「未分類」カテゴリーアーカイブ

『みんなの学校』の体育の時間で護身術を

9月17日(木)14時から2時間、和歌山市のまちづくり活動・まちなか交流スペース『みんなの学校』から体育の時間with teacherで「護身術」としてIAM護身術が講習を依頼されました。

初心者に向けて、力のいらない技術を伝授したいと考えておりますが、合気道の上級者でも知らない秘伝技術を少し織り交ぜて指導するつもりですので、和歌山市民の方で、当教室の技術に興味があって、9月17日(木)にお時間のある方は是非お申込みください。参加するだけで、合気道をしている人なら座り技呼吸法がかなり強くなると思います。

参加費無料で、定員20名となっておりますので興味ある人はお早めに!
まちなか交流スペース『みんなの学校』
http://mingaku.ikora.tv/

和歌山市のイベント等開催のおしらせ
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/machiokoshi/minnanogakkou/index.html

ポスター
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/machiokoshi/minnanogakkou/event/20150917.pdf

みんなの学校

達人の発想

 

井口師範がご存命であったある日の話です。毎年の恒例で、私はお歳暮の瓶ビールを1ボックスを携えて、井口師範のご自宅を訪問しました。

その日は日曜日でしたが、井口師範は警備会社の顧問のお仕事をされていてお留守でしたので、井口師範の奥様が玄関にでてこられました。

私は、ビールのボックスを玄関に置きそのまま帰ろうと奥様に
「失礼します」
と頭を下げましましたところ、

奥様が
「あのね、合気道の修行も大切ですが、あまり無理をしたら、家族に心配かけますからだめですよ。私もね、かなり主人には、心配をかけられましたから……」
と、おっしゃられてから、以前あった話をされました。

それは、ある日、近所の奥様が血相を変えて、井口師範のご自宅にこられたそうです。話を聞くと、そのご主人がヤ○ザとトラブルを起こし、ヤ○ザが団体で、その家にやってきたということです。井口師範は、その話を聞くなり、小走りでそのお宅に向かったそうです。

井口師範の奥様も心配になって近所の奥様といっしょに、師範より少し遅れて、その家に向かったそうですが、奥様が到着したころには、どういう経緯でそうなったのか、なんと、そのお宅の前で、日本刀など刃物をもったヤ○ザ十数人が井口師範を囲んで、今にも切りかかろうという場面になっていたそうです。

奥様は、
『おとうちゃん、もう殺される』
と、思ったそうです。このときの恐怖は今でもはっきりと思い出すといっておられました。しかし、あれよあれよというまに、刃物をもったヤ○ザを全員片付けてしまったそうです。

その話を聞いた当時、私は、井口師範の運転手をしていたので、送迎の際に、その話を詳しく伺いたくて、次の稽古日を待ちに待っていました。稽古が終わって、井口師範をお宅にお送りする際に、さっそくその質問を切り出しました。
「先生、奥様から、先生が刃物を持ったヤ○ザと大乱闘してやっつけてしまったのを見たと伺ったのですが、そのときの詳しいお話しをお聞かせていただけませんか?」

