皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です!
さて、前回は合気道独自の力の出し方呼吸力について最も大切な点をお話ししました。
それは体の構造を適切に使うということと説明しました。今回は、呼吸力と呼吸の関係について述べてみたいと思います。
以前から、呼吸力というのは、息を吸ったり吐いたりすることとはあまり関係がないとのべました。しかし、ある意味においてはそういった呼吸と関連しているのも事実なので、今回はその話をします。
というのは「合気道は肚(はら)で技を行う」ということがよく言われますが、この肚といのは、実は呼吸する筋肉と非常に関係があるのです。
そういう話をすると、よく「呼吸力を出しているとき、息はどうすればいいか?」ということを聞かれます。
一部の合気道の師範の方で座り技呼吸力鍛錬法(いわゆる、座り技呼吸法、以下では呼吸のやり方の呼吸法と区別するため、古い合気道での呼び方、呼吸力鍛錬法と記します)をするとき、息を「は~っ」と吐けと指導する人がいると聞いたことがあります。
これは、中国拳法などでは「哈(はー)」という気合いとともに拳を打ち出すシーンをよく見かけますが、こういった影響だと思います。
あまり合気道の達人で呼吸について言っている人が少ないですが、達人である養神館の塩田剛三氏は
「ある一つの技をかける場合を考えてみますと、技をかける前に息を吸い、技をかける時は息を止め、かけ終って息を吐く というのが典型的パターンでしょう。
・・・真に力を一点に集中しようとすれば、息を止めて、それだけの動作にしぼるわけ です。しかし、息を止める時間が長いと、その間体内の酸素の欠乏度が高まり、 ・・・これが疲労に通じるわけです。
息を 止める時間は短ければ短いほどいいので、合気道の技は一瞬にして決める、というのも、そこにあるわけです。(合気道人生/竹内書店新社より)」
と言われています。
では、中国拳法と塩田剛三氏ではどちらが正しいのかと考えた方もいるのではないでしょうか。
結論から言いますと、どちらも正しいのです。ただ打撃のような瞬間的に力を伝えたいときは、中国拳法の呼吸法がかなり有効です。ただし、中国拳法で、浸透勁などの特殊な打ち方をする場合、用途に応じて塩田師のような呼吸法を行う場合もあります。
本質は、「腹圧を活かしているかどうか」という点です。
だからただ単に息を吐けとかいう指導は間違っています。ただし、息を吐く際に、腹圧を意識するように指導しているのならそれは正しいといえます。
井口師範は、呼吸力を出す際の呼吸については、「自然に!」とおっしゃいました。「吸おうとか? 吐こうとか? 考えたら不自然」ということです。
とはいっても、腹圧のつくり方は井口師範から学びました。「合気道の身体を作るのは、自然とか不自然とか考えていてはできない。身に付く前の稽古で自然にできる訳がない。体に身に付くまでは丁寧に意識しないといかん。身についてからはあれこれ考えない。それが大切」とのことでした。
次回は、腹圧のつくり方について述べたいと思います。
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