「当会の技術について」カテゴリーアーカイブ

骨格と姿勢反射

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の合氣道の師匠・井口師範は合氣道習得の段階として形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 があると話してくださいました。

現在当ブログではその中の体の段階について述べいます。さらに、体の段階では4種類の技術があり、それらは、骨の技術、皮膚の技術、皮膚感覚の技術、空間感覚の技術です。前回は骨の技術の内の相手の骨格の捉え方について説明しました。相手の骨格をとらえるのにもう一つ理解しておく必要があります。それは身体には反射が起こるということです。今回はその点について話したいと思います。

このブログでわかること

合氣道で技をかける際にあまり重視されないことに反射があります。合氣道で利用する反射は、人間の骨格構造上で常にバランスを取っているため骨格の変化によって自動的に反応が起こるという現象です。これがわかると合氣道の技は相手を導くといわれる意味が分かるようになるだけでなく、最小限度で相手を崩すことができるようになります。

目次

姿勢反射
肩甲骨の位置と反射
背骨と膝の反射
骨格の変化により相手を導く

姿勢反射

人間の身体は、 全身の状態を知覚するためのセンサ の機能をもった受容器があり、それによって、自動的に体の位置や姿勢や運動における平衡を保つことができるようになっています。これを生理学では姿勢反射といいます。

そのため人間の身体はある状態になったとき勝手に反応するわけです。私たち合氣道修行者はこの特性を利用して相手の無意識の反応を引き出し、技につなげることができます。

言い方を変えると骨格上である部分が変化するとそれに応じて他の骨格が自動的に変化するということです。ですから私たち合氣道修行者はこの特性をよく知っておく必要があります。以下では合氣道修行者が利用しやすい反射について述べていきます。

肩甲骨の位置と反射

合氣道で相手を導くということをよく言われますが、そのためには相手の肩甲骨の位置とバランスの関係を知っておくと非常に便利です。

相手を前面に倒したい場合、肩甲骨を前にずらすと前方に崩しやすくなります。いわゆる巻き肩のように肩甲骨をが前にずれると前に倒れやすくなります。これは一教~四教、回転投げなどで利用できます。

また相手を後方に倒したいのであれば、肩甲骨を後ろにずらします。すると相手を後方に倒しやすくなります。代表的な技としては小手返し投げや入り身投げ、隅落としなどに利用できいます。

当会の稽古では、肩甲骨部に連なる筋膜に伸展の刺激を与えることで肩甲骨を前方にずらして相手を崩す「きりもみ」という名前の技術を入れています。これはこの肩甲骨の位置による身体の反射を起こるのを理解するためです。

背骨と膝の反射

背骨は大きく分けて、頚椎、胸椎、腰椎の3つのパートに分類されています。頚椎は首の部分で7つの骨から成り立っていて、胸椎は胸の部分で12個、腰椎は背骨の下部である腰の部分で5個の骨で構成されています。僕たち合氣道修行者が狙うのは頚椎と腰椎の2か所です。

基本的には頚椎が後ろに反ると、反射として腰椎が反り、腰椎が反ると反射的に膝が前方に移動してバランスを取ろうとします。また、背骨を屈すると反射的に尻が後方に引けます。これが背骨に関連して起こる反射です。

骨格の変化により相手を導く

骨格がどのようになると反射が起こるかといった特性を理解していると、合氣道修行者のやることはどのように導けば反射が起こるかということを考え、実行することです。

そのためには、反射が起こる条件を知る必要があります。反射が起こる条件というのは、力づくで行うのではなく、自然にその位置に導くということです。力づくで行うと、力のぶつかりが生じ、相手はそのぶつかった力を利用してバランスをとろうとしますので、理想的には相手との力のぶつかりが無いのが好ましいといえます。そのため相手をその位置、その状態に導く必要がある訳です。

僕は師匠の稽古で「導かなあかん」と言われたとき、
 何をどう導くのか?
 導くとはどのようにするのか?
等、わかりませんでした。師匠は「相手が自然に倒れるように導くだけ!」と言われました。要するに、自然に倒れる位置があったわけです。それが反射が起こる位置というわけです。

  ◆   ◆   ◆

2回に渡って骨格について述べてきましたが、骨格を考えることは合氣道修行者にとってとても大切だと感じていただいたと思います。合氣道の師・井口師範から「体は気に従い、気は意に従う」と聞きました。当初僕はこの捉え方を誤っていて、体は気に従うのだから気を鍛えれば技が上達すると思っていました。

ところが正しい体の運用ができなければ、気が流れないのです。気を正しく流そうとするには、正しい体の運用が大切だということだったわけです。

僕たち人間の体は物理法則を全く無視することができません。物理法則にのっとった動きを行ううちに、気の感覚が起こり、気の操作で身体操作ができるわけです。ですから、 正しい体の運用ができ気が意識できるようになった段階で初めて気を意識することで正しい体の運用ができるということだといえます。

それが「体は気に従う」ということだったわけです。

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相手の骨格を読む

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の合氣道の師匠・井口師範は合氣道習得の段階として形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 があると話してくださいました。

現在当ブログではその中の体の段階について述べいます。さらに、体の段階では4種類の技術があり、それらは、骨の技術、皮膚の技術、皮膚感覚の技術、空間感覚の技術です。前回は骨の技術の内の自分の骨格を利用する技術として肩甲骨の使い方について述べました。今回は骨の技術の内の相手の骨格の捉え方について説明していきたいと思います。

このブログでわかること

合氣道の修行者の中で相手の骨格を意識している人は案外少ないように思います。相手の骨格を意識できるかどうかで、「相手とぶつからない」状態が可能になります。特に自分より力の強い人に逆らわれると技がかからないという人は相手の骨格を意識することでかなり技の自由度が増しますので是非最後までお読みください。

目次

相手の骨格を意識するとは?
相手の関節を意識するとは?
力の強い相手の場合は?

相手の骨格を意識するとは?

では、相手の骨格を意識するとはどういうことでしょうか? ご存じのように人間の体は骨によって支えられています。骨がなければ、立っていることすらできません。さらに骨は、筋や筋肉によって接続され自在に動くことができるようになっています。

また、私たちは、自分の身体の骨格を意識することなく自在に手足をコントロールしています。自由にコントロールしているといっても、実際は骨格の接続部である各関節で折れ曲がったり、回転したりして自在に動いているにすぎません。ですから、骨の途中で折れ曲がるようなフレキシブルな動きをしているわけではありません。

各関節をコントロールする筋肉が無意識レベルで協調して動いてその自在性を実現しているのです。ですから結局は人間の動きというのは各関節で折れ曲がったり、回転したりしたりして総合的に目的の動きを達成しているにすぎないのです。

ですから人間は誰もが関節を意識して動かすということをしていません。そのため人間は自分の関節に異常が起こった時に初めて自在に動かせないということを知るのです。

逆にいうと、相手の関節を意識して、相手をコントロールするということを行うと、相手はそのことに中々気づきにくいものです。そこで私たち合氣道修行者は相手の関節を意識して、それをコントロールしようとすることで相手とぶつからない技が実現できるのです。

相手の関節を意識するとは?

では具体的に相手の関節を意識するとはどういうことかを述べていきたいと思います。

例えば、相手の腕を曲げさせる場合を考えてみましょう。通常相手の腕を曲げさせることを考えた場合、下図のように、肘と手首に圧力をかけて曲げようとするか、手首をつかんで抉(こじ)る力で肘を曲げようとするかのいずれかでしょう。

特に、肘と手首に力を加える場合の力の加え方で行う場合、腕の固定端となる相手の肩と手首から加える下の力と、肘関節を上から押す食い違う力によって強制的に肘を曲げようとします。ところが実をいうとこの力の入れ方は非常に非効率なのです。何故なら肘が曲がった状態というのは相手と相手の手首が接近している状態であるので、相手の肩が固定端となっていことで接近した距離を作り出すのが難しいのです。

モデル的にいうと下図のように両端を支点で支えている状態で、ゴムを伸ばすように下に引き伸ばしているような力の加え方だからです。

腕がゴムのように伸びるのであれば肘のところで容易に曲がるのですが、実際は腕は伸びませんから、力の加え方としては非常に非効率といえます。

また、手首をもって抉るように曲げようとしても、多くの力は骨を折る方向への力となって無駄に消費されてしまいます。ちなみに、これは座り技呼吸技などで手首を持たれたときに相手の腕を曲げさせよと手首部分に圧をかけて抉るのとまったく同じ原理です。

一方、関節の可動範囲を意識することで腕が曲がったときどのように手首が移動するかを意識して力の与え方を工夫した場合、最も効率よい力加減で相手の腕を曲げることができます。

要するに、相手の肘を曲げさせるには、円運動の軌道を描くという意識が必要なのです。この意識があると、最初の肘と手首を食い違いに力を加える場合でも、手首の位置は肘を折り曲げるのと同時に相手に近づける必要があるということがわかります。

そうすることで最も効率よい力で相手の腕を折り曲げることができるのです。私たち合氣道修行者はこのように関節においてどこに導けばよいかを意識して技をかけることで最小限の力ということがわかるようになります。

このように相手の関節を意識し、どのような軌道で相手を導くかをイメージするというのが非常に大切なわけです。

力の強い相手の場合は?