「あー? どのヤ○ザの話かな?」
と、井口師範が逆に私に問いかけていました。

「ご自宅の近所で、刃物を持ったヤ○ザと大乱闘をしたという話ですが……」
と、いいますと、

「ああ、言われてみれば、そういうこともあったなあ。かなり古い話や。あまりおぼえてないなあ」

「……。あっそうですか? しかし、十数人の刃物をもった刃物のヤ○ザと戦って退散させたというのはもの凄い話だと思うのですが……」

「そうか? そんなにもおったんか? あまり覚えてないが、家内がいうんやからそうなんやろ」

「はい、奥様は十数人と言っておりました」

「曰く、大したことなかったから、ちゃんと覚えてない。でも、話は簡単! それだけ居っても、複数で刃物をもったら、お互い切るわけにいかんから、その分不利になる」

とんでもない状況をさらっと極当たり前にいってのける井口師範のお言葉でした。達人ともなると、考え方が、普通の人間と180度違うものなのですね。

この話を思い出すたびに、私は未だに自分の未熟さを思い知らされます。

関東からの来客

今月11日と25日に、Youtubeの映像で井口師範の秘伝に興味をもたれた方が、関東よりこられました。お二人とも合気会の3段ですが、タイプはかなり異なりましたが、ともにレベルはかなり上のほうだと感じました。互いに面識がないようなので、それぞれ別の日に秘伝を伝授しましたが、和歌山くんだりまで関東からこられるとは、本当に熱心だと心から感心しました。

特に25日に来られた方は、理論的な理解が速く、肩を叩いて相手を倒す技術を一日でマスターされました。これには、私もかなり驚きました。非常にセンスのある方だと感心してしまいました。

井口師範の秘伝の伝授がおわると、「井口師範は本当に達人だったのが良く分かった」とおっしゃられました。私はこの言葉を聞いて本当にうれしく思いました。

確かに、私が受けた秘伝は、あまりにも非常識すぎて、使えるようになるまで、「?」の状態でしたので、この非常識きわまりない秘伝を受けて、体験して、納得したとき、「普通の人間ではこの発想は浮かばないだろう。達人でないと考えもつかない発想だ」とつくづく感じられたということですが、私自身もそう思います。

しかも、どこにもない始めて聞く技術ばかりで驚かれたそうです。「これらの技術を知っているだけで、合気道の修行は20年は短縮できる」と私がブログに書いているのは、大げさなことではないとおっしゃっていただきました。

実はこれと同じことを、その日の午前中に個人指導させていただいた合気道四段の方も言っておられました。

「ウチの師範も、かなりの年数を合気道に費やしているが、秘伝の初伝の一部がわかっているだけに過ぎないということから、20年短縮というのは、才能が非常にある特別な人の話であって、普通の人であれば50年どころではない」

一日のうちの午前と午後に同じことを言われると、デジャブのような感じがし、非常に変な感覚になりましたが、とても有意義な一日でした。

東京からの来客

東京の空手の師範の方が来られました。今回で2回目です。前回は半年以上前の11月の中旬でした。その際に教授した秘伝の内、特に骨の技術を自宅に砂袋を買って徹底的に研鑽され、こちらに今回こられました。

そこで、研鑽の結果を確かめるということで、私はミットを構え、パンチを受けてみました。身体をある程度低くし、衝撃に備えて受けたのですが、予想以上に強く、思わず後方に押されてしまい、たまたま後ろに立てかけてあった杖(じょう)で足を挫いてしまいたした。

これを受けて初めて、この空手の師範の方のどれだけ熱心に研鑽されたか伺い知ることができました。そのことをこの方にお話ししますと、「何十年も空手の稽古をしてきましたが、最高のパワーがだせたのが若いころでした。しかし、ここ最近になって、パンチの質が変ってきたのを自覚しています。効かせどころがわかり、様々なタイミングでパンチが打ち出せるようになってきました。その結果動き全てに余裕がでてきました。すべて秘伝を教わったお蔭です」
とおっしゃれました。

よくよく話しを伺うと、骨の技術の第一式を徹底的に稽古されたとのことです。コツコツと一意専心頑張られたのでしょう。それで私の予想をはるかに上回る威力を持っていたのです。

次に、骨の技術の第二式をやっていただきました。タイミングが少し違っていました。第二式はタイミングが非常に大切ですので、少し訂正させていただきましたが、すぐにできるようになりました。もし第二式の稽古も徹底的に稽古していたら、その癖を訂正するのにかなり時間が掛かったでしょう。不安があった技術を自己流に行わず、第一式のみに専心したのが正解だったようです。

さらに、骨の技術奥伝の第一式と第二式を混合した技術も教授しました。第一式の稽古を徹底的にし完成していたのが功を奏して、驚くほどすぐに使えるようになりました。この技術は、第一式よりもさらに効果が高くなるのですが、新しい秘伝が必要で、中心軸とは別の軸を使った技術となり、この習得には一式の習熟具合の高さが必要になります。

