「当会の技術について」カテゴリーアーカイブ

【折れない腕の科学】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

前回から折れない腕という合気道の基本的な技術について述べています。

今回はさらに折れない腕というものを科学的に考察していきたいと思います。

 


伸筋を使う?

 

合気道を扱う本は非常に多く、気の神秘的な面だけを述べるのではなく、科学的に解明している本もたくさんあります。

そういった本の一部では、折れない腕というのは屈筋を使わず、伸筋だけを使う技術だと主張している人がいます。

ところが、そのような考えでは、いろいろな問題が生じる恐れがあります。

そうなると、やっぱり筋肉をつけないといけないと、ウェートトレーニングに走る人が現れるからです。

別に筋肉をつけるのは悪い事ではありません。

しかし、ウェートトレーニングの場合、動的トレーニングを行いますので、伸筋を鍛えるため、伸ばす運動をしつつウェートによる負荷をかけます。

その結果、伸筋を使うため、肘を伸ばそうという動きが出、肘がどんどんとストレートになっていきます。

また、丹田を意識する必要もないという考えになってきます。

ところが、以下の折れない腕の提唱者の藤平師の写真を見ると、腕は曲げたままで、それ以上折り曲がらないというパフォーマンスを見せています。

このように伸筋を使って腕を伸ばしていく技術が、折れない技術ではないのです。

 

折れない腕は相手とのバランス!

 

折れない腕は単に伸筋だけの筋肉運動でないということがご理解いただいたと思います。

さらに、折れない腕というのは、丹田を意識するということが必要になりますが、腕と丹田がつながるように丹田を意識しようとすると、微妙に押し出す力が相手に伝わります。

この押し出す力によって、相手は実は重心がわずかに崩されているのです。

実は人間は最大のパフォーマンスを発揮するためには、重心が安定していてバランスのとれた状態である必要があります。

このわずかに押されることにより、曲げる側は自分の力が自分い帰ってくるという感覚を感じます。

その感覚を感じると、無意識のうちに力を入れるのを押さえてしまう心理効果もはたらきます。

この様に折れない腕というのは、自分一人がするのではなく、相手と接点を持ったときに、相手と繋がるという感覚が必要です。

そうすることで相手は無意識にコントロールされている感を持ってしまい、その結果どこかでどうすることもできないという判断が脳内でされることになります。

これが相手を導くということです。

この様に、総合的な面で、体を有効に活用する方法を示すのが折れない腕です。

 

 

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【折れない腕が基本2】

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

折れない腕の作り方を前回話しましたが、今回はその後の話をしたいと思います。

というのは、折れない腕ができても応用ができないと、ただのパフォーマンスに終わってしまうからです。

ですから、どちらかというと、折れない腕ができ、それを応用できてこその合気道です。


瞬間に折れない腕を作る

 

心の準備をして、そこから折れない腕を作ってというのでは、護身を考えたとき全く役にたたないのは誰が考えても分かると思います。

やはり一瞬で折れない腕を作る必要があります。

そのため、壁に向かって、気を付けの姿勢から、いきなり手を前に出し、自分の体を支えるという稽古をします。

そうすれば、つぶれるわけにいかないから、瞬間に折れない腕ができるようになります。

そういった稽古をして、折れない腕を身に付けます。

 


イメージが大切

 

瞬間に折れない腕ができるようになったら、次は、タメを作らないで、どこでも折れない腕ができるようにしないといけません。

人は手を素早く動かそうと思うと無意識にタメを作ってから動作をしようとしてしまいがちですが、実はタメを作るとその分時間がロスされ遅くなります。

実際の話、タメを作ってすばやく手を差し出すのと、そのままユックリ手を差し出すのでは、ユックリと手を差し出す方が時間的に早くなります。

そこで、タメを作らず、自在に手をコントロールできるためには、イメージとして、手を自分が意図したところに出現するというイメージを強く持つことです。

そういうイメージを強く持つことで、自分をだまします。そうすると相手も思わず騙され、突然手が出現したかのような錯覚に陥ます。

そして、出現した手が折れない腕なら、強力な防御となります。

その手で、正面打ちの受け、横面打ちの受け、正面突きの受けをするとかなり強力になるのは、誰でもわかることじゃないでしょうか?