ところで確かに関節を意識すれば最も効率の良い力加減で関節部を折り曲げることができるのは理解できます。ところが相手が力の強い場合は効果がないのではないかという疑問が生じるのではないでしょうか?

実は人間の筋肉の構造上、力を入れられるのは一方向のみに限られています。ですから何も力が加わっていない方向に自分の筋力が加わると関節か勝手に曲がるか伸びるかどちらかになってしまうのです。ということは、相手に逆らわれるということは自分の力の入れる方向に相手の筋力が逆らっていることに他ならないのです。

さらにもう一点、運動生理学で分かっていることですが、相手がこちらの力の方向が読めない場合、気づいてからそれに対抗するのに0.5秒かかります。

しかも、人間の関節というのは相手の腕をコントロールするという点だけに限定しても、肩関節、肘関節、手首関節などがあり、さらにねじり方向など含めると、相手が力を加える方向性を考えたとき幾通りもの選択肢が考えられます。

ですから技の掛け手の視点から見ると、関節の可動範囲を考えるにもどの関節を意識するかというだけでも多くの選択肢があります。ということは相手にどの関節を狙っているかを悟られさえしなければチャンスはある訳です。

理想的をいえば、一つの関節から相手を崩したなら連動して次々と関節を変えていくことで常に相手の先をとれたなら、相手を自由に扱えることになります。これができると例えば相手に人差し指を持たせた状態で指一本だけで相手の腕をコントロールできるようになります。これには流れるように自分の意識をそれぞれの関節に持っていく必要がありますが稽古次第で誰でもできることであり、不可能なことではありません。

◆   ◆   ◆

今回は相手の骨格を読むということでお話をしましたが、正確には相手の関節を意識して軌道がどうなるかをイメージして技をかけるということでした。相手の骨格を読むといいますとまだまだ様々な要素があるのですが、また別の機会にお話ししたいと思います。

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骨格の使い方を覚える(肩甲骨)

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の合氣道の師匠・井口師範は合氣道習得の段階として形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 があると話してくださいました。

現在当ブログでは、その中の体の段階について述べいます。当会では体の段階を骨の技術、皮膚の技術、皮膚感覚の技術、空間感覚の技術の4種類に分けて説明していますが、前回はそれぞれの合わせの技術について述べましたが、今回は骨格の利用の方法(骨の技術)について説明していきたいと思います。

このブログでわかること

井口合氣道で学ぶ合わせの中で特に骨格を如何に使うかを知ることが大切です。骨の技術にも合わせが存在しますが、まずは骨格の使い方を知ることです。今回は特に上半身の骨格の中でも重要な部位・肩甲骨について解説していていきます。その特性を知ることで、 今までできなかった 上級者の動きとの違いが理解できるようになり、自分の動きが改善できます。

目次

骨格を知る必要性
技のポイントは肩甲骨にある
相手に情報が伝わる筋肉

骨格を知る必要性

当会の骨の技術というのは、人体の骨格を知ることで次の2点を確実に理解することです。
 ①自分の骨格をより強く使う
 ②相手の骨格上の弱点を効率的に利用する

まずは①ですが、自分自身の骨格を如何にすれば物理的により強く活用できるかということです。簡単な例でいえば、当てが押してきたときに相手の力に対して自分の足の位置が十字になるような立ち方だと非常に弱いが、相手の力の方向に足が並んでいると対抗しやすくなるというように強い骨格の使い方を知るということです。

②ですが、今度は逆に相手を投げたり固めたりするために、相手をまずは崩す必要があるのですが、どうすれば崩すことができるか、どうすれば相手を停止させることができるかという知識です。

以上の知識があることで初めて相手を投げたり固めたりすることができるわけです。

技のポイントは肩甲骨にある

合氣道の技をかける際に重要なのは、如何にバランスが取れているかということですが、それには強く骨格を利用するということが大切です。

特に合氣道においては手を使う技が殆どですが、特に女性の場合だと男性に比べて腕力が劣るのは当然です。ですから単に筋力勝負になると力の弱い人が負けてしまいます。ところが筋肉を使うにしても骨格を如何に使うかを知っていると非常に有利になります。

特に手を使う技術を中心に行う合氣道ではその付け根部分に当たる肩甲骨の知識が非常に大切になってきます。肩甲骨は腕の動きをよりスムーズにできるようにするための骨でもあるからです。

例えば上に腕を上げる際、ある角度より肩甲骨下部が外側に開きます。あるいは手を水平に後方に開いていくとある角度から肩甲骨は背骨側に移動始めます。

このように腕の動きと肩甲骨は密接な関係があるのですが、肩甲骨の位置によって腕の力をメカニカル的に強くしり、弱くしたりとするのです。

最近、肩甲骨を自在に動かすことで運動エネルギーを増大して伝えるという武道や格闘術が出ていますが、ここでは肩甲骨の位置による

また、肩甲骨は体幹の運動エネルギーを伝えるときの中継、車で言えばクラッチの役割もする部分で、特に当身などの打撃技の場合にためで用いることもあるが、打ち込んだ瞬間では最も強い位置を取るようにします。

相手に情報が伝わる筋肉

合氣道の技で最も大切なポイントは、「相手に情報を与えない」です。その為にはどのよう骨格の動き、要するに「それにかかわる筋肉の緊張が相手に情報を与える」かという事実を知る必要があります。

特に相手と接触している場合は相手はこちらがこれから行おうとする情報が筋肉の緊張によって漏れてしまいやすくなります。

その代表として、以前にもお伝えしましたが、上腕二頭筋と三角筋が挙げられます (座り技呼吸法では何故力が入るのか)

さらに、肩甲骨を後方に引っ張る菱形筋というのもそうです。厄介なことにこの筋肉は腕の位置によって反射的に作用するから余計にコントロールが難しいのです。そのため技によっては菱形筋を用いない腕の使い方を覚える必要があります。

         菱形筋

さらに、腕を動かそうとする際にタメを作る場合どうしても菱形筋で一旦肩甲骨を後方に引くという動作が入ってしまいます。これにより微妙に肩が動くので、相手に攻撃をするという意思表示をしたのと同じことになってしまいます。勘の良い相手だとその動きを察知し簡単に対処してしまいます。

また、一般の人がタメを使おうとすると一旦肩甲骨が後方に引かれますので、実は肩の微妙な動きは観察眼のある人だと十分に情報が洩れるものです。

後で述べますが実は合氣道の技において肩甲骨の位置が非常に大切なのです。この筋肉の影響が出る技として、小手返し投げや入り身投げがあります。これらの技を行う際は菱形筋がタイミングを読まれる原因となります。

肩甲骨の使い方

肩甲骨には2つの使い方があります。
①力学的に強く用いる場合
②体幹からの運動エネルギーを伝えるクラッチ的役割

そのため技に応じてどちらを使うかということをよく認識して意識的に使う必要があります。

まずは①の力学的に強く用いる場合についてお話したいと思います。中国拳法では含胸抜背(がんきょうばっぱい)という言葉がありますが、これは左右の肩甲骨を広げ胸を腕で包み込むような形をとることです。いわゆる巻き肩にするということです。

これは合氣道の技においても力を前方に出す場合は同じ状態を取ります。例えば、片手持ちで行う体の転換という動きがありますが、肩甲骨を前方にずらすのと腕に力が入らずに相手を誘導することができるようになるでしょう。胸を張って行うと見た目を綺麗に見えますが巻き肩気味に行うのが正しいといえます。

特に、胸を張っているのが良い姿勢と思われている方に座り技呼吸法で腕や肩に力が入ることが多いのですが、肩甲骨を前方に移動し肩を落とすことに注意すると体幹の力が手先に伝わるのがわかると思います。

次に②の体幹からの運動エネルギーを伝えるためのクラッチとして使う場合についてですが、これは相手は当身を打つ場合や、人を投げる場合にも使います。これは以前にお話しした陽の技法というものです。

陽の技法では身体と腕を肩甲骨で切り離して置き、まず身体を動かし運動エネルギーを生み出した後、遅れて肩甲骨を動かすことでクラッチの役目を果たさせ、運動エネルギーが最大になった時点で腕に接続することで突然大きな力が加わった状況にします。

この時のコツとしては、体で波を起こし、その波が遅れて肩甲骨をはじめとして腕全体に伝わるという意識をもつと技の効きが大きく変化します。このように肩甲骨を同のように操作するのかを知っていると技の利き方を十分発揮できるようになるのです。

◆   ◆   ◆

今回は自己の骨格の使い方というテーマでお話ししました。特に肩甲骨の使い方が非常に大切ですので、その特徴をお話しました。次回は相手の骨格の考え方についてお話します。

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【体の段階】合わせの目的と種類

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

今は体の段階に関してお話ししていますが、今回は合わせるということについて話したいと思います。

合氣道の稽古で「合わせ」ということをときどき指導者が口にされると思います。しかし、よくよく聞いてみても中々理解できないのではないでしょうか? その理由は「合わせ」ということがかなり抽象的にしか説明されていないからだと気づきます。今回は技ができる人が気づいている合わせの目的と合わせの種類について話したいと思います

このブログでわかること

合氣道の 技に使われる合わせの目的と種類を理解することで、合氣道修行者がよく陥る問題点である「相手との力のぶつかり」の原因を特定することで技がスムーズに行えるヒントをつかむことができます。

目次

合わせの目的とタイミング
合わせの種類
骨の合わせとは?!
皮膚の合わせとは?!
皮膚感覚の合わせ?!
空間感覚の合わせ?!

