【重心の科学】1

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャ元気です。

さて、今日から、合気道と重心に関して記事を書いていこうと思います。

今回は合気道で行うパフォーマンスの一つ、「持ち上がらない体」について科学的視点で述べます。


持ち上がらない体

 

持ち上がらない体というのは、氣の研究会主宰の藤平光一師範が、合気会の師範部長であったころから、気の威力を示すために行ったパフォーマンスの一つです。

心身統一して、重みが下にあると、体の軽い人でも上に持ちげることができないというものです。

力の強い人が体の軽い人を持ち上げることができないというのは、一見するととても不思議に思います。

しかし、この持ち上がらない体というのも、科学的な視点から見ると非常に合理的であることが分かります。

 


相手を持ち上げるためには?!

 

上の写真は藤平光一師範が、重みを上に意識すると簡単に上に持ちあがるというパーフォーマンスを示したものです。

ところでこの写真を科学的に見ていきましょう。

人や物を挙上するためには、両足が支えとなて、両足底の丁度中間地点に重みが集まる必要があります。

要するに持ち上げる人の支点に重心からの重みが落ちる必要があるのです。

下の写真で、持ち上げる人と藤平師範の二人の合成した重心位置を見てみますと、合成した重心位置、要するに重みの中心点は、持ち上げる人の力の支点となる両足底の丁度ど真ん中に来ているのがわかります。

この条件が満たされたときだけ、人や物が持ち上がるのです。

 


相手が持ち上がらない訳

相手が持ち上げられる理由がわかったと思いますが、ではどうすれば持ちあがれないのか?という問題ですね。

持ち上げられないようにする科学的なポイントは、体軸を倒さないということです。

藤平師範の主張では、重みを下に持ってくるということですが、これは意識の問題を表しています。

自分の足がしっかりと体重が乗るのは体軸が倒れていないときですから、重みを下に持ってくる意識をすることで、体軸が安定し、両足底の丁度真ん中に重心が来るわけです。

そうすることで、相手との合成した重心は常に相手が持ち上げる支点としたい位置より前になります。

その結果、持ち上げようと力を入れると、持ち上げようとする人の体軸が傾きます。

体軸が傾くとバランスを失うため、持ち上げようとしても持ち上がらないのです。

ですから、意識を下にもってくると体重が増えるわけではなく、相手のバランスを崩すから、重く感じさせることができるわけです。

*  *  *

氣の研究会の藤平師範は、心の使い方から体の使い方を指導されました。

ですから、心により体を操作するという視点が大切です。

気を意識するだけで体が動かさないのだと全く意味がありません。

このように一見不可思議に見えるものも、かなり科学的に解明できるものです。

読者の皆さんも、重いものを持つ時は、自分の足元が力の支点になるということを意識して、重みの中心がその上にくるように注意しましょう。

そして、足の力を利用してものを持つのが、けがを防ぐ持ち方になります。

 

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【武道でリハビリは可能か?!】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャ元気です。

実は先週の月曜日から土曜まで、九州は熊本から来られた男性の個人指導を行いました。

その方の個人指導していろいろと気づいた点があります。

今日はその話をしたいと思います。


はるばる九州は熊本から

 

 

その人は、公務員をしながら元々空手をやっていたのですが、2年前に脳梗塞を患い、片手、片足が不自由になられました。

しかし、何とか努力の末、リハビリで普通の生活ができるようにまでなられとのことです。

それで、お会いした時点では、体が不自由になったと聞いて初めて、よくよく見ると少し動作が緩慢かな?と見えるぐらいで、普通と変わりありませんでした。

ところが普通の生活をするようになると、病院ではそれ以上のリハビリは無いので、自分でリハビリをするしかなくなったそうです。

普通の生活ができるようになったとはいえ、片足にまだまだハンディがあるため、もはや蹴り技がある空手を続けることができません。

そこで、好きな武道を通じてできないかと考え、ブログやユーチューブで、以前より関心があった当会に来られたということです。

 


武道でのリハビリは可能か?