 

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【折れない腕の基本】1

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

合気道の基礎では、折れない腕という技術が非常に大切です。

折れない腕というのは、気の研究会の創始者・藤平光一師範が合気会の師範部長をされていたときに、気の威力を教えるために説いた技術です。

今回の記事では、この折れない腕について書いていきます。

その前に、この折れない腕を実現するのに最も大切な丹田についてのべてみましょう。


丹田とは?!

 

丹田は、仙道(仙術)で不老不死の薬である金丹を作る田んぼという意味で丹田と呼ばれています。

仙道では丹田には3つあり、額の中心にある上丹田、心臓の近くにある中丹田、臍の下にある下丹田です。

一般的に合気道において丹田という場合、下丹田をさします。

ただし、合気道の秘伝においては、中丹田の秘伝や上丹田の秘伝がありますがここでは述べません。

なお、合気道では金丹を作るということはしません。丹田は技で意識する大切な場所として使います。

 


折れない腕

 

合気道では、技を行う際によく丹田を意識するように言われます。

ところが、合気道修行者が、丹田を意識すると、手が出なくなったり、タイミングがずれたりすることが多いのではないかと思います。

それで、つい丹田を意識せずに動いているという合気道修行者の方がおおいのではないでしょうか。

丹田の使い方が分かるには、まずは折れない腕ができる必要があります。

臍下丹田を意識し、手をリラックスせて、相手に持たせ、指から気がほとばしるとイメージをすると、気が腕に流れ、腕が決して折ることができないぐらい強くなるというものです。


折れない腕の原理

 

 

ところが実際にこの折れない腕をやってみると、本人はイメージをしっかりしているものの、上手くいかない人がいます。

どうしてもできない人に、僕が折れない腕を指導するときは、まず片手で壁を軽く押す練習をしてもらいます。

その状態で後ろから背を押して曲がらないで耐える練習をすると、案外耐えられるということがわかります。

そう誘導すると、折れない腕の感覚が分かり、できるようになるものです。

実はイメージすることで、
丹田が意識し、腕に気が流れているという意識は、腕を無意識に体全体で押す状態、要するに腕で体を支えている状態を作っているわけです。

そうすると自然と下腹に力が入り、より明確に丹田が意識できる状態になっています。

*  *  *

 

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【目的は明確に!】

みなさん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、合気道の技を十年以上もやっていて、合気道は実際の護身には役に立たないとまで言い切っている人がいるというのをよく聞きます。

別にその人は勝手にそいうことを言えばいいと思いますが、合気道護身術を指導しているこちらとしては、あまり嬉しくない話です。

僕は合気道はこと護身に関してはどの武道よりも役に立つと断言できます。

それぐらい合気道には護身に関係する大切な要素が技の中に詰まっています。

その要素は、物理学はもちろん、生理学、心理学などで解析しても、学問的にも十分に納得できる技術です。

 


護身に使えないと主張する人の原因

 

ただ、使えないと言っている人は、多分十年以上やって、やはり使えないのだと思います。

合気道の稽古は、試合や組手はなく、形稽古だけを繰り返し行います。そのため、本人の心構えが技にそのまま反映されるのです。

ですから、護身を目的にやるのであれば、その心構えが必要です。

現代の合気道は、特に様々なニーズに応えるというオールマイティなところがありますが、逆に様々なニーズを抱えた人が集まるということは、それぞれ違った目的を持つわけです。

ということは、自分の相手が自分と違った目的で来ている可能性が高いといえます。

目的の違う者同士が集まると、果たしてすべての人の目的が達成できるものでしょうか?

