「当会の技術について」カテゴリーアーカイブ

【合気道の科学 集中力を鍛える1】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

武道やスポーツなど、身体活動を伴ったもので、とてつもない「集中」ができたら、素敵だと思いませんか?

今回は私が井口師範に教わった集中法について話したいと思います。今回は集中の種類と武道での集中とはどんなものかを述べます。

僕は、片目が見えないハンディがありますが、武道で、この集中で助かっていることが良くあります。僕は、片目が見えない上、物心ついたころからかなりの運動オンチでしたが、それでも、合気道の井口師範に教わった集中法のおかげで、空手家、拳法家、プロボクサーなどの人とスパーリングで十分渡り合えました。普通はこれだけハンディがあると不可能なことだと思います。

僕は、時にはとてつもない集中力を発揮し、ジークンドーのスパーリングのときに、空手の大会で常に上位をとっている空手の高段者を吹っ飛ばしたこともあります。ジークンドーは今は仕事の関係で中断して5年になりますが、僕の所属していたジークンドーの道場で今なお伝説的に語られているそうです。

そこで、まず集中の種類について説明します。まず、集中には2つあるということをご存知でしょうか?

一つは一点集中、もう一つは広い集中です。

一点集中は、一つのことに集中すると周りが見えなくなる。そのような集中です。テレビやゲームに集中すると周りが見えなくなり、普通に声をかけてぐらいでは聞えもしないし、軽く叩いても気づかないようなことが一度や二度はありますよね。

もう一つの広い集中というのは、周りの様子がよく見えて、それでいて、自分が極度に集中していると感じる集中です。

この集中は、武道やスポーツなど身体活動を伴う場合に起こる集中です。この集中が深いと、ゾーンと呼ばれる状態になります。

僕たち武道をしているものはこの、集中を行う必要があります。
そして、井口師範の指導する合気道では、この集中するためのメソッドが用意されています。

次回はそのメソッドに少し触れてみたいと思います。

 

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【合気道 腹を鍛える】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

この前の稽古で、先日からブログで紹介していた、腹圧を高める記事の話をしたところ、腹圧を高めるとどういうことができるかという話題になりました。

実は、腹圧を高めると、腹筋に力を入れるよりもパンチの強度が強くなります。そして、日々、腹圧を上げて、自分のお腹を叩くようにしていると案外鳩尾(みぞおち)を叩いても何ともないようになってくるものです。

古参の弟子のMさんが腹圧を使って、自分の鳩尾(みぞおち)を叩いているのを見るとかなり強く叩いているにも関わらず、平気な顔をしています。

それでMさんに、腹圧の訓練を毎日みっちりやっているのかと聞いたところ、腹圧の訓練は殆どやっていないと答えました。

彼が日ごろやっているのは、呼吸力の鍛錬として、壁を押すことを気が付けばやっているということでした。そして、壁を押す際に丹田を意識して、丹田から押すように意識しているとのこと。それで腹圧が自然と高まっているようです。

壁押しのやり方は、半身(左右の足を前後に開いた形で、右足が前なら右半身、左が前なら左半身と呼びます)になって、壁に両手をついて、足をしっかりさせて、地面から足先を通じて両手に力を送るような感じでします。

左半身になっている場合は、右足が後ろにあるので、地面からの力は右足から登って、腹圧の中心丹田に集まり、丹田の圧力が肩全体をサポートし、腕を押すというようなイメージで壁を押します。

このときの注意点は飽くまでも手に力を入れようとしないことで、支えるという意識が必要です。そうすると地面から手まで一つの力で統合した一体感というのが生まれます。

ですから、支えている手に力感覚があるのは間違いです。こういう訓練をしていると、腕立て伏せのできない女性でも、気が付けば腕立て伏せを10回は軽くこなせるようになっています。

以上が一人でできる呼吸力鍛錬法です。当然、意識は下丹田に置く必要があります。

当会の腕立て伏せができなかった女性会員はあるとき、ふと腕立て伏せをやってみると20回できたと言っていました。ただし、この女性の呼吸力は半端ないです。男性を簡単に押し返すことができます。

