力を加えればロッカーは簡単に倒れるのが分かりますから右図のように斜め上にロッカーを押すとロッカーは図のように円弧を描いて簡単に倒ます。

このロッカーの例のように接地面の1辺を中心に円弧を描くように力を加えると最も効率的にロッカーを倒すことができるのが誰でも少し考えればわかることだと思います。しかもロッカーの例でもわかるように1辺を中心に倒すのに最適な方向というのが唯一つだけあるのです。

これは合気道で人を倒す場合も同様です。お分かりかと思いますがロッカーでの1辺に相当するのが両足を結んだ線になります。ところが実際の人体となるとその崩せるという唯一の方向となると勘違いをしてしまう方がかなりいらっしゃるのです。

それが思い込みの力の方向と言えます。相手を崩そうと思って導いたとき
・相手と力がぶつかって抵抗されてしまう
・相手の足が崩れる前に移動してしまう
などの状態になっている場合は確実に相手に加える力の方向が間違っているということです。

相手の両足を結ぶ直線を中心として相手のバランスを奪うにはロッカーの例と同じく、円弧を描くような方向に力を加える必要があります。

腕力を使ってはいけない理由

ところがこの理論通り行ってもうまく相手のバランスを奪うことができない場合があります。これは相手に自分がしようとしていることを読まれているからです。

その多くの原因が腕力を使ってやろうとするためです。前項では話を簡単にするため力をいう表現をしましたが、実は合気道ではこの力は腕力のことではありません。合気道で腕力を使わないで技を行う必要があるのです。

何故なら腕の筋肉を使うと相手にこちらの意図が読まれるからです。そこで特に合気道では足や体幹から伝わる力や運動エネルギーを使って相手に力を伝えます。

         三角筋

冒頭で体の段階は2つに分かれていて、最初の段階が自分の身体を理解する段階であるお話しましたが、少しでも相手にこちらの意図を読ませないために自分の動きをコントロールできるようになることが必要なわけです。

ちなみに、当会では初心者に足の力を伝える足の三角というやり方や舟漕ぎ運動などの陽の技法、反作用を利用する陰の技法、運動エネルギーを伝える体捌き、当身術(打撃法)、合わせの技術など稽古して自分の動きをコントロールする方法を教えています。

このように如何に相手に意図を悟られないという点に注意すれば相手のバランスを奪うことが可能になる訳です。そのような技法は実は当会が指導しているもの以外にもたくさんあるかと思いますので、読者の方も自分で工夫されると良いと思います。

ヒントとしては最も読まれやすいのは肩の筋肉である三角筋を使う動作です。ですから合気道では肩の力を抜いてとかいわれるのです。

今回は体の段階での最も大切な相手との関係の最終目標である相手のバランスを奪うということでお話しました。そしてこれを実現するためには、腕の筋肉を使う動作ではできないということを説明しました。そのためには体の段階の第一段階である自分の身体の動きを理解する必要があります。そして今回お話した相手のバランスを奪うという知識を使って自分の動きを相手にどう伝えるかという第二段階に入ることができます。

◆   ◆   ◆

そこで次回は体の段階の第一段階である自分の身体をどう操作するかという点で合気道に使う実際の力の問題についてお話したいと思います。

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【体の段階】合わせとは!後編

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範から教わった合気道では5つの段階を通って学ぶということをお話しました。それらは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

現在このブログでは体の段階について述べており、体の段階ではその前提として「相手に読まれない」ということでしたが、そのポイントの一つが目の使い方、前回から述べているのが二つ目の相手との接触点の使い方(合わせ)についてです。

今回は前回に引き続いて相手との接触点の扱いについてさらに深掘りをしていきたいと思います。前回は接触点はぶつからずに相手に合わすこととお話しましたが、今回はさらに具体的に述べていきます。

このブログで分かること

1.合気道での気の使い方を稽古する前に必要なこと
2.「脱力」「合わせる」「ぶつからない」などの意味と理由
3.実際の合わせるためのポイント

目次

・気を学ぶ前に学ぶこと!
・相手とぶつかる理由!
・合わせるとは?!
・上手く合わせられない理由!
・合わせを使ってもぶつかる時は?!
・それでもぶつかりが出る場合は?!

気を学ぶ前に学ぶこと!

合気道では一足飛びに気のことを考える修行者が多いとおもいますが、気の段階の前に先ず体の段階を通る必要があります。まずはその理由から述べていきたいと思います。

体の段階というのは、相手の体と自分の体、相手の動きと自分の動きなどの関係を理解する段階です。この段階を飛ばして気の段階に行く方で中々上達しない人の多くは気を自分だけの範囲での使用で終わってしまうからです。

合気道の技というのは相手と自分の2人の化合物なのです。相手というものを考えず気だけを考えてしまうと自分も相手も気が出ているので、結局相手に読まれてしまい技が思うよに効かないということになるわけです。

気を考える場合は相手にどのように気が入るかを知る必要があるのですが、その基礎を作るのが体の段階です。自分がどう動くと相手がどう動くか、相手を崩すにはどう考えるかなど工夫してそれが身について初めて気の段階に移ることで自分の気と相手の気を合わすことができそこで初めて技が効くということになります。