合わせの目的とタイミング

さて、読者の方に質問をさせていただきたいのですが、合わせの目的とは一体何だと思いますか?

合わせの目的、それは相手の態勢を崩すという点にあります。技が効かない多くの人が考えてしまう過ちは合わせとは単に力がぶつからない状態をつくるだけと思われているのですがそうではないのです。

目的が相手の態勢を崩すといいますと、次に技が効かない 多くの人がよく誤解する点に崩す時期の問題があります。 その誤解というのは、相手を投げたり固めたりする直前と考えてしまう点です。

実は合氣道においては相手を崩すのはできるだけ早い時期の方が良いのです。しかも上級者の技では相手は自分が崩れているのに気づかないように行われています。崩れているから100%の力が出せずぶつからない状態になるということです。

合氣道のおいては合わせとは、相手と向かい合った瞬間から始まっていて、さらに相手と接触した時点で確実になっています。要するに接触した時点ではもうすでに崩れている状態を作っているというのが正解です。

「投げたり固めたりは本の枝葉、もっと幹とは何かを理解しないといけない」と僕の師である井口師範は言いました。投げようと思って崩していてはもう遅いわけです。

こういうタイミングの問題と合わせの目的が分かると合わせの見方が変わってくるのではないでしょうか。

合わせの種類!

合わせの目的とタイミングがわかると次に合わせには種類があるということがわかります。当会で指導している合わせには4種類あります。

それぞれについては後で説明しますが、僕自身も師匠の井口師範から指導を受けたときも「気に合わせる」と一言で説明されていました。さらに、それを「氣結び」ということもいっておりました。

ところがこの「合わせる」ということですが、かなり曖昧でかなり難解なものだと僕は当初から感じていました。というのは、何故か説明されるとわかった気になる言葉ですが、実際具体的にどうやればよいのか皆目見当がつかないというのが現状だったのです。

しかし、あるとき僕は井口師範の技を受けていて「合わせる」動作の見本を見せていただいたときある違和感を感じたことがありました。その違和感というのは一回目にの技を受けたときと二回目の技を受けたときに感じる感覚が違うように感じられたのです。

それに気づいてから、何度も井口師範の技を受けるうちに明らかに感覚が異なっていることを発見しました。そういったことを何年か繰り返しているうちに合わせには4種類のものがあると気づいたのです。

それで僕はそれぞれに名前を付けました。一つ目は骨の合わせ、二つ目は皮膚の合わせ、三つ目は皮膚感覚の合わせ、四つ目は空間感覚の合わせです。実は井口師範は常日頃から「秘伝には名前はない。名前があるとこだわりができるから自然でなくなる」と言われていたためこの分類は井口師範には内緒で名前を付け分類することにしましたので合氣道では全く効かない表現だと思います。

さらにそれぞれの合わせの発見を発端にそれに派生する技術があることを発見し、IAM護身術ではそれぞれの技術に骨の技術、皮膚の技術、皮膚感覚の技術、空間感覚の技術とカテゴリー化して現在会員の指導に役立てています。

ちなみに実際の合わせは、単独で用いるというより複合して用いるのが普通です。以下ではもう少し4種類の合わせについてそれぞれ説明していきたいと思います。

骨の合わせとは?!

骨の合わせとは、相手の力を読み取り相手とのぶつかりをゼロの状態にし、相手のバランスと骨格を読んで相手の力が入っていない関節を中心に円軌道を描いて相手を崩す技術です。骨格を読むことから骨の技術と名付けました。

合わせができない人がついやってしまいがちなことなのですが、例えば片手取りの場合、相手に手首をつかまれますと、相手が力を入れた部分に逆らうように力が入ってしまいます。

これは合氣道を知らない普通の人に起こる反射が原因です。身体のバランスを保つための反応で、日常生活においてこの反応のため身体に大きな負担をかけずケガをしないで済むようにできています。

ところが、あくまでもこの反射は日常生活の中に必要なことで、重いものを持つとか持ち上げるとかする際に身体に負担をかけずケガから身体を護ることで身についたものです。

ですから、相手が人間となる武道では状況が違ってきます。このような反射に頼っていると、相手が自分より強い力がある場合は相手に決してかなうことがありません。合わせとは人を相手にしたものなのです。

こうした点を理解して骨格や力感覚から相手にぶつからない状態をつくることでどう相手を崩せるかを考えるのが骨の合わせなのです。

皮膚の合わせとは?!

皮膚の合わせというのは、皮膚のテンション(張り)を利用して運動エネルギーを瞬間に相手の中心に仕掛ける技術です。これを実現するには実は骨の合わせの感覚がわからないとできません。何故なら皮膚のテンションを利用するためにはぶつかりがあるとできないからです。

皮膚の合わせが行えると、傍目で見ると受け手の人の動きがまるで八百長のようにわざとらしく技に掛かっているかのように見えますが、受け手の人はかなり不思議な感覚を受けるような技術です。

このようになる理由は単に受け手の人が技の掛けての人の動きが読めないため反応が遅れるから起こる現象です。運動生理学では人間が気づいてから反応するには0.5秒かかるという時間差があるといわれていますが、0.5秒というのは武術的にみるとかなり長い時間なのです。

そのため様々な武道では反射神経を鍛えるという稽古をします。しかし、それらは実は相手の動きから次の動きがどうなるかを読むという訓練になっているだけで、この0.5秒という反応時間を0秒にすることではないのです。人間の神経の構造上遅れるというのは宿命のようなものなのです。

それで合氣道の場合は如何に相手に読まれないかという技法が発達しその一つが皮膚の合わせなのです。

皮膚感覚の合わせとは?!

皮膚感覚の合わせというのは、実は運動生理学上の特性や心理学上の特性を利用したもので、人体が感知しようとする感覚の特性を利用するもので、皮膚に軽い刺激を与えることで意識が奪われ気が付くとバランスを崩しているというような性質をつかった合わせです。

この合わせで技がかけられると、ふわっとした感覚で何故自分が倒されるかわからないという不思議な感覚で倒されます。

この皮膚感覚の技術で最も大切なのが重みを伝えることです。重みを伝えるというのは具体的には運動エネルギーを伝えることをいいます。力を伝えるとどうしても相手に力感覚を起こしてしまいますが、運動エネルギーを効率的に伝えると相手は強い力を感じずにコントロールされてしまいます。

ですから皮膚感覚の合わせとは、相手に察知されにくいように運動エネルギーを伝える技術のことをいいます。

空間感覚の合わせとは?!

空間感覚の合わせというのは相手の動作とシンクロさせて動くことを言います。このシンクロの際に大切なのは相手から見てこちらの変化ができるだけ小さく見えるように行うことです。

人間にホメオスタシスの原理が働くため、相手との相対的な変化が殆どない状態を作ることで相手は無意識にその状態を保とうとしてしまいます。

最初は相手の動作に合わせスタートしたシンクロですが、変化をわずかだけ起こるようにこちらが動くことで相手を誘導することができるようになります。

これは電車に良く乗る人だとわかるのですが、駅で自分の乗っている電車が駅で停車していて隣の線路で停車している電車があった場合に隣の電車がゆっくりと動き出したとき、何故か自分の電車が動き出したような錯覚にとらわれることがあると思いますが、これが空間感覚の合わせの原理となっています。

◆   ◆   ◆

今回は合わせの目的とタイミングと種類というテーマでお話ししました。合わせとは実は合氣道の技を行う上で最も重要な中核をなす技術であるということがわかると思います。

合わせというのは言葉で説明するのが非常に厄介で実際に技を受けて指導してもらわないと意味がわからないと思います。しかも合わせを実現するための骨格について少し知識が必要なので次回から骨格についてお話します。

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【体の段階】骨格を読む

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

今は体の段階に関してお話ししていますが、今回は骨格の読み方について話したいと思います。

このブログで分かること

合氣道修行者といえど、僕たち一般人は中学の理科で学んだような物理の法則を無視することはできません。ですから物理の法則に従って技を考えていく方が技の進歩には非常に有効的です。特に人の体は骨で支えられています。

ですから物理の法則を考えたとき、人を投げたり固めたりする際は人の骨格を考える必要があります。「氣」を追求したけれど技が思うようにいかなかった人は骨格を考える習慣がつくことで技がスムーズに使えるようになるヒントとなると思います。

今回はかなり秘伝に当たることなのでわかる人にしかわからない内容も一部ありますが、そういう人にとっては非常に大きな気づきを得るヒントとなるでしょう。

目次

物理学は宇宙の法則の一つ

私たちは物質世界に住んでいます。この物質世界は物理の法則で成り立っています。物理法則はある意味で宇宙の決まりごとです。僕の師匠・井口師範は「曰く! 合氣道の目的は宇宙を相手として天地自然と一体となること!」と言われました。ですから私たちはまずはこの物質界での宇宙の法則、すなわち物理法則に従って技を行う必要があります。

最先端物理学では量子力学の観測者問題というものがあり、観測者が判断したものが現実に投影されるというものがあります。しかし僕がここで対象にしているのは力学と言われるものです。僕たち一般人は普通では物理学で学ぶ力学の法則を全く無視して存在することはできません。

ですから「氣」を使えば、宙を浮いたり、瞬間に時間・空間を移動したりというようないわゆる超常現象ができるといわれることがしばしばありますが、僕たち一般人にはそのような中学理科で学んだ力学法則を全く無視することはできません。

これら宇宙の決まりごとである物理の法則、力学を味方につけることを考える方が技を行う上で非常に有効です。これこそ宇宙を味方にするということの第一歩でもあります。

どう動いているかが大切

今回のテーマである骨格を読むということですが、ぶっちゃけ解剖学のような難しい知識は必要ありません。確かに解剖学の知識があるに越したことはありませんが、合氣道の技を行う上では骨格に関する重要な点は次の2点です。

① 足はどのように地面についているか?
② 刻々と変化する相手の肘、肩が今どこにあるか?

