【護身を考える】②

今日は! 皆さんお元気ですか? 僕はメチャ元気です。
今日も前回に引き続いて、合気道と護身術について少し書いていきたいと思います。

今回は「当て身」について述べたいと思います。「当て身」は合気道における打撃技のことを言います。合気道の開祖・植芝盛平翁先生が生きておられた当時は、「合気道は、当て身7分に投げ3分」とおっしゃられていたと聞いています。

ところが、現在の合気道の一部指導者の中には、「当て身のような相手を痛めつけるような技は、世界平和を目指す合気道の精神にふさわしくない」として否定する人がかなり以前から現れています。

15年ほど前ですら、ミクシーというSNSの合気道のコミュニティーで、当て身の必要性を説く井口師範の合気道について述べると、当初はかなり批判の対象となりましたが、今は懐かしい思い出です。

しかし、実際に護身を考えた場合、武器で攻撃してくる相手に一切のダメージも加えず、相手を取り押さえるなんて、かなりの達人でも難しいと思います。実戦性で一世を風靡し、よくマスコミにも登場した達人である合気道養神館の故・塩田師範ですら、当て身の必要性を唱えていました。

ですから、護身の場合、当て身を抜きには考えられないといっても過言ではありません。そのためには当て身のやり方を護身のためによくよく研究しておく必要があります。特に護身の場合、相手の急所を攻撃することを想定した稽古が非常に大切です。

何故なら、暴漢を相手にした時点で、『えーっと、急所を攻撃するんだったなぁ。そうだ、目を突こう」なんて考えている暇はありません。私も2度ほどナイフで脅された経験がありますが、気が付くと、相手に当て身を食らわしていました。とっさのときに、考える暇はありません。日ごろから、動きを覚えておかないと役に立たないのです。知っているのと使えるのは別問題です。

当て身を覚えて損はありません。稽古でも、寸止め(当たる手前で止めること)で相手に当てなければいいだけです。ですから、打撃系の技術は、合気道修行者はもちろん、素人の人も「危険回避」という点からも、知っておく必要はあります。

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【護身を考える】①

今日は! 皆さんお元気ですか? 僕はメチャ元気です。
さて、少しかなり専門的な内容がつづきすぎましたので、会員の人以外の人にとってはかなり困難な内容だったと思います。そこで、今回からは一般の人でもわかるよう合気道と護身術について少し書いていきたいと思います。

「合気道の稽古と護身の稽古」という点について述べて行きたいと思います。念のために行っておきますが、現状の合気道批判する意図ではありませんが、僕の個人的見解としては、合気道の稽古以外に、護身術の稽古が必要だと考えています。

今回は、合気道だけじゃなく、一般的に護身を考えたときも、護身術というのは「危険回避・安全確保」が目的であるということを忘れてはいけないと僕は考えます。

ところで、僕は、護身術道場を主宰していますが、ときどき外部からの要請で護身術教室を行うことがありますが、その際に質問を受けると、
①暴力は嫌いだから、相手に攻撃を加えず、武器を持っている相手を簡単に取り押さえる方法を教えてほしい。
②気を使って、相手に触れずに倒す方法を教えてほしい。
などがあります。

これは合気道護身術というのを名乗っているから、そのような質問がでるのでしょうが、マスコミなどで誇大に扱われるので、かなり合気道が誤解されて伝わっているように思います。どちらにしても僕は、即、「それは無理です。達人がすることを素人がすぐにできるわけがありません」と答えます。

確かに、相手を軽く触れて倒す技術も遠当ての術という技術も存在します。しかし、どちらも、勝速日という特別な状況下を作って行う技術ですので、知っておくとかなり有利ですが、緊急な場合はそいうった特別な状況を作り出す暇がない場合もあります。

ですから、日ごろ道場でそういう稽古をしていても、突然、暴漢が襲ってきた際に、誰でもがとっさにその技術が使えるかというとかなり難しいのが現状です。

仮にその技術が使えたとしても、一瞬相手の動きを止めるだけで、安全が保障される訳ではありませんので、確実に「危険回避・安全確保」できる心構えだけは絶対に必要です。

具体的には、護身を考えた場合、次の手を準備しておく必要があります。準備というか知識の引き出しとして、色々な対処方法を知っておく必要があります。当然、それは相手への急所攻撃も含んでおかないといけませんし、自分も武器を持つということも当然考える必要があります。

