皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
さて、前回は何年も続く合氣道の初心状態から抜け出すにはということでお話ししました。今回はその続きで物理の法則に従うということを深掘りしていきたいと思います。
本ブログでわかること
合気道の基本は物理の法則に従うといっても具体的にわからないという人が多いと思います。今回は具体的にどのように物理の法則に従って技に活かしていければ良いかということで次の順で説明していきたいと思います。
1.物理の法則に従うための2つの考え方
2.骨格の読み方
3.力学的な考え方
このブログでは、合氣道の効率的な技の掛け方がわかるとともに、誰でもスムーズに自然に近い演武が可能となり、また護身術としても使えるようになりますので是非最後までお読みいただければと思います。
目次
・物理の法則に従うための2つの考え方
・骨格の読み方とは?
・力学で考える
・バラバラには使わない
物理の法則に従うための2つの考え方
合気道で物理の法則に従うための2つの考え方というのは次の通りです。
1.骨格から考える
2.力学で考える
1つ目の骨格を読むという点から説明していきましょう。人間の体は、骨によって支えらえています。動きは全て関節を中心に体が動くわけです。 一部の流派では関節を破壊するために逆関節を極めるものもありますが、 基本的に合氣道の技は関節の動きに沿って技をかけるもので構成されています。ですから関節を無視して技をかけることはできません。そのために骨格の知識が必要で、そこから技を考える必要があります。
2つ目の力学を使うということですが、合氣道ではよく例に出される「梃子の原理」を使うというだけでなく、動く物体に関する力学なども大切です。運動エネルギー、作用反作用の原理、力の合成などの基本知識を知っているとかなり技が広がります。
骨格から考えるとは
合氣道では先ず相手のバランスを崩してから技をかけるのが基本になります。 しかし、実際に技を行う際に相手のバランスを崩そうとすると非常に難しく感じます。その結果 ややもすると崩しながら技をかけようとしまいがちです。
この大きな原因の一つに相手の骨格を考えていないというところにあるようです。二足で立つ人間というのは実は非常に不安定な存在ですから本当はバランスを崩しやすいはずなのです。それは 人形を立たせると指一本でも簡単に倒せるという事実からもわかります。人間が安定して立っていられるのは脳が自動的に状況を判断して常にバランス修正をしているためです。
そのため大きく崩そうとすれば即座に脳が反応して一歩踏み出してバランスを取ろうとします。これが相手を崩す難しさです。そこで相手のバランスを奪うにはどうするかという、実は「半バランス状態にしてから導く」というプロセスで相手を崩します。
分かりやすい例でいいますと、下図のように相手を後ろに崩す場合、相手には後ろに一歩踏み込んでほしくありません。そこで両踵を支点にして相手を後方に少しだけ崩します。さらに膝の曲がりを考えながら安全に尻が地面に付く軌道に導いてやると相手は勝手に倒れます。
ポイントは相手が一歩踏み出さないように反崩しの状態して、そこから相手が膝を折りやすくするにはどう持っていくかと考えることで、抵抗なく相手は投げられてくれるようになります。何故なら、このようにすると脳はより動かない安全にバランスを取る方を選択してしまうからです。
これは骨格から考えることの本の一例です。膝、股関節、肩関節、肘関節、手首の関節など技をかける際に考慮すべき個所がたくさんあります。基本的にはこれらをもとにして如何に導くかという思考を常にもつだけで、骨格を無視した動きとはならないのです。下の動画は腕の関節をどのように読むかという一例です。
力学で考える
一概に人間の体は物体でできているので力学で技を考えることができるといわれても、どのように考えていいのかわからないのが普通だと思います。普通合氣道の道場でよく言われるのが支点・力点・作用点を使った「梃子の原理を使う」という発想でしょうか?
ところが、梃子の原理を追求していても中々技に応用するアイデアが出てきません。それよりも、運動エネルギーで考えることの方が有用です。合氣道では動きを止めず技を行うことを氣の流れを途切れずに行えといいますが、実はこれは運動エネルギーを利用することでもあるのです。
例えば、例えば人の体重と同様の60キロの鉄の塊が紐にぶら下がっていて左右に揺れているとします。これが自分の方に向かってきたとするとかなり恐怖を感じますが、運動エネルギーの凄さは誰もが経験的には知っているものです。相手が人となると甘く見てしまいますが、運動エネルギーを効率的に使えれば技を行う際に非常に大きな味方になります。
当会では運動エネルギーを効率的に使うための技術として陽の技術と陰の技術というのを指導しますが、これらは相手に如何にぶつからず効率的に運動エネルギーを伝えて崩すかというための技術です。
さらに核の氣という技術がありますが、これは作用反作用の法則を巧みに利用する技術でもあります。このように運動エネルギーの使い方を身体に落とし込めると技を行う上で非常に大きな助けとなります。
バラバラには使わない
以上の2つの基本的な考えは個別に私用するという問題ではなく、両者を複合して適切に使う必要があります。そのため特に骨格の読みは無意識レベルまで落とし込む必要があります。
技をかける際に、「こっちの方向」など読んでいると技をかけるまでに余分に時間がかかってしまいますので、上記の映像の一教で使えるようになれば、小手返しや四方投げでも同様の稽古を行うなどさまざまな方面で応用を広げていく必要があります。
このようにして感覚を研ぎ澄まし、物理法則での技ができるようになることが非常に大切です。当会ではそれを体の段階と呼んでいます。
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今回の「骨格から考える」の後ろへ崩すのイラストとその説明が非常に参考になりました。
すぐに簡単にできるというものではありませんが、その知識が全ての基礎になりそうです。
また、最近自分の骨格の自然な動きに合わせて動かないとと感じていましたので、「自分の行きたいところ」「相手の行きたいところ」というのがちょっとわかりました。
いつもコメントありがとうございます。
合気道は愛の武道と開祖が言っているのは、「わざわざ受けが勝手に倒れる八百長ではなく、相手が喜んでついて来れるように導いて自ら倒れるようにする優しい武道」ということだと師匠に聞いています。
返信ありがとうございます。
相手が喜んでついてきて、自ら倒れるように…ですか。
何となくわかるけど、いろんな意味で難しいですね。
> 何となくわかるけど、いろんな意味で難しいですね。
そうなんです。
いろんな意味が含まれているので難しいのです。
相手を導くというのは、物理学的、生理学的、心理学的な手法の3つを同時に行うから可能になるので、「導こう」と思うだけではだめなんですね。
その感覚を統合したのが「氣の感覚」だと言えばよいと思います
物理学的、生理学的、心理学的な手法の3つを同時に行うというのは、かなり練習しないといけませんね。
少なくとも物理的なことやいろんな意味での自分の身体の状態は無意識にできるくらいにしとかないと練習さえ難しいですね。