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健康護身術を指導している橋本実です。

【合わせと三原則】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

前回は、骨格の合わせが非常に大切という話をしましたが、合わせというのには何種類もあるのですが、今回は骨格の合わせも含めて、合わせを行う上で大切な考えを述べたいと思います。


合気道の合わせとは

 

合気道の形稽古というのは、武道の形を二人の人がペアになって、技の受け手(受け)と技の掛けて(取り)という役割を決めて、交互に役割を入れ替えながら稽古します。

基本的には、まず受けが攻撃をしかけ、取りがそれに対処して、決められた極め技かけるという形です。

 

例えば、片手取り回転投げという技があります。

これは、相手に片手首を掴まれる場合を想定した投げ技ですが、受け取りの片手首を掴んだとき、技の掛け手である取り受けをコントロールして回転投げという技につなげるものです。

 

ところが、形稽古なので、受けは初めから取りの出方が分かっているので、簡単に妨害することができるはずだと思われます。

しかし、合気道では、その状況で技を掛けられることを目指して稽古するのです。

それには、合気道独自の合わせ(気の合わせ)の技術が必要あります。

しかし、この習得はかなり難しく、秘伝を教わり、かなり稽古する必要があります。


対立しない、逃げない、受け入れる

 

では、実際に合わせはどのように行うかということですが、合気道の場合、合わせを行うための原則として、対立しない、逃げない、受け入れるという3原則があります。

ところが、まず一つ目の対立しないというのが、非常に難しく、例えば、手首を持たれただけでも、わずかに力が入ってしまいます。

この最初のぶつかりはしかたないものですが、その後ついその力に引きづられて力が入ってしまうのが問題です。

これが対立です。

対立が産まれた時点で、自分がこれから何をするかという情報が相手に伝わり、相手は簡単に技の妨害ができます。

ですから、対立しないというのが非常に大切です。

さらに、逃げないというのは、言い方を変えると放棄しないと言えると思います。

合気道修行者は、力を抜けとよくいわれますが、単なる腑抜けになったら簡単に制圧されます。

最後に、受け入れるということですが、相手がどのように力を入れてきているか観察するということです。

観察するといっても、目だけでなく、体全体で感じるようにします。

すると相手の力の流れが体感として分るようになります。

そこで、初めて、緩めます。

緩めると言っても相手の力の流れに乗って緩めるのです。これが合気道でいう力を抜くということです。

そうすうると、相手と自分の間で流れができます。その流れに乗って相手を導くのです。これを合わせといます。

ですから、合わせでは、ぶつかりを感じたら、対立せず、逃げず、受け入れることが非常に大切な訳です。

 

 


 

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【問題は骨格の合わせ】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、本日は久しぶりに合気道の上級者の指導を行いました。


指導者代理の演武での問題点

 

今回、指導してほしいと言われた内容は、その人の道場では、師範の代わり道場内の別の人(6段か7段)が指導者として指導しているそうです。

ただ、その指導者代理の人は形は沢山知っておられるそうですが、技の効きがもう一つだそうで、受けをとるときは、自ら倒れないといけないのが問題だそうです。

そこで、相半身の片手取り(正面に向かい合って、取りの右手首を受けが右手で掴むというような、同じ手で交差して掴むような技)で、そのまま受けの頭上に手を持ってきて倒す呼吸投げという技を行われたそうです。

そのとき、受けをとったのが今回の個人指導をした人ですが、軽く手を持っただけでも、力がぶつかる感じがし、『こんなもの実際に出来るのか?』と検証したいということでした。

話を聞いても意味がわからなかったので、実際にどんな技かを形で示していただきました。

そこで、気になったのが、やはり力のぶつかりでした。


骨の合わせが問題

 

力のぶつかりの原因は、骨の合わせ、とくに骨格の合わせが上手くできていないことにあります。

前回のブログでは螺旋運動を考えていないから起こっているという話をしましたが、結果的にはそういうことですが、ただ自分勝手に螺旋に動かすということではないのです。

相手の力を手首で感じながら、力がぶつからない方向に螺旋を描く必要があります。

これには、相手の骨格、特に関節がどう稼働するかという見取りが必要で、その上、相手の力を手首で感じながらも、その力とぶつからず、相手が動きやすい方に導くことが必要です。

