【脳科学と合気道】

皆さん、お元気ですか? 僕はメチャクチャ元気です。

脳科学の本など読んでいると、ある意味で、合気道と他の武道の違いなどが分かっていろいろと面白いです。

今回は脳科学における武道・格闘技比較です。


コンフォートゾーン

以前、僕のブログで質問が来た内容で、当会の稽古は、実戦に対してどのようなことに留意して指導しているかというものがあります。

というのは、いざというときに、難度の高い技法を使うのは非常に難しいのではないかということで、そういったときは力を使う稽古をしておくことも重要ではないかということでした。

確かに、この方が言われている通りで、いざという場合にかぎって知的な思考ができなくなります。

その理由は脳科学で説明されています。

脳科学や心理学では、人が慣れした親しんだ環境にいる状態をコンフォートゾーンと呼びます。

人はコンフォートゾーンにいるとき、脳が最大のパフォーマンスを出せるようになっています。

この環境だと、IQがかなり上がり、知的活動をするには非常によい状況です。

ところが、原始の時代は、狩りなどでは自分の慣れ親しんだ環境から、危険な環境に入って行う必要があります。

狩りでは、考えているよりも、闘争本能をむき出しにして、本能的に体を動かす方が危険を避ける意味で非常に都合がいいのです。

そういった場合、自動的に、IQを落として身体活動のパフォーマンスを上げます。

これに関して、格闘技の試合で、必死になって戦っていたら、闘争本能に支配され、気がついたら試合に勝っていたということを 格闘技の選手がときどき話すことでも分かると思います。

この様に、多くの格闘技では自分を追い込んで、コンフォートゾーンから飛び出して、闘争本能をもろに引き出すことで、最大のパフォーマンスを出します。

このように、格闘技で行われる自分を追い込むことは、確かに、戦場というコンフォートゾーンからかけ離れたところでの戦いに適した方法かもしれません。


合気道や日本の古武道はどう考えるか?

一方、合気道や日本の古武道では、このコンフォートゾーンから抜け出たと闘いを否定しています。

合気道や日本の古武道の場合、真澄の状態、要するに明鏡止水の境地と呼ばれるものを目指します。

いわゆる、最高に集中したゾーンと呼ばれるものを目指すわけです。

そのため、合気道では、無駄な力を抜くことを指導され、リラックス状態で最高のパフォーマンスを出す稽古を行います。


護身術ではどうか?

残念ながら、やはり一般人である僕たちは、いざというときどころか、通常の稽古においても明鏡止水の境地というのは非常に難しいと思います。

これは、2チャンネルでもよく議論されますが、合気道は役に立たないと言われる理由の一つです。

確かに、明鏡止水の境地を目指すのは大切で、リラックスして 、相手の動きをできるだけ冷静に判断して、それで相手を制する稽古は高次元を目指すに必要不可欠でしょう。

実際問題、いくら道場でそのような状態になたとしても、実際の場でそうなれるのは、かなり実戦の修羅場を超えた人だけとなると思います。

僕の暴漢と闘った経験でも、暴漢を制した後にもかなりの興奮状態が続き、気を抜いたとき、はじめて手足がブルブルと震え、息が激しくなっている自分に気づきました。

ブルブルと震えていても、恐怖のためではなく、異常な興奮状態のため、ノルアドレナリンの過剰分泌のために、戦う必要が無くなった時点で、行き場をなくしたため、震えが来たのだと思います。

そういった経験から、日ごろの稽古している単純な動作が、そういった緊急事態では特に有効だとがわかりました。

そのため、高度な技術も大切ですが、護身を考えたとき単純な動作で相手を制圧する技術はもっと大切だと思います。

ですから、打撃技法や目や金的(睾丸)を攻撃する急所攻撃の稽古も護身では非常に大切です。


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