「当会の技術について」カテゴリーアーカイブ

【脳から見た合気道】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、今日は脳に関して話を書きたいと思います。


合気道はどうして愛をとなえるのか?

合気道開祖・植芝盛平翁先生は、「合気道とは愛である」と言われています。

これを脳で考えたとき、非常に合理的であるというのが分かります。

というのはまず「愛」とは感情であるということです。ですから、合気道の愛というのは頭で考えた愛ではなく、感じた愛である必要があります。

何故、感情である必要があるのかというと、人間の脳の構造上、思考より、感情が優先されるからです。

人間の脳の進化の段階を考えると分かるのですが、脳を機能的に分けると、まず最初にできたのが生命を維持する脳(脳幹、間脳)、次に感情脳(大脳基底核・大脳辺縁系)、そして思考脳(大脳新皮質)と発達してきているのです。

そのため、思考脳より、感情脳の方が優先される仕組みになっていて、人がコントロールされるのは感情が動いたときなのです。

この原理を知っていると、武道をするにも感情が大切だということがわかります。


明鏡止水の境地はポジティブな感情

ところが、格闘技の試合とかでは、「もっと冷静になれ!」とよく指導されることがあります。

そこで、感情=悪という考えがでてきますが、実はこれは間違いなのです。

というのは、冷静の境地になったとき「明鏡止水の境地」というゾーン体験があられるといわれていますが、この状態は実はポジティブな感情に満たされたときにラわれる状態です。

人間の感情脳には、好き嫌いを判断する偏桃体とやる気をコントロールし、大脳を活性化する側坐核というものがありますが、偏桃体でポジティブな感情が発生するとやる気脳である側坐核がすぐに働き、大脳を活性化し、判断力をあげます。

側坐核が活性化すると、快楽物質というドーパミンが放出されると言われています。ドーパミンが放出されると、快感を脳が感じるようになります。「楽しい、ワクワクする」という状態です。

その快感を感じ極度に判断力が上がった状態が「明鏡止水の境地」なのです。

ですから、好ましい感情を作り出して、自分のやっていることに快感がでてくることが大切なわけです。

それが合気道では好ましい感情を「愛」とよんでいるのです。


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【形稽古とフレーム】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、今回は形稽古の取り組み方について話したいと思います。


ぶつかるときはフレームに嵌っている

NLPは心理療法に一番多く使われますが、そこで大切なのがフレームという考え方があります。

このフレームという考えは、合気道においても非常に大切だと僕は考えています。

どんな物事でも、見方にはいろいろな面があり、ある人は右から見て、ある人は上から見てというように、色々な捉え方ができるのは、読者の方々にも異存がないと思います。

フレームというのは、ある物事に対して、人がそれを理解するのにどんな角度で理解するかということです。

そして、人間はその角度で理解したなら、他の角度に関しては理解できなくなるというものです。

例えば、「水筒にお茶が半分しか入っていない」と思うと足らなくなるか急に心配になります。でも「水筒にお茶が半分も入っている」と思うと余裕がでてきます。

このように同じ現象でも捉え方が違うだけで、全く正反対のことに心が支配されるのです。このように一つのフレームに支配されると、別のフレームでの見方が見えてこないということが良く起こります。

形稽古をしていると、相手はこちらの癖やすることが分かるようになると、ワザと相手が逆らってくることがときどきあります。そのとき相手と力がぶつかり、技が効かない状態になります。

これは、自分はこうするというのが相手に伝わってしまっているのです。実はこのとき、自分のフレームが相手に読まれてそれを利用されているということが考えられます。

言い方を変えると、こちらがこうすると認知した相手のフレーム内で戦ているということでもあります。

合気道の前提は「相手の土俵で戦わない」という考え方をしますが、これは言い方を変えると「相手のフレーム内で決して戦わない」と言えると思います。


リフレーミングと一期一会

僕の師匠である井口師範は「合気道の技は一期一会、同じように見えても毎回違う。精密機械のようにに毎回毎回同じように動いていたら、相手はバカじゃなのだから技にかからなくなる」とおっしゃいました。