僕は若いころ体がひ弱で、とても痩せていたので、いろんな理不尽な目に遭いました。父親が警察官だったので、手首をつかまれたらその外し方は教わっていました。けれども、相手が自分に危害を加えようとして、手首を捕まれたときに、それを外すと、次の瞬間に胸ぐらをつかまれ、顔面を殴られました。

「生兵法は大怪我の基」といいますが、将にその通りでした。相手が捕らえようと手をつかみにきたときに、次の手を考えておかないと、逃げることなどはできないのです。特に、相手が男性あったとき、女性は陸上競技の経験がなければ、走って逃げてもすぐに追いつかれます。

ですから、護身術は「危険回避・安全確保」が目的です。手を捕まれたら外すことが目的ではありませんし、綺麗に相手を制することが目的でもありません。その点から皆さんには護身を考えていただきたいと思います。

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手首取りの技の意義について20(最終回)

みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
さて、手首取りの技の意義について今回で20回目となりました。合気道の手首取りの意義だけでも話出すとかなりの量になっちゃいました。ここまで読まれた読者の皆さんは、もう既にお分かりいただいたと思いますが、手首取りの捕まれたところがの対処が実は合気道の本質なのです。

投げ技などが合気道の中心で、手首取り、袖取り、正面打ち、横面打ち、胸取り、正面突きなどは単なるバリエーションの一つと考えておられる人がかなり多いと思います。ところが、井口合気道では、投げ技や固め技の方がバリエーションの一つで、技の始まりにこそ本質があると教えます。

井口師範は常に「投げ技、固め技は単なる枝葉!」とよくおっしゃいました。今回は、手首取りの技術を、気の面から説明し、かなり専門的になりすぎたかとは思いますが、手首取りが実はこれほど深いのだと分かっていただければと思います。

だから、実戦で手首を取るというのは殆どあり得ないと思われるけれど、それぐらい合気道では手首を取るというのにこだわる訳です。とは言っても、正面打ち、横面打ち、正面突きなどそれぞれの技でこだわるべき本質というのがあります。しかし、合気道の基本が手首取りになる理由は、接触時間が長いという点と、相手の気の変化が分かりやすいという2点からです。

手首取りに関して言えば、確かに、最初から手首を取るというのは、他の格闘技などでもあまり出てきません。それは、手首を取りに行く危険性をよくご存知だからだと思います。手の末端である手首はちょっと動かすだけで一番スピードがでますので取りにくいという点から、手首を取るより、袖をつかんだり、襟首をつかんだり、肩の袖口をつかんだりの方が攻めるほうとしては確実です。また、総合格闘技のように相手を倒して捕まえた方が確実です。

それなに合気道だけが手首取りの技にかなりの稽古を費やします。ですから、どれだけ開祖・植芝盛平翁先生が重要視していたか分かるのではないでしょうか。

だから、合気道独自の「合わせ」の概念が入り、翁先生のおっしゃる相手と一体になるという境地が現れています。ですから、「気」をどう扱うのかという点から振り返って、再度手首取りの技を研究する必要があると思います。手首取りの技は、物理学的にも、生理学的にも、心理学的にも、さらに「気」の面でもどれをとっても大切ですし、どれにも則っている必要があります。

超常現象を求めて合気道の「気」を研究する人もい多くいると聞きます。確かに開祖は鉄砲の玉の飛んでくるのが分かり、鉄砲の玉が飛び交う中、平然とそれを躱したという話もあります。また井口師範にも私が木剣を振り下ろす後ろからの攻撃を見もしないで絶妙なタイミングで躱したという経験もあります。

ただ、翁先生にしても井口師範にしても戦争という極限を体験されているので、かなり特別ではないかと思います。ですから、現在の合気道では、そういった超常現象だけに目を向けるのではなく、もっと着実に技を誰もが分かる面から入り、あらゆる天地自然の理と調和するという考えの方が大切だと私は考えています。

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手首取りの技の意義について19

みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
さて、手首取りの技の意義について今回で19回目となりました。今回は天の鳥船の行で行う魂振りの効能について述べたいと思います。突然、宗教に走るの?と思われたかしれませんね。そうではありません。飽くまでも技術の話です。

実は私は毎日天の鳥船の行を10年以上続けました。するとある時、頭の天辺から自分の体の真ん中を突き抜けて地面に向かう力のラインを感じたのです。すると、気のラインを使ったとき、相手の力がすべてそのラインを通じて逃げて行くようになりました。