この相手の力を感じながら、相手の力とぶつからないというのを聞くと、そんなことは不可能だと思ってしまうかもしれません。

しかし、人間の力の出し方というのは筋肉の構造上一方向にしか出せないため、ある方向に力をいれたなら、その方向に相手が移動するとまるで力が入らないように感じるものです。

ただ、単に一方方向の力に対して、その方向にのみ逃げていると最終的に追い込まれますので、そこは螺旋で力の方向を少しずらしつつ、相手を導くわけです。

これが合わせということです。

そのため、一般の日常生活ではありえない体の使い方になるため、非常に難しく、かなり訓練が必要になります。

これは、実はそのようなプロセスだけを取り出してかなりの時間をかけて稽古しなければならないのです。

ちなみに、こういう稽古は、井口師範ですら、一般の稽古ではせず、秘伝として個人にしか稽古してくれませんでした。


 

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【螺旋形】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気「です。

「合気道の極意は、呼吸力、気の流れ、螺旋形」と師匠は常々いわれていました。

今回は螺旋形についてお話ししたいと思います。


手首取りは螺旋で合わす

 

例えば、相手に片手首を持たれた場合、相手が一番力が入らない方向に導く必要があります。

その場合、相手の肩を中心として、相手と繋がっている接点を円を描くように動かすのが最も力がの必要としない方法です。

しかし、そう思ってやってみても、どうしても途中で力がぶつかってしまいます。

その理由は、いたって簡単で、平面に円を描くことを考えているためです。

相手は立体の人間なので、3Dではコンパスで円を描くような訳にはいかないのです。

3Dでもっとも忘れるのが、ねじれに関してです。

相手の腕を導く場合、ねじれも関係してきます。

言い方を変えるとある点では掌は下向いていても、移動することで、掌が横を向くことになる場合もあるのです。

その変化も考えないと途中でぶつかることになります。

そのため、骨格の合わせは螺旋形で行うのです。

相手の手が無理のないように動かすにはどのような螺旋を描いて相手を円に導くかがぶつからないポイントとなります。


もう一つの螺旋形

 

合気道では、さらに手首取りでない場合でも、相手の手を導く場合にも螺旋形を使います。

前項の骨格の合わせの際は、相手の無理のない角度に合わせて螺旋を描きましたが、相手の力を撹乱するためにも螺旋を使います。

相手の正面打ちを手でうけ、すぐに螺旋形で相手の正面打ち手刀を巻き込み、四方投げ、一教、入り身投げなど様々な技につなげるのにも使います。

この場合、まるで枝に蛇が巻き付きながら移動するようにして、螺旋で相手の腕を巻き込んでいくことで、相手と力がぶつからずに、相手の手を導くことができます。

中国武術ではこれを粘勁といいますが、意味は粘りついた力です。合気道では「螺旋」といい、相手の力を搔き乱し、力を集中させません。

また、螺旋で導かれた手は非常に自然な感じがし、つい導かれてしまいます。

ただし、この螺旋を単に手で行うと、肩に力が入って、相手に簡単に読まれてしまいますので、飽くまでも気の流れを使って螺旋を描く必要があります。


 

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【合気道と上丹田】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、前回は合気道と丹田の話をしました。一般の武道では、腹部にある臍下丹田のみを重視しますが、合気道では、丹田は3つあり、技によっては3つの丹田を利用するということを述べました。

今回は、合気道においても殆ど話題に上らない上丹田についてお話ししたいと思います。


上丹田と目

僕の師匠・井口師範は、合気道では目が非常に大切と言われています。

目が大事というのは目の使い方、要するにどう見るかということです。

このブログですこし前に、合気道の開祖の有名な言葉をご紹介しましたが、もう一度ご載せておきますと、

* * * *

相手の目を見てはいけない、目に心を吸収されてしまう。
相手の剣を見てはいけない、剣に気が把われてしまう。
相手を見てはいけない、相手の気を吸収してしまうからだ。
真の武とは相手の全貌を吸収してしまう引力の練磨である。
だから私はこのまま立っとればいいんじゃ。