 

 

今回指導した結論からいうと、普通の生活が営める程度回復した人なら、リハビリとして武道をするのは可能です。

というか、当会の合気道の考え方で行えば、進歩ができる可能性が見いだせました。

一週間の稽古でしたが、身体の注意事項を守って動作を行うだけで、かなりの進歩がみられました。

この理由は、当会の稽古での基本的な動作では、素早い動作を要さないからです。

多くの通常の武道や格闘技では、タメを作って動作に移すという2拍子の動作が基本となっています。

一方、当会の合気道は、タメを作らずすっと入るという1拍子での動作です。

通常の武道や格闘技では、隙のない動きを完成させるため、出来る限り反射神経を鍛えて、高速になるように努力します。

ですが、合気道独自の視点にたって、その視点でできるだけ無駄な部分を省いて技を出すようにします。

ですから、合気道では思うほど素早い動作が必要なくなるので、ハンディを抱えながらでも、武道としての上達が見込めるということです。

ちなみに、他の武道や格闘技の批判をしている訳ではないので誤解しないでください。

他の武道や格闘技はそれぞれ素晴らしい点をたくさん持っています。

しかし、全く違った視点に立つと、違った動作が必要になるとともに不要な動作もでるという意味です。

例えば、ガソリン車のエンジン部分だけをモータに変えて電気自動車にするのでなく、モーターという視点にたてば、不要な部分が沢山でてくるのと同じことだという意味なので、誤解をしないでください。

 

 


武道では足腰の強さが必要

 

 

合気道では、腕力を必要としませんが、地球の力を借ります。

言い方を変えると、地面を支える足の力が必要となります。

そのため、足腰の強さが思った以上に必要となるのです。

 

特に今回のご指導で、合気道の術理においては、最低限、足腰の強さの必要性を感じました。

ただ、日常の生活ができるレベルまで回復した人であれば、足腰の鍛錬に合気道の稽古は適していると思われます。

*  *  *

 

以上から、軽い脳梗塞による障害のリハビリには、井口師範の合気道は、日常の生活が普通にできるレベルに戻った身体なら武道として使えるレベルになるには十分可能だと分かりました。

 

 

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【折れない腕の科学】2

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、ここのところ折れない腕の話をしていますが、折れない腕というのは、単なるパフォーマンスではなく、かなり実用に使えるという話を前回にしました。

しかし最も大切な点は、心の在り方が身体に影響がでるという実例を示すものだということです。

ですから、前回で伸筋論ではダメだというお話しをしたわけです。

折れない腕は、単なる身体的技術だけではありません。実は心理学的技術でもあり、自分の無意識操作と相手の無意識操作の2つができて完成します。

 


自分の無意識操作

 

丹田を意識し、腕に気が流れると意識するだけで、力が肘にかかった相手の力が非常によくわかります。

さらに、相手の力がわかると、その力を相手に返すように意識すると、腕が一直線に伸びるのではなく、そのままのポジションで、相手に力が還るような筋肉運動が起こります。

このとき、自分の丹田と相手の中心軸がつながった独特の感覚が起こります。

この感覚をおこしているだけで、術者は、適切な力の入れ方を自動的にできるようになります。


相手の無意識操作

 

 

術者が、丹田を意識し、腕に気が流れるという意識を保ち続ける意味は、腕を折ろうとする方に術者の力の出し方やタイミングを分かりにくくする意図があります。

一方、術者が、腕を折ろうとする相手の腕の力に逆らおうと、伸筋を伸ばした場合、相手は術者の力の入れるタイミングや方向が分かりやすくなります。

その結果、実は伸筋を意識して肘の伸展を行った場合、受け手は術者の意図が簡単にわかり、術者より腕力が上の受け手は、術者の腕を簡単に折ることができます。

ところが、術者の意識が別のところに行っていると、意図が隠れ、受け手は術者から正確な情報を受け取れなくなります。

そのため、どう反応していいかわからないという状態が相手は無意識の中でなります。

人は、自分が経験のない対処ができない状況に陥ると、脳が一種のパニック状態に陥ます。

不幸なことにこのようなパニック状態は殆ど自覚がないということです。

そうなると、相手の力は十分発揮できなくなるとともに、相手のを心理をコントロールがしやすい状況になります。

その結果、相手の力はこちらの意図通り相手に返すということができるわけです。


 

 

このように折れない腕だけをとっても、物理学、生理学、心理学などの科学的要素が沢山入っています。

要するに、合気道の技術というのは、身体の操作だけでなく、自分をコントロールする心理的手法と相手をコントロールする心理的手法を組み合わせた、トータルでの現象を導き出す技術ともいえるわけです。

 

 

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【折れない腕の科学】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

前回から折れない腕という合気道の基本的な技術について述べています。

今回はさらに折れない腕というものを科学的に考察していきたいと思います。

 


伸筋を使う?