私はこの不思議な感覚を宗教的なものにせず、物理学や生理学などで分析を試みました。その結果、面白いことが分かったのです。そしてその分かった結論を利用すると、私が10年以上かかったものが、何と最短5分の指導で私の上記の体験と同じように相手の力を逃がすことが実現できるということがわかりました。

以前動画で小学4年生の男の子にこのやり方を教えたところ、お母さんが体重をかけてその子どもの膝に手をやった手首を押さえたところ、簡単にお母さんを挙げてしまったので驚いたことがあります。しかし、お母さんには秘伝を教えていなかったので、小学校4年の子供に抑えられてもウンともスンとも動きませんでした。

ただし、この方法は現在は当会の秘伝ということで小学4年の子ども以外は有段者にしか教えていませんが、気のラインを有効に使う手段であるので、最短5分の方法は述べませんが、原理を述べていきたいと思います。

先ず、振り魂ですが、天の鳥船の行をやるたびに両足を肩幅より少し開いて立ち、左右の手を互いに握手するように組み(玉印という)、十言神呪(とことのかじり/あまてらすおおみかみ)などの言葉をとなえながら、体を上下に小さく振動させながら、組んだ手を振る動作で、トランス状態に導くものです。

この動作をすることで、体が地面と繋がった感触をもちましたが、運動生理学上の研究の結果、実は、私が相手の力を意識せず、意識を足の両裏に集めるて、私が相手を支えると考えると、相手に逆らうための方向性と違う方向に力が働き、結果として、相手の意外性を誘い最終的に相手は力がでなくなるというものです。

これは相手が力を入れようと押さえたとき、その一点において、しかも特定方向に最大限の力がでるように押さえます。ということは相手はこちらの予想ができず、その最大限の力がでる方向ではない方向に力がかかったとしたらどうでしょうか。相手は思うように力がでなくなるのではないでしょうか?

そういった原理で、私の神秘体験は終わりを告げる羽目になりました。特別な剛力を得たわけじゃなかったのです。ここまでつらつらと書いてきましたが、結論をいうと、「最外殻の気」の反応を起こさない方法として、地面に相手の力を逃がすということで、相手の力をただ支え、そして自分は足を意識して逃がしてやれば、自然と手が上がってくる。
そういう力の出し方もあるということです。

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手首取りの技の意義について18

みなさん!

こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!

さて、手首取りの技の意義について今回で18回目となりました。今回は手首取りの技で有効な気のラインという話をしたいと思います。

気のラインというのは、井口師範は「気の通り道」とおっしゃったものですが、要は、手を上に挙げる際に最も力が出しやすいポジションです。気のラインというのは、3つあり、自分の正中の全面で拳2つ分ぐらいの位置に一本、そして男性の場合ですが乳首の前の拳2つ分ぐらい前にそれぞれ1本あります。

そして、右手の気のラインは、正中ラインと右のライン、左手の気のラインは、正中のラインと左のラインです。例えば相手に手を捕まれたとき、手を挙げる際、このラインを通ると相手は逆らいにくくなります。特に手の上下においては、このラインを通ると非常に力の出るラインとなります。人間の構造上、かなり力がでやすい位置です。

また、この位置は相手に遠く、自分に近いということで、技を掛ける際も非常に有利になります。ただし、このラインを使うのも注意点があります。それは、前回お話ししたように、肩の力が入らない事。具体的には三角筋という筋肉を緊張させないことです。

そのため、肘を出来るだけ下にくるようにして頂く必要があります。特に腕が上に向かう場合は「内殻の気」を意識し指先から上にあがるように行います。気のラインを使う際もそうですが、「最外殻の気」「内殻の気」は意識した方がかなりいい。「最外殻の気」が動いていないか、「内殻の気」はちゃんと動いているかを意識していただきたいと思います。そのためには手を張るということを忘れないでほしいと思います。

そういった注意点を意識して、達人クラスの人の技を映像で見た場合、かなりこの気のラインを使っていることがわかると思います。ただ、誤解をされる恐れがあるので言っておきますが、この気のラインは飽くまでも手が上下する時のラインということで、常にここにいる必要があるということではありません。

以前、気のラインを教えた人が、余りにもこだわり過ぎていたので驚いたことがあります。座り技呼吸法でこの位置で技をかけようとしていたのです。相手を前方に押す際は、当然、腕を伸ばしてもよいのです。この気のラインというのは、相手を垂直方向で支える際に利用するものです。