 


目的は明確に

 

「ただ、無欲に、淡々と技をこなしているといつかある時突然達人になる」という人がいます。

ところが、自分がどこにいるかも知らない人間がただ一生懸命歩るきさえすれば、いつかは富士山の頂上に到着するっていうことがあるのでしょうか?

やはり富士山の頂上に登るには、そのための準備を行い、装備を整え、どういうルートを通ってどう行くかを調べて、どこまではどういう交通を使うかと、綿密に計画を立て、目的に向かわないといけません。

以前、塾教師をしたことがあります。高校一年の生徒に、早い内に行きたい学校を決めておかないとダメだよと話したことがあります。

その生徒が「日ごろコツコツと勉強しさえしていれば、成績が上がり、いざ行きたいという学校が決まれば、そこに入れるはず。だからまだ学校は決めません」と言った生徒がいました。

結局、その生徒は、大学の付属高校でしたからその大学に行きました。普通の成績をキープしておれば自動的に行ける大学です。

一方、関西では一流の内に入る大学に入りたいと言っていた彼よりも成績の悪い生徒がいましたが、無事その大学に受かりました。

彼らの勝因や敗因は、目的が明確だったか、あいまいだったかということです。

演武で人がオッと驚くような演武を見せたいのか?
健康法としてしたいのか?
武道としてしたいのか?
護身術としてしたいのか?

そこを明確にして、その目的に合った稽古する必要があります。そのためには目的に合った道場を選ぶべきです。

 

 

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【重いものを軽く使う科学】

みなさん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

生前、井口師範は、相手を投げるためには重いものを軽く扱えるようにならんとあかなん」と言われました。
そのために、「鉄杖をつかいなさい」と言われました。
今回は重いものを軽く扱う技術の基礎的なお話しをしたいと思います。


重いものを軽く扱う

 

合気道では、力を抜くということをよく言われますが、力を全く使わないということではありません。

当然、重いものを軽く扱うにも最低限支える筋力というのは必要になります。

重いものを軽く扱う場合、運動エネルギーを利用します。

そのために鉄杖で稽古します。

鉄杖だと、小手先だけの力では思うように動きません。重い鉄杖を強く突いたり、振り回したりするには、どうしても運動エネルギーを利用しないとできません。

しかし、現代人はあまり重いものを振ったり、突いたりということはしないので、具体的に運動エネルギーを利用するというのが分からない人が多いので、その方法を以下で説明します。


運動エネルギーを使う技法

 

今回は鉄杖を扱う最も基本的な扱い方だけを紹介していきましょう。

合気道で、運動エネルギーを扱う方法は4種類あり、それぞれに陽の技法と陰の技法があり、合計8種類あります。

当会では、4種類の方法を第一式~第四式と呼んでいます。

第一式では、前進・後退による運動エネルギーの伝達

第二式では、回転運動による運動エネルギーの伝達。

第三式は、上下運動により、位置エネルギーを運動エネルギーに変える方法。

第四式は、頭の重さを使った運動エネルギーの伝達

今回は第一式を使った感覚トレーニングをご紹介します。

 


第一式陽の技法

 

 

今回の記事では運動エネルギーの利用を体に身に付ける基礎トレーニングを説明しますので、攻防を考えた構えはしません。

まず、ダランと両腕が伸びるようにして鉄杖を持ちます。

その状態から、足を一歩踏み出します。その際、手はそのままの状態でただ鉄杖を運ぶ意識を持つだけです。

そして一歩踏み出したらすぐに後ろの足を前に少し進めます。これを継ぎ足といいます。

この継ぎ足をすると同時に鉄杖を前に出します。

これが陽の技法で、こうすると、手だけで鉄杖を突きだしたときに比べると非常に軽く突き出せるはずです。


第一式陰の技法

 

まず、ダランと両腕が伸びるようにして鉄杖を持ちます。

次に、その場で、腰を後ろに引きつつ、鉄杖を前に出します。

タイミングが合えば、殆ど力を使っていないのに鉄杖がスパッと前に出ます。

以上が陰のやり方です。見た目、そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、鉄杖でやってみると「なるほど、目からウロコ」と思われるはずです。

