皆さん
今日は! 元気ですか? 僕はメチャ元気です。
さて、前回の内容は、かなり科学的に書きましたが、内容的には非常に抽象的になりました。でも、意識が自分の動作にかなり影響が出るということは理解はできたと思います。そして、その意識の持ち方を研究することで、「意識して動く」と「意識せずに動く」以外の第三の方向性が見いだせたのではないかと思います。そして、我々に必要なのはどう意識すると、相手はどう動くかという経験を積む必要があります。
その初歩的なヒントとして、【別の土俵で闘う】という点で、少し手首取りの話をしていきたいと思います。
合気道では、手首取りという技があります。具体的には、片手取り、両手取り、諸手取りなどですが、通常は、師範は「持たれたら」という言葉を使います。
でも、本当は「持たれたら」、もう遅いというのが武道的な考えです。例えば、殴るという動作を考えてみたらどうでしょう。「顎を思い切り殴られたら」と、師範が技を見せたらあなたはどう思うでしょう。
ボクサーのパンチはかなり速いです。その上パワフルです。未だかつて、顎にクリーンヒットがあって、相手のパンチを返したボクサーはいません。確かに古武道と呼ばれる分野で、殴らせても大丈夫というパフォーマンスを演じる人はいますが、それは心理学的な手法をとって、クリーンヒットを避けているからです。
余談になりましたが、要するに「顎を思い切り殴られたら」というと、答えは「倒れてしまいます」です。それと同様に、「持たれたら」本当は終わっています。「刺されたら」終わっています。
何を言いたいかというと、「持たれる」のではなく、「持たせる」という心構えが必要になります。何故かというと、武道では先を取ることが最も大切だからです。持たれるというと相手に先を取られているわけです。持たれた瞬間、実戦では相手は次の行動に入っています。仲良しクラブじゃないので、持たれても後は何もしないって言うことはありません。
さらに、「持たせる」と何故、先を取れるかということですが、ただ相手が持つのを待っているだけではなく、罠を張っているという気持ちがあるためです。ですから、大切なのは、例えば片手取りの場合なら、片手を取りに来た瞬間を狙うことだけを考えて手を差し出します。
この瞬間について少し詳しく説明しておきましょう。相手の手首を取るというのは、ターゲットである手首まで手を持っていき、そこで握るという2つの動作が必要です。だから、手首に触れた時点から、握るという動作が終了するまでタイムラグが生じます。触れた瞬間、握れているということでないわけです
しかも、相手が握ろうと思った瞬間から手の指が握れるまで、動作がとまらないというのが生理学的特性があります。この握ろうとした瞬間から、握り込むまでの時間を利用すれば、相手を思い通り扱えるわけです。
そのため、ただ手首を持たれるのじゃく、こちらが、罠を仕掛けるがごとく、相手に手首を差し出し持たせるわけです。この点が技がきれいに決まる大切なポイントです。
結局、ちょっとした意識の持ち方を変えるだけで、相手の土俵で戦うように見せながら、実は自分の土俵に相手を引き込んでいるわけです。