合気道開祖である翁先生も、合気道の技は千差万別、無限に技があるというようなことを言われています。

ですから、形稽古というのは、同じ動きに見えて、形にこだわらない自由な発想・自由な動きを得るための稽古ともいえるわけです。

私たちは、ついどれが正しいのかと一つのものに答えを求めようとしてしまいますが、答えはその都度ちがうというのが井口師範の回答でした。

要は、一つのフレームで戦わないというのが形稽古の意義というのとになります。そうでなければ、相手にワザと技にかかってもらうのが当たり前という発想は間違いであるということがわかります。

演武では、技の受けを取る人が、綺麗に見えるように大袈裟にわざわざ技を行う人のために飛んであげたりしますが、これを稽古に用いると合気道が武道ではなくなります。

ですから、相手のためには時には逆らって、あなたの動きは読めますよということを教えてあげないといけません。

そうでないと、自分は強いと勘違いする女性がときどきいますが、そんな女性がもし暴漢に襲われたら、冗談ではすまないことになっちゃいます。

そういうことで、自分のフレームが読まれ、相手のフレーム内で戦っているということがなのだから、自分のフレームを変える必要があるということを知らせてあげるのも形稽古だからできるのです。

NLPではそれをリフレーミングといいます。このように形稽古では、常に自分のフレームを観察し、パターンに陥っていたら、新しい視点でリフレーミングしなおすということが必要になります。


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【形稽古の世界】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、空間感覚の話からその感覚をつかむのに当て身が大切という話をしてきましたが、ちょっとここで記事をまとめてみたいと思います。


虚虚実々とは違う世界

合気道の特徴は、競技武道でなく、形を繰り返し稽古することで技を確かのものにしていく形武道であるという点です。

中国武術では、形を繰り返し稽古する表演派と実戦稽古する実戦派に分かれていますが、試合をしない合気道は表演派と同じかというと、事情が異なります。

というのは、中国武術の場合、表演は一人で行いますが、一般的には合気道の形稽古は相手と二人で行うのが普通です。

ということで、合気道では、技を受ける相手は自分の行う技の手順を知っているという条件で、相手に如何に逆らわれなく技を行うかということが前提になっています。

これはある意味、競技武道よりも難しいのです。

競技武道では、やると見せかけてやらない、左と見せかけて、右を打つなど、虚々実々のやり取りが可能ですが、合気道の形稽古においてはそれができません。

それをやると、結局試合のような形になってしまいます。


相手の土俵で戦わない

武道で、虚々実々以外の方法というのはどういうことでしょうか?

その答えが、合気道では相手との和合を説いたのです。言い方をかえるならば、「相手の土俵で戦わない」ということです。

感覚的には、物理的なぶつかり感を作らないというものですが、実は意識レベルでも相手とのぶつかりを作らないのです。

例えば相手が右手首をしっかり持ちに来たら、通常は相手の力に逆らってしまいます。これは武道をしていない通常の人の反応です。

人間は、無意識的にまず安定を保とうとします。そのため、相手の力に逆らって相手とぶつかることで、一番安定した状態をつくろうとします。

ところが、相手の力が自分より上回っていると、相手の力に引き込まれます。力対力の限界ということです。

合気道の合わせでは、相手との接点を相手に与えてしまうことで、接点の意識さえないような状態にしてしまいます。

そうすると、抵抗がないので「相手は暖簾に腕押し」の状態となりどう力を入れていいかわからなくなります。

そして、手の指先、或いは肘を動かすというように、相手が予期せぬところに自分の意識をもっていくことで、相手はコチラの意図が全く読めなくなります。

その結果相手は、動き始めてそこで、相手の動きが分かるということになるのです。人間には反応速度というのがあって、見た目で判断する場合、それに反応するには0.3~0.7秒かかるのですが、動きが螺旋状の動きをすると、毎回動きが変わるので、相手はその動きに合わせることができなくなります。