合気道をしていない人も、簡単にできる力の出し方なので、掴まれて倒されそうになったとき、相手が強い男性でも、十分に対抗できるようになりますので、稽古してほしいと思います。

また、腹圧は腰痛予防にも非常に効果があります。また、健康・美容・スポーツなどで腹圧が非常に大切と最近よく聞くことが多くなってきていると思います。

腹圧を高めることで、体の軸が安定し、無理のない姿勢を保てるようになるとスタンフォード大学のトップアスリートが実践しているそうです。しかも、自律神経の働きも整い、疲労予防にもなります。またホルモンバランスの崩れがちな40歳代以上の女性にも効果があるそうです。

壁を押す際に、逆式呼吸入れて押すとなお腹圧を増すことができるでしょう。簡単なエクササイズですから是非壁押しを皆さんもやってみたらどうでしょうか?

 

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【合気道の極意 螺旋(らせん)と太極図】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

今回は合気道の螺旋形について話しします。

井口師範は、「合気道の極意は、気の流れ、呼吸力、螺旋形」と生前、よく言われました。

合気道の教則本では、螺旋形という言葉はあまり出てきません。どちらかという円転の理という言葉を言うことが多いです。

井口師範は「円転の理」ということを言われた記憶は私にはありません。「合気道の技は、三角、丸、四角」とはよく言われましたが、「丸と言っても、円じゃダメだ、円はその場で移動しない。合気道の動きは転々と流転していく円であり、螺旋形」と言われました。

また、「合気道は陰陽の妙技」ともいわれました。中国でよく使われる、太極図あるいは陰陽図というのがありますが、それです。

一つの動作に陰と陽があり、その合成が技です。

「月も満つれば欠くる。物事、陰と陽が繰り返される」「天地投げは陰と陽の組み合わせを学ぶもの、天地投げが分かれば他の技も変わる」とおっしゃいました。

要するに、合気道の技の重要なポイントで、陰陽を使った螺旋がとても大切ということでした。

かなり抽象的な話がつづきましたが、そこで少し具体的な説明にしますと、陰と陽というのは相手をある軸で回転させる例えです。

天地投げという技があります。左右の手を取られたときに相手のバランスを奪い倒す技です。そしてその秘訣は、右手と左手のバランスであり、相手にある軸を意識して相手を回転させる技なのです。

ところがその回転というのが余りにも小さいため、つい見逃してしまいます。それで、「上の手が大事!」とか「下の手で相手を引き倒す!」とか説明されることがよくありますが、その前に左右のバランスを崩します。

特に左右の引用のバランスを使って、相手に小さな回転を与えます。そうすれば簡単に相手は倒れます。イメージとしては次の図のようになります。

天地投げは実際は前に進む動きもあるので、簡単に図のように右を押して、左を引くというような形ではありませんが、イメージとしては、自分を中心に相手を陰陽のバランスで崩すということです。

このように、左右のバランスなど、陰陽を使って相手を崩すのが、円転の理であり、螺旋形の理です。

両手で行う技の場合、この螺旋形というのは、二重螺旋で行い、その際は左右2つの陰陽のバランスが大切です。

合気道の円転の理は、太極図に相当するということです。ただし、この太極図は、自分が陽で相手が陰という場合もあります。非常に応用範囲が広いのです。

は相手のバランスを崩す円転の理は太極図であるとうことを忘れないでください。

 

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【合気道 合わせるとは?!】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