こういうと『それぐらい分かっているよ』と思われる方が多いかもしれませんね。でも、分かっていると使っているでは雲泥の違いがあります。

①については2022年4月24日の記事「バランスを奪うには?」で既に述べた通りで、合氣道において相手をどう崩すかが最も大切なぽいんとになります。

②に関してはというと力がぶつかる多くの合氣道修行者は実は関節をあまり考えていないことがおおいのです。如何に相手をコントロールするかという点で相手の関節の位置を意識して、例えば曲げる場合だと相手が曲がるように誘導してあげる必要が大切だという点を理解する必要があります。

といいますのは一般の人が相手の腕を曲げさせようとする場合、相手の力に対抗して力づくで相手の腕を曲げようとします。相手が自分より力が弱けれ曲げられますが、自分より強いと曲げることはできません。

ところが相手の関節の位置を意識してどのように持っていけばその関節で腕が曲がるかを意識して相手を誘導すると不思議なほど力を使わなくても曲げることができます。

関節を意識するとは?

例えばドアを開けることを考えたとき、引き戸でもないのにドアを左右に動かそうとしてもドアは開きません。ドアは蝶番(ちょうつがい)を中心としてドアノブを引いたり押したりして初めて開くものです。

これは人も同じです。人の蝶番となるのが関節です。ですから相手を導く場合関節を中心に ドアを開けるのと同様に 行う必要があります。ところが僕の経験からお話しますと、このように指導をしてもどうしても多くの方は力づくで相手を自分の思いの通りに動かそうとしてしまう傾向があります。

例えば、合氣道では人差し指を相手につかませて投げる技があります。これは合わせの技術を使って相手を投げるのですが、具体的には「暖簾に腕押し」というように持たれた指に力を入れず相手に任せた状態になります(合わせ)。そして相手の関節を意識しつつ相手の関節に最も無理のない軌道を描けるように手を誘導し、最終的に体のバランスが崩れるような位置に誘導するわけです。そこで初めて相手が最も落ちやすい位置に導いてあげることで相手を投げるという結果になるのです。

何故関節を意識すると誘導できるか

関節を意識した軌道上に移動すると相手を誘導することができると先ほどのべましたが、では何故そのようなことが可能になるのでしょうか?

それは人間というのは意識で動いているためです。具体的に説明していきましょう。人は相手の動きを止めようと思う(意識が働く)とその目的に向かって体の中の筋肉を連動させて動きます。しかもこの筋肉の連動は無意識で行われます。さらにいうと今まで獲得した脳にプログラミングされた自動的な動きで行われるものです。

と言いましてもこの自動的な動作には外部からの抵抗に対抗するというフィードバック機能が付いていて、相手が抵抗しようとするとその方向により力が働くように軌道修正されます。

ところが、このフィードバック機能が働かなかったら軌道修正が行うことができません。このフィードバック機能を阻害するのが合氣道では合わせというテクニックなのです。簡単に言えば、力が自分にどのように作用しているのかわからなければそれに対抗することができないということです。

ですから如何に自然に相手を誘導するかという点が大切になってきます。この自然にというのが物理の法則、要するに関節を意識した最適な軌道ということなのです。

しかも人間の関節は非常にたくさんありますから、何通りも作用させる方向性があるとも言えます。相手が如何に警戒してもすべての軌道に意識を向けることができません。ですから、この原理を体得していると指一本でも相手を投げることが可能になる訳です。

このように技をかける側が関節を意識できるというのは非常に有利であり大切なことなのです。

◆   ◆   ◆

今回は実は当会の骨の技術の秘伝に当たる内容をかきましたので、かなりぼかした内容となりわかりにくかったかもしれませんが、何度か読み直してご自分なりに考えていただくと今後自分で技を分析する能力が養えます。また理解できた一部の人にはかなり大きなヒントになったかと思います。

次回は合わせについて述べてみたいと思います。

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【体の段階】重みを伝える陽と陰の技法

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の合氣道の師匠・井口師範は合氣道習得の段階として形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 があると話してくださいました。

現在当ブログでは、その中の体の段階について述べいます。当会では体の段階を骨の技術、皮膚の技術、皮膚感覚の技術、空間感覚の技術の4種類に分けて説明していますが、現在は骨の技術について述べています。

骨の技術というのは人間の骨格を理解して物理的な力を伝える合理的な身体の使い方を示すものです。今回は重みを伝える技術を話していきたいと思います。

このブログでわかること

今回は相手に重さを伝えるということをテーマに当会の骨の技術の中の陽の技法と陰の技法について述べていきたいと思います。 合氣道での稽古では「筋肉の力でやるのではなく…」と よく指導される と思いますが、 時には脱力と言われたり、気の力と言われたりします。特にこういった曖昧に感じて中々理解できない人にとって具体的にどのようにすればよいか理解でき、「重みを伝える」「脱力をする」という仕方が科学的に理解できるようになり、今後どのように動くべきかがはっきりと見えるようになります。

目次

1.運動エネルギー
2.陽の技法と船漕ぎ運動
3.当身による陽の技法
4.陽の技法の応用
5.陰の技法

運動エネルギー

陽の技法というのは当会独自の言葉です。当会では重さ(運動エネルギー)を伝える技術の内、自分の運動エネルギーを重さとして相手に伝える技術をそのように呼んでいます。

理科が嫌いな人はこういった言葉を使うだけで拒絶反応が起こると思いますが、小学生にもわかるように説明していきたいと思いますのでお付き合いください。

まずスポーツで考えていきましょう。野球のボールを投げるのと砲丸投げの鉄球を投げるのを比べると、野球のボールを投げる方が誰でもより遠くへ投げることができます。逆に、野球のボールと鉄球を受けることを考えたとき、ゆるく投げてもらっても誰だって鉄球を受けるのは勘弁してほしいと感じるでしょう。

これは経験的に思いものは危険と知っているからです。ちなみに砲丸は高校男子で6キロだそうですがこれが当たることを考えるだけでも寒気がします。ではその十倍の60キロの重さのものがぶつかってきたらどうでしょう。かなり危険ですね。

しかし相手が60キロの人間だとあまり危険と感じません。ところが 力学では60キロの人間が動くのも、60キロの鉄の塊が動くのも、どちらも同じ速度で動いたときは同じ運動エネルギーを 持つと示しています。要するに実際は人が動くということはそれだけの破壊力があるということです。

陽の技法と船漕ぎ運動

陽の技法とは当会独自の呼び方です。これは重み(運動エネルギー)を相手に伝える技法の総称です。合氣道においては、陽の技法の稽古としては、天鳥船(あめのとりふね)の行、いわゆる船漕運動が最も有名なものでしょう(下写真  合氣道開祖の植芝盛平翁先生の 実演)。

天鳥船の行は臍下丹田(体の重心)の前後運動によってできた身体の運動エネルギーを手に伝えるための大切な運動です。上記の写真の①~③を詳しく見た写真でもお分かり翁先生の身体が動いてから腕が動いているので運動エネルギーが②と③の間で腕に伝わったいるのがわかると思います。

これが正しくできると、後ろでしっかりつかまれていても相手を前に送り出すことができます(下図)
 Step1  受け手にしっかりと手首をつかんでもらう
 Step2  手には力を入れず、手首を残して身体を加速
 Step3 身体が加速したら重みを相手に伝える

当身による陽の技法

天鳥船の行は足の使い方の稽古法だけではなく、重みを伝える感覚訓練法でもありましたが、それ以外に当身(あてみ)の稽古も単独でできる重みを伝える感覚訓練法でもあります。

当身では、重みを伝える身体の使い方として4つの方法があります。当会ではの呼び方は第一式~第四式です。

まず第一式ですがこれは天鳥船の行と同じく前進運動による重みの伝達です。まず身体を前進させその後当身を打ち出します。数はパンチを打ち出しているところです。

第二式は腰の回転運動による重みの伝達です。骨盤を回転させることで上半身の重みの回転運動を作り、その後当身を繰り出します。

第三式は位置エネルギーを使って運動エネルギーに変換するやり方です。要は突然身体を低くしてそれを前進運動に変え、その後当身を繰り出します。

第四式は頭の重さを使うやり方です。目の前にある拳に向かって突然頭突きを行う動作を行い、頭が拳に衝突する直前に当身を繰り出します。この当身は一見は役に立ちそうにないように思えますが、相手に手を抑えれている場合このやり方を行うと相手は驚くと同時に吹き飛ばされます。