ですから、合気道ではぶつかりができると何か間違いがあるとされるのです。


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【空間感覚と当て身】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、合気道では遠当てや合気投げと言われる技術が存在しますが、これらは「気」が充実したときにできる技であると言われています。

「気」が充実するとは、精神が非常に落ち着いていて、 非常に高い集中力を得た状態をさすようです。それはスポーツ界ではゾーン体験といわれる状況に近いと思われます。

では、遠当てや合気投げなど気を使った特殊な技術では、やはりそういった特殊な精神状態に入る必要があるのでしょうか?

今日はそういった面について話したいと思います。


気を使った技術はゾーンと無関係

世の中に、ゾーン状態を作れる人が確かに存在します。特に武道家には多いようです。

ゾーン状態になれば、そういった原理がわからなくても、気を使った技ができるのは事実です。

でも、いつでもそのような特殊な精神状態になれればいいのですが、凡人は10年に一度ゾーン体験ができたら、それで素晴らしい方だといえます。

そのようにゾーンにいつでも入ることができないと、遠当てや合気投げのような気を使った特別な技術ができないのでしたら、多くの修行者にとっては本当に残念なことでしかありません。

しかし、遠当てや合気投げのような気を使った技は、実は原理があり、その原理が分かれば、誰でも高い再現性でそれを再現することができます。

それは、空間感覚を磨き上げて、自分で空間を作り上げ、支配することができればよいだけです。


空間の支配は当て身が基本

例えば、認知科学を応用した空間の支配法というのがあります。それは、手と向かい合っているときに、目の前にお茶が出されていたら、相手が行動する前にまず湯飲みを数センチ移動するだけで、次の瞬間にはその場を支配した状態になるそうです。

合気道でも、空間を支配するための技術が沢山あります。その稽古をするのが遠当てで、その基本が当て身の稽古になります。

日ごろの当て身の感覚を身に付け、相手の反応を誘導する当て身はどういったタイミングで、どういった当て身の出し方をし、どういった感覚をもっているとできるかを思考錯誤で身に付けていきます。

これにより、相手のこの瞬間に、こちらが動くと遠当てができるというのが分かるようになります。

ですから、わざわざ遠当ての稽古をしなくても、日ごろから当て身を技の中に使う稽古を繰り返していると、分かるようになるものなのです。

そのため、形稽古では必ず当て身を寸止めで入れるという習慣が大切です。

ただし、ただ動作として入れるのでなく、空間を意識した状態で当て身を入れる必要があるので注意が必要です。


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【攻守同時の打撃】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、今回は、攻守同時の打撃についてお話ししたいと思います。


受けと同時に打撃を行うことの重要性

井口師範は、合気道の技を行う際、特に打撃に対する受けを行う場合は、かならず受けと同時に打撃技である当て身を入れるように指導されました。

飽くまでも受けと打撃が同時になるように指導されたのです。

これは、合気道では技を行う際に必ず陰陽を理解している必要があり、一つの手に気をまわしているだけではいけないと「右手を使ったならば、左てが遊んでいるようではいかん」と言われました。

これは、中丹田を意識することと、さらには、上丹田を意識する意味があります。

合気道では、臍下丹田である下丹田、中丹田、上丹田の3つを使えるようにしないといけないということです。

下丹田は物理的な力を伝えるのに関係があり、中丹田は左右の手のバランスや骨格上の最も有効な使い方などが関係しており、上丹田は自分を取り巻く空間の認識に関係があります。

このように、受けと当て身、攻守同時の使い方を行うことで、3つの丹田を使うと同時に、空間を意識するという訓練をするようになっているわけです。

ですから、「世界平和を目指す合気道において、人を痛めつけるような技はふさわしくない」とばっさりと当て身を切り捨てることによって、大切な空間感覚を養う訓練も切り捨てることになってしまいます。