飽くまでも合気道の技は相手と自分を合わせるということが目的ですので、物理レベルで合わせる、すなわち物理である身体で如何に相手と合わせられるかが体の段階の目標な訳です。

相手とぶつかる理由

ではもう少し具体的に話を進めていきましょう。物理レベルで合わせるとはどういうことかという点についてお話します。

その例として、片手持ち回転投げの最初の捌きを考えてみましょう。下図はご片手持ち回転投げの一般的な捌きを示しています(この後にこの女性は相手の腕を上げ相手の側面に入る訳ですが本気でつかまれたときこの捌きまでが出来ない方が多いのでここでは割愛します)。この女性のように捌きをしようとした場合、相手が本気で捕まえていると②までいけない修行者が割といるのではないでしょうか? では何故上手くいけないのでしょうか? その理由をこれから述べていきたいと思います。

先ず相手とぶつかりを生じる理由を述べておきます。ぶつかりが生じる理由は己の無意識レベルで反応が起こっているからなのです。下の図は手首を掴まれたときのそれぞれの力の出方を現わしています。

手首を取に来ている人は赤の矢印の力を働かせます。すると無意識に手首を取られた人は紫の矢印の方に力を働かせてしまうのです。

この動作がわずかにでも起こると、結果としてわずかなぶつかりの初期段階が形成されます。すると手首を取られている人がこの時点でどこに手を移動しようとしても相手に逆らわれてしまうのです。

ではダラーンとして完全に脱力してみたらどうでしょう。確かにぶつかりはなくなりますが、そうすると相手の意のままになってしまいます。では一瞬完全に脱力してから動かしてみたらどうでしょう。動かそうとした瞬間に相手に読まれ動きが止められてしまうのではないでしょうか?

合わせるとは?!

動けば止められ、力を抜けば相手の意のままにされる。ではどうすれば良いのかというと、そこで合わせるという技術が出てくるのです。合わせるというのは単に腑抜けのように自分の力を抜くというものではありません。

相手の力を読みそれに乗って相手を不利な状態に持っていくことをいいます。ですから導くと表現する人もいます。実は合気道では脱力というのはこの合わせることを意味している言葉でもあるのです。それを図に示すと次のようになります

なお導くというと間違えて引っ張ると思っている方がいらっしゃいますが、あくまでも相手に持たれている接点で感じている感覚が変化してはいけません。変化があると必ず相手はこちらの動きを読んでしまいます。接点に変化がないように相手の動きに合わせて導くのです。そうすると脱力感が自分の中に現れます。

さらに「相手が押して来ない場合はどうするのか?」という質問が来るかもしれません。そのヒントは事項にありますのでご覧ください。ヒントは円運動で導くことです。

上手く合わせられない理由!

ところが上記のように相手の力を導くように行っても実際は上手くいきません。それは何故でしょうか?

それは相手の体の構造を無視しているからです。人間はご存じのように関節でできています。ですから、関節の可動範囲と違う動きをした時点でぶつかりができるのです。それが相手とぶつかる2つ目の理由です。

ですから相手の力に乗って合わせるためには、相手の関節がどのように動くかを理解しておく必要があります。そして下図のように相手の可動範囲を円軌道を描くように導いてあげる必要があるのです。特に大切な点は飽くまでも円軌道というのは相手の関節の固定点を基準に円軌道を描くということで、自分が勝手に円軌道を描くのではないという点に注意してください。相手が移動しているときは導く己の動きは円には決してなりません。

合わせを使ってもぶつかる時は?!

以上の要点に注意していざ技をかけてみるとやはり相手の力とぶつかる人がいます。それは心理的な円の方向と実際の円の方向とが異なるからです。

相手に技をかけたいという気持ちが相手とぶつかるという現象を生んでいます。『相手を倒そう』という気持ちによって自分の力が相手側に向いてしまい相手とぶつかるという現象を起こすのです(下図参照:相手の力(青)と自分が向かおうとする方向(赤)の力がぶつかるため)

ところが関節の固定点からすると実はもっと外に円運動をする必要があるのです。そして上手く円運動が起こると、それに連動して腕だけではなく他の部位も動いてしまいます。これは生理学的な現象ですので、相手は気づかない間にバランスが狂っていて力が入りにくい状態となっています。それにより相手を導くことができるようになるのです(下図:導かれた相手は実際の位置よりずれる)

それでもぶつかりが出る場合は?!

以上が力の要らない技ができる理由です。 なお今回の記事を読んでもなおぶつかりが生じる場合の多くは持たれた手首を見ていることが多いです。いくら体で相手への情報を遮断していても目で知らせていては意味がありません。決して接点は見てはいけません。

さらには、目を意識してもそれでもなおぶつかる人がいます。その原因は何かというと相手の力と合わせていないためです。多くは手首でぶつかりが生じています。それは数十グラムのぶつかりでも問題となります。ぶつかりが出た時点でこちらの変動は相手が読めるものとなるからです。それを注意してください。そこでもう一度「体の段階での大前提」の注意事項をあげておきます。

・目付け
・接点
  柔らかく当たらない
  相手の力に合わせて導く
  接点は相手の関節の固定点を中心に円運動

次回はもう少し体の段階について深掘りしていきます。ここまでお読みいただいた読者の方本当にありがとうございました。 もし記事がお役に立てたと思われたらぜひ下記のブログ村への投票をお願いします。

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