 

合気道を扱う本は非常に多く、気の神秘的な面だけを述べるのではなく、科学的に解明している本もたくさんあります。

そういった本の一部では、折れない腕というのは屈筋を使わず、伸筋だけを使う技術だと主張している人がいます。

ところが、そのような考えでは、いろいろな問題が生じる恐れがあります。

そうなると、やっぱり筋肉をつけないといけないと、ウェートトレーニングに走る人が現れるからです。

別に筋肉をつけるのは悪い事ではありません。

しかし、ウェートトレーニングの場合、動的トレーニングを行いますので、伸筋を鍛えるため、伸ばす運動をしつつウェートによる負荷をかけます。

その結果、伸筋を使うため、肘を伸ばそうという動きが出、肘がどんどんとストレートになっていきます。

また、丹田を意識する必要もないという考えになってきます。

ところが、以下の折れない腕の提唱者の藤平師の写真を見ると、腕は曲げたままで、それ以上折り曲がらないというパフォーマンスを見せています。

このように伸筋を使って腕を伸ばしていく技術が、折れない技術ではないのです。

 

折れない腕は相手とのバランス!

 

折れない腕は単に伸筋だけの筋肉運動でないということがご理解いただいたと思います。

さらに、折れない腕というのは、丹田を意識するということが必要になりますが、腕と丹田がつながるように丹田を意識しようとすると、微妙に押し出す力が相手に伝わります。

この押し出す力によって、相手は実は重心がわずかに崩されているのです。

実は人間は最大のパフォーマンスを発揮するためには、重心が安定していてバランスのとれた状態である必要があります。

このわずかに押されることにより、曲げる側は自分の力が自分い帰ってくるという感覚を感じます。

その感覚を感じると、無意識のうちに力を入れるのを押さえてしまう心理効果もはたらきます。

この様に折れない腕というのは、自分一人がするのではなく、相手と接点を持ったときに、相手と繋がるという感覚が必要です。

そうすることで相手は無意識にコントロールされている感を持ってしまい、その結果どこかでどうすることもできないという判断が脳内でされることになります。

これが相手を導くということです。

この様に、総合的な面で、体を有効に活用する方法を示すのが折れない腕です。

 

 

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【折れない腕が基本2】

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

折れない腕の作り方を前回話しましたが、今回はその後の話をしたいと思います。

というのは、折れない腕ができても応用ができないと、ただのパフォーマンスに終わってしまうからです。

ですから、どちらかというと、折れない腕ができ、それを応用できてこその合気道です。


瞬間に折れない腕を作る

 

心の準備をして、そこから折れない腕を作ってというのでは、護身を考えたとき全く役にたたないのは誰が考えても分かると思います。

やはり一瞬で折れない腕を作る必要があります。

そのため、壁に向かって、気を付けの姿勢から、いきなり手を前に出し、自分の体を支えるという稽古をします。

そうすれば、つぶれるわけにいかないから、瞬間に折れない腕ができるようになります。

そういった稽古をして、折れない腕を身に付けます。

 


イメージが大切

 

瞬間に折れない腕ができるようになったら、次は、タメを作らないで、どこでも折れない腕ができるようにしないといけません。

人は手を素早く動かそうと思うと無意識にタメを作ってから動作をしようとしてしまいがちですが、実はタメを作るとその分時間がロスされ遅くなります。

実際の話、タメを作ってすばやく手を差し出すのと、そのままユックリ手を差し出すのでは、ユックリと手を差し出す方が時間的に早くなります。

そこで、タメを作らず、自在に手をコントロールできるためには、イメージとして、手を自分が意図したところに出現するというイメージを強く持つことです。

そういうイメージを強く持つことで、自分をだまします。そうすると相手も思わず騙され、突然手が出現したかのような錯覚に陥ます。

そして、出現した手が折れない腕なら、強力な防御となります。

その手で、正面打ちの受け、横面打ちの受け、正面突きの受けをするとかなり強力になるのは、誰でもわかることじゃないでしょうか?

 

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【折れない腕の基本】1

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

合気道の基礎では、折れない腕という技術が非常に大切です。

折れない腕というのは、気の研究会の創始者・藤平光一師範が合気会の師範部長をされていたときに、気の威力を教えるために説いた技術です。

今回の記事では、この折れない腕について書いていきます。

その前に、この折れない腕を実現するのに最も大切な丹田についてのべてみましょう。


丹田とは?!