 

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【合気道の師匠の杖とは?!】

みなさん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

このところステンレス杖の話題を続けていましたところ、読者で「井口師範の杖ってどんなもの?」と思われた方が何人かいらっしゃるようなので、今日は井口師範の杖についてお話ししたいと思います。

 


他と違う杖

和歌山在住の合気道のある師範が井口師範のことを批判していました。
「井口さんは、あまり武器を知らないです。あの人は杖(じょう)をまともに学んだことがありませんね。杖の使い方の基本がなっていませんでしたよ」

全くその通りです。井口師範は、翁先生以外に杖は学んでいないからです。ですから一般の杖道とはことなります。たぶんその師範は神道夢想流の杖道を学ばれたのだと思います。

杖道では神道夢想流がスタンダードですから、それからすると、井口師範の杖は亜流かもしれません。

以前、僕は杖の扱いを学びたく、神道夢想流のセミナーに参加したことがありますが、まったく違うモノと感じました。

ただ、神道夢想流は非常に体系化されていて、杖の技術を指導しやすくされていると感じました。

一方、井口師範のご指導は、天才肌だけあり、非常に感覚的で、思いついたことを稽古させるというような稽古方法でした。

 


剛と柔

 

 

技術的に見てみますと、井口師範の杖は、剛と柔の両方を併せ持っていて、時には剛、時には柔といった使い方をされていました。。

剛が出たときは、持った杖が一瞬で弾き飛ばされるぐらいの衝撃を感じました。

また柔が出たときは、こちらの攻撃があれよあれよと思う間に往なされ、気が付けば井口師範が目の前にいて、杖が突きつけられているという状況でした。

非常に不可解で、まるで空気を相手にしているかのようで、とらえどころがなく、気が付くと不利な位置に追いやられているという感じした。

「柳に風」「暖簾に腕押し」という言葉がピッタリとくる感じでした。

 


杖の技術体系として

 

井口師範の杖の技術体系といえるものは、当初は全くありませんでした。「自然と頭に浮かんだ技が本物」という理由で、その場その場違った技をお示しになりました。

ところが、私が余りにもダメダメなので、井口師範が当初4種類の形を決めて、それを稽古させてくださいました。

そのため、実際僕が教わった杖の技術はそんなに多くありません。

基礎的な動きとしてのの杖の稽古方法は、2つに分けられます。

一つは、一人稽古法で、一人稽古は鉄杖を使ってするようにとおっしゃられ、杖の回し方数種類、突き方や打ち方など数種類です。

もう一つは、対人稽古としては、杖の形として簡単な形を数種類程度だけ教わりました。

それにプラスして、合気道の形としての杖とりの技術です。所謂、四方投げの応用や二教の応用、呼吸投げの応用です。

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ステンレス杖

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

昨日も記事に書きましたが、注文していたステンレス杖がとどきました。何か新しいものが届くとワクワクするものです。

今回はステンレス杖の使用感や目的など書いてみようと思います。

 


ステンレス杖(じょう)の使用感

 

昨日ステンレスの杖が届いた杖ですが、長さ128センチ、直径2.5センチで、ほぼ一般に入手できる木の杖と同じ寸法です。ただし重量は5キロあります。

5キロというとかなり軽いように思われますが、初めての人にとっては、振り回すと分かりますがかなりキツイです。

私の師である井口師範は「合気道は鉄杖を振って体を鍛える。翁先生も鉄杖で体を鍛えられていて、昔は鉄杖を常に持って出かけられたと言っておられた」と言われていました。

それぐらい鉄杖は合気道の身体作りには大切ということです。今までは、僕は約3キロの鉄の棒を使っていたのですが5キロだとかなり重量感があり、やったあと鍛えた感が半端なくあります。