ここまでは骨の技術の問題ですが、骨の技術だけでは、武器を持った相手や、2人以上の相手はできません。これにはどうしても空間感覚の技術が必要になりますが、実は、この2人以上の相手をする場合の空間感覚の技術には、どうしても皮膚感覚の技術で使われる感覚が必要です。

皮膚感覚の技術の伝授のため、少し杖(じょう)の稽古を行いました。杖の稽古で、皮膚感覚のフィーリングを掴んでいただいたので、空間感覚の技術の勝速日の秘伝を教授いたしました。

さすがに空手の師範、皮膚感覚、空間感覚の秘伝の本質を理解されたようで、次回にお会いするときに楽しみです。

合気道に用いる「呼吸」という言葉

合気道には、呼吸力、呼吸法、呼吸技、呼吸投げなどのように「呼吸」とついた言葉がでてきますが、「呼吸」がついているので、どのように息を吸って、どのように息を吐くかということに意識が囚われている人がたまにいるようです。

確かに、世間一般に、呼吸というと、酸素を吸って、二酸化炭素を吐き出す動作のことを意味します。そこで、技をかけるときは、「ハーっと吐け」と指導する人もいる様ですが、これは誤った認識です。

合気道における「呼吸」というのは、昔の人が使ってきた「息(いき)」という意味と解釈しないといけません。今でも武道や芸道では、「息」ということばが使われるときは、「芸道や武道の深い要領」のことを意味します。特に武道や武術の場合、言い換えると「極意」をさしているのです。ですから、合気道でいう「呼吸」というのは、この「息」の意味、要するに「極意」という意味で使われている訳です。

呼吸力というのは、極意を体得した特別な力ということになります。要するに、体全体が協調して出る統一力といった方がいいかもしれません。ただし、井口師範の言われる呼吸力とは、統一した力がでるようになった人が、さらにその力を限界まで鍛え上げた特別な力をさしていましたが、一般の合気道では、それは呼吸力の差を生み出しているもので、単に呼吸力は統一された力だと考えた方がいいと思います。

さらに、技や法となると、その呼吸力の上に、術理に則る必要がでてきます。そしてその術理も極意の一つですから、これも「息」すなわち「呼吸」を意味するものです。いくら呼吸力が強くても、術理を破るやり方ですと、当然「呼吸」とはいえないですし、法や技とは言えませんし、そういう力ですと相手を破壊しかねません。それでは、平和の精神に基づいた合気道精神からも逸脱します。

ですから、呼吸法といっても、息の吸い方と吐き方ではないのです。座り技呼吸法で、息を腹式呼吸でハーっと吐きながらやっても、効かないものは効きません。「まだ呼吸が浅いから」というわけではないのです。統一力である呼吸力と術理の二本柱がちゃんとできているかどうかが効く決め手となるのです。

たまに、道場などで、合気道の何年も先輩になる人が初心者相手に、さも知っているように息を吐いて技をかけるように言うことがあるようですが、それは、多分、中国拳法の本でも見て、息を吐きながら行う発勁という動作を意識しているのだと思います。

しかし、合気道と中国拳法では学び方が違います。根本的な違いは、合気道における拳や足による当て身は、補助的な役割しか持っていませんが、一方、中国拳法では、拳や足での当て身は破壊を目的にしたものであるということです。ですから、中国拳法には手足による破壊ための独自の気の理論があり、その上での腹式呼吸(爆発呼吸)を行っているのですから、「息を吐くと強い」というものではありません。