概念主義や精神主義に傾かず、本質が何かを探求するのが大切です。


空間を意識する

僕が学んだ井口師範の合気道では正面打ちに対する形では、正面打ちを受けるとともに相手の脇腹に当て身を寸止めで入れます。

これは、無意識で当て身を入れるものではありません。正面打ちを受ける意識と当て身を入れる意識が同時に存在することで、意識は広い空間を感じることができます。

ですから、右手と左手だけを意識するものであってはいけないのです。

例えば、右手で相手の手刀をうけたなら、そこに意識の中心をおいて、さらに意識を左手まで広げます。この意識が大切です。

このように空間を意識する稽古をすることで、空間感覚を養い、自分が空間を支配する側に入ることができます。

空間を支配できたなら、相手の動きが作る空間と自分の空間で陰陽を作って、円転の理によって相手と調和した動きを作るわけです。


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【肋骨打ちの拳と手刀打ち】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、今回は当て身の基本の第二段として、特殊な拳の握り方と肋骨を打つときの拳の握り方と手刀打ちについて述べたいと思いまします。


肋骨打ちの拳

僕が学んだ合気道では、実戦で用いる当て身では、非常に弱い肋骨の下部を狙って打ちます。

そのため、拳は特殊な形をとり、打撃する場所も拳頭ではなく、人差し指または中指の第二関節部です。

ですから、人差し指と中指を深く握ると、第二関節部を相手の肋骨に当てるのが難しくなるため、浅く握ることになります。

ところが浅く握った場合、打撃の際、指が内に入り込んでしまいますので、相手への衝撃が小さくなるため、親指の第一関節より上の部分で人差し指や中指が内にめり込まないようにストッパー代わりにします。

握り方は2種類で、人差し指の第二関節で打つ場合は人差し指だけ浅く握り、それを親指の第一関節より上で支え、中指中心で突く場合は、人差し指と中指を浅く握り、親指の第一関節より上の部分で支えます。

実際使用する場合は人差し指と中指を浅くした方が、パンチが正確に入らなくても、どちらかが効くので効果的なので、僕が指導する際は、こちらの握り方を教えています。


手刀の基本

合気道の手刀(てがたな)は、指導する師範により様々なパターンがあるようです。

多くの場合は、空手の手刀(しゅとう)のやり方を教えているところが多いようです。多分、手刀打ちのやり方を空手から学んだ人が多いからでしょう。

ちなみに、空手の手刀は、人差し指から小指までの四指を揃え、親指は内に入れてしめます。

一方、僕が学んだ井口師範の手刀(てがたな)は、図のように掌を広げ、指の根本を縮めるような形で指一本一本に力が入るようにと指導されました。

打撃するところは、①~④まであって、顔面や頸動脈を打つ場合は①か④、コメカミや顎関節、眉間、眼球など点で打ちたい場合は②の骨が飛び出した部分、顔面を打つ場合は、③の掌底を使います。

ちなみに井口師範は、剛柔流空手の高段者でしたので、空手の手刀(しゅとう)もご存知だったのですが、合気道の呼吸力の入った手はこうでないといけないと言っていました。

また、井口師範はこの手刀(てがたな)の形は、座り技呼吸法(座り技呼吸力鍛錬法)で相手に手首を持たれたときも同じようにすると言われていました。


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【当て身の基本・拳の作り方】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

今、己と宇宙の気と一体になるのが合気道であるということを述べていますが、それは合気道修行者の最終目標ではなく、稽古の中に技術として入れていく必要があります。

僕が師事した井口師範は、「宇宙の気と一体になるためには、まず当て身をしっかりできること」と指導されました。

そこで、今回からは当て身の基本について述べていきたいと思います。


間違った当て身の危険性

合気道では、「宇宙の気と一体になりなさい」と教えます。ところが、具体的にどうすれば宇宙の気と一体になることができるかは指導しないのが現代の合気道ではないでしょうか?