ですから、相手を垂直方向で支え、崩していたなら、その気のラインのまま、体を少し斜めに倒すだけで、勝手に倒れますが、そうでもない場合もあり、相手を押す方に崩していたなら、そのまま手を伸ばしてやればいいのです。

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手首取りの技の意義について17

みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
さて、手首取りの技の意義について今回で17回目となりました。前回は片手取り小手返し投げを説明しましたが、力が抜けた一部の人は上手く出来た人がいるかもしれませんね。

今回は、説明がかなり難しいのでやめようと思ったのですが、片手取り一教について、「外殻の気」をどう使うかという点を述べてみたいと思います。これは、回転投げでもつかえるのですが、言葉上での説明では非常に分かりにくいのではないかとは思いますので、その辺りはご了承ねがいます。分からなくても当たり前ですので、一応参考までということで……。

では、今回は、自分の左手を相手の右手で捕まれた場合の逆半身での説明をしていきます。相手の取っている右手に、取られている左手で「外殻の気」を取ります。その際は、軽く手首を反らせます。注意事項としては、相手が握っているところに当たるようなことはしないで飽くまでも軽く相手に触れるようにします。

さらに触れた部分から、植物の茎が突然ニョキニョキと伸びるようにイメージして、持たれた手首を意識せず上を意識して、手を挙げます。すると不思議なことに相手の右手が上に上がります。その後、一教をかければ一教、回転投げをかければ回転投げになります。

話にするとこれだけなのですが、これには注意点があります。手を挙げるとき三角筋という肩の筋肉に力が入らないことなのです。実はこの三角筋というのが非常に曲者で、合気道の動作で失敗する殆どの問題が三角筋の緊張なのです。


(wikipediaより)

というのは、三角筋という筋肉は、非常に敏感なのです。ですから肩に力が入ったと感じている人は確実に三角筋が緊張しています。逆に、緊張するとこの三角筋が反応して、さらに僧帽筋など肩関連の筋肉が緊張し肩が上がったりしますが、三角筋は特に感情に敏感です。

敏感ということは、すなわち「最外殻の気」が集まりやすいといことです。「最外殻の気」が三角筋、要するに肩に集まると当然相手は反応します。

ですから、この三角筋をできるだけ緊張させない動作が必要になります。これには何も重りを持たない状態で三角筋が緊張しない動きはどうすべきかを研究していただくのがいいと思います。次回はそのヒントとなる気のラインというお話しをしたいと思います。お楽しみに!

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手首取りの技の意義について16

みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
さて、手首取りの技の意義について今回で16回目となりました。前回から相手の「外殻の気」のコントロールについて書いています。前回は、片手取り小手返しの技で説明をするということで話は終わりましたが、片手取り小手返しの技でどこで「外殻の気」をとっているのか分かったでしょうか?
前回の説明では、どこが「外殻の気」をとっているのかという部分が非常にわかりにくいと思いますが、今回の説明のため、もう一度前回の説明を載せておきます。

①先ず、左手首を相手の右手で捕まれた場合、己の右手で相手の顔面に当て身を入れる。
②すかさずその右手で相手の皮膚を撫でるように、相手の前腕に沿わせるとともに、左手を相手の右手から抜き取ります。
③沿わせた右手をそのままにして、左手で上から相手の手を小手返しをしやすい位置で軽く抑えます。それと同時に、左足を軸に相手に対して横になるように転換し、相手の手をつかみます。
④さらに逆ターンすると同時に小手返しを効かせ投げます。

上記の説明では実は3度「外殻の気」を取っています。
先ずは②の動作です。これは多くの人が分かったと思いますが、「相手の皮膚を撫でるように」とありますが、この点ですね。相手の皮膚を撫でるように取ると、不思議と相手の右手から左手が簡単に抜けます。ところが、左手を抜こうと相手を右手で思い切り抑えると、中々左手は抜けません。力の弱い女性なら全く歯が立たないことになるでしょう。

さらに2度目は、左手を抜いた後、右手をそのままに残したときです。これも右手をそこに残すことで相手の「外殻の気」が反応して、何故か相手は自分の右手を動かす気にならないのです。

さらに、3度目は左手で相手の右手を押さえる時です。このときもいきなりつかむのじゃなくただ、相手の手に置いておきます。そして逆ターンをしたときに初めて小手を決めるわけです。

を抜く際に、右手で相手の右手の「外殻の気」を捕らえています。「外殻の気」を捕らえる際は決して「内殻の気」に影響させないというのが原則ですので、あまり強くすると「内殻の気」に影響がでます。