ですから合気道修行者はその当たりをよく理解して、心身の統一と術理の二本柱にした合気道の技の研鑽を行っていただきたいと思います。

師匠へ感謝

先日、合気道の高段者の方の指導を行いました。

その際に、この方に呼吸法に関連する技術を伝授しておりましたところ、
「前に、気をだすには、手を握っても出ると教えていただきましたが、私が会ったどの合気道の師範も、気を出すには掌を開かないとが出ない、握ってはいけないといっています。そう考えると、合気道歴50年以上の師範や高段者方々でも、皮膚の技術の一部しか使えていないのですね。それに比べると、ここではその上の技術を教えてもらえるのでとてもありがたいです。」と言ってくださいました。

そこまで言うのは、リップサービスが入っているのかもしれませんが、この高段者の方も、井口師範の第2の秘伝の皮膚の技術をまったくご存知ありませんでした。

当たり前のようにお弟子さんたちに伝えている秘伝も、井口師範に教わらなければ、この第2の秘伝の皮膚の技術だけでも、才能のある人ですら、半世紀もかけて研究して、その一部がようやく使えるかどうかだということなんだと、私はここに来て改めて納得しました。

才能がなく、片目が見えのない私が、ジークンドーなどのスパーリングでも、少林寺拳法や空手の高段者の人たちとそこそこ戦えるのは、全て井口師範から頂いた秘伝のお蔭です。今更ながら井口師範に感謝でいっぱいです。

ちなみに、皮膚の技術の初伝に関して言えば、体系化できている現在では、非常に才能のある人に伝えると、半時間もかからずにマスターしてしまいます。皮膚の技術の初伝といいますと、それを用いれば秘伝をしらない人相手に座り技呼吸法を行えば、体重差20kg以内であればほぼ100%転がすことができます。

私は、それを、理解するのにかなりの年月がかかりました。師匠は、野球でいえば長島茂雄さんのような感覚的な説明の人でしたので要領を掴むのに苦労したのも事実ですが、才能が無かったのが一番の原因と思います。それでも、あきらめず十年以上も見捨てずにご指導をいただいたお蔭で、井口師範の4つの秘伝をなんとか私は覚えさせていただけました。

合気道修行者の方は、ご存知と思いますが、道場内では、指導者は個人個人に合わせて秘伝を説明している余裕がありません。その点、私は非常にラッキーでした。帰り道が同じ方角というだけで、井口師範の送迎をしていたからです。お蔭で、井口師範を送迎している間、マンツーマンで様々な秘伝を教えていただける機会を得ることができました。

秘伝には、常識で考えていたら絶対に考え付かず、天才でなければ思いつかない発想があります。ですから、「皮膚の技術の一部しか使えていない」といわれている師範の方は、半世紀という途方もない時間をかけて研究し到達したのです。本当にすごい努力が必要だったと思います。その意味では、やはりその師範の方に敬意を払いたいと思います。

今更ながら、貴重な秘伝を教えていただいて、師匠である故井口師範に感謝の気持ちでいっぱいです。

拳で語りあう?

 4月より新しいお弟子さんができましたので、今回の土曜日の稽古は、初歩的な技術を中心に稽古を行いました。

 ところで、今日は、4月に入って急に来なくなったお弟子さんが、半月ぶりに稽古に参加しました。学業が忙しくて、これなくなったのかと思っていたら、生活全般に無気力となったと言っていました。
 確かに、技はかなり正確にこなすのですが、顔の表情が硬いまま稽古を最後まで終えました。

 稽古終了後、
「日本拳法をしていたときのようにまたスパーリングのようなことをしたい」
と彼がいったので、稽古は終わっていましたが、
「じゃあ、少しライトでスパーやるか?」 
といって、互いに防具を付けて、ライトスパーをすることにしました。

 スパーリングを始めた時点では、彼は、かなり表情が硬かったのですが、スパーリングをしている中で、徐々に闘志が出てきて、いい顔になってきました。それに伴い、かなり動きがよくなりました。後半は、合気道的な動きでないと、若い彼にはかなわないようになりました。