今回は合気道の道場でよく指導される「合わせる」ということについて話したいと思います。

特に、今日は合気道を護身術として使う場合、「合わせる」ということについて日ごろの稽古での取り組み方をご提案したいと思います。

昔、井口師範の弟子になる前の合気道の道場で、よく上の人に「合わせないとダメ」ということをよくいわれました。

合気道は相手の気に合わせる武道だから、相手の技に合わせないといけないということです。

かなり抽象的な言葉なので、つい分かった気になってしまいます。

そこで多くの人は、技を掛けやすい人や自分の気の合った人といつもペアを組みたがっていました。

それは、現在でも合気道をしている人に聞くと皆そのようにしているそうです。

それで、たまに初めての人が入ってくると、どうしても教えたくないと考える人が多いと聞きます。

当人たちは口では「教えるのはまだまだだから」と言っているそうですが、実は、下手な人と組みたくないだけだとか。

こういったことをお話しすると、「それ、ダメじゃん!」っていいたくなりますね。

そうなんです。受けの上手な人と日ごろ稽古すると、上手に受けを取ってくれる人を選びます。

でも、上手に受けを取るということは、自分の技が全くなってないという裏返しでもあります。

ですから「合わせやすい人と合わせる」のでは武道として役に立ちません。合気道で武道というといろいろな考え方がありますから、言い方をかえると護身術としては役に立ちません。

何故なら、暴漢は、こっちの技に合わせて、わざわざ理由もなく倒れてくれないからです。

護身術として技を磨きたいのであれば、「やりにくい人にどう合わせるか」という問題に正面から当たらないといけないですね。

そうすると、「合わせる」という点について、いろいろとわかってくることが沢山あると思います。

そうすると「合わせる」といってもいろいろとあることが分かります。
〇相手の動きに合わせる
〇相手の力の方向に合わせる
〇相手の意識に合わせる
〇相手の身体構造上で力が流れる方向に合わせる
〇タイミングを合わせる

あなたは技で一体相手の何に合わせていますか?

 

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【イチロー引退と年齢の壁】

アトル・マリナーズのイチロー選手が、3月21日、東京ドームで行われたオークランド・アスレチックスとの開幕第2戦後に現役引退しました。

イチロー選手は、例えば30歳を超えてなお足が速くなったりと、アスリートの常識をたくさん塗り替えてきました。

そんなイチロー選手もついに引退することになりました。

イチロー選手は「最低50歳現役」を目標に頑張ってきましたが、44歳での引退は本人にとっても非常に残念なことだったでしょう。

やっぱり、人間の身体には年齢という限界があります。一方、武道の達人は、高齢になっても強さを持っていたと言われています。

一流選手の引退の話を聞くたびに、達人と言われる人たちは実際にどうだったのだろうと思われます。

私の個人的見解からすると、達人は本当に強かったと思います。その理由は、技を表に出していないという点にあったのではないかと思います。

要するに自分の技術を秘伝という神秘のベールに包んでいて、表にその技術が流出していなかったからだと考えています。

秘伝というのは、相手が知らないから有効なのです。

例え、達人であっても、ルールありの公開の試合に臨んでいたら、映像が撮られ、技の対策がされ、結局年齢の壁にぶち当たっていただろうと思います。

科学技術が発達した現在、あらゆる角度で相手の技を研究することができます。相手の知らない技術を使っていても、一度見せただけで、世間にその技術が知られてしまいます。

イチローの引退を期に、当会も秘伝についての取り扱いを少し検討する必要があると考えさせられました。

それはともかくとして、そのような中、様々な記録を打ち立ててきたイチロー選手は本当にすばらしいと思います。その凄さはまさに武道の達人クラスだと思います。

引退してもなお、身体は超一流であるのは間違いありません。ただ、その身体はもはやMLでは活躍できないレベルであるというのが事実なんでしょう。

超一流の身体でも年齢の壁があるということです。

イチローの今後の動向も気になりますが、どういう方向性で動くかわかりませんが、選手を引退した後の今後の活躍にも注目したいと思います。

さまざまな夢を実現してきたイチローに、ありがとうと感謝の気持ちを送りたいと思います。

 

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【合気道の科学 呼吸法の本質】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

今回は座り技呼吸法(呼吸力養成法)のまとめをしたいと思います。

先ず、三角筋を使ったやり方ですが、これは次のモデルで表すことができます。板バネについた腕で相手を押すモデルです。

実際は、板バネに当たるのが三角筋と背中の筋肉(脊柱起立筋群)です。板バネの強度では、相手を押すことができないというモデルです。

次に、相手の力を方で受けるモデルです。これは背骨の腰部をヒンジとして、腹筋で体を引っ張る構造です。ヒンジ部である背骨の強度と腹筋部の強度で、三角筋モデルに比べると、力は十倍以上は強く出せるはずです。