そんなので効くかと思われると思いますが、心理学ですというのが答えです。相手はこちらが危害を加えないと「防衛本能」が働かないのか不思議と何もし返そうとしないのです。このようなそれぞれの動作が合気道では合わせと言って、相手と一体になり、相手の反応を起こさないということを導きます。その結果相手は、訳も分からず投げられてしまいます。

すると投げられているのに笑いが出てきたリします。敵意むき出しで、力づくで投げられると、かなり悔しさがこみあげて、笑い出すと言うことはおこりませんが、合気道で意味が分からず投げられると笑いがでてくるのです。まさに、世界平和を目指す合気道ならではと思います。

手首取りの技の意義について15

みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
さて、手首取りの技の意義について今回で15回目となりました。前回は「内殻の気」で相手の「内殻の気」もコントロールできるということをお話ししました。「内殻の気」を遮断すると相手は思うように力が出せなくなるということでした。

手首取りの技もかなりの技術が濃縮されているというのが分かったと思います。このように合気道の技というのは、二重、三重と何重にも様々な技術が含まれていて、一体どの技術を使われたのか分からなくなるようになっています。そのため、達人が行う技は全く検討がつかない訳です。

今回は「外殻の気」の利用についてお話ししましょう。「外殻の気」の利用は、片手取り回転投げなどの片手取り一教系の技術と一旦取られた手を切る片手取り小手返し系の技術の2つが代表的なものになるでしょう。

「外殻の気」については実際に技を通じて体験しないとわからない面があります。というのは「外殻の気」の利用は、当会では「火の技術」に属し、別名「皮膚感覚の技術」と呼ぶもので、かなり感覚的なものなのです。ですので、文章上の説明ではその感覚を伝えることができないので、知識としてお読み頂ければと思います。

心理学で説明すると、「生理学的に相手の注意をそらせて、運動エネルギーを使って予想外の方向に相手のを導く」というものになります。学問で言うとそうなんですが、かなり感覚に頼る部分がおおきいので、桃の味を知らない人に桃の味を説明できないように、やはりその感覚を知らない人にはできなものです。

ですので、今回は分かりやすくするため、持たれた手を切る片手取り小手返し投げの技で説明していきます。尚、当会のやり方での説明になるため、途中当て身が入りますが、悪しからずご了承ください。

また、実際は手首を取らせますが、表現としては「捕まれた」と一般的な書き方に合わせて書いています。なお、文字数が多くなるので詳細の説明は次回ということで、動きだけ説明しておきますので、読者の皆さんの宿題としますので、どこで「外殻の気」をとっているのか少しご自分で考えてください。

そのヒントとして、「外殻の気」を捕らえる際は決して「内殻の気」に影響させないというのが原則です。あまり強くすると「内殻の気」に影響がでますし、自分の「外殻の気」が集まり相手に動きがばれてしまいます。

では小手返し投げの説明をしておきます。

①先ず、左手首を相手の右手で捕まれた場合、己の右手で相手の顔面に当て身を入れる。
②すかさずその右手で相手の皮膚の表面を撫でるように、相手の前腕に沿わせるとともに、左手を相手の右手から抜き取ります。
③沿わせた右手をそのままにして、左手で上から相手の手を小手返しをしやすい位置で軽く抑えます。それと同時に、左足を軸に相手に対して横になるように転換し、相手の手をつかみます。
④さらに逆ターンすると同時に小手返しを効かせ投げます。

手首取りの技の意義について14

みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
さて、手首取りの技の意義について今回で14回目となりました。前回は自分の「内殻の気」を利用して、「外殻の気」を相手との接点に集めない方法を述べました。

さらに今回は相手の「内殻の気」をコントロールする方法について述べたいと思います。といいますか、実は前回で、実は相手の「内殻の気」をコントロールする方法は述べているのです。

というのは、自分の「手を張り、指を開く」ことで自分の「内殻の気」を指先に集めたといいましたが、実は「手を張る」ことで、自分の「内殻の気」が手首を伝って手先に集まるときに相手の「内殻の気」が遮断されているのです。そのため、相手が非常に敏感な人なら、急に握力が抜かれた感覚を感じているはずです。

そこで、ちょっとした実験をしてみたいと思います。道具は一切いりません。人もいりません。一人でできますが、ただ両手が使える必要はありますので、怪我などされている方には申し訳ありませんがご了承ください。

では実験です。先ず、右手首を左手でつかんでください。そして右手を開いて張る訳ですが、「内殻の気」の流れが手首から指先に流れるというのを意識して、手を張って下さい。そうすると、右手首が太くなったような左手の握力が出しにくいような感覚がでませんか?