そのため、多くの指導者たちが概念的、精神的な方面でそのように指導することとなっているように感じます。

あまりにも概念主義、精神主義に傾くため、「当て身など攻撃的な技術は、世界の平和、宇宙の和合を目指す合気道にふさわしくない」として、合気道開祖が重要視した当て身さえ否定する人も現れています。

そういった指導者は、形の上では、正面突き、正面打ち、横面打ちなど弟子にさせても、具体的に効果的な打撃法を説明しないようですが、護身を考えたとき、最も頼りになるのが当て身です。

また冒頭でも書いたように、宇宙の気と一体になる稽古をするには当て身が最も基本になりますがこの理由は次回お話しします。

それぐらい当て身は重要ですが、正しく拳を作れなかったり、正しく手刀ができない人が当て身を行ったとき、相手に打撃をいれた瞬間、手や手首を痛めたり、指を痛めたりします。

そういった人にサンドバッグを打撃してもらうと、ペチっという音とともに、殆ど効かないパンチしか打てません。その上、手首や指を捻挫したりしてしまうケースもよくあります。

非常に打撃のしやすいサンドバッグですらそうですから、動く人体を打つとさらに危険です。


拳の使い方

この項では拳の使い方について述べていきます。

まず一番としては拳の握り方をしっかり覚える必要があります。その前に、まず間違ったパンチの例を見ていただきたいと思います。打撃系の武道や格闘技をしている人から見るとこの写真は一目で素人だということがわかります。

先ず、拳を作っている親指が伸び切っています。もし相手を殴った場合、親指から当たることになりますから、当然親指は良くて捻挫、悪ければ折れてしまいます。

さらに、パンチのどこに当てるかという意識がこの少年には希薄です。ですから、ただ手を前に伸ばして空手の真似をしているだけというのが分かります。

後は蛇足ですが、空手をしている人から見ると、引手が、内側に手首が折れているのもかなり問題です。

先ず、拳の握り方が基本になるのですが、それを説明する前に、拳のどこに当てるかという点を知っておく必要があります。打撃部分の基本は拳頭といわれる人差し指と中指の第三関節部分です。

握り方は、まずは、小指、薬指、中指、人差し指の四指から握ります。そして、人差し指、中指を包み込むように親指を握ります。

通常、空手の握り方では、小指から順に薬指、中指、人差し指と強く締めるように握り込んで行き、最後に親指で包み込んで固定して、拳全体をカチカチに固めますが、合気道の場合、握り込んだ時点でも力が抜けている必要があります。

空手のような武道では、拳を巻き藁など硬いものにたたきつけて強い拳をつくりますが、合気道は武器としての拳を作りません。

相手の顔面などの硬い部分に当たった時自分の拳を痛める恐れがあるから、衝撃を吸収できるように軽い遊びが拳にあるような握りになります。

こういうと空手に比べて合気道のパンチは中途半端と思うかもしれませんが、考え方の相違によるものです。

空手の場合は、実戦で相手の骨まで粉砕するほどの硬いパンチを打ちだすのが目的で、合気道の場合は、衝撃を相手の内部に伝えるようなパンチを出すのが目的だからです。

そのため、合気道では、当たる瞬間に握力がこもるような打ち方をします。

このようにすると、打撃の際の衝撃力は落ちるものの、打撃力の持続時間が長くなります。持続時間が長くなると、表面で恥空かれた後も相手への打撃力が維持されていて、最終的には相手の内部まで浸透するのです。

といっても空手では、衝撃力も持続時間も長い技術もありますので、飽くまでもやり方が違うという認識で考えてください。


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【空間利用の段階的な稽古法】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、前回は、宇宙と一体になるという技法について説明しましたが、これは高段者行う技なのでかなり難しい内容だと思います。