この身体の使い方だと相手が男性でも、相手が板バネを使っているのであれば十分勝てます。

しかし、相手が腹筋モデルを使っている場合はどうでしょうか? 男性対女性であれば明らかに女性の方が不利になります。

ところが、腹圧を使った場合だと、力をすべて腹圧で吸収し、その力を地面に押し流してしまいます。腹筋を使ったモデルよりさらに有利になります。

以上より、腹圧モデルで行う方がかなり有利であるということです。ただし、腹圧モデルの場合、日ごろから腹圧を使える稽古をしておく必要がありますので、一朝一夕で使えるものではありません。

ということは、日ごろより稽古をしている人の方が有利ということになります。

呼吸力鍛錬法で見た目で真似できるレベルというのは、腹筋モデルまでなので、合気道修行者は、腹圧モデルで呼吸力鍛錬法をできるようになっておく必要があります。

以上が、呼吸力鍛錬法の正しいやり方です。呼吸力鍛錬法は、本来は腹圧モデルで行うということが分かっていただけたのではないでしょうか。

また、丹田を意識する理由もこれで理解できたのではないでしょうか。

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【合気道の科学 腹圧のつくり方】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

前回は、呼吸力を出す際に息はどうすべきか?という問題についてお話ししました。
そして、息は気にしないが、腹圧が大切といいましたね。井口合気道では、腹圧を使えるのも合気道の身体であるということでした。

それで、今回、井口合気道において腹圧を使える身体を作る方法をお話ししたいと思います。結論からいいますと、井口合気道では逆式呼吸をつかいます。

逆式呼吸というのは、息を吐くときに腹を膨らませ、息を吸うときに腹をへこませる呼吸法です。この呼吸法は中国武術など打撃系の武道でよく使われる呼吸法で、パンチ力を極度にあげるといわれています。

合気道では、腹圧で呼吸力を支えるというように使いますので、相手を破壊するのが目的ではないですが、腹圧を使うと大きな力が出せるという例として中国拳法をあげたわけです。

ではステップごとに逆式呼吸の稽古法をお話しします。

【ステップ1】
①ゆっくり息を吸いながらお腹をへこませます
②ゆっくり息を吐きながらお腹を膨らませます。

【ステップ2】
逆式呼吸ができるようになると、次に、丹田に意識を持って行く稽古をします。丹田とはお臍(へそ)から下へ3寸(漢方では、人差し指以下4指をそろえた幅分を3寸とします)の位置にあります。

そこで、丹田を意識して呼吸を行います。
①ゆっくり息を吸いながらお腹をへこませます
②ゆっくり息を吐きながらお腹を膨らませます。

尚、丹田に意識を向けるため、骨盤を後傾するとやりやすいでしょう。骨盤の後傾は(腰を反らず、尻を引き締め、尾てい骨を前に引き、若干性器を前に押し出すようにする)とやりやすいでしょう。(詳細は合気道の姿勢をご参照ください)

【ステップ3】
丹田中心に腹が膨らむようになたら、ほぼ逆式呼吸は完成です。次に強化法に移ります。

①逆式呼吸で息を吐きながら、お腹を拳骨の小指側で叩きます。
②慣れるにしがたい強くお腹を叩くようにします。

この稽古をすると腹筋で腹を鍛えるよりも、打撃に対してかなり強くなります。なれると、鳩尾(みぞおち)を叩く稽古もしてください。かなりの衝撃に耐えられるようになります。

以上が井口流合気道の逆式呼吸での鍛錬方法です。

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【合気道の科学 呼吸力と呼吸の関係】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

さて、前回は合気道独自の力の出し方呼吸力について最も大切な点をお話ししました。

それは体の構造を適切に使うということと説明しました。今回は、呼吸力と呼吸の関係について述べてみたいと思います。

以前から、呼吸力というのは、息を吸ったり吐いたりすることとはあまり関係がないとのべました。しかし、ある意味においてはそういった呼吸と関連しているのも事実なので、今回はその話をします。