さらに、僕の師匠・井口師範は鉄の棒を突く稽古をするように指導されましたが、これは非常にやってる感が強いのでいい稽古になります。

当身の稽古としてはこれ以外にも入り身突きや片足立ち正面突き(片手を壁について片足立ちし、その壁についた手で当身の稽古を行う方法)などありますが第一式~四式が基本となっています。

さらに実感を伴った稽古をしたい場合は、空手用の砂袋を購入して重さが伝わる方法を稽古するというのもよい稽古となります。

陽の技法の応用

この原理が分かっていると、図のように縦に一列に並んだ数人の人がいても簡単に押し返すことができます。

下図がその例です。
① 後ろの人が前の人を支えて縦に 4人 並んだ先頭の肩に手を置く
②力を伝えず体を加速しながら腕を曲げて前に進む
③身体が前進した時点で前の人を押すと全員が総崩れになります

これらの陽の技法をするときに大切なのは相手との接点での脱力です。運動エネルギーを伝える時点まで相手とぶつからないよう 完全に脱力している必要があります。

脱力する理由は、少しでも相手とぶつかっていると相手に重み(運動エネルギー)を伝えるタイミングがわかるからです。

さらに、この陽の技法は体捌きなどでも有効で、例えば下図のような逆半身片手取りから相手の内側に捌く場合も同様の原理を利用します。

①逆半身の状態で片手を取らせる
②当身を入れて相手から攻撃させないようにしながら体捌き
③すると相手は渦に巻き込まれるように簡単について来る

この際で最も重要なことはつかまれているところが脱力されていることで、ぶつかりがないというのが大切です。

陰の技法

以上、陽の技法をご紹介しましたが、読者の方で陽があれば陰があるのではと思われた方もいらっしゃると思い、では陰の技法とは?と思われた方もいるのではないでしょうか? そこで陰の技法を少しだけご説明します。

陽の技法というのは身体を加速し、運動エネルギーを作ってからそれを重みとして伝える技法でしたが、陰の技法というのはいわゆる作用反作用の法則を利用するやり方で、それは相手を押す場合を考えると相手を押した分自分はその反対方向に力を受けるというものですが、それを巧みに利用するのが陰の技法です。

要するに相手を押したいなら、自分の重心を相手に遠ざかるように移動しながら相手を押します。そうすることで運動エネルギーがゼロの状態から大きな重みを発生することができるのです。

この陰の技法にも陽の技法と同様に第一式~第四式までありますが、これはこの陰の技法を習得している人から実際に指導をしされながら稽古をしないと巧くできませんので、こういったやり方があるとだけお伝えします。

下図は当身でそれぞれの技法を使った例を表したものですが、これを見ても実際に陰の技法で打撃ができるのかと疑問を持たれるかもしれませんが、陰の技法がわかるとかなり特殊な打撃が行えますので一応ご参考までに書かせていただきました。

なお、陰の技法をご経験されたい方は下記の図の要領で鉄の棒を突く稽古を行う、如何に陰の技法が合理的かご理解いただけると思います。丹田を後ろに突き出すことでほとんど腕の力を使わずに鉄の棒を前に突き出すことができます。

◆   ◆   ◆

今回は重みを伝える方法として陽の技法と陰の技法をご紹介いたしました。僕が学んだ合氣道では、基本的には三角の秘伝と陽の技法、陰の技法で力や重さを伝えることで肩の筋肉を緊張させずに技をかけることを重視しました。

合氣道の技の成否は相手に読まれないことが最も重要です。特に肩の筋肉に緊張がある場合非常に相手にこれからこちらが行おうとする動きが読まれます。ですから三角の秘伝、陽の技法、陰の技法が当会では非常に大切な技術となっています。

井口師範は「相手の土俵で勝負をしない!」ということを言われました。それは相手に悟られるようであってはいけないということです。相手に悟られず、三角、陽、陰を使えるようになるこれが非常に大切です。

ここまで何度かに分けて足の使い方から始まって重み(運動エネルギー)の伝え方までお話しましたが、結局はこれらの原理はすべて船漕ぎ運動(天鳥船の行)に含まれる理論なわけでした。言い方を変えると船漕ぎ運動が如何に合氣道では大切かということが言えると思います。もう一度船漕ぎ運動を見直されてはいかがでしょうか?

さて、次回は骨格を読むというテーマでブログを書いていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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【体の段階】三角の秘伝の稽古法

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

当ブログでは、現在はその体の段階について述べいます。体の段階は次の気の段階の準備段階ですので非常に大切な段階です。この段階では自分の身体の使い方自分と相手との関係を知ることを目的にしています。

今回は天鳥船の行(船漕ぎ運動)の足の使い方(三角の秘伝)をどのように応用するかということを示すため天鳥船の行以外の稽古法について述べたいと思います。

このブログで分かること

天鳥船(あめのとりぶね)の行で足(膝)の使い方(三角の秘伝)が非常に大切だということがわかっていても、それを応用するのが難しいと思われる修行者の人には今回ご紹介する稽古方法を知ることで、より天鳥船の行の意味が理解でき、合氣道の技を呼吸力とともに行う際に足の正しい使い方が身に付き、さまざまな応用ができるヒントが得られます。

目次

瞬発的な力を養成する相撲のテッポウ
いろいろな用途に使える壁押し稽古法
溜めない移動法の傾斜歩行法

瞬発的な力を養成する相撲のテッポウ

昔、僕の師匠・井口雅博師範は呼吸力を養成するには相撲のテッポウをやるとよいとお教えくださいました。僕がテッポウのやり方が実はわからないといいますと、師匠はそのやり方を教えてくださいました。

そのやり方ですが、下図の通りでした。

  1. まずは両足をしっかりと地面についた状態から体を柱に傾け片手をついてその体を支え、空いているを若干後方に引いてから柱に向けて打ち出す準備をします。
  2. 手をついた方の足から地面の力を打ち出す手に伝えるようにして(足の三角を意識して)手を打ち出します。その際、打ち出す手と同じ足が浮き体の動きに合わせて前に出ようとします。
  3. 前に出た足はそのまま逆の足の前方に惰性で移動します。

以上の動作を左右交互に繰り返すというのが師匠から学んだ相撲のテッポウでした。僕は相撲を学んだことがないのでこれが正式のものかどうかはわかりませんが、地面とつながり、 地面の力を借るという稽古としてはこれで十分かと思います。

なお、足で衝撃を受けた次の瞬間に跳ね返されても問題はないと師匠は言われてておりました。

後になって気づいたのですが、この井口師範が指導されたテッポウの稽古は合氣道をするものにとって非常に優れたものであるということがわかりました。特にテッポウではの伝達という点でかなり体感ができるのが素晴らしいと思います。

天鳥船の行も力の伝達という意味では非常に優れたものですが、非常にはっきりとした体感が得られるという点ではこのテッポウの稽古の方が向いていると思います。

ちなみにテッポウをやって得られるポイントを列挙すると次のようになります。

  • 折れない腕の強化ができる
  • 足の三角でらせん状に力を体に流す稽古になる
  • 衝撃を受けるので足の三角において最後の極めの感覚がわかるようになる
  • 足の三角において地面とつながった感覚が身につく
  • 体幹が強くなる
  • 呼気とともに行えば腹圧の強化ができる
  • 当身(打撃)の力が上がる

この稽古で大切なポイントは、地面からの力を足足の三角の秘伝を意識しつつ打ち出す側の体を体軸を使って若干体をひねるようにして前に前進させつつ手を柱に打ち出し、受けた衝撃を足の三角を使ってしかりと受ける点にあります。力が地面かららせん状に伝わって体当たりをやっているようなイメージが良いといわれました。

このテッポウという稽古方法でも足の三角を利かすポイントが2か所あるという点に注意してください。とは言えテッポウではほとんど膝が倒れないので足の三角を意識するというより地面からの力をらせん状に伝えて体当たりするという感じです。ですからこのようなやり方を繰り返していると当たった瞬間、非常に強い力が相手に伝わるのが理解できると思います。

しかもこのテッポウは相手を片手で支えて抑えながら強烈な当身(打撃)を打ち出すことができる技術なので、かなり実戦的な稽古方法とも言えます。

いろいろな用途に使える壁押し法

実は、これから説明する方法は師匠から学んだものではありません。というのは、僕は師匠にテッポウを毎日888回やるようにとご指示を受けやり始めたのですが、当時はかなり身体が弱かったため1週間ほどで背中がこわばるようになり、2週間もつづけていましたところついには高熱が出始めました。無理をして脾臓傷つけてしまったのです。

この原因は正しいフォームが身につく前に力んだ状態のまま高回数を無理して行ったため身体に異常がでたためです。正しいフォームができ、リラックスして行えるようになってから高回数を行わないと僕のように身体を壊してしまいますので気を付けて行う必要があります。