さらに、通常の鉄杖だとエッジがむき出しになっているので、ケガに対して非常に危険感を感じました。

僕が初めて鉄杖を持ったとき、かなりの恐怖を感じ、鉄板が入っている安全靴を履いて稽古したものでした。

しかし、両端にゴムがかぶせられているためか、素足で振り回しても何故か安心感があり、鉄杖を振っていたころに比べそれほど恐怖が感じられませんでした。

本当に購入してよかったと思いました。

 


ステンレス杖が大好評

 

昨日の技の研究会での稽古に参加者は、ステンレス杖に興味津々の様子でした。

当初ステンレス杖に興味がなかった人までが、実際に手に持つと急に欲しくなったのか、あるいは注文したつもりだったのか、人数を確認して注文したはずの杖が一瞬でなくなってしまいました。

今回来ていない人の分がたりません。

しかも、人数だけ調べたので、誰が注文していなかったのかかわからず、また、再度注文する必要がでてきました。

確かに、この杖を見ると僕でもすぐに欲しくなったと思います。

千円やそこらのものではありませんので、少し金額的に高いものですので、別に今は無くてもいいかと思った人も、急にほしくなったようで、思った以上に非常に大好評でした。


鉄杖の使い方の指導

 

今回の稽古に参加している会員の様子を見ていると会員全員がステンレス杖に興味津々でいろいろと振ったり、突いたり試したりしている状況でした。

それで、ステンレス杖に興味が向かっているこの状況で、別の稽古をしても身に入らないだろうと考え、急きょ鉄杖の使い方の指導をいたしました。

井口師範によると、鉄杖は腕力強化に使う目的ではなく、重いものを軽く扱える身体を養成するのが大きな目的ということです。

そのためには、重いものを軽く使う技術を指導する必要がありますのでその方法を説明しました。

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【鉄の杖(じょう)】

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

今日は杖(じょう)の話です。

杖とは合気道で用いる武器の一種で、樫の木の直径2.4~3センチぐらいの長さ128センチの丸棒です。

空手の棒術などでは180センチぐらいの棒を用いますが、合気道では、少し短い棒を用います。


開祖は日ごろは鉄の杖で鍛錬

 

合気道開祖・植芝盛平翁先生も鉄の杖を振って鍛錬をされていたと師匠である井口師範から聞いています。

ですから鉄の杖で鍛えるというのは翁先生直伝の鍛錬方法といえます。

実は、師匠は、翁先生の直弟子で、翁先生よりいただいた鉄杖を大切に持っておられました。

「井口や、爺はお前がよく鍛錬しているしってるさかい、儂の日ごろ使ってる鉄の杖をお前にやる」と言って与えて下さったそうです。

井口師範は、翁先生が日ごろずっと鍛錬してきたその杖を頂き、大層喜んだそうです。

そして、その鉄の杖を翁先生がそばにいると思ってことのほか大切に扱っておられたということです。

 


翁先生の鉄杖のその後

 

蛇足ではありますが、翁先生が使われていた鉄の杖ですが、マニアにすると価値が付けられないほどのものと思います。

合気道が盛んなフランスではかなりの金額でほしいという人がいるでしょう。

井口師範が亡くなった後、あの杖は?と思われている読者の方もいらっしゃると思います。

実は現在、行方不明になっています。というか、ある経緯でなくなってしまいました。

この事情については、僕が井口師範の元で合気道をするより前のことで、井口師範がお酒を飲みながら話されたことを、僕の記憶をたどってのお話しということになります。

和歌山県で合気道の大会が開かれたとき、和歌山の合気道連盟の方から翁先生の由来の品を展示したいので貸してほしいと依頼が井口師範のところにきました。

師匠にとっては、命の次ぐらいに大切なものだったので、一旦は断ったそうですが、県会議員だったかを通じて貸し出しの依頼があり、断り切れずに仕方なしに翁先生直筆の書などと共に大事な鉄杖を貸し出しました。