というのは「合気道は肚(はら)で技を行う」ということがよく言われますが、この肚といのは、実は呼吸する筋肉と非常に関係があるのです。

そういう話をすると、よく「呼吸力を出しているとき、息はどうすればいいか?」ということを聞かれます。

一部の合気道の師範の方で座り技呼吸力鍛錬法(いわゆる、座り技呼吸法、以下では呼吸のやり方の呼吸法と区別するため、古い合気道での呼び方、呼吸力鍛錬法と記します)をするとき、息を「は~っ」と吐けと指導する人がいると聞いたことがあります。

これは、中国拳法などでは「哈(はー)」という気合いとともに拳を打ち出すシーンをよく見かけますが、こういった影響だと思います。

あまり合気道の達人で呼吸について言っている人が少ないですが、達人である養神館の塩田剛三氏は
「ある一つの技をかける場合を考えてみますと、技をかける前に息を吸い、技をかける時は息を止め、かけ終って息を吐く というのが典型的パターンでしょう。
・・・真に力を一点に集中しようとすれば、息を止めて、それだけの動作にしぼるわけ です。しかし、息を止める時間が長いと、その間体内の酸素の欠乏度が高まり、 ・・・これが疲労に通じるわけです。
息を 止める時間は短ければ短いほどいいので、合気道の技は一瞬にして決める、というのも、そこにあるわけです。(合気道人生/竹内書店新社より)」
と言われています。

では、中国拳法と塩田剛三氏ではどちらが正しいのかと考えた方もいるのではないでしょうか。

結論から言いますと、どちらも正しいのです。ただ打撃のような瞬間的に力を伝えたいときは、中国拳法の呼吸法がかなり有効です。ただし、中国拳法で、浸透勁などの特殊な打ち方をする場合、用途に応じて塩田師のような呼吸法を行う場合もあります。

本質は、「腹圧を活かしているかどうか」という点です。

だからただ単に息を吐けとかいう指導は間違っています。ただし、息を吐く際に、腹圧を意識するように指導しているのならそれは正しいといえます。

井口師範は、呼吸力を出す際の呼吸については、「自然に!」とおっしゃいました。「吸おうとか? 吐こうとか? 考えたら不自然」ということです。

とはいっても、腹圧のつくり方は井口師範から学びました。「合気道の身体を作るのは、自然とか不自然とか考えていてはできない。身に付く前の稽古で自然にできる訳がない。体に身に付くまでは丁寧に意識しないといかん。身についてからはあれこれ考えない。それが大切」とのことでした。

次回は、腹圧のつくり方について述べたいと思います。

 

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【合気道の科学 肩に力が入らないために】

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さて、前回は呼吸力を出すのに三角筋を使うな!という話しをしました。ところが、それが分かっていても知らない間に三角筋を使ってしまう。そんな悩みを抱えている人のために、対策を伝授しましょう。

これさえ押さえれば、合気道の人がわざわざ他の技術を学びに行く必要もないと思います。

実際は秘伝もありますが、秘伝に触れなくても原理が分かれば呼吸力は使えるようになります。

先ず、まずい例と良い例で、何が違うかを比較するため、壁を押す場合の力の使い方を考えてみましょう。

下の図を見てください。壁を押す際の絵を描いていますが、普通は左図のように壁を押す人はいません。

誰でも右図のようにします。ところが、呼吸法(呼吸力養成法)をするとどうしても左図のようなやり方をする人が多くなります。

左図の問題点は、押そうと思った時点でまず三角筋に力が入ったため、左図のような形になってしまう訳です。

すると背中の筋肉(脊柱起立筋群)が緊張します。そしてその緊張した背中の筋肉(主に脊柱起立筋)で壁から帰ってくる反作用の力を支えます。

これでは弱い力しかでません。

ちなみに、脊柱起立筋群が緊張すると、体全体が金縛りのようになり、自由な動きができなくなります。

一方、右図は、押した際に反作用で帰ってくる力を腕を肩全体で受けるような形で、肩全体の筋肉が腕を支えます。

そして腹筋に力が入ることで、前方に力が入ります。そして壁を押す際に、脊柱起立筋は不要な緊張がないため、体に自由度がでます。技としてはコチラの方がよっぽど優れているというのがわかります。