* * * *

非常に有名な言葉ですが、目の使い方を知らないで読むと、一体何を言いたいのか?と思ってしまう文章です。

しかし、井口師範の秘伝の中伝以降の目の使い方を知っていると、「なるほど、これは目の使い方の話だ!」と納得できてしまいます。上丹田に関連した非常に大切な道文だとわかるのです。

というのは、実は上丹田と目は切っても切れない関係があるからです。

「目は口ほどにものをいう」といいますが、目の動きで自分の情報が漏れてしまうということです。

気という立場からすると、目から余計な気が漏れ出て相手に伝わってしまうということです。

ところが、上丹田と目が繋がっていて、目の気は上丹田でコントロールするということを知っていると、余計な気が目から漏れなくなり、相手は目からの情報を読みとれなくなります。


上丹田を鍛える

 

相手に情報を読まれない目を作るためには、上丹田をコントロールできるようになる必要があります。

上丹田を鍛えるためには、目を鍛える必要があります。

と言っても、視力を上げるということではなく、気が漏れにくい目にすることです。

基本的に、人は、気が流れると、筋肉が反応します。

ですから、達人は気が流れているかどうかは目で見てわかるのです。

井口師範は腕に気が流れているかどうかは、微妙な動きが出るかを見て取って指導されていたのです。

目についても同じで、余計な気は眼球運動が起こします。

これを抑えないと相手に反応される目になります。

逆に余計な眼球運動を抑える訓練をすることで、上丹田が鍛えることができます。

なお、目の使い方の初伝については、拙著に記載しています。もしご興味のある方はそちらを参考にしてください。キンドル版の本「力の弱い人でもできる唯一の護身術

 

 


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【合気道と中丹田】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、前回は合気道と下丹田の話をしました。

今回は、合気道でもあまり話題に上らない中丹田についてお話ししたいと思います。


中丹田と手

中丹田は、両乳首を直線で結んだ丁度真ん中にあります。

中丹田は武道では左右の両手と繋がっているとされていて、陰陽のエネルギーバランスを使って両手を使用するときに使われるものだと学びました。

ちなみに、手には左右がありますが、左というのは火に属していて元々「火が足りる」というところから「ひたり」と呼ぶようになり、右は水に属していて、「水が極まる」というところから「みき」となったそうです。

左右の手が中丹田と結ばれているということからも、水と火、ようするに陰と陽の変化を手に起こすことと中丹田の関係が理解できるでしょう。

合気道の技の大部分は手を用います。

ですから、合気道では中丹田の使い方は必須のものとおもわれますが、一般に合気道の修行者で中丹田の存在を知っている人はかなり少なく、しかもその用法を述べられる人はもっと少ないと聞いています。

というのは、左右のエネルギーバランスというのは簡単ですが、一概に右が陰で左が陽というように簡単に分けられないため、中丹田の使い方が非常に難しいのです。

 


中丹田を使う!

 

中丹田を使う場合、陰陽のバランスとかそういった概念が入りますので、概念的になってしまう傾向がありますが、実際使用するのは物理空間ですので、技に適用できないと、概念で終わってしまい意味がなさなくなります。

その点が中丹田を使う難しさです。

そのため、多くの合気道家は、下丹田の気を腕に通して技を行い、中丹田を意識することをしない人が多くいるのであると聞いています。

その方が体内の気の流れが自覚でき、分かりやすいのですが、中丹田を使うなると、下丹田からの気の流れを全くぶつからない方向に持っていく必要があり、その上で中丹田を使います。

気というのは、使用する本人の意識と非常に密接につながっていて、意識が接点にあると、そこで気が止まってしまいます。

そのためには、骨の合わせの中の骨格の合わせを使って、相手と全くぶつかりの少ない状態を作る必要があります。

その上で、相手とぶつからないという意識が大切になります。

気は相手とぶつからず、しかも相手と繋がっているという状態を作って、中丹田を使うと、相手からは非常に分かりにくい技術に感じます。

中丹田をつかった技を受けた場合「あれっ」という感じで、気が抜かれたような感覚になることが多いようです。


 

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【合気道と下丹田】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、前回は合気道と丹田の話をしました。一般の武道では、腹部にある臍下丹田のみを重視しますが、合気道では、丹田は3つあり、技によっては3つの丹田を利用するということを述べました。