それで、体調が戻るまでテッポウの代わりにできることを考えたのが下図の壁押しです。これは曲がらない腕を作って壁に手をあて、足の三角を使ってじっくりと壁を押すだけです。

こうすると足から壁についた手までが一本につながった感覚が得られ、足の三角の体感がはっきりと感じられます。

そして折れない腕ですが、一般的には手を開き指を張って指から気が発散しているのを想像して行いますが、この稽古をやって気づいたことは手を握っても折れない腕ができるということに気づきました。

それ以降は図のように拳を握って壁押しを行うことにしました。これにより足の三角と折れない腕が同時に稽古できるという方法を編み出したわけです。手は片手だけでも、両手をついても良いのですが、片手で当身をするように手を壁に当てると、別の方法もできるのです。

というのはパンチを打ち出した週末動作(残心)を意識して瞬間に膝を下に入れると強いパンチ力が得られるのです。このとき呼吸を「ハー」とか「シュー」とか「フン」とか出して腹圧を高めながら行うとよりパンチが強くなります。

このように壁押しの稽古法は地面からの力を腕にゆっくり伝え相手を押し出す場合の稽古にも、パンチ力を上げる稽古にもどちらにも使えますので非常に便利です。また、日ごろから体を鍛えている人は大きな衝撃を受けても問題はないですが、僕のように体が弱かった人や女性、高齢者などはこちらの緩やかな稽古から徐々に相撲のテッポウのような体当たり的な稽古を行った方がよいように思います。

溜めない移動法の傾斜歩行法

合氣道の技を行う上での大前提は相手に悟られにくいことです。しかも本来の合氣道では実戦を想定しているため相手と相対する距離(間合い)は畳の縦一畳分を空けるのが基本となっています。

これは相手が例えば短刀など隠し持っていることを想定しての距離です。といいますのは運動生理学上では人間が察知してから動き出すには0.5秒かかる訳ですが、さらに0.5秒というのは静止している人間が進める距離もおよそ2メートルといわれていますから、畳一畳分というのは十分反応できる距離だということがわかるでしょう。

逆にいうと、この距離を詰めるのにできるだけ相手に悟られるのは避けたいということも言えます。そのため、溜を作ってから地面を蹴って動くと、動き出す前から相手にこちらの動きがわかるので、初めからこの間合いを採用する合氣道では使えません。そのため合氣道では溜めを作らないで移動する移動法を使います。

当会ではそれを傾斜歩行あるいは傾斜歩法と呼んでいます。その理由は図のように体軸を傾けて落下するように前に体を投げだして進む移動方法だからです。

具体的には下図のようなやり方で移動します。

ところが実はこの傾斜を使った方法では、傾斜するのに少し時間がかかるので瞬間に移動することができません。そこでこの傾斜歩法に三角の秘伝を加えて移動します(下図参照)。こうすることで溜を作ることなく瞬間に前に出ることができるわけです。

このように足の使い方は様々な用途があるのです。例えば、下記が当会3級の昇給審査で行われる構えた相手を金縛りにする技術のスローモーションですが、4度もこれを使っている。しかもこの技術では天鳥船のもう一つの重さを伝えるという技術も使っているのがわかると思います。そして重要なのが最後の4度目のときに相手をとらえた状態で足からの力が維持されていることです。

これだけのことを理解した上で天鳥船の行を行えば合氣道の技を繰り出すときに癖がついて非常に都合がよいのでお勧めです。

◆   ◆   ◆

如何でしたでしょうか? 今回ご紹介した内容から如何に天鳥船が合氣道において大切なものであるかというのがおわかりいただけます。かたかが船漕ぎ運動と思われがちな天鳥船の行はたくさんの用途を抱えた秘儀でもあった訳です。

さらにこれは神道の禊にかかわる瞑想法など含めると非常に大切なものであることがわかると思います。今回は体術に絞りしかも足の使用法だけの応用を説明しましたが、当会でいう陽の技法として使用する場合また別の使用方があります 。

そこで次回はこの陽の技法についてご紹介したいと思います。さらに陽の技法といいますと、勘の良い人は陰の技法と呼ばれるものがあるのではないかと考えられたと思います。実は体の段階の技法として陽の技法と陰の技法というものもあります。次回はこの陽の技法(陽の技術)をメインでご紹介し、陰の技法についても若干触れたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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【体の段階】船漕ぎ運動の秘密!

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

当ブログでは、現在はその体の段階について述べいます。体の段階は次の気の段階の準備段階ですので非常に大切な段階です。この段階では自分の身体の使い方自分と相手との関係を知ることを目的にしています。

今回は天鳥船(あめのとりふね)の行です。天鳥船の行とは合気道で稽古に取り入れられている船漕ぎ運動のことです。

このブログで分かること

船漕ぎ運動は 天鳥船の行と言って古神道の行から来ていますが、宗教的な意味だけではなく、合氣道の立ち技において非常に有用な技術が隠されています。

このブログでは天鳥船の武道的意味を明確にすることで、重要性と物理的な有効性を理解していただきます。また合氣道を行う上で天鳥船の行が如何に重要かということがわかるとともに、合氣道の技を行うさまざまなヒントが得られます。

1.天鳥船とはどんなものかわかる
2.天鳥船の物理的、実用的意味が理解できる。
3.足の三角の秘伝の重要性が理解できる
4.筋力によらない運動エネルギーを使ったやり方がわかる
5.足腰の安定感を感じられない悩みが解消


目次

天鳥船とは?
 天鳥船は足の三角の秘伝の稽古だった!
重さを伝えるのが天鳥船!
天鳥船のよくある誤解!

天鳥船(あめのとりふね)とは?!

天の鳥船とは、合氣道の道場で準備運動の際によく行われている船漕ぎ運動のことです。天の鳥船というのは本来は明治時代の古神道家の川面凡児師が伝えた禊の行を 大本教の出口王仁三郎師 によって合氣道開祖・植芝盛平翁先生が伝えられと言われています。

ここでは古神道の行としての詳しいやり方は述べず、骨の技術すなわち物理的な技術としての天の鳥船の優位性を述べていきます。

合氣道の道場によっては天鳥船の行を採用していないところもあると聞きますので、合氣道を開祖・植芝盛平翁先生が天鳥船の行を行っておられる写真を下に示します。

この天鳥船というのは、基本的には神秘行の一つで、魂を奮い立たせて霊的な能力を強化するのを目的にするものだそうで、振魂(ふりたま)という瞑想法を伴って行われるていたそうです。

僕が師匠・井口師範からお教えいただいた天鳥船に関する内容は臍下丹田にある気を動作に合わせて腕から手に流し、さらにその気を引き戻すということを繰り返すことで自分の気を強化するというものでした(下の連続写真参照)。

以前もここまでの内容を本ブログでも公開したことがありますが、今回はさらに天鳥船の秘密を公開していきたいと思います。

天鳥船は足の三角の秘伝の稽古だった!

天鳥船の行を行うとわかると思いますが、翁先生がされているように身体が前後させて漕ぎ運動を行ってみるとかなり足腰がふらつくのがわかると思います。

ところがこの船漕ぎ動作の①~③の動作部分に足の三角の秘伝を適応してみると非常に安定するのがわかると思います。さらに 全身運動の最終動作 を示した下の写真を見ていただくと、翁先生の足の形が、まさしく前回示した足の三角の秘伝のポジションを取っているのに気づかれるのではないかと思います。

翁先生の膝の動きが袴をはいているため見えませんが膝の曲がりからも足の三角のポジションを取っているのが理解できると思います。読者の多くの方もご存じの通り合氣道で袴を履く理由として足の動きを隠すためだといわれています。要するに袴を履くことで膝の動きが見えないわけです。

合氣道修行者の多くの方は袴で足の動きを隠すといわれているが一体何を隠しているのかと日ごろ考えられた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実は足の三角の秘伝による膝の動きを隠しているのです。

僕の師匠・井口雅博師範も「曰く! 天鳥船の行が非常に大切!」とよくおっしゃっていおられました。でも僕自身は長い間その理由がわかりませんでした。井口師範から合気道の立ち方のご指導をいただいたときに足の三角の秘伝をお教えいただいたのですが、天鳥船と結びつくことは実は長い間なかったからです。

僕は天鳥船をやっているとどうしても足腰がふらつきを感じることが多々ありました。それで安定するようにといろいろと稽古をしている中、あるとき井口師範から教わった足の三角の秘伝を行ったところ非常に安定することがわかったのです。それで初めて天鳥船では足の三角の秘伝を使っているということが分かった訳です。

しかも、足の三角の秘伝という膝の使い方が非常に大切で秘伝だからそれを隠すために袴をはいているともいえるのだと気づいたのです。

ですから前回、足の三角の秘伝をご紹介したとき、多分誰もあまり意識していなかった割には秘伝といわれるほど大したものと感じなかったのではないでしょうか? 余りにも普通の内容なので軽く見られた方もいらっしゃると思うのですが、実は非常に重要なのです。

この足の三角の秘伝を使って足の底から膝を倒すことによって運動がおこるのを意識するだけで今まで安定しなかった天鳥船の動作が安定するのが体感できると思いますので、この足の使い方を是非覚えていただきたいと思います。

重さを伝えるのが天鳥船!

