【形稽古のプロセス5:生理学的技術】意識を外す

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、今日は前回の生理学的技術のつづきをお話ししたいと思います。

前回は、呼吸力を扱いましたが、僕の分類では、気の力というよりも、生理学的な反応を利用して、相手にこちらの力を読み誤らせる手法を使った技術として紹介しました。

今回は、相手の意識を逸らせる手法を説明したいと思います。


相手の意識を逸らせる

 

相手の意識を逸らせる最も簡単な方法は、合気道では当て身(合気道の打撃法)があります。

投げ技や固め技をかける前に、相手の身体に打撃が加わえることで、相手の意識や集中を一瞬奪うことができます。

するといくら腕に力が入っていても、思いもよらないところに打撃が入るとついそちらに意識を飛ばしてしまうものです。

しかし、当て身だけが、相手の意識を逸らせる方法かというと、そうではなく、当て身のような強い刺激とは反対に非常に弱い刺激も実は意識がそれる原因となりえます。

例えば、相手に片手首を握られたとき、相手の握っている手の手首に軽く別の手を添えると、簡単に相手の手を離すことができます。

 


触れるだけでも相手の意識は逸れる

 

実は、当て身によって相手の意識を逸らせるのは、初級者の技術で、上級者は、軽く触れるだけで、相手の意識を逸らせます。

そのためには、相手との接点での緊張を無くす必要があります。

師匠は「相手に与えなさい」と表現しました。

要するに、例えば相手に手首をとられているのなら、肩の力を抜いて、相手にものを渡す如く、腕全体を相手にあずけてしまう必要があります。

一方、相手との接点に少しでも緊張があると、相手にはコチラの意図が伝わり、動きがわかるようになります。

反対に、相手にものを渡すように、腕を完全に与えきると、接点での緊張がなくなり、こちらの意図が相手には見えなくなります。

その時点で、あなたの別の手が相手に触れると、相手の意識は完全にそっちの手に持っていかれます。

例え、相手が思い切り手首を握っていても、意識が外れると、手の握りが疎かになり、簡単に外すことができるようになるのです。

フィリピン武術のカリ(エスティマ)では、相手の手に打撃を与えて手首を外す技術がありますが、打撃が痛くて手が一時的に機能しなくて手が離れるのではなく、意識がそれるから離れるのです。

カリのこの技術を批判しているのではありません。カリにはカリの戦闘法があり、相手の手を痛めつけておくことで、相手の次の動作を封じることができますので、より自分を有利にするという点でかなり実践的といえます。

これについては、合気道の当て身でも同じことが言えますので、暴漢相手だと、当て身を入れて次の動作を封じる方が有効です。

ただ、技術面として、強い刺激でも弱い刺激でも相手の意識を外すという点で同じだといえます。


 

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