あれ程、堅く和歌山県合気道連盟が責任をもって管理すると約束しておきながら、大会が終わり、紛失したという報告が井口師範に届いたそうです。

「あまりにも無責任」との一言だけで、その後、事務局の対応に関してのお話しまでは師匠から聞いていません。

しかし、十分な管理を怠った事務局側の完全な過失であることは間違いありません。結局、井口師範の元には翁先生由来鉄杖は帰ってこなかったということです。

 

 


サビない金属杖

 

僕はよく師匠である井口師範によく言われました
「合気道の動きを理解するためには鉄の杖をふりなさい」

実は、当会が指導している陰の動きや陽の動きの鍛錬には鉄の杖が欠かせません。

ただ、なかなか手に入りにくいので、会員に話すと、手に入れてほしいと言われるので、今までは遠回しに、重い杖を振るといい稽古になるとしか話ませんでした。

ところが、実際はかなり以前からあっちこっち探していたのです。それでようやく、かなり格安で金属の杖が手にはいるルートを見つけることができました。

しかも、材質がステンレス製で、かなり格安です。ステンレス製で1万円未満とだけいっておきます。以前、鉄杖をネットでさがしたら1万2千円はしたおぼえがあります。

昔、鉄製の棒を手に入れ、振り回していましたが、表面処理を施していないとすぐに赤さびが発生し、稽古すると手がまっ茶色汚れてしまう上、サビが邪魔でなかなか稽古ができませんでした。

それに比べるとサビないステンレスというのは本当に理想的です。

ですから、中々会員さんに薦めるものがなかったのですが、今回ルートができたので、欲しい人の分を注文しました。

皆さん、家でもかなり稽古をしているようなので、今後はこれを手にして、相当な力が身に付くと思います。私も負けておられません。

 

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【弟子の護身体験】

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

さて、今日は私の弟子Mさんの体験をシェアしたいと思います。

その対処の仕方が、読者の護身の参考になると思いますので、詳しく紹介したいと思います。

 


夜の公園

夜の公園は人が少なく、邪魔する子供たちもなく、専念できるので、武道の稽古するには非常に都合がいい。

その日も仕事を終え帰宅したMは武道の稽古をするために、自宅近くの公園に出向きました。

今回の目的は懸垂でした。ところが、鉄棒の近くには人がいて、その場がそういう空気ではなかったので、どうしようか悩んでいました。

やはり、出がけに懸垂をするつもりで気合いを入れてせっかくやってきたので、やはりやりたいという気持ちを抑えきれず、鉄棒をジーっと見ていました。

すると突然、視界の外から「なに見とんじゃコラ!!」と大きな声がしました。

声の方を向くと、いかにもガラの悪そうな2人組の男が近づいてくるではありませんか。
「なあ、おとなしく持っとる金を全部だせや」
「私はお金を持たずに公園に運動に来たので持っていません」
「何いうとるや。こいつはヤクザやってるんや。お前、なめとったらただじゃすまんぞ」
「恐喝ですか? 警察呼びますよ」
「警察? 上等や、読んでみい。警察なんかちっとも怖い事ないんじゃ」
「そうですか。じゃあ呼びますね」
Mはポケットにいれていたスマホを取りだし110番しました。

 


護身術の3つ基本

 

Mは電話で警察と話しつつも、2人組を視界に入れ、護身術の3つの基本の実行は忘れませんでした。

一つは、相手との間合いを2m以上保つこと。間合いというのは相手との距離だ。護身術では2m未満を危険距離としている。

この危険距離内では、何らかの攻撃的アプローチが必要になりますので、危険距離内は出来る限り避ける必要があります。

二つ目は、相手と目を合わさないことで、所属護身術道場では「人形の目」と呼ぶ特殊な目をすること。目の使い方を護身術では目付と呼び、相手はこちらの考えが読めず迂闊に近づきません。

(専門的な目の使い方についてご興味があれば拙著「力の弱い人でもできる唯一の護身術」参照)

 

三つ目は、相手の目をいつでも突ける準備をすることです。

これは相手の無意識操作です。人間は不思議なもので、目の前の相手が危険な行為を行うおうと思うと何となく伝わるものです。その結果、無意識に相手は近づくの避ける行動をします。