これが自分の「内殻の気」による相手の「内殻の気」の遮断です。これを座り技呼吸法のときにやると、相手はあなたに逆らえなくなり、簡単に倒れます。実は「内殻の気」が遮断されると腕力も入りにくくなるのです。

この「内殻の気」の遮断の威力は予想以上のものがあります。この効果が分かれば技も非常に面白くなるので。当会に所属している非常に熱心な会員が入門前に体験した話をしましょう。

彼はかなりがっしりした筋肉体系の男性で、ボクシング経験者ということで当会にこられました。そのとき、私は彼とボクシングのスパーリングをして完全制圧し、そして、当会の技は力を使わない技術なのでその証拠にと、彼よりも一回りは小さい女性と力比べをしてもらいました。

力比べというのは、その女性との座り技呼吸法を体験してもらったのです。私も彼に比べると体格的には随分と不利だとは思ったのですが、ここでもっと印象を焼き付けておこうと、彼女にやってもらったのです。筋肉質の彼がどんなに必死で彼女を押し倒そうとしても、簡単にコロンと倒されます。何度挑戦しても結果は同じでした。ということで、彼はめでたく入門してくれました。

未だに、彼はその時の驚きを口にします。やはり当会に入門した一番の切っ掛けはやはり彼女にどんなに力を出しても押し倒された驚きだったそうです。こんなことがあるんだと驚いたそうです。

実は、この女性はそれよりも随分前に座り技呼吸法で二人ほど、合気道歴十年以上のベテランと対決し、取りでも受けでも相手を制圧していました。ですから、この張りを使って「内殻の気」を使えると非常に強い味方になるというのがわかったと思います。

手首取りの技の意義について13

みなさん!
こんにちは、お元気ですか? 僕はめちゃ元気です!
さて、手首取りの技の意義について今回で13回目となりました。前回は自分の「最外殻の気」をコントロールする方法として「内殻の気」の利用例をあげました。それは、座り技呼吸法で行う「手を張り、指を開く」ということを例で示しました。

しかし、どの技でも「手を張り、指を開く」と効くかというとそうではありません。そのため、今回は「内殻の気」の流し方について述べていきます。その例で分かりやすいのが、体の転換です。

ご存知とは思いますが、師範によって呼び方が若干ことなる場合があると思うので説明の都合上、確認のために体の転換について述べておきます。現在多くの道場で行われている体の転換というのは、片手をつかませると同時に、自分が相手の外側に回り、相手を導いて相手を移動させる技術となっています。ちなみに、昭和32年発行の『植芝盛平監修 植芝吉祥丸著 合気道』においては、「相手に片手を取られた時、自己の左または右足を軸として転換し、自己を相手より最も安全な、しかも相手を容易に制し得る場所に移動する方法である」と述べられていて、相手の横に入るのが目的だったようです。現在、相手を振り回すことを目的にしていたのと異なる記載が書かれているので、元々は如何に相手を振り回すかというものでは無かったようです。

それはさておき、体の転換ですが、相手に手首を取らせたならすぐに両手先にに力を入れ内側に手首を曲げ張ります。このとき「内殻の気」が指先に集まり、そこで足を軸に外回りをすると、相手は「内殻の気」に引かれ移動を始めます。

これが「内殻の気」の使い方です。ですから、相手を導く方向に、手先を張るということが大切なのです。そうすると、後ろ取りであっても手首から引っ張るのではなく、手先から引っ張るという意味がわかると思います。

Youtubeなどで映像で見ていると手先で引っ張っていない方がいらっしゃいますが、それだと「内殻の気」は使われていなく、前回の「最外殻の気」のみが使われている技となります。

しかし、「内殻の気」を意識して稽古をしていると、身体の色々なところに「内殻の気」を集めることができるようになります。気の研究会(現・心身統一合気道)で有名な藤平光一師範はこの気を肘にもってきたり、指先にもってきたり、膝にもってきたりして、技を掛けておられたようです。また、和歌山の別の武道団体で有名な達人のH氏は肘に集めたり、胸骨に集めたり、膝に集めたりした技を披露していますが、ご本人の説明にはないのでご自覚はされていないのだと思います。

このようなことは一部の才能のある人だけの話になるので、是非「内殻の気」を自覚して、先ずは手先に「内殻の気」を集め技に熟練されることをお勧めします。

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