その際、「スパーリングで合気道の原理を使うとこうする」など説明をすると、数分のスパーリングでしたが、彼はどんどんと技に取り入れるようになりかなり上達しました。

 スパーリング終了後、「久しぶりに楽しかった」と表情が柔らかになり、顔つきもかなり精悍になってかえって行きました。

 一般に、“拳で語り合う”という表現をつかうことがありますが、力と力のぶつかり合う全力を出し切った喧嘩とは違った意味で、何か彼の心に伝わったようです。今後、彼にとってこのとことがいい方向に向かえばいいと願っています。

100キロ超級の大柄な体験者が来ました

先日、ボクシング経験者(歴1年半)が入会してくれましたが、それに引き続き、大学生のお弟子さんが、大柄な大学生を当会の体験につれて来てくれました。

この学生さんは、私より身長が高いので、多分180cm以上はあり、体重の方は100キロ超とのことです。また、中学生のころ柔道部に入っていたということですが、見るからに柔道の選手のようで、太っているというより、がっちりしたプロレスラーのような感じを与える体格ですので、たとえ2人組みのヤンキーでも、この人を恐喝しようなんて思わないと思います。

当然、力も強く、私が力だけで対抗しようとすれば、私の両手でも、彼の片手にかなわないぐらいでした。また、中学生のときとはいえ柔道部に所属をしていたので、基本的な投げ技は知っているので、護身術を習う必要もなさそうで、力の要らない護身術を標榜する当会に一番縁の遠いのではという感じの人でした。

日ごろ、お弟子さんたちに、腕の力を抜くように言っても、どうしても入ってしまうことが多々あります。それは、私は身長178cm、65キロなので、皆さんより大柄ですから、お弟子さんたちが口にしなくても、お弟子さんたちを倒しても、「当たり前すぎて、あまりインパクトがないからではないか?」と日ごろ感じていました。それで、今日は非常にいい機会に恵まれましたと内心うれしく思っていました。

先日に入会してくださった会員さんがいましたので、本来は、初心者優先の技術をすべきでしたが、滅多とない機会でしたので、この人を優先させていただきました。新しく入った会員さんには申し訳なく思いましたが、私より一回り以上大きい人を相手に、技が実際にかかるところを皆さんに見てもらえるよい機会でしたので、この会員さんにもいい刺激になると思いそうさせていただきました。

この学生さんは、私より35キロ以上は重いですから、体格的には、皆さんと私との体格差以上のものがあります。元柔道部ということで受身ができるので、この学生さんを相手に、片手を肩ふれて倒す技や、バットで攻撃してくるのを倒す技など、力を使わず倒せる実演を多数でき、皆さんに見ていただけ、井口師範の秘伝の正しさを確認いただけたと思います。

この学生さんは京都の大学生ですから、入会していただくことは出来ませんが、それでも、私は、日ごろ、「体格差は関係がない」と言っているので、それを皆に実際に見ていただけだけでも、本当によかったと思っております。

また、この学生さんも、「自分の知っている格闘技の中で一番すごいと思いました。本当に楽しかったです」と喜んで帰っていかれました。お世辞でもそういっていただけ本当にうれしく思いました。

合気道で技術を教える難しさ

最近、合気道の技術を教える難しさを感じています。自分ではかなり理論を整備して、教えているつもりなのですが、微妙な感覚を伝えるのは難しいように感じます。今回の内容は非会員の方にはあまり分からないと思いますが、そんな技術もあるのか程度でお読みいただければと思っています。

ところで、中国拳法の修行者の人に「合気道を修行者が、ある程度二人で行う通常の形が分かってくると、それを一人で行えるエア合気道ができるようになります。」と、昨年話したところ、「一人で稽古できる形を作ってほしい」といわれ、、皮膚の技術を使った形を制定しました。

ところが、この形を皮膚感覚の技術をメインで稽古する段階になった人にさせると、非常に難しようです。

そこで、私自身で、皮膚の技術を意識して演武したあと、皮膚感覚の技術を意識して形を演武してみますと、手の動きがまるで違う!

