「気とは?!」その8 気を外す1

こんにちは、皆さんお元気ですが? 私はとても元気です!

では実際に井口師範が指導する合気道では、気の利用の4つの考え方をどのように稽古するのかをお話しします。
今回は、「気を外す」という考え方について述べていきます。

「気を外す」という考えですが、これは手首取りの技で修練するものです。合気道をしている方は知っておりますが。手首取りには、片手取り、両手取り、諸手取り、後ろ取りと4種類あります。この4種類の場面で「気を外す」という概念を実行します。

「何故、手首取りが「気を外す」稽古なのか?」と、疑問に思われた人がいらっしゃるでしょうから、もう少し詳しく説明しましょう!

実は、人間が接触した際、その接触部を意識した時点から接触部から相手の気が自分の方に流れ込んできます。しかも、この気は自分の意図あるいは意識とともに相手に入っていきます。この意図、あるいは意識が相手に入っていくということは、自分の次の行動が相手に分かるということです。武道ではこれは非常に危険です。何故なら相手は簡単に逆らえてしまうからです。

この意図や意識の伝達というのは、「相手の気」と「自分の気」が衝突して、ぶつかりあった時点で起こります。その対策として「相手の気を外す」技術が必要になる訳です。

ですから、手首取りの技の稽古の最大の意義は「こちらの意図や意識を相手に悟らせないようにすること」にあります。具体的には「接触点からこちらの意図や意識が流れないようにする」ことが目的であり、「気を外す」技術の稽古だということです。

他の武道をしている人に、「手首取りなんて、実戦では絶対にないのに何故稽古をするのか?」と聞かれることがよくありました。

以前Youtubeを見ていましたら「刀社会だった昔、相手に刀を抜かせないようにするため手首を取りに行った」と説明されていた師範の方がおられました。居合をされている人にこの話をしたら、「真剣を持っている相手に、手首を持ちにいくなんて自ら無防備で切られにいくようなもの」と言っていました。非常にナンセンスと笑っていました。

例えそういう意図があったとしても、刀社会じゃない現代社会で何の意味もない稽古だということになります。しかし、井口師範がおっしゃるように「最も不利な状況でも、気を自在に操れることが大切」という意味では、手首取りの稽古の意義が十分あるということです。

このブログの昔からの読者の方は、手首取りは「情報遮断」と私がいっていたことを思い出されたのではないでしょうか? 実は「気」で説明するとこういうことになります。以前は科学的ということで極力「気」という言葉を避けてきたのですが、「気」を意識しないと、会員の人の技に統合性が出てこなくなることに気づき、最近から「気」指導することにしました。