今回は、合気道で最もよく扱われる下丹田についてお話ししたいと思います。


下丹田と足

 

一般的に全角的に合気道では丹田と言えば下丹田を示します。

下丹田は、臍した三寸の腹中にあると言われていますが、この寸というのは東洋医学の経穴(つぼ)の採寸をする単位で、通常は手の親指の横幅が一寸、親指以外の四指を揃えたときの長さを三寸としています。

ですから、一部合気道指導者が始動する臍のした9センチという主張は間違っています。

それはともかくとして、下丹田を如何に使うかというのが合気道の技で重要になってきます。

下丹田は足と関係が深く、地面の力を足から借りることで、技に活かします。

武道では足腰を鍛える必要があるといいますが、地面からの力を借りることでより強力な技が使えるようになるのです。

ですから、合気道では、足の使い方が基本中の基本になり、足さばきを隠すために袴をはくといわれているほどなのです。

何故なら足さばきが下丹田の使い方と直結しているからです。


下丹田は気を集める場所

 

合気道では、タオイズムと同じで下丹田は気を集める場所としています。

下丹田に集めた気は、技を行うときに、身体内部を移動します。

そのため気を移動する稽古が必要です。

その稽古として、師匠である井口師範より2種類の方法を伝授していただいています。

一つは、足を肩幅よりやや広めに開き、上臀部をしめることで、地面から足を通して気を上臀部に集め、その後、背中に沿って上に流し、頭迄上げます。

さらに、頭に上がってからそのままの状態でしばらくおり、その後顔の前面、体の前面を通って丹田に落とすというものです。

これはタオイズムや気功の小周天とよばれる方法に近い技術ですが、その違いは、気を地球からいただいくことと筋肉を確実に使うこととです。

そしてもう一つは、船漕ぎ運動(天鳥船(あまつとりぶね・あまのとりぶね)の行)があります。

前に手を出す時、丹田に集めた気を一旦肩に移動し、次いで手先に移動し、手を引くときは、肩にもどし、引き終わってから丹田にもどします。

こういった意識を持って船漕ぎ運動を行っていると、体内に移動する気の流れが意識できます。

その気の流れは足腰が安定するほどはっきりとするので、下丹田が足に繋がっているのがよりはっきりと自覚できます。

以上の2つの稽古で、丹田に集めた気を体内に自在に移動し、そして技に使用します。


 

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【丹田と合気道】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、今回は丹田について話したいと思います。


丹田とは?

武道を指導している人の中に、肚(はら)とか肝(きも)とか丹田とかいう言葉を使う人がいます。

大概は丹田というと、臍下丹田と言って臍した3寸(この寸というのは漢方医学の経穴(ツボ)の採寸法でいう単位で親指の横幅が1寸となっている)にあると言われ、下腹部にあると思われていますが、実際は人体に3か所にあります。

その三か所というのは、上から眉間(印堂)の奥の上丹田、胸の中央(壇中)の奥の中丹田、そして腹(気海)の奥の下丹田です。

基本的には3つの丹田は、中国の仙人思想のタオイズムの思想から来たものとされています。

タオイズムでは、精神世界から物理世界への成り立ちを神(しん)・気(き)・精(せい)から説明されていて、精神世界を精妙な永遠に変わらないもの、物理世界を濁った重いもので何時かは朽ち果てるものと解釈し、神・気・精の順で重く濁り、精が凝縮して物質となるのです。

そこで、タオイズムでは、自身の中の精を練り、気に変えるということを下丹田で行い(練精化気)、完全に気に変わった時点で、中丹田で気を練って神に変え(練気化神)、最終的に上丹田で神を練って宇宙に返す(練神還虚)という行を行います。

要するに、変化して壊れやすいものから、純粋な壊れない永遠ものへと変化させていくというのに丹田をつかうわけです。

 

 


合気道での丹田

合気道では、タオイズムとことなり、自分を永久なるものに変えるという思想はなく、飽くまでも武道としてそれぞれの丹田を使います。

合気道では、神道の世界観が入っていて、技を身体的なもの、流動的なもの、心理的なものとして分解し、それぞれ、地、水火の交わり、天に対応して考えます。

宇宙の創世は、未だ天地(あめつち)が分かたれていなかった状態から、天と地に分かれ、天地の間で陰陽の気(水と火)の交わりがおこり、清らかなる永遠に変わらないものは天に上り、濁った壊れ変化するものは地に下り、今の世界が起こったされています。