そこで今回は初級者からどんな考えをもって、どんな段階的な稽古を行う必要があるかを話したいと思います。


先ずは形を覚え、構造上の弱点を探す

初心の内はとにかく技の形を覚え、体にパターン化する必要があります。

そして、形を覚えた後、ただ茫然と形を繰り返すのではなく、次は自分の身体構造上どうすれば強くできるかを研究します。

自分の身体構造上どうすれば強く使えるかが分かった後、次は相手の身体的構造上どこが弱く、どう動かせばよいかを考えて技を行います。

ただひたすら自分の体全体を使って相手を突き崩すだけでは、特に女性や体格の小さな人には限界があるので、骨格の構造を利用して倒すことを考える必要があるのです。

飽くまでも、自分がどうするという観点から離れて、相手の骨格をどう導くと崩れやすいかという動きを研究していきます。

その理由は、多くの初心者は相手との接点に気を取られ、接点を動かそうとすることで相手に動きが読まれるからです。

そうすることで自分がどう動けば相手がついてくるかが分かるようになります。

そこで一度は接点から意識を外し、相手をどう導くかを考える必要があるわけです。

そのためには、片手取りの稽古の意義、諸手取りの稽古の意義、両手取りの稽古の意義を再度振り返ってそれぞれの意義を徹底的に自分の技の仲に叩き込んで行く必要があります。

ちなみに、片手取りの稽古の意義は、接触点を如何に処理をするかという点ですが、この稽古だけでも、パターンとしては十数通りもありますので、合気道修行者は指導者に聞くとよいでしょう。


陰陽を見極める稽古

相手の構造上の欠点の利用が理解できたら、相手の身体の陰陽を利用して崩す稽古を行います。

人は非常に不安定な二足歩行をしているため、必ず陰陽の力のバランスが発生しています。

そこを利用して相手をくずすのがこの段階です。

例えば、下図は天地投げで相手の軸を中心に陰陽をとらえているところです。

このように、相手の身体構造上で、陰陽の中心軸がどこで、どのように陰陽の力を加えれば相手が勝手に崩れるかを稽古します。

相手の身体上での陰陽が分かるようになると、次は、相手の空間の陰陽を見極める稽古に入ります。

そのため、自分の空間、相手の空間、相手という順で、自分を取り巻く空間を意識し、そこが宇宙の中心という意識を持ちます。

さらに、自分がその空間を支配しているという意識が大切で、その空間をもって相手の攻撃と調和するように動くということを行います。

相手の空間と調和するためには、相手の空間と自分の空間で陰陽図ができるように、相手を巻き込むという形として、最終的には相手と自分という銀河系のような螺旋構造で相手との調和を図るわけです。

これが本来の円転の理というもので、自分一人が円を描くのではなく、相手と共に円を描く、要するに陰陽図を描くわけです。


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【宇宙と合気道の空間】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、今回は少し概念的なものになりますが、宇宙と合気道でつくりだす空間の考え方について少し話したいと思います。


宇宙は全てが互いに影響し合っている

合気道の形稽古をしているときの大切なことは、自分・空間・相手の3つの要素をコントロールすることです。

実は、空間というのは、自分の作り出す空間と相手の作り出す空間があります。

この2つの空間を上手く調和させるのが合気道です。

そのためには、まず自分中心に自分の空間をきっちりと把握する必要があります。

これは、仏教や陰陽道では結界を作るといいますが、合気道では、宇宙と一体になるという表現をします。

自分の作る空間を宇宙の中心として、宇宙自体と調和させる意識を持つということです。

宇宙では、あらゆるものが個別で存在していると同時に、あらゆるものが調和しています。

太陽系では、地球とは一つの惑星ですが、月と地球を考えると、月は地球の周りをまわっていると言われていますが、月から見ると地球が月の周りをまわっているわけです。

物理学的に考えると地球の方が質量が大きいため、ほぼ見かけ上は月は地球の周りをまわっていますが、厳密にはお互いが周りあっているのです。

更にその月と地球は、太陽の周りをまわっています。ただ地球や月は太陽に比べるとチリのようなものなので太陽を中心に回っているようになっていますが、当然地球の重力の影響も無視できるほど非常に微弱ながら太陽に影響を与えているのです。

