合気道の投げにおいて、「相手のバランス(重心)を奪う」ことが大切だということは、初心者も含め殆どの合気道修行者が分かっていることです。
ところが、その「相手のバランス(重心)を奪う加減」が問題で、さらにその加減に応じて「どのように奪うか」というと、答えられる修行者は随分と少なくなるのではないでしょうか。
ちなみに、井口師範は、私が「相手のバランスを崩す」と言ったとき、「バランス(重心)を奪う」と言い直されたことがあります。「バランスを崩すというのは、強引に力づくでできるが、バランスを奪うのは微妙なさじ加減が必要」とのことでした。
まあ言葉のニュアンスはここではさほど重要ではありませんが、「微妙なさじ加減」というのはどういうことかと聞きましたところ、「相手に悟られず、安定している状態からぎりぎりバランスが取れている状態にもって行く」のだそうです。
人間は、非常に精妙にバランスを取ることによって、安定して立っています。そして相手に押されたりすると、すぐさまその力に応じて、人はバランスを取ることができます。ですから、無理に相手のバランスを崩そうとしても中々崩れないというのが現状です。
ところが、井口師範の言うように「相手に悟られず」即ち「自覚できないバランスの変化」を起こさせるとどうでしょうか? 自覚できないのであれば、当然ぎりぎりのところまでもっていくのは非常に簡単です。
当会にも、「自覚させずバランスを奪う」方法が、井口師範から伝えられています。それらは、「気」を用いた摩訶不思議な技術ではありません。甚だ科学的な方法です。一つは力学的な方法、二つ目に生理学的な方法、三つ目に心理学的な方法です。
①力学的な方法とは、運動エネルギーを作り、その運動エネルギーを相手に悟られず伝える方法です。
②生理学的な方法は、人の反射を使ったり、生理学的に相手の力が入らない状況を作ったりする方法です。
③心理学的な方法とは、ちょっとした錯覚を相手に与えることによって、心理的にバランスを奪う方法です。
このように書くと、まったくピンとこないと思いますが、これらの技術は実際に手を合わせて、教授しないと中々分からないものですので、もし興味お持ちの人は是非見学においで下さい。
次回は、バランスを奪う理論を映像を交えてご紹介したいと思いますのでお楽しみにしておいてください。
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