さらに、この天の鳥船の行は武道的な動きとしては、足の三角の秘伝の実践的稽古になるだけではなく、力を重みとして伝達する稽古としても非常に大切です。

下の写真は翁先生の動きの前半部分である前進動作をしめしています。翁先生の腕の動きに注目していただくと、体が前に出てから腕が前に出ています。体の動きが起こって初めてその動きを手に伝えているということです。

当会ではこの体が動いてから力を伝えることを「陽の技法」あるいは「陽の技術」と呼んでいます。この陽の技術は体の重みを相手に伝える方法です。

この陽の技術を使えば人を簡単に引っ張ることができるようになります。例えば、下図のようにしっかりと手首を握られた状態で天鳥船の①~③の動きをした場合を例にとりますと、もし技の掛け手の腕に全く力が入っていないで、船漕ぎ運動の①~③を行えば、持ち手は図のように前に飛ばされます。

ところが①の段階で技の掛け手の腕に力が入っていると相手を前に送り出すことができません。というのは腕に力が入っていると掛け手の意図が最初から技の受け手に伝わってしまうからいつ引っ張られるかわかるため簡単に抵抗されてしまうからです。

実は力が入るというのは腕力だけで相手を引っ張っているのです。この動作のコツは体が動いてから自然に任せるように相手に力を伝えることにあります。すると腕力を使わずに相手に動きを伝えることができます。

では何故腕力で引っ張るよりもこちらの方が有効なのでしょうか? これは実は中学の理科で勉強した力学のなかで運動エネルギーといういのを学んだと思いますが、この運動エネルギーが相手に伝わるのです。

もう少しわかりやすい例でいうと、例えば10キロの鉄の玉をゆっくり投げてもらった場合を考えてください。いくらゆっくりといえどもこれを手でキャッチしようと思いませんね。

なぜなら皆さんは体験的に10キロもの鉄の塊が飛んでくること自体非常に危険だとわかっているからです。ですから自分の体重と同じ重さの鉄の塊がゆっくりでも飛んでくるとどれだけ恐ろしいかはどなたでも理解できると思います。

このように体重というのは動くと実は大きな力を生み出しているのです。人間が動くと大したことのないように感じられますが、鉄の塊と置き換えたときにその威力たるや想像できると思います。

天鳥船のよくある誤解!

読者の中には道場の稽古で天鳥船をやっている人もいらっしゃると思いますが、案外何も意識せずに行っている人がかなりいらっしゃるのではないでしょうか?

よくある誤解された動作として下図のように上体だけを反ったり傾けたりして行っている場合があります。確かにこのようにすると足腰は安定するのですが、上記の内容でお分かりの通り合氣道の技に使えるようになることはありません。

合氣道で技に使えるようになるにはやはり、足の三角の秘伝を使って重心が前後する必要があります。このように足の三角の秘伝あるいは天鳥船の行は合氣道での動きを生み出す中核としての意義がある訳です。

この天鳥船の稽古を続けることにより合氣道での動き出す瞬間や衝撃を伝える瞬間に足の三角の秘伝を使えるようになると、急激な動きができたり、ゆっくりした当身(パンチ)でも相手が驚くような威力を出したりすることができるようになります。

◆   ◆   ◆

如何でしたでしょうか? たかが船漕ぎ運動と軽く見られていた方もかなりいらっしゃったのではないでしょうか? しかしここまで読まれた方は船漕ぎ運動は実は袴で隠すほど大切な足の使い方を習得する稽古方法であったということがわかったのではないかと思います。

次回はこの足の三角の秘伝をもう少し深堀りしていきたいと思います。さらに足の三角の秘伝を使えるようになるための方法について述べたいと思います。

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【体の段階】強い力の伝え方!三角の秘伝

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

当ブログでは、現在はその体の段階について述べいます。体の段階は次の気の段階の準備段階ですので非常に大切な段階です。この段階では自分の身体の使い方自分と相手との関係を知ることを目的にしています。

今回は立ち技において相手に強い力を伝える原理をお伝えします。

このブログで分かること

合氣道では天地人を和合するといわれますが、今回のブログでは地と和合する意味が分かります。それは「地を味方につける」と言い換えることができるですが、これができるようになると地面とつながって連続的な力を作りだせるようになります。これを技のポイント・ポイントで使用すればかなり自分の技が大きく変化します。技の利きが今一つと悩んでおられる方は最後までお読みください。

1.連続的な力が出せるようになる。
2.安定した態勢で力が出せるようになる。
3.ポイント、ポイントで使用すると強力な武器となる

目次

一般的な力の出し方では良くない理由
地を味方にする足の三角の秘伝
押すだけが用途ではない!

一般的な力の出し方では良くない理由

合気道の師匠・井口師範は地を味方につけないといけないといわれました。それは地面とつながった感覚を身に着け、地面から力を借りて連続して作り出すということです。

一般的に、地面から力を借りるために普通の人は溜めを作って地面を蹴ります。ところがこのような力の生み出し方では溜めのタイミングを相手が読んでそれに合わせると相手はその力を殺すことができます。そうすることで簡単に対抗されてしまいます。

井口師範の指導した合気道ではこちらの意図が相手に察知されないことが重要でした。どんな高等技術をマスターしていても相手が知っているとその対策を取ることができます。

ところが相手が技を繰り出す瞬間までこちらの意図がわからない場合は相手は対策を取ることができません。これは運動生理学でいう反応速度によるものです。運動生理学では人が気づいて反応するのに0.5~0.7秒かかるといわれています。

ですから相手に意図さえ読まれなければ反応するのに時間差が生まれるということです。ですから相手にわかるような溜め動作を使うのは得策ではないということです。

地を味方につける足の三角秘伝

では地面を味方につけるにはどうしたら良いのでしょうか? 井口雅博師範はその方法を三角の秘伝として伝えてくださいました。

それは合氣道の基本的な立ち方に秘密があります。一般的に合氣道での立ち方は下図のような立ち方をします。これをレの字立ちとも呼ばれますが、後ろになる足の踵と親指、そして前になる足のつま先が三角になるように立ちます。

しかしこれが足の三角というのではありません。この立ち方にさらに秘伝が加わる訳です。実は足の三角というのは別にあるのです。それは後ろになる足の親指、踵、それに膝の三点を結んだ線が足の三角です(下図)。

そして膝を図のように前の下に倒すと体は強制的に前に進もうとします。

これは下図のようなドアに衝立(ついたて)をして、衝立を倒して釘でロックするとドアが開かなくなるのはご存じのことでしょうが、これと原理が同じです。

この足の三角の秘伝に折れない腕を併用すると地面から腕までつながる力の流れを感じます(下図)。これが地を味方につけるということです。これにより連続的な力が生み出せるわけです。物理学的で言えば足と地面の摩擦力を手に伝えているので連続的に力がかかるのです。

しかもこのやり方のメリットは相手を支えにしていないので、相手の態勢にかかわらず独立した安定性を保つことができる点です。

例えば押し合いをする場合を考えると、普通は相手の力とこちらの力で支えあいがあった上で力が上回った方が押し勝つようになりますので、このような場合ですと相手の支えが急になくなるともう片側はバランスを失ってしまいます。ところが足の三角の秘伝を使うと相手に支えてもらわなくても、安定した姿勢で相手を押すことができるので相手の支えがなくなってもこちらの態勢があまり崩れないのです。

地面が味方になる!

ただ足の三角の秘伝だけを聞くと『相手を押し続けるだけのことか!』と思う人がいるかもしれません。実は秘伝を受けた僕も『確かに強力だけれども単なるパフォーマンスで使うだけしか使えないな』と考え、 押すのには都合がいいが技の中では使えないものだと長い期間考えていました。

ところが師匠のご指示なので、仕方なくこの足の三角の秘伝を使う稽古を長い間続けていましたところ、あるとき相手に軽く当てた当身(パンチ)が予想以上にダメージを与えることに気づきました。要するにパンチが当たった瞬間にこの足の三角を無意識に使ていて パンチを打った瞬間に地面とつながり強いパンチがでるようになった たわけです。

このように、足の三角の秘伝を稽古していると体が覚えていて 思わぬところで 無意識に使うことが判明したわけです。実は足の三角の秘伝は当身だけではなく、技の決めのポイントで足の三角の秘伝が有効になってきます。物理学でいう作用・反作用が働く場面で安定した態勢で力が出せるので非常に有効な秘伝だったのです。

◆   ◆   ◆

秘伝といわれるものは非常に奥が深いものです。合氣道界で一般に広がっている折れない腕も秘伝級の 心身統一合氣道の藤平師範が教えた 技術です。問題は「折れない腕をどこで使うか?」ということなのです。三角の秘伝も一度聞けば『そんなの当たり前じゃないか』と思えるほどシンプルで『何が秘伝?』と思われる人もいるでしょう。このように秘伝とはシンプルなのですが問題は頭ではなく体で理解するということです。。

ですから一度聞くと前から知っていたような気になり、頭で納得するだけで軽くみてしまいます。そして多くの人は全く稽古をしません。稽古をしないと「あるときに気づく!」ということが起こりません。頭でわかるのと体でわかるのとは大きな違いがあるということです。

今回は足の三角の秘伝を話しました。 実はこの足の三角の秘伝は合気道の開祖・植芝盛平で重要と言われている稽古法に残っているのです。次回はそれについてお話ししたいと思います。それは天鳥船(あめのとりふね)といわれる稽古法です。いわゆる 船 漕ぎ運動といわれるものですが、天鳥船は単なる足の三角の秘伝の稽古だけではなく、合氣道で最も重要な動きも入っています。次回はこれを詳しく説明したいと思います。

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【体の段階】座り技呼吸法でなぜ力が入るか?