このように個別のものが、実は互いに影響を与えあって宇宙というのが存在しているわけです。

こういった考えのもと、合気道の形を成立させていくのが合気道の稽古です。


相手の空間を無視してはいけない

宇宙に存在する個別のものが、お互いに影響を与えあっているというのが理解できたと思いますが、それを形稽古に如何に取り入れるかという問題を話したいと思います。

合気道ではまず大切なのが、自分の中心、そして、次に自分を取り巻く空間です。

そのため、自分を取り巻く空間を広く意識する必要があります。というのは、相手と自分の間にできる空間というのは一つのものですので、自分の空間が小さいと、相手の空間の影響が強大になるからです。

そのため、合気道では、自分の空間を宇宙の中心と考え、出来る限り自分の空間を広くとるように意識するわけです。

そして、次に相手が空間を作りながら、自分の空間に割り込んでくるというのを感じます。

このとき、技の掛け手に必要なのが合わせるということです。これはイメージ的には中国の陰陽思想の太極図を考えると分かりやすいと思います。

そうすることで、相手・相手の空間・自分の空間・自分が溶け合い一つの空間を形成する宇宙となります。

当然、このとき宇宙を支配しているのが技の掛け手である取りです。

ですから、受けは攻撃に意識を集中して、取りに対しちゃんと攻撃をする必要があります。

間違ったやり方は、受けが勝手に倒れてやることです。要するに、相手の空間に割り込んで行かず、初めから相手の空間の外にいるようでは、本来の合気道の技の稽古にはならないのです。

但し、この稽古は高段者が行うべき稽古で、技を十分習得していない人向けではありませんが、初心者は上級者に対してできることは、出来るだけ真剣に攻撃をすることが大切です。そうしないと上級者は上達ができないからです。

真剣に攻撃するといっても、 例えば打撃技では寸止めといって当たる前で止めるとかできますので、 初心者の方は誤解のないようにお願いします。相手にけがをさせないのが合気道精神です。


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【空間の認識が大切】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、合気道に関わらず、護身術を行う際に最も大切なのが空間を意識することです。今回は空間についてお話ししたいと思います。


相手より先に、先ずは空間を感じること

合気道は形稽古を行います。形稽古では二人一組になって、技の稽古を行うのが普通です。

技の掛け手である取りと技の受け手である受けという役割を互いに交代しながら行います。形のパターンとしては、受けが初めに攻撃技を仕掛け、取りがその攻撃に対処して技を施します。

形を行う上でどうしても忘れがちなのが、時空という概念です。要するに、時間と空間です。

ついつい自分と相手という二元で考えてしまうと、大切なものが見えなくなります。

すると目先のことしか考えられなくなり、ついには、攻撃される場所だけと、視界がどんどんと狭くなります。

その結果、例えば手首取りなら、 前回お話ししたように、 「相手に持たれたら?」という結果から出発する発想となってしまいます。

すると、もはや武道ではなくなった前提で稽古することになってしまうわけです。

形稽古は相手と向かい合った時点で、もうすでに始まっています。考える必要があるのは、相手との距離がどうなっているかという相手との空間を意識する必要があります。


先ずは空間を支配するのが合気道

 合気道は宇宙と一体になるといいますが、宇宙を遠いものと捉えると非常に難解なことのように感じますが、僕たちは常に宇宙の中にいて、僕たちは宇宙の空間の一部を常に占有しているわけです。

だから、相手と自分という二元で物事をとらえず、宇宙の中の自分と相手という捉え方が大切です。

そのために、まず自分があり、自分の周りに宇宙空間があり、そしてその空間の中に相手がいるという捉ます。

そして、その空間の支配者は技の掛け手である取りでなければならないのです。

そういった認識のもと、形稽古では初めて後の先や先々の先などの特殊な先手の取り方ができるようになります。

合気道では空間を支配することを、先を取ると言わず勝速日といいますが、それは先の究極の形で、相手の変化に応じて、空間を支配し、空間と共に己が動きます。


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