【重心の科学】1

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャ元気です。

さて、今日から、合気道と重心に関して記事を書いていこうと思います。

今回は合気道で行うパフォーマンスの一つ、「持ち上がらない体」について科学的視点で述べます。


持ち上がらない体

 

持ち上がらない体というのは、氣の研究会主宰の藤平光一師範が、合気会の師範部長であったころから、気の威力を示すために行ったパフォーマンスの一つです。

心身統一して、重みが下にあると、体の軽い人でも上に持ちげることができないというものです。

力の強い人が体の軽い人を持ち上げることができないというのは、一見するととても不思議に思います。

しかし、この持ち上がらない体というのも、科学的な視点から見ると非常に合理的であることが分かります。

 


相手を持ち上げるためには?!

 

上の写真は藤平光一師範が、重みを上に意識すると簡単に上に持ちあがるというパーフォーマンスを示したものです。

ところでこの写真を科学的に見ていきましょう。

人や物を挙上するためには、両足が支えとなて、両足底の丁度中間地点に重みが集まる必要があります。

要するに持ち上げる人の支点に重心からの重みが落ちる必要があるのです。

下の写真で、持ち上げる人と藤平師範の二人の合成した重心位置を見てみますと、合成した重心位置、要するに重みの中心点は、持ち上げる人の力の支点となる両足底の丁度ど真ん中に来ているのがわかります。

この条件が満たされたときだけ、人や物が持ち上がるのです。

 


相手が持ち上がらない訳

相手が持ち上げられる理由がわかったと思いますが、ではどうすれば持ちあがれないのか?という問題ですね。

持ち上げられないようにする科学的なポイントは、体軸を倒さないということです。

藤平師範の主張では、重みを下に持ってくるということですが、これは意識の問題を表しています。

自分の足がしっかりと体重が乗るのは体軸が倒れていないときですから、重みを下に持ってくる意識をすることで、体軸が安定し、両足底の丁度真ん中に重心が来るわけです。

そうすることで、相手との合成した重心は常に相手が持ち上げる支点としたい位置より前になります。

その結果、持ち上げようと力を入れると、持ち上げようとする人の体軸が傾きます。

体軸が傾くとバランスを失うため、持ち上げようとしても持ち上がらないのです。

ですから、意識を下にもってくると体重が増えるわけではなく、相手のバランスを崩すから、重く感じさせることができるわけです。

*  *  *

氣の研究会の藤平師範は、心の使い方から体の使い方を指導されました。

ですから、心により体を操作するという視点が大切です。

気を意識するだけで体が動かさないのだと全く意味がありません。

このように一見不可思議に見えるものも、かなり科学的に解明できるものです。

読者の皆さんも、重いものを持つ時は、自分の足元が力の支点になるということを意識して、重みの中心がその上にくるように注意しましょう。

そして、足の力を利用してものを持つのが、けがを防ぐ持ち方になります。

 

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