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、私の師匠・井口師範はあるとき「合気道では5つの段階を通って学ぶ」とお話しくださいました。その5つの段階とは形の段階・体 の段階 ・気 の段階 ・ 意 の段階 ・神 の段階 です。

当ブログでは、現在は形がある程度理解できた人の次の段階である体の段階について述べいます。体の段階とは次の気の段階の準備段階であり合気道の修行を進めるに当たって非常に大切な段階で、自分の身体の使い方と自分と相手との関係を知るという2つの段階とから成り立っています。

今回は前回心身統一合氣道の故・藤平光一師範の提唱した折れない腕を気のイメージを使わないやり方をご説明しました。今回はこの折れない腕の使い方を座り技呼吸法(呼吸力鍛錬法)をご紹介したいと思います。座り技呼吸法で折れない腕を使うと様々な発見があり、これを研究する価値が非常にあります。今回はその内容をおおくりします。

このブログで分かること

このブログで分かることは、座り技呼吸法で腕に力がはいる根本原因がわかります。そのための対策法も同時に示すのでより効率のよい稽古ができるようになります。つい 肩に力が入ってしまう人や腕に力が入ってしまう人は最後までお読みいただけるとすべての問題が解消できます。

1.なぜ座り技呼吸法で力がはいるのかがわかる
2.力がはいる対策法がわかる
3.折れない腕の応用方がわかる
4.正しい体の使い方がわかる

目次

座り技呼吸法と折れない腕の関係
手首を持たれると起こる反射
反射の防止には腹圧が必要
力の伝え方

座り技呼吸法と折れない腕の関係

折れない腕ができるようになりましたら、次の段階として座り技呼吸法(正式名称:座り技呼吸力鍛錬法)に応用してみましょう。

座り技呼吸法の一般的な解説として「臍下丹田を意識して気を腕に伝えて腕に流すことで相手に気が流れ込み相手を倒す」ということではないでしょうか?

ですから感覚として折れない腕とほぼ同じということが言えます。ただ異なるのは、体幹の力を如何に折れない腕に伝えるかということです。

ところが、この折れない腕を座り技呼吸法に応用しようと思った際、実は大きな問題点があります。それは折れない腕では手首の下の部分で支えられていたのが、座り技呼吸法では手首の上の部分で持たれてしまうという点です。

この点で勝手が違って折れない腕ができていた人でも座り技呼吸法が上手くでいない状態に陥っている人がいます。その理由を次に話します。

手首を持たれると起こる反射

この座り技呼吸法というのは長年研鑽をしている有段者さえ腕力の差が大きい相手だと中々思うようにかけられません。ですから折れない腕の応用というとそれを否定される方もいらっしゃいます。

しかし、座り技呼吸法は原理的には折れない腕と同じなのです。そこでまず何故座り技呼吸法がうまくできないかという理由について説明していきましょう。ぶっちゃけ結論から言いますと動生理学で言われる反射を起こしていしまっているからなのです。

その反射とはどういうものなのかを少し詳しく説明していきましょう。相手が手首を取りに来たとき相手の力を感じるのは手首の一番上の部分なのですが、ここに力を感じると反射としてそれを押し返そうとする筋肉が働いてしまいます。その筋肉というのは所謂屈筋と呼ばれるもので、上腕二頭筋と肩の三角筋などです。

上腕二頭筋は所謂力こぶと言われる部位の筋肉で、肘を曲げるのに使用される筋肉で、図のような反応が起こるのです。上腕二頭筋は単に肘を曲げる筋肉ですので動きが単純で非常に読まれやすいという特徴があるのと同時に、術者からすると力強さを感じるため力が出ていると勘違いをしてしまいます。

さらに、上腕二頭筋が働くと次にこれに連動して肩の筋肉である三角筋が働きます。この筋肉は手首から非常に離れているので 作用点が遠くにあるため テコの原理から言うと非常に大きな力が必要となる筋肉です。ですからあまり複雑な動作ができない割には出力が小さいという問題がでます。

上腕二頭筋と三角筋が働くと次はこれを固定するため背中の筋肉が張り、結局背骨の起立筋が硬直させて腰の筋肉を反らせて対抗するという結果となります。こうなると動きがより単純化されてしまうのです。これでは相手を倒すことは当然できません。

以上が手首を上から抑えられそうになると起こる反射なのです。これが起こると伸筋の反対側の筋肉が緊張し折れない腕ができなくなるのです。

反射の防止には腹圧が必要

では反射を起こさないためにはどうするかという問題です。もうお分かりになった方もいらっしゃると思いますが、先ずは合わせを使って相手と力がぶつからない状態を作るということです。そして反応速度を利用して一気呵成に相手を倒すというのも一つの手です。

ところがこれでは今回のテーマの折れない腕を座り技呼吸法に応用するということにはなりません。座り技呼吸法に折れない腕の応用を考えると何故合氣道で使う力を呼吸法と呼ぶのかが分かります。

というのは座り技呼吸法では体幹を支えるため腹圧を使います。合氣道では丹田を意識するようにと言われますが、実際は丹田を意識することで腹圧を掛けるのです。腹圧は呼吸筋といわれる横隔膜でコントロールしますのでまさしく呼吸筋によって体幹を支えて作られる安定した状態から繰り出される力が呼吸力といえるのです。

腹圧というのは医学的には 腹腔内圧 と呼ばれ、 腹腔とは腹部の内臓を収める空間のことで、隔膜、骨盤底筋、腹横筋、脊柱部の多裂筋などのインナーマッスルで囲まれています。そして横隔膜が下がると腹部全体の筋肉が同時に収縮され、腹圧が高まります。

反射は上腕二頭筋から三角筋を通って背中の起立筋群が緊張するという現象でした。体の表層の筋力の緊張による現象です。ところが体の内部を安定し地面からの力を直接体から伝えることで、体表の緊張が起こり難くなるのです。

下図はその状況をモデル的に示したものです。反射が起こった場合は表層の筋肉だけが張るのでまるで板バネに取り付けらえた腕のようでバネの強さだけ押し返せるようなイメージですが、腹圧を使ったモデルでは相手の力を直接体幹から地面に逃がし、その反作用を利用して相手に返すということが可能になります。


腹圧を高めるには腹式呼吸の稽古が最適です。先ずは息を吐き切りお腹をへこませます。肛門を締め上げると同時にお腹を膨らませ息を吸い込みます。吸いきった時点で息をつめずに息を止めお腹に圧を加えます。これを繰り返します。肺の圧が高まると脳に圧力が行き悪影響がでますので くれぐれも息を止めた時に息をつめないでください。

腹式呼吸が思うようにできると次は逆式呼吸の段階にはいります。逆式呼吸は息を吐きながらお腹を膨らませ、息を吸う時にお腹をへこませるという呼吸法です。この呼吸法ができるようになると腹圧が自由に作り出せ、腹圧を上げたときパンチをされてもかなり耐えられるようになります。

力の伝え方

腹圧を自在に作れるようになったら体幹がかなり安定してきているので、その体幹の安定感をつかって地面の力を腕に伝えるようにします。

感覚的には腹圧を上げたとき丹田から上下八方に圧が広がるような感じで丹田からの力が腕に伝わるという感覚です。

さらに相手へ伝える力は自分の手首の下側、要するに相手が持っている指側から伝えます。間違えても自分の手首の上側を使おうとしないことです。手首の上に意識が行った時点で反射が起こり上腕二頭筋、三角筋、脊柱起立筋の緊張がおこります。

さらに良いイメージとしては相手の掌の皮が空いて方向に1センチ伸びるような感覚があるとかなり効果が発揮します。

とにかく座り技呼吸法のポイントを一言でいうと「意識のポイントは手首の下側」です。心身統一合気道の藤平師範も僕の師匠の井口師範も重みは下に感じるようにと言われていますが、ここに意識を置くことで、上記の屈筋群にかかる力がすべて解消されます。これが効くか効かないかのポイントなのです。

ただし皮膚の技術の秘伝という別のやり方もありますが、それについて述べるとまた長くなるので今回はここまでとしておきます。とにかく、意識するところを手首の上ではなく手首の下側だと覚えておき、そこを意識できるように動くことです。

◆   ◆   ◆

今回は折れない腕を座り技呼吸法で応用するやり方を説明しました。合氣道修行者の方がこのやり方を良く研究すると様々な気づきがあると思います。とくに折れない腕がさまざまな局面で使えるということもわかってくると思いますので是非研究することをお勧めします。

次回は立った状態での強い力の伝え方の秘伝について述べたいと思います。 最後までお読みいただいた読者の方々有難うございました。

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