「気とは?!」その14 気を当てる2(兆しをとらえる)

前回は、相手が何らかの意図をもって「気」を張っている際に、その張っている「気」に対して「気」を当てると説明しました。その「気」を当てるためには、かなり大切なポイントが一つあります。

それは「兆しをとらえる」ということです。

実は、人が何かしようと行動を起こす前、すなわち気が出る前に、その信号として兆しがでます。

人間が行動を起こす前をよく観察すると、必ず兆しが出ているのがわかります。余談ですが、これを井口師範は「気差し」と書くといっておられました。

相手の動きに「気」が乗る前にでる予兆みたいなもので、それをとらえるとかなり早い目に相手の動きを制することができます。

ちなみに、「遠当ての術」という技術がありますが、この兆しが分かると、ある技術と併用すると簡単にできます。遠当ての術というのは、離れたところから相手に気をぶつけることで動きを止めてしまう技術ですが、これは、実演を交えないと誤解を生むので、詳細はブログではかきません。

そんな超能力みたいなことができるなんて「嘘」だと思われるかもしれませんが、秘伝では、超能力のような特殊能力など全く関係なく、少し稽古すれば誰でもできる科学的根拠と原理があります。そこが秘伝の秘伝たるゆえんです。

この「兆しをとらえる」ことを合気道では「勝速日」と言います。先の先よりももっと相手の先を取る技術ですが、これには微妙な相手の変化をとらえられる特殊な目が必要です。これには特別に訓練が要りますが、誰でもできるようになります。

昔の剣術の達人が「明鏡止水の境地」といって、現代用語でいうと「ゾーンに入る」ということをすると、この兆しがとらえらえると言われています。しかし、その境地に達することができるのは多分一部の限られた人だけになるのではないでしょうか?

一方、秘伝では、そういった特別な精神状態にもっていかずとも確認できる方法を教えています。

これを使うからこそ合気道の技が有効なわけで、形稽古のように決められたパターンの稽古で相手が逆らおうとしてもかかってしまいます。

兆で相手を捕え、気を当てることで相手は無力化されるため、パターンが分かっていても逆らうことができないという訳です。