 

丹田は、仙道(仙術)で不老不死の薬である金丹を作る田んぼという意味で丹田と呼ばれています。

仙道では丹田には3つあり、額の中心にある上丹田、心臓の近くにある中丹田、臍の下にある下丹田です。

一般的に合気道において丹田という場合、下丹田をさします。

ただし、合気道の秘伝においては、中丹田の秘伝や上丹田の秘伝がありますがここでは述べません。

なお、合気道では金丹を作るということはしません。丹田は技で意識する大切な場所として使います。

 


折れない腕

 

合気道では、技を行う際によく丹田を意識するように言われます。

ところが、合気道修行者が、丹田を意識すると、手が出なくなったり、タイミングがずれたりすることが多いのではないかと思います。

それで、つい丹田を意識せずに動いているという合気道修行者の方がおおいのではないでしょうか。

丹田の使い方が分かるには、まずは折れない腕ができる必要があります。

臍下丹田を意識し、手をリラックスせて、相手に持たせ、指から気がほとばしるとイメージをすると、気が腕に流れ、腕が決して折ることができないぐらい強くなるというものです。


折れない腕の原理

 

 

ところが実際にこの折れない腕をやってみると、本人はイメージをしっかりしているものの、上手くいかない人がいます。

どうしてもできない人に、僕が折れない腕を指導するときは、まず片手で壁を軽く押す練習をしてもらいます。

その状態で後ろから背を押して曲がらないで耐える練習をすると、案外耐えられるということがわかります。

そう誘導すると、折れない腕の感覚が分かり、できるようになるものです。

実はイメージすることで、
丹田が意識し、腕に気が流れているという意識は、腕を無意識に体全体で押す状態、要するに腕で体を支えている状態を作っているわけです。

そうすると自然と下腹に力が入り、より明確に丹田が意識できる状態になっています。

*  *  *

 

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【目的は明確に!】

みなさん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

さて、合気道の技を十年以上もやっていて、合気道は実際の護身には役に立たないとまで言い切っている人がいるというのをよく聞きます。

別にその人は勝手にそいうことを言えばいいと思いますが、合気道護身術を指導しているこちらとしては、あまり嬉しくない話です。

僕は合気道はこと護身に関してはどの武道よりも役に立つと断言できます。

それぐらい合気道には護身に関係する大切な要素が技の中に詰まっています。

その要素は、物理学はもちろん、生理学、心理学などで解析しても、学問的にも十分に納得できる技術です。

 


護身に使えないと主張する人の原因

 

ただ、使えないと言っている人は、多分十年以上やって、やはり使えないのだと思います。

合気道の稽古は、試合や組手はなく、形稽古だけを繰り返し行います。そのため、本人の心構えが技にそのまま反映されるのです。

ですから、護身を目的にやるのであれば、その心構えが必要です。

現代の合気道は、特に様々なニーズに応えるというオールマイティなところがありますが、逆に様々なニーズを抱えた人が集まるということは、それぞれ違った目的を持つわけです。

ということは、自分の相手が自分と違った目的で来ている可能性が高いといえます。

目的の違う者同士が集まると、果たしてすべての人の目的が達成できるものでしょうか?

 


目的は明確に

 

「ただ、無欲に、淡々と技をこなしているといつかある時突然達人になる」という人がいます。

ところが、自分がどこにいるかも知らない人間がただ一生懸命歩るきさえすれば、いつかは富士山の頂上に到着するっていうことがあるのでしょうか?

やはり富士山の頂上に登るには、そのための準備を行い、装備を整え、どういうルートを通ってどう行くかを調べて、どこまではどういう交通を使うかと、綿密に計画を立て、目的に向かわないといけません。

以前、塾教師をしたことがあります。高校一年の生徒に、早い内に行きたい学校を決めておかないとダメだよと話したことがあります。

その生徒が「日ごろコツコツと勉強しさえしていれば、成績が上がり、いざ行きたいという学校が決まれば、そこに入れるはず。だからまだ学校は決めません」と言った生徒がいました。

結局、その生徒は、大学の付属高校でしたからその大学に行きました。普通の成績をキープしておれば自動的に行ける大学です。

一方、関西では一流の内に入る大学に入りたいと言っていた彼よりも成績の悪い生徒がいましたが、無事その大学に受かりました。

彼らの勝因や敗因は、目的が明確だったか、あいまいだったかということです。

演武で人がオッと驚くような演武を見せたいのか?
健康法としてしたいのか?
武道としてしたいのか?
護身術としてしたいのか?

そこを明確にして、その目的に合った稽古する必要があります。そのためには目的に合った道場を選ぶべきです。

 

 

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【重いものを軽く使う科学】

みなさん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

生前、井口師範は、相手を投げるためには重いものを軽く扱えるようにならんとあかなん」と言われました。
そのために、「鉄杖をつかいなさい」と言われました。
今回は重いものを軽く扱う技術の基礎的なお話しをしたいと思います。


重いものを軽く扱う

 

合気道では、力を抜くということをよく言われますが、力を全く使わないということではありません。

当然、重いものを軽く扱うにも最低限支える筋力というのは必要になります。

重いものを軽く扱う場合、運動エネルギーを利用します。

そのために鉄杖で稽古します。

鉄杖だと、小手先だけの力では思うように動きません。重い鉄杖を強く突いたり、振り回したりするには、どうしても運動エネルギーを利用しないとできません。

しかし、現代人はあまり重いものを振ったり、突いたりということはしないので、具体的に運動エネルギーを利用するというのが分からない人が多いので、その方法を以下で説明します。


運動エネルギーを使う技法

 

今回は鉄杖を扱う最も基本的な扱い方だけを紹介していきましょう。

合気道で、運動エネルギーを扱う方法は4種類あり、それぞれに陽の技法と陰の技法があり、合計8種類あります。

当会では、4種類の方法を第一式~第四式と呼んでいます。

第一式では、前進・後退による運動エネルギーの伝達

第二式では、回転運動による運動エネルギーの伝達。

第三式は、上下運動により、位置エネルギーを運動エネルギーに変える方法。

第四式は、頭の重さを使った運動エネルギーの伝達

今回は第一式を使った感覚トレーニングをご紹介します。

 


第一式陽の技法

 

 

今回の記事では運動エネルギーの利用を体に身に付ける基礎トレーニングを説明しますので、攻防を考えた構えはしません。

まず、ダランと両腕が伸びるようにして鉄杖を持ちます。

その状態から、足を一歩踏み出します。その際、手はそのままの状態でただ鉄杖を運ぶ意識を持つだけです。

そして一歩踏み出したらすぐに後ろの足を前に少し進めます。これを継ぎ足といいます。

この継ぎ足をすると同時に鉄杖を前に出します。

これが陽の技法で、こうすると、手だけで鉄杖を突きだしたときに比べると非常に軽く突き出せるはずです。


第一式陰の技法

 

まず、ダランと両腕が伸びるようにして鉄杖を持ちます。

次に、その場で、腰を後ろに引きつつ、鉄杖を前に出します。

タイミングが合えば、殆ど力を使っていないのに鉄杖がスパッと前に出ます。

以上が陰のやり方です。見た目、そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、鉄杖でやってみると「なるほど、目からウロコ」と思われるはずです。

 

*  *  *

 

 

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【合気道の師匠の杖とは?!】

みなさん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

このところステンレス杖の話題を続けていましたところ、読者で「井口師範の杖ってどんなもの?」と思われた方が何人かいらっしゃるようなので、今日は井口師範の杖についてお話ししたいと思います。

 


他と違う杖

和歌山在住の合気道のある師範が井口師範のことを批判していました。
「井口さんは、あまり武器を知らないです。あの人は杖(じょう)をまともに学んだことがありませんね。杖の使い方の基本がなっていませんでしたよ」

全くその通りです。井口師範は、翁先生以外に杖は学んでいないからです。ですから一般の杖道とはことなります。たぶんその師範は神道夢想流の杖道を学ばれたのだと思います。

杖道では神道夢想流がスタンダードですから、それからすると、井口師範の杖は亜流かもしれません。

以前、僕は杖の扱いを学びたく、神道夢想流のセミナーに参加したことがありますが、まったく違うモノと感じました。

ただ、神道夢想流は非常に体系化されていて、杖の技術を指導しやすくされていると感じました。

一方、井口師範のご指導は、天才肌だけあり、非常に感覚的で、思いついたことを稽古させるというような稽古方法でした。

 


剛と柔

 

 

技術的に見てみますと、井口師範の杖は、剛と柔の両方を併せ持っていて、時には剛、時には柔といった使い方をされていました。。

剛が出たときは、持った杖が一瞬で弾き飛ばされるぐらいの衝撃を感じました。

また柔が出たときは、こちらの攻撃があれよあれよと思う間に往なされ、気が付けば井口師範が目の前にいて、杖が突きつけられているという状況でした。

非常に不可解で、まるで空気を相手にしているかのようで、とらえどころがなく、気が付くと不利な位置に追いやられているという感じした。

「柳に風」「暖簾に腕押し」という言葉がピッタリとくる感じでした。

 


杖の技術体系として

 

井口師範の杖の技術体系といえるものは、当初は全くありませんでした。「自然と頭に浮かんだ技が本物」という理由で、その場その場違った技をお示しになりました。

ところが、私が余りにもダメダメなので、井口師範が当初4種類の形を決めて、それを稽古させてくださいました。

そのため、実際僕が教わった杖の技術はそんなに多くありません。

基礎的な動きとしてのの杖の稽古方法は、2つに分けられます。

一つは、一人稽古法で、一人稽古は鉄杖を使ってするようにとおっしゃられ、杖の回し方数種類、突き方や打ち方など数種類です。

もう一つは、対人稽古としては、杖の形として簡単な形を数種類程度だけ教わりました。

それにプラスして、合気道の形としての杖とりの技術です。所謂、四方投げの応用や二教の応用、呼吸投げの応用です。

*  *  *

 

 

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ステンレス杖

皆さん、お元気ですが? 僕はメチャ元気です!

昨日も記事に書きましたが、注文していたステンレス杖がとどきました。何か新しいものが届くとワクワクするものです。

今回はステンレス杖の使用感や目的など書いてみようと思います。

 


ステンレス杖(じょう)の使用感

 

昨日ステンレスの杖が届いた杖ですが、長さ128センチ、直径2.5センチで、ほぼ一般に入手できる木の杖と同じ寸法です。ただし重量は5キロあります。

5キロというとかなり軽いように思われますが、初めての人にとっては、振り回すと分かりますがかなりキツイです。

私の師である井口師範は「合気道は鉄杖を振って体を鍛える。翁先生も鉄杖で体を鍛えられていて、昔は鉄杖を常に持って出かけられたと言っておられた」と言われていました。

それぐらい鉄杖は合気道の身体作りには大切ということです。今までは、僕は約3キロの鉄の棒を使っていたのですが5キロだとかなり重量感があり、やったあと鍛えた感が半端なくあります。

さらに、通常の鉄杖だとエッジがむき出しになっているので、ケガに対して非常に危険感を感じました。

僕が初めて鉄杖を持ったとき、かなりの恐怖を感じ、鉄板が入っている安全靴を履いて稽古したものでした。

しかし、両端にゴムがかぶせられているためか、素足で振り回しても何故か安心感があり、鉄杖を振っていたころに比べそれほど恐怖が感じられませんでした。

本当に購入してよかったと思いました。

 


ステンレス杖が大好評

 

昨日の技の研究会での稽古に参加者は、ステンレス杖に興味津々の様子でした。

当初ステンレス杖に興味がなかった人までが、実際に手に持つと急に欲しくなったのか、あるいは注文したつもりだったのか、人数を確認して注文したはずの杖が一瞬でなくなってしまいました。

今回来ていない人の分がたりません。

しかも、人数だけ調べたので、誰が注文していなかったのかかわからず、また、再度注文する必要がでてきました。

確かに、この杖を見ると僕でもすぐに欲しくなったと思います。

千円やそこらのものではありませんので、少し金額的に高いものですので、別に今は無くてもいいかと思った人も、急にほしくなったようで、思った以上に非常に大好評でした。


鉄杖の使い方の指導

 

今回の稽古に参加している会員の様子を見ていると会員全員がステンレス杖に興味津々でいろいろと振ったり、突いたり試したりしている状況でした。

それで、ステンレス杖に興味が向かっているこの状況で、別の稽古をしても身に入らないだろうと考え、急きょ鉄杖の使い方の指導をいたしました。

井口師範によると、鉄杖は腕力強化に使う目的ではなく、重いものを軽く扱える身体を養成するのが大きな目的ということです。

そのためには、重いものを軽く使う技術を指導する必要がありますのでその方法を説明しました。

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