要するに、精神世界と物理世界を陰陽の二気でつないでいるということです。

それに合わせて、合気道の技で丹田を使うわけです。

天にあたる上丹田は心理的な技術を扱い、水火にあたる中丹田は変化や陰陽のバランスに関する技術を扱い、地にあたる下丹田は身体と直接関連のある技術を扱います。

ですから、多くの武道ではとくに身体と直接関係のある下丹田を大切にするわけです。

しかし、相手の土俵で戦わないとする合気道では、相手との関係性を利用するため、中丹田や上丹田を使ったりします。


 

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【達人は常に本質をつく】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、この前、井口師範から教わった事を書いたメモが見つかりました。

その当時は、単なる小技を教わったものと思っていたメモですが、それを見て非常に大切な内容で、本質が書かれていることに気づきました。

今回は、その理由を探っていきたいと思います。


理解は自分のレベルに応じた分だけ

 

以前にも書きましたが、NLP心理学の15番目の前提「人は自分の世界の経験を前提にして今起こっていることを理解する」というのがあります。

この言葉は非常に深いです。

というのは、例えば、自分が進歩したいと考えたとき、自分の理解する範囲を超える必要があるからです。

生物には、ホメオスタシスといって現状を維持しようとする働きがあり、特に人間は無意識レベルで意識に介在してきます。

ところで、今までの現状であると認知できる状態のことをコンフォートゾーンといいます。

直訳すると、心地の良い領域ということですが、冷静に考えると当人にとってもあまり好ましくない状況であっても、現状がその状況であるならコンフォートゾーンなのです。

例えば、日ごろ成績が悪い人が、たまたまテストで非常に良い成績を取ってしまったとすると、何故か次のテストでは今まで以上に悪い成績をとってしまいます。

それで平均値を以前の状況にすることでコンフォートゾーンが無意識で保たれるわけです。

このように進歩しようとしても、無意識が拒否をします。ここが、進歩するという点で難しいところです。


些細なことでも本質をつく達人

 

今回の話にもどりますが、それは秘伝に当たる技術とわかったので、その内容を説明しませんが、そのメモというのが、井口師範から教わったある技のノウハウが書かれていたのです。

それは相手を痛めつける過激な技術でしたので、僕はそこまでやるつもりはないと思い、メモしておいただけでした。

ところが、単にそれは効かせ方ではなく、本質である「相手の土俵にのらない」という技術でもあったわけです。

どうしても技を掛けるとき、効かせたい箇所に意識を集中してしまい、相手に意図が悟られたしまいますが、己の意識を変えることで相手は読みができなくなります。

多分、そのとき井口師範は単なるテクニックとして説明をしてくださったのだと思います。

タオイズムでは、無為自然と言って、真人の行うことはすべて宇宙の理にかなっているといいます。

しかし、凡人の為すことは考えつくしてやっても作為的で何か問題がのこるのです。

それは心理学でも明らかですが、凡人の行いは過去の記憶の範疇を出ていないからです。

ですから、単なる枝葉の説明でも、そこには本質と繋がっているのが達人なのです。


 

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【非接触への気の合わせ方】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、前回までは、接触した状態での気の合わせについて述べましたが、今回は打撃系などの非接触での気の合わせについて述べたいと思います。


打撃系は間合いの読みが大切

 

合気道では、特に打撃系の技の対策の一番最初にあげられるポイントとしては、相手との間合い(距離)を広くとることです。

距離は一間(畳縦一畳分)です。要するに約2メートルぐらいの距離を最初の間合いとします。

ですから、無暗に相手に近づかないことが大切です。この間合いは、空手などしている人にとってはかなり空きすぎているように思われるでしょうが、相手が移動を始めてから、十分反応できる距離というのが2メートルなのです。

