皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。
井口師範の入り身は非常に不思議でした。
例えば、井口師範に正面打ちを行ったとき、突然井口師範が眼前から忽然と消えるのです。
ところが、周りから技の様子を見ていると、井口師範の動きはそんなに速いわけではありません。
ある時、井口師範にその理由を聞いてみました。
「時間を止めるんや」
「???」
もう人間の領域を超えた答えです。ジョジョの冒険の世界の話のようです。
そんな超能力持ってみたいと誰でも思いますよね。
ところが超能力じゃなかった。ちゃんと科学的根拠があったのです。
今日はその理屈を話します。
中心視野を使わせる
人間の視野には2つあり、それは中心視野と周辺視野です。
中心視野の役目は観察にあり、周辺視野の役目は索敵にあります。
中心視野は静止したものを観察するのに適していて、周辺視野は動体の検知に適しています。
そして、中心視野が優位になると、自分を静止させ、観察しようとしてしまうのです。
僕は若いころ絵の勉強をしました。それでデッサンをやった訳ですが、対象物を観察しようとすればするほど、視野が狭くなるということを経験しました。
要するに中心視野だけをはたらかせていたわけです。
「時間を止める」というのは、この中心視野の性質を利用します。
以前に攻撃の三角という話をしました。
狙いを定めると、体がロック状態になり、攻撃動作が終了するまでそのロックが解除されないというこの状況のことです。
「時間を止める」というのは、実はこの攻撃の三角が形成される瞬間に、相手の中心視野をより優位にさせ、周辺視野をはたらかせなくする技術といえます。
中心視野を優位に導く
理屈では、「時間を止める」技術は可能であることが分かったと思います。
では、実際、合気道では一体どうやってそういうことを実現しているのでしょうか。
それは、静から動へと変化する合気道独自のスタイルが関係しています。
動きを起こさず、さらに相手への情報も絶つと、相手はよりこちらを観察しようとします。
これにより、相手が中心視野優位に導くわけです。
そして、相手が攻撃の三角を形成した瞬間に、体の角度を変えずに、間髪を入れずに、タメを使わず移動します。
その際、大切なのは、足以外の自分の体は、静止した状態を維持するこです。
何故なら、体に変化を起こせば、周辺視野が働くからです。
なお、相手が中心視野優位になっていると視野が狭いため足まで気がいきません。
「時間が止まっている」と思い込むことで、よりその状態を作り出せます。
「時間を止める」というのは、心法、要するに心理学なので、理論的には誰にでもできることですが、実際に使うのはかなり敷居が高い技術です。
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