以上が、Mが実行した基本注意点です。

 

スマホの110番は場所が特定できる

 

 

ここまで、Mは護身の基本をまもり、冷静に対応しています。

しかし、緊急事態ゆえ、相手の動きを意識する必要があるため、電話に集中はできず、自分のいる公園の名前がすぐにでてきませんでした。

ところが、110番通報のスマホでは瞬間にGPS機能で所在地を特定し場所の確認後、警官を向かわせてくれることになりました。

警官到着まで、実質は電話してから10分ほどだったそうですが、10分というのは短いようで非常に長い。

もし相手が暴力行為に出た場合、10分は非常に危険な時間です。ストリートファイト(町中の喧嘩)では最初の6秒で相手を仕留めないといけないといわれています。

かなり時間が経過したと感じた頃、ようやく警察官が8人かけつけ、2人を逮捕しました。

逮捕の際、一人がかなり抵抗したため、取り押さえられ、手足を拘束されて、連行されていったということです。

*  *  *

 

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【通り魔事件で思う】

皆さん、お元気ですが? 僕は相変わらず元気です!

ところで、昨日5月28日朝、川崎市で児童らが刃物を持った男に襲撃された事件で、小学6年生の女児と39歳の男性が殺されるという痛ましい事件が起こりました。

小学6年生の親御さん、39歳の男性の家族の方、心中察しするも余りあります。お亡くなりになった人のご冥福をお祈りいたします。

犯人が死んだとはいえ、あまりにも身勝手な犯行、本当に腹立たしい限りです


護身について無口なマスコミ

 

 

最近、何かこういう身勝手な人間が引き起こす事故が最近増えています。

昨年の2018年6月には、新幹線の中での通り魔事件がおこり、被害に遭いそうな女性を助けようとして梅田さんという享年38歳の東大大学院卒業の男性が犠牲者となりました。

僕は、非常に残念い思うのは、このような事件が起こっても、護身に関して殆どマスメディアは無口になるということです。

マスコミでももっと素人でもできる護身術に関する情報を流すべきではないかと思います。


事件を防ぐのは難しい

 

このような事件が起こるたびに、マスコミでは、学校の管理体制とか責任の所在をどこかに指摘することが多いと思います。

でも、責任を押し付けたところで、実際にこのような事件を完全に防ぐというのは不可能に近いのではないでしょうか。

確かに責任をどこかに押し付けて、話をそれで終えるのは簡単です。

責任を押し付けても、このような身勝手な社会的弱者を狙う犯行は完全に防ぐことなどできません。

しかし、こういう事件が起こったとき、すぐに反応できるよう日頃から感覚の感度をあげておくと、犠牲になる恐れはかなり軽減できるのではないでしょうか。

やはり弱い立場の人こそ日ごろから護身についてもっと考える必要があると思います。

 


日本の安全神話崩壊

 

和歌山県だけかもしれませんが、僕が護身術を教えているという話をすると、「そんなこと何の役に立つの?」と言われるケースがかなり多いです。

それぐらい「私だけは大丈夫!」という気持ちが日本(和歌山?)では多いようです。

しかし、こういう事件のニュースが入るたびに、果たしてどうなんだろうと考えていただきたいと思います。

秋葉の通り魔殺人事件から、身勝手な犯行による凶悪事件がふえているのを考えると、もはや日本の安全神話は崩壊しているのじゃないでしょうか。

僕は、何もしていないのに理不尽な暴力を受け合気道を志しました。それから空手や中国拳法、ジークンドーなどを稽古しました。

理不尽な暴力は誰も誰も留めてくれません。結局自分の身は自分が守らないといけません。

誰も助けに来ないから世間は冷たいって言っていても、被害を受けるのは自分自身です。

このような身勝手な人間の犯罪のニュースが入るたびに憤りを感じます。もっともっと頑張って護身の知識を世間に広め、危機管理の警鐘を鳴らしていかなければと感じています。

 

 

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