どう違うかというと、正面打ちの技を、皮膚の技術で行うと、手の軌跡は、丹田当たりにあるところから、真っ直ぐ額の前の正面に行き、そこで手首の裏が相手側に返りますが、皮膚感覚の技術で行うと、右正面打ちを捌く場合を考えますと、下にあった右手は、一旦、親指が相手側を向いて自分の左顔面をガードする位置を通って掌が返りながら正面にでます。

なぜそうなるかというと、皮膚の技術は直接相手に呼吸力を伝え、皮膚感覚の技術は間接的に呼吸力を伝えるから、皮膚感覚の技術では螺旋の動きが入るためです。

では、どちらか一方の技術に統一した方がわかりやすいのではということになりますが、初心者の人にはいきなり皮膚感覚の技術は難しく、皮膚の技術から皮膚感覚の技術に持っていくのが最適と思われます。

また、護身を考えた場合、修行者の技術が多いに越したことはありません。それに、皮膚の技術も皮膚感覚の技術も非常に大切なベーシックな技術であり、骨の技術の上位技法で、次の空間感覚の技術の基礎となる技術ですので、どちらも重要です。ですから修行者にはどちらも習得していただく必要があります。

ただ、現状を見てみると、学んだ人たちが混乱しているという状況のようです。そこで、今後はこの違いを教えていく工夫が必要だと感じました。

これを読んでいる会員の方も、皮膚の技術と皮膚感覚の技術と違いに十分気をつけて学んでください。

バランス(重心)を奪う

合気道の投げにおいて、「相手のバランス(重心)を奪う」ことが大切だということは、初心者も含め殆どの合気道修行者が分かっていることです。

ところが、その「相手のバランス(重心)を奪う加減」が問題で、さらにその加減に応じて「どのように奪うか」というと、答えられる修行者は随分と少なくなるのではないでしょうか。

ちなみに、井口師範は、私が「相手のバランスを崩す」と言ったとき、「バランス(重心)を奪う」と言い直されたことがあります。「バランスを崩すというのは、強引に力づくでできるが、バランスを奪うのは微妙なさじ加減が必要」とのことでした。

まあ言葉のニュアンスはここではさほど重要ではありませんが、「微妙なさじ加減」というのはどういうことかと聞きましたところ、「相手に悟られず、安定している状態からぎりぎりバランスが取れている状態にもって行く」のだそうです。

人間は、非常に精妙にバランスを取ることによって、安定して立っています。そして相手に押されたりすると、すぐさまその力に応じて、人はバランスを取ることができます。ですから、無理に相手のバランスを崩そうとしても中々崩れないというのが現状です。

ところが、井口師範の言うように「相手に悟られず」即ち「自覚できないバランスの変化」を起こさせるとどうでしょうか? 自覚できないのであれば、当然ぎりぎりのところまでもっていくのは非常に簡単です。

当会にも、「自覚させずバランスを奪う」方法が、井口師範から伝えられています。それらは、「気」を用いた摩訶不思議な技術ではありません。甚だ科学的な方法です。一つは力学的な方法、二つ目に生理学的な方法、三つ目に心理学的な方法です。

①力学的な方法とは、運動エネルギーを作り、その運動エネルギーを相手に悟られず伝える方法です。
②生理学的な方法は、人の反射を使ったり、生理学的に相手の力が入らない状況を作ったりする方法です。
③心理学的な方法とは、ちょっとした錯覚を相手に与えることによって、心理的にバランスを奪う方法です。

このように書くと、まったくピンとこないと思いますが、これらの技術は実際に手を合わせて、教授しないと中々分からないものですので、もし興味お持ちの人は是非見学においで下さい。

次回は、バランスを奪う理論を映像を交えてご紹介したいと思いますのでお楽しみにしておいてください。

お問合せ先は
http://kenkogoshin.tank.jp/contact.html

一般稽古スケジュール
http://kenkogoshin.tank.jp/schedule.html

当会ホームページ
http://kenkogoshin.tank.jp/