【スポーツ科学と東洋の武道】

こんにちは! お元気ですか? 僕はかなり元気です!

さて、前回は合気道と中国武術の共通性について書きましたが、実は西洋的なスポーツ科学の目で見た場合、合気道の身体も中国拳法の身体もかなり問題があります。でもそれにはその理由があります。今回その理由を明確にしていきたいと思います。

西洋的に考えると、いい姿勢というのは背骨がきれいなS字を描いていて、骨盤が前傾しヒップアップした姿勢がいい姿勢です。理論的には、俊敏なフットワークを実現するためにも、太ももの裏の筋肉はリラックスしていつでも働くことができるよう骨盤が前傾している必要があります。

図の女性は背骨がきれいなS字カーブを描いていて、骨盤は前傾しヒップアップしていて、非常に魅力的で、綺麗な姿勢にみえます。これが西洋的には多分理想的なのでしょう。

一方、スポーツ科学からみると、合気道の身体も中国拳法の身体も、収臀堤肛により骨盤が後傾すると常に太ももの裏の筋肉が緊張しているため、すぐに筋肉が発動しないため、瞬発力や足腰のバネが犠牲になり、しなやかな動きができず、非常によくないということになっています。

また、ジャンプによる上下の跳躍運動では、S字を描いていると上下の力は脊椎がバネのように力を分散する。一方、骨盤後傾の脊椎がストレートになっている身体では、跳躍運動際には直接上下のダメージがあり、圧迫骨折の危険性もある。

以上から、西洋医学やスポーツ科学では一般的に骨盤の後傾はよくないということになっています。しかしそれは西洋的な体の使い方と東洋的な体の使い方と考え方の違いであり、西洋的な考えとは異なる身体運用法で東洋の武術の動きができているのです。

確かに、ボクシングのフットワークのように飛んだり跳ねたりする動きでは、骨盤は前傾して、バネを確保しておく必要があります。しかし、東洋的な動きの場合は飛んだり跳ねたりというような変化の中に変化を入れるということじゃなく、静から動へ瞬間的に移る動きが基本になっている訳です。

武道や武術は元々ルールの無いところから出てきたものなのです。相手が凶器で何を持っているか分からない状況のなか、相手との距離(間合い)は、現在行われている試合に比べて遥かに遠くとります。

それで、その距離を瞬時に詰めるためには、静から動に一瞬で移れる技術が必要です。ですから、身体の使い方がスポーツ全般で使うスポーツ科学で推奨されているものと東洋の武道の身体の使い方は根本的に違うわけです。

また、正々堂々とルールの元で戦う場合、体格差や運動能力がもろに影響がでます。ですからボクシングには階級があります。

一方、身術では、相手がどんな力の強い人であるかわかりません。要するに階級があるはずがないわけですから、それに対抗できる技術が必要です。そう考えるとやはり東洋的な体の使い方を用いる東洋的な考えの方が護身術には合っています。

次回では、東洋的な身体の使い方でどんなことを可能にしているかを述べたいと思います。

 

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