この距離だと、相手が例え武器を隠していても何とか逃れることができます。

そういった備えも合気道の稽古の中に実は含まれているわけです。

そして、相手が一気に攻撃を畳みかけようとしてきたとき、合気道では入り身といって、相手の死角に飛び込んでいく技法があります。

これが上手くいくと相手の後ろに簡単に回り込むことができます。


最外殻の気の合わせと外殻の気の合わせ

打撃に対する合わせは、外殻の気や最外殻の気を使います。

最外殻の気は意志と共に動き、相手にぶつけた場合には心理的な圧力を生む気です。

この気に合わせるという場合、一定の圧力をキープします。

このため、相手が前に出れば横にまわり、相手が下がれば前に出るというように相手との距離感を変えずに相手と相対することで、気の繋がりを作ります。

そうすることで、相手がしようとすることがこちらに伝わりやすくなります。

さらに、相手に対して、こちらが変化が殆どないような見せ方をすることで、相手と自分の間にできた気の空間の支配ができるようになります。

これは、ある駅で自分の乗っている電車が止まっているところに、隣の線路に別の電車が止まり、その電車が自分の電車より先に発車したとき、まるで自分の電車が急に動き出したように見える現象を引き起こすと言えば、空間の支配という意味がわかると思います。

相手と自分の位置関係が変わらず、見た目周りの空間が動いているように見せることで、空間自体が動いていると脳と錯覚します。

この錯覚を誘導することで、相手の体勢を崩すことができます。

また、最外殻の気は、指向性が強く、正面には敏感ですが、少しずれると鈍感となり、鈍感な範囲に沿って移動することで、簡単に相手の内に入れます。

これが入り身の原理ですが、入り身では、外殻の気の合わせといって、相手の外殻の気と自分の外殻の気を調和させるような意識で入り込むことで相手のコントロールがやりやすくなります。

 


 

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【「挙手への対抗」の気の読みの応用?!】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、前回は、「気は誰でもが読んでいる」と書きましたが、それは「挙手への対抗」でのみ行うことができるということでした。

ところが、合気道では、その反対の動作が要求されます。

すなわち、「相手に対抗されても挙手ができないといけない」ということです。

この対策方法としては2つ挙げることができます。一つは反応時間を利用する方法、そしてもう一つが「合わせ」を用いる方法です。


反応時間利用する方法

 

反応時間というのは、生物がある刺激を受けて、その刺激に対して反応するまでの時間をいいます。

要するに、反応するのに時間差が生じるということです。

そこで、反応時間を利用するには、相手に予めこちらがしようとすることを読まれると困ります。

合気道では自分の情報を隠すことで相手に予め読まさなくするしてから動作を起こす技術が何種類かあります。

最も簡単な方法の一つを分かりやすく説明すると、例えば、相手に持たれている手を挙げるのであれば、手を持ってくるはずのところに何か浮遊物が飛んでいるのを想像し、それを捕まえようと瞬間にそこに手を伸ばすことです。

これだけのことで、相手はこちらの動作が読めなくなります。

反応時間を利用するだけでなく、次の「合わせ」においても非常に大切なことは、移動する前に相手とぶつかっていないということです。

そのぶつかりは、本の僅かであっても相手はこちらの動きを予め読むことができます。


「合わせ」を使う

 

合わせを使う場合、大切なのは相手の動作を導くことです。

前回の記事を思い出していただきたいのですが、合わせを行うには3つの条件をクリアしないといけない上、その条件も使えないといけません。

  1. 人は自然と感覚によって相手の気を読んでいる
  2. 接触していると気が読みやすい
  3. 相手の気の発動を待ってから対抗している

1~3をクリアするためには、こちらの情報を遮断している必要があります。

そのためには相手とのぶつかりをゼロにする必要があります。これで握っている相手にとって読みにくく、こちらにとっては読みやすいという状況になります。

何故なら、握る方は、握るという命令を自分自身に下す必要があり、そちらに意識が集中する分情報の読みが不利になるからです。

その上で、相手の力をある方向に誘引しておいて、それを避けるように動くことで、挙手を容易にすることができます。

それが合わせの技術です。

合わせには、骨の合わせ、皮膚の合わせ、皮膚感覚の合わせと空間感覚の合わせ、中丹田を使った陰陽jの合わせなどがあります。

それぞれ数種類あり、それを組み合わせて使う場合もあり、かなりの数に上ります。


 

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