ちなみに、呼吸力は腹筋の力ではなく、腹圧を使います。

さて、何故、三角筋を使ってしまうのか?という点です。

それは気持ちの上で受けに回っているためです。「持たれたら? どう返そうか?」という発想が問題です。

武道では先を取ることを考える必要があります。合気道の場合は、先よりもっと発達した勝速日という考えがありますが、それは上達してからの話ですね。

それはともかくとして、先を取るというのは「相手に持たせる」という能動的な姿勢が必要です。

具体的には相手に持たせるということは、「相手が手を出す前に自分が、相手が持ちやすくなるよう手を出す」ということにほかなりません。

何故、持たれてからだとだめかというと、相手が先だと、上から下に抑えられているからです。上から下に抑えられると、自然と三角筋で対抗しようとしてしまいます。これが問題です。

ですから、呼吸法(呼吸力養成法)では、肩全体で前からの大きな力がきてもそれを受けるつもりで、相手に手を持たせにいきます。

これがいわゆる気が出た体ということです。それだけで相手の力に十分対抗できるようになります。

このように、体は心が積極的になると使い方が変わるということ、心身統一ということです。

合気道で心身統一するには、自分の中だけで心身統一するのじゃありません。相手がある場合は、相手との関係生も非常に大切です。

相手より積極的になって初めて気が出て、心身統一できるのです。

相手と一体になるということです。

 

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【合気道の科学 呼吸力は肩(三角筋)を使うな】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!

さて、今日は合気道でよく使われる呼吸力についてヒントを出したいと思います。

なお、呼吸力というのは開祖・植芝盛平翁先生が合気道独自の力の使い方を示した言葉です。

ただし、開祖の弟子によって捉え方がかなり違っているので、当会でいう呼吸力は井口師範から教わった呼吸力について話したいと思います。

当会でいう呼吸力はかなり物理的に影響力のある力です。僕は、呼吸力は、骨格の構造上最も強い状態にし、その動作に利用できる最大限の筋肉を総動員したときにでる身体を統一したときに出せる最大限の力と考えています。

そういう立場から考えると、人体の骨格の構造上どうすれば効率的に相手に力を伝えるかという考えが出てきます。

ところで、一般に呼吸力を出すには肩の力を抜けと教えます。これに関しては殆どの合気道家で共通しているようです。

 

この肩の力を抜くということですが、具体的に肩のどの筋肉の力を抜くかはあまり教えていただけないのではないでしょうか?

肩の力が入るというのは、具体的に三角筋という筋肉に力が入るといけないのです。下図の赤い部分が三角筋です。

三角筋というのは、見てお分かりいただけるように、腕の骨の一番端っこについているのです。そのため腕を挙上しようとすると、負荷が手の先に行くほど三角筋に負担がかかります。

これはテコの原理から誰でもわかるでしょう。下図を見てください。手首を持った場合と二の腕を持った場合を示していますが、どちらが相手に有利かわかりますね。

ですから、三角筋を使うには、手首を握られたとき、非常に不利だというのが分かります。

さらに、テコの原理だけでなく、三角筋を使うのは、相手をコントロールするにも向かないというのも、観察力の鋭い読者の方なら分かったと思います。

こんな端にある筋肉を使うと、筋肉が一ミリ縮まるだけでも、手の先端は数センチ移動します。ですから、三角筋の微妙な動きが手の先端では大きな動きになるので、三角筋では微調整ができません。

このように三角筋を使うような動きは、相手に非常に分かりやすい動きとなります。

また、正しい体の使い方、骨格構造の使い方を教わらないと、いくら、肩の力を抜けと言っても自然と入ってしまいます。

肩の使い方を教えないから肩に力がはいってしまうのです。だから、肩に力を入れない正しい方法をしれば、三角筋を使うやり方の10倍以上は当然変わってくるのがわかると思います。

次回は、呼吸力を伝える肩の使い方